手綱を握れ!人ちゃん&響ちゃん!   作:エヴォルヴ

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星達のスルースキルはカンスト級

 結構キツイですねこれ。

 

 流石はアメリカ軍の訓練。空軍、陸軍、海軍のトレーニングを混ぜ合わせたような訓練は過酷と言っても過言ではないだろう。筋繊維を全て破損させるかのようなトレーニング……俺達は体幹トレーニングに重きを置いていたけど、こういうトレーニングも取り入れていくべきか。

 

「まだだ……動け俺の体……! これからもっと面白く……!」

 

「おう、戦闘狂やめーや」

 

「レーザーブレード持ってからにしてくれる?」

 

「え、いいの?」

 

「「何で作ってるんだよ」」

 

 ちょっと前に生まれたんだよね、レーザーブレードっぽい武器。名前は【雷刃朝焼(バアル・ドーン)】。雷の神様の名前から取らせてもらった。あれ? 嵐の神様だっけ? まぁ、いいか。能力は静電気とか、生体電気で励起して、ブレードを生成してぶった切るというもの。応用すれば体を電気の力で無理矢理動かすことも可能のはず……なんだけど、それをやると俺の体が焦げる。上鳴君に使い方教わろうかな? 

 

「……何で談笑できてるんだ?」

 

「雄英ってのは軍事学校か何かなのか?」

 

「個性使ってもいいとは言ったが、あの三人増強系じゃないよな?」

 

「とんだ大当たりだぜ」

 

 イーサンさん達の話を小耳に挟みながら、クールダウンを行う。きっと夜には筋肉痛だ。この状態で生やし丸を使ったらどうなるのだろうという興味はあるが、怖いのでやらない。

 

「そういえば煉武、体育祭で見せたあの武器は全部自作なのか?」

 

「え? はい。俺の個性ってそういうのなので」

 

「……タタラ夫妻の個性って通訳と採寸だよな?」

 

「壱の両親と面識が?」

 

 人ちゃんが首をかしげて問いかけると、イーサンさん達『スターズ』のメンバーの皆さんからの思い出話が出るわ出るわ……

 

 お父さんがスターズのメンバーと組手をして日本の柔術の高みを見せたとか、お母さんがスターアンドストライプのコスチュームの採寸を行って調整とかした際、その場所だけが加速していたようだったとか、色々思い出話が出てきた。そういえば実家にサインあったな……スターアンドストライプとスターズのサイン。……その時貰って来たんだ……

 

「まぁ、俺は突然変異個体(レアモンスター)なので」

 

「自分をそう表現するやつ初めて見たわ」

 

 ユニークモンスターという言い方の方が伝わっただろうか? あれ? どうしましたスターズの方。え? 両親に何かされてないかって? されるわけないじゃないですか。俺の両親、どっちも俺のこと溺愛してますし。手紙は月に五回は来ますよ。

 

「壱、水」

 

「はいはい」

 

 胸に手を突っ込んで取り出したのは、カートリッジのようなものがセットされているガントレット。【蛮包貂】と名付けたそのガントレットの能力は、何種類かの液体をストックして放出するというもの。ちなみに液体を粉にもできる。やったことないけど、塩酸とかも粉にできる。液体なら何でもストックできるし、粉にできるはずだ。

 

「経口補水液が沁みる」

 

「熱中症の第一症状では?」

 

「経口補水液ってわりと美味しくなってるんだぞ?」

 

 そうなんだ? 俺はあんまり飲まないから知らなかったけど、人ちゃんが言うならそうなんだろう。

 

「さて、三人共、クールダウンが終わったら次の訓練だ。個性の圧縮訓練はやったことがあるか?」

 

「圧縮?」

 

 個性の限界突破という意味ならば、相澤先生の訓練でよくやっていたけど。個性を限界まで使い続けることで個性を強化する。人ちゃんも響ちゃんもそれに付き合ってたし、それを経て色んな応用をしている。ハートビートウォールなんか典型的なものだと思う。音質と音圧の向上によって生み出された必殺技は、ある程度の攻撃を弾き飛ばすものだ。

 対して人ちゃんは自分に洗脳をかけることでリミッターを一時的に外す、なんてこともできる。あとはある程度の会話をさせるなど、色々と搦め手が進化し始めている。

 

 俺? 俺はあれだよ。武器の融合。昔はできなかったけど、武器を合わせるのが限界突破による成果だ。

 

「なるほどな。なら、その限界をさらに引き上げる方向に進めていこうか。三人の強みは?」

 

「洗脳による連携妨害」

 

「音による攻防一体戦法」

 

「武器を使った手札の多さ」

 

 それを合わせたコンボが俺達の強みであることを伝えると、スターズの皆さんがうんうんと頷きながら分析してくれた。

 

「オールラウンダーの煉武、近中のペルソナコード、中遠のイヤホン=ジャック。個性無しで戦った場合はヒトシに軍配が上がるか」

 

「かと言って煉武とイヤホン=ジャックが近接戦が弱いかと言われたら、アーカイブを見る限りそうじゃない」

 

「能力を高水準に伸ばしてる。いいチームじゃないか。下手なプロよりも強いだろ」

 

 ただし、崩された時の立て直しや、単独での行動において三人で戦う時の癖が出ることなどの課題も存在する。しかもいつも同じ三人で動けるとは限らず、他のヒーローとのチームアップでは三人の連携がノイズになる可能性があるとのこと。うん、それはそうだ。そこは何とかしていかないとなぁ、と三人で話していたし、相澤先生からも言われている。課題、と言えば。

 

「人ちゃんと響ちゃんはこの子達も使えるようにならないとね?」

 

「「絶対に使いこなしてやるからな」」

 

 放り投げた刀をキャッチして唸る二人を見て、ニコニコと口角が上がる。この職場体験の時間でどれくらいまで解放できるかな? 指揮者とコーラス隊のリーダー一人しか解放できてないけど、まぁ、三人くらいは増やしてほしいよね。

 

「体育祭で見せたやつか! それを使いこなせるようにするとなると……」

 

「時間はいくらあっても足りない、だろう?」

 

 わっ、びっくりしたぁ……

 スターアンドストライプがスターズの皆さんと同じような服に着替えて現れた。さっきまで国の偉い人と話していたらしいけど、何を話してたんだろ。気になるけど、国の機密とかだろうし気にしなくていいだろう。

 

「イーサン、どこまでやらせた?」

 

「圧縮訓練を始めようとしてるところだったよ。想像以上に動ける」

 

「いいね。そうじゃなくちゃ」

 

 イーサンさんが色々とスターアンドストライプに状況を説明すると、彼女がオールマイトみたいな笑顔を浮かべて俺達に指を差した。

 

「この職場体験の期間で、末弟(ブロス)末妹(シス)には私達が課す課題をクリアしてもらう!」

 

「「「課題」」」

 

「煉武、その二人は武器でどこまで引き上げられる?」

 

「ポテンシャルを120%。ただ、引き上げるのは指揮者とコーラス隊リーダーの能力ってだけです。本来ならオーケストラとコーラス隊なので」

 

「なら、個性の限界突破と並行して二人────いや、三人は引っ張り出せるようにしようか」

 

 そう言われた瞬間、人ちゃんと響ちゃんの表情が好戦的なものとなる。絶対に期待を超えてやろうという意志を感じるそれに釣られて、スターアンドストライプとスターズの皆さんも笑みを浮かべていた。

 

「そして煉武!」

 

「はい!」

 

「この職場体験の期間で武器のどれかを進化させろ!」

 

 凄く難易度の高いことを言い始めたぞこの人。

 

 武器の進化というのは、一応経験したことがある。というか万雷と喝采がその類だ。一度生まれたはずの武器が独りでに炉心に飛び込み────飛び込むって表現が正解なのかは分からないけど、勝手に打ち直しされに来る。万雷と喝采は元々、風を纏う両刃薙刀【万雷喝采(ワイルドハント)】だったのだが、人ちゃんと響ちゃんの力になりたいと願った結果、二つに分離。【万雷】と【喝采】になった。

 

 突然のことでびっくりしたけど、武器がそう願ったのならと尊重したのだが……他の武器もそうなるのかは分からない。だって突然変異のようなものだし。黒剣の亡骸(コープスオブスルト)とか無明とか一番可能性が高いだろうけど……対話か? 対話なのか? 家族会議というやつなのか? いいだろう、意志を汲み取るなんてことは武器を生み出す時に毎度やっている。無理難題はいつものことだ。

 

「ミデ○ールレベル1縛り&武器未強化縛りで倒した時よりは楽! やってやりますよ!」

 

「ははは! よく言った! この一週間で三人をプロ顔負けのいっぱしヒーローにしてやる! 死ぬ気で付いてきな!」

 

「じゃあ遠慮なく駆け抜けていきますね」

 

「何だいつものことか」

 

「これが普通なのっておかしくない?」

 

「今更だろ」

 

「それもそっか」

 

「置いてかれないでよ?」

 

「「むしろ引きずってやるわ」」

 

 ああん、素敵なお誘い……♡!! 二人に引きずられるなんて最高じゃないか♡♡♡!! 

 

「スター、準備が整ったぜ」

 

「よし! 着いてきな末弟(ブロス)末妹(シス)! 案内ついでに新しい戦場へ行くぞ!」

 

 戦場、となるとあれですか? 新しいトレーニング的なやつですか? それとも鍋パですか? 鍋物は戦争ですよ? 

 そんなことを考えつつスターアンドストライプの背中を追いかけること十数分。トイレやらトレーニングルームやら、色んな場所に案内された後食堂に辿り着く。……マジで食事による戦争? 

 

「ようこそアメリカへ! 歓迎するぜ三人共!!」

 

「腹が減っては何とやら。まずは食え! そして休め!」

 

「んでもってよく動け! ここの訓練は学校のよりも過酷だぜ!!」

 

 テーブルに所狭しと置かれた料理の数々と飲み物。ピザ、ラザニア、肉類、ポテト……山盛りの料理に対して、俺達は表情を引き攣らせた。歓迎会とはいえ、凄い量だな……食べ切れるの? これ全部……? 大人がたくさんいるとはいえ、これ全部は結構キツイような────

 

「おっと、食事の前に自己紹介だ。軽くは済ませてるだろうけど、胸に響くようなスピーチを頼むぜ、三人共」

 

 唐突な無茶振りはアメリカンスタイルということでいいのか? まぁ、自己紹介はちゃんとしますとも、ええ。

 

「多々良壱譚。ヒーロー名は煉武。二人と一緒にいたいからヒーロー目指してます。不純とか言ったやつは感度6000倍にして一生ネットの晒し者にします」

 

「心操人使。ヒーロー名はペルソナコード。憧れに追いつくためにヒーロー目指してます。最近手綱を握る奴を募集してます」

 

「耳郎響香。ヒーロー名はイヤホン=ジャック。憧れに追いつくためにヒーロー目指してます。最近手綱を握る奴を募集してます」

 

「二人以外に手綱引かせるつもりないんだけど」

 

「「なら暴走するな変態」」

 

「やだ♡」

 

「「ふんっ!」」

 

「ん゛ぉ゛ッッ♡♡!?」

 

 アメリカだろうと平常運転。俺達はどこにいても変わらないのだ! あっ♡、(マーキング)ができるくらい強くしていいよ二人共♡ほら、もっと強く殴って♡♡イヤホンジャックが刺さって体に響ちゃんの音が染み込んでくる瞬間ほど気持ちいい瞬間もないね♡!! 

 

「個性的な弟と妹だな! 可愛がってやるから頑張れよ!」

 

「腹減ったしさっさと始めようぜ!」

 

「ボブ! お前さっきつまみ食いしてただろうが!」

 

「「「一週間よろしくお願いします!!」」」

 

 一週間、退屈し無さそうだ。

 そんな感想を抱きつつ、俺達の職場体験はスタートした。

 

 

 

 




スターアンドストライプ&スターズ
壱が二人に甘えまくっているのを言葉ではなく心で理解した。多々良夫妻と全く似てねぇなとは思っている。ところで三人共体力化物過ぎない? え? 小さい頃からサバイバル鬼ごっことかやってた? ……日本の学生はクレイジーだな!!


万雷と喝采
本来は一つの武器。分離した。


無明
実はイメージが女の子だったりする。よく切れる刀。進化する可能性は最も高い。


蛮包貂
蛮包貂。粉にしたものは水によく溶ける。
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