手綱を握れ!人ちゃん&響ちゃん!   作:エヴォルヴ

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そして残念、短い。


残念、プール回だ

「ということで相澤先生、風雲相澤城対策のためにプールの使用許可をください」

 

「ああ、許可する。使用時間は17時まで。時間厳守で安全に使用すること」

 

「もちろんです。あ、あとお爺ちゃ────祖父からこれを持っていけと言われたので持ってきました」

 

「……ああ、これか」

 

「それ、何ですか?」

 

「風雲相澤城改築案。人数が増えるからな。期待しておけ」

 

「「「地獄の門が開く……!」」」

 

 夏休み突入前日、俺達は相澤先生からプールの使用許可を貰っていた。ヴィランの活発化もあって、長期の外出を控えろということで旅行に行けない。ロックフェスは許可してください……ダメですか、そうですか……

 

 ところで風雲相澤城の改築案とか見せてもらえたりは……あ、ダメですか、知ってました。あははは……皆で地獄に行こうね。

 

「夏休み、通形先輩達はインターンでいらっしゃらないですし、しばらくは体力訓練メインっすね」

 

「個性伸ばしは順調か……って、聞くまでもないか。励めよ」

 

「「「はい!!」」」

 

 明後日はプールで死ぬほど泳ぎまくってやろうじゃないか。アトラクションプールで遊んだけど、それはそれ。

 

 教室に戻る中、物間君とすれ違ったり、経営科の人達と軽く話したりした。やっぱりお金とかの見積もりなどは経営科に軍配が上がるね。さすが。

 

「お、多々良君達じゃないか!」

 

「通形先輩! こんにちは!」

 

「天喰先輩もこんにちは」

 

「ああ……元気だな、一年」

 

 コミックみたいな顔つきに、がっちりと鍛え抜かれた巌のような肉体の通形先輩と、細くて筋肉が無さそうに見えるが、個性でそれらを補う天喰先輩にエンカウントした。夏休み前日というのもあって、色んな人に会うなぁ。

 

「夏休みの予定は決まったかい?」

 

「一にプール」

 

「二に課題」

 

「三四にあれこれ」

 

「五に風雲相澤城の対策です」

 

「「風雲相澤城……!?」」

 

 説明しよう、風雲相澤城とは。駆世組が一夜で作る文字通りの一夜城であり、内部には所狭しとアスレチックが敷き詰められている地獄の城である。一つでも選択を間違えた場合、落とし穴が起動し、スタート地点に戻されてしまうという機能が存在しており、空を飛んで逃げようとするとセントリーガンが四方八方から起動し、ネットを射出、撃ち落とすという意地でも叩き落してスタートからやり直させるという確固たる意志を感じる城だ。

 

 ちなみに各階層を繋ぐ階段の前にはボスキャラが配置されている。基本的には駆世組の人か、相澤先生が呼んだ誰かだけど……ボロボロになりながら最上階まで行き、相澤先生との戦闘を終えて、講評に移る────ああ、思い出すだけで脳が軋む。

 

 地元の山に建てられたそれで、何度落とされたことか……パルクール、個性を使った課題、シミュレーション……思い出すだけで震えが……

 

「先輩方は夏休み、インターンメインですか?」

 

「まぁね! もちろん合宿は行くけど、基本的にはインターン先にいるかな!」

 

「三人も俺達みたいになるかもな……波動さんは今日から、インターン先に行ってる……」

 

 ほへー……訓練に付き合ってもらっているBIG3の皆さんはやはり、ヒーロー科三年生でも飛び抜けてるんだなぁ。俺達も理想の自分ってやつになるために、頑張らないと。

 

「じゃあ、また夏休み明けに!」

 

「その時にはあんたらが個性を本気で使わせるくらいにはなりますよ」

 

「はは! いいね! やってみなよ、一年生!」

 

「悪いが、先輩として簡単に超えさせないさ」

 

 いやぁ、夏休み明けが楽しみになってきたな。頑張っていこうじゃないか。

 

 

 

 

 

 ────────────────────────────────────────────────────

 

 

 

 

 

「んー、ちょっと冷たいくらいかなぁ」

 

 チャプ、チャプ、と両足でプールの水を揺らす。

 うーん、一応烈火沙使うか……? いやでも使い続けると水がお湯になりそうな気が……いや、体温を上げるだけだし、そんなことにはならないか。今日は晴れるらしいし、これくらいが丁度いいのかも……? いや、どうだろう? 

 

(((いつも以上に女に見える……!!!??)))

 

 む、何やら視線が……って、ああ、皆が来たのか。

 鍵とかを借りるために俺、人ちゃん、響ちゃんは皆よりも早く来ていたのだが、皆がそこに追いついたようだ。

 

「おはよう、皆。夏休み課題は終わった? 俺は全部前日に終わらせたよ」

 

「課題の話はよせ……!! てか髪どうした!? そこまで伸びてなかったよな!?」

 

「あと何でパーカーのチャック締めてんだ? 下も……水着じゃなさそうだし」

 

「ああ、これ?」

 

 上鳴君と轟君の疑問に答えるために立ち上がり、パーカーのチャックを降ろすと、俺の上半身が露わになる。そこには男の俺の肉体────ではなく、サラシで軽く巻いただけなので潰れていない通常? よりも小さい膨らみのある胸が。体型? いつもと変わらず女の子みたいな体つきですがァ……!!? 媚主絶天曰く俺は女の子になったら筋肉に愛されてるって話だったんだけどなぁ……!!? 

 

「胸……!? 多々良、お前女だったのか……!?」

 

「よぉし瀬呂君、そこから動くなよ。感度7900倍にして尊厳崩壊剣を叩き込んでやる」

 

「待て待て待て待て!!? いや、マジでどうした!? 男だったよなお前!?」

 

「媚主絶天の系列だと思って試したらこうなりましたが……?」

 

「何て澄んだ目をしやがる……!!」

 

 性転剣黒百合と名付けたそれを見せながら、俺は天を仰ぐ。爆豪君ですら何やら憐みの視線を向けてきているが────

 

「おばさん達に写メ送らねぇと」

 

「壱、こっち来な。日陰で座ってなよ。あと家帰ったらウチの服で着せ替え大会するよ」

 

 我らが幼馴染は平常運転です。というか家で滅茶苦茶笑われた。効果時間は恐らく今日一日……相澤先生に解除してもらうことも考えたが、これはこれでちょっと訓練になるので相澤先生には説明だけしておいた。相澤先生にも笑われた。いっそ殺せ。

 

「ちなみに俺は今日、泳げません……!!」

 

「…………まさか多々良君……」

 

「下半身も女の子でなぁ……!! どういうわけか月経が来ている……!! お腹はそこまで痛くないが凄くむかむかする……!!」

 

「「「何でだぁああああああああ!!!??」」」

 

 これが女性の苦しみかって思ったよね……!! 現在進行形で血が出ている……! 身体構造が変化したことに体が対応しようとしている結果なのか……!!? 

 

「いやマジで何でだ……!?」

 

「俺にも分からん」

 

「とりあえず多々良君は日陰で休んでいたまえ。そういうのは冷やすといけないと聞くしな」

 

 おお、飯田君、そういう知識もしっかり持っていらっしゃったか。にしてもこの体、凄く動かしにくい……腰回りとかの可動域は広いんだけど、重心が違うのかバランスを崩しそうになる。でも筋肉量はそこまで変わって────いや待て、何か変わってる! インナーマッスルってやつが凄い変化してる気がする! バランスを崩しそうになっても転ばないのは体幹が強いから……!? 

 

 そんなことを考えながら、響ちゃんに手招きされてやって来た日陰で準備運動を行っている男子や姦しく話している女子達を眺める。いいなぁ……俺もこれが無ければ……黒百合をもう一回刺したら戻るわけでもないし……ピーキーすぎるんだよ畜生。あ、峰田君と上鳴君が飯田君に捕まった。ガタイがいいよなぁ、飯田君……人ちゃんがギリシャ彫刻だとすれば、飯田君は……うーん……ヴァイキング? いや、スパルタン? とにかく筋肉(マッスル)だ。

 

「うわぁ、よく見るとまつ毛長……肌もめっちゃ白い……! てか腰ほっそ!?」

 

「わっ、芦戸さん。水分補給はしっかりね」

 

「個性柄たくさん取ってるよー! てか多々良、本当に女の子になっちゃったんだ!?」

 

 スクール水着姿の芦戸さんがどこか楽しそうに問いかけてくるが、俺はそこまで楽しくない。女の子になってしまったまではいい……だが、どうして月の日が再現されている……! 無明とか媚主絶天に話を聞こうにも、あの子達武器だからそういうのは存在しないし……! 

 

「ケロ、多々良ちゃん、お腹周りを冷やすと良くないわ。体温を上げたりする武器を使った方がいいわよ」

 

「いきなり女の子の日って大変だー……何かあったら言ってね!」

 

 女子からの気遣いが暖かい……! スポーツドリンクをどうぞ。水泳って結構水分を消費するから、しっかり水分補給しないといけないぞ。

 

「こうして月の日を体験して思うことは……世界中の女性も、女性ヒーローも凄いってこと」

 

「その日が重いとパフォーマンスに影響があるから、薬を飲んでいるヒーローも多いらしいよ」

 

 へー、知らなかった。そもそもヒーローについてはそこまで知らないしなぁ。精々が、エンデヴァーはどれだけ低火力でヴィランを拘束するかとかを考えてるとかくらい。

 あら、男子の皆が水泳で勝負し始めた。雄英のプールって市民プール並みに広いからいいけどさ、皆元気だねぇ……お、女子は水中バレーですか。中々ピーキーな遊びをしますね。頑張れー。

 

「っておいコラ爆豪君! 高火力爆破で飛ぶな!! 爆風でボールが変な方向に飛んだでしょうが!!」

 

「関係ね────ァ゛……!!?」

 

「「「爆豪ぉおおおおおおおおおおおお!!?」」」

 

 チッ、掠っただけか。けど流石のタフネスをもってしても感度7900倍にされたらしばらく動けまい。意地でもビクンビクンして堪るかという強い意志を感じるが、嫌でも体が反応しているようでビクビクしている。報いを受けるがいい。

 

「てか今気づいたけど、多々良の声ちょっと高くなってる?」

 

「耳郎さんの声に近いですわね。男の状態でも女性らしいお声をしていらっしゃいましたが……」

 

「遠回りに女の子みたいって言ってる?」

 

「まぁ、多々良君可愛い系よな。カッコいい系ではないなぁ」

 

「泣いていい?」

 

 あと葉隠さん、可愛い系、綺麗系だよっていうフォローはフォローじゃないからね……? 

 それにしても、今日はよく晴れてるなぁ……昨日の大雨が嘘みたいだ。大雨、嫌いじゃないんだけど、落雷とかは止めてほしい。停電するし。そんな青空を眺めて過ごしていれば、お昼休憩の時間になっていた。お昼は弁当持参と伝えていたので、皆で弁当を食べる。弁当にも色々個性が出るよね。

 

「お盆も来るなぁ」

 

「合宿も来るなぁ」

 

「風雲相澤城も来るなぁ」

 

「「「う゛っ……!」」」

 

 改築されるという風雲相澤城、どんな要塞となるのだろうか……タルタロス並みとか止めてくれますよね? ね? 

 

 

 

 




性転剣黒百合
性転換させる短剣。感度は上がらない。本来なら月の日など来ない。性転換させるだけの短剣。壱譚のはイレギュラー。
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