手綱を握れ!人ちゃん&響ちゃん!   作:エヴォルヴ

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部屋披露

 部屋作りも昼寝も終えて、蕎麦も食べた俺達は、一階共同スペースでくつろいでいた。風呂はもうちょっと後です。俺は最後に入ります。宣言通り三時間は入ります、よろしくお願いします。

 

「そういえば男子は部屋できたー?」

 

「うん、今くつろぎ中」

 

「くつろいでいなさそうなのがいるけどな」

 

 呆れた声を上げるのは切島君。視線の先にいるのは────体の限界で攣りそうになりながらも負けじと頑張る爆豪君と、柔軟な筋肉を得るために柔軟を極めた結果柔軟の剛力を手にしたゴリラこと人ちゃんがツイスターゲームで一騎打ちをしていた。

 

「クソが……!?」

 

「へいへい、柔軟が足りてないんじゃないのー?」

 

「黙ってろや心操……!!」

 

「爆豪君、右手を赤に、次の心操君は左足を緑だ!」

 

 ルーレットを持っているのは飯田君。血沸き肉躍るツイスターゲーム、その勝者は明日の夕飯を決める権利を得ることができるのである。

 

「死んだんじゃないのー?」

 

「ブッフォアッ!!?」

 

「かっちゃんが噴き出した!?」

 

「ぅえっほっ! 心操てめぇ……!!」

 

「妨害行為は気持ちいいZOY☆」

 

 べちゃっ、と爆豪君が崩れ落ちたため、明日の夕飯を決める権利は人ちゃんが手にした。中華そばだって。連続麺類!! 

 

「俺の妨害行為程度に負けるようじゃあうちの技巧野郎に勝てねぇわなぁ」

 

「上等だゴラァ!! ぶっ殺してやるよ!!」

 

「なぜ好き好んでツイスターゲームをやらねばならないのか。壺男やろうよ」

 

 あれは悟りを開けるからおすすめだよ? 

 

「そういえば多々良って結構ゲーム好きだよなぁ」

 

「ゲームオーバーが急速に迫ってくる時間が一番生を実感する」

 

 じゃなきゃ好き好んでオワタ式大前提ビルド何か組まないよね。

 顔面崩壊を起こしている爆豪君を煽る人ちゃんを眺めていると、部屋作りを終えた女子の皆さんも集まってきた。

 

「そういえばさ! 今話してた提案なんだけど……お部屋披露大会! しませんか!?」

 

「それは拒否権の無い声。灰流うららよろしいか」

 

「無限泡影いいですか」

 

「増殖するGを発動」

 

「「「……決闘(デュエル)!!」」」

 

 ふわんだりぃずVSカオスルーラーティアラメンツVSクシャトリラなんて泥仕合確定じゃないか。

 

 

 まぁ、ちゃんと参加するんですけどね、初見さん。

 最初の生け贄は緑谷君。心の準備をさせてくれと叫んでいたが、女子一同の民意には勝てずにオープン。

 

「オールマイトだらけだ!! オタク部屋だー!!」

 

「憧れなので……恥ずかしい……」

 

「どこに恥じる要素がある……?」

 

 オールマイトだらけの部屋、その全てのオールマイトグッズにちゃんとした保護が施されている。細心の注意で持ち運んだのだろうことが分かるそれらに感心することはあれど、笑うことはない。何を恥じる必要があるのだろうか。

 

「俺の家も一部屋こんな感じだしね」

 

「え? 多々良君ってそんなにヒーローオタクだっけ?」

 

「んーん。お父さんとお母さんがサインを貰ってくるんだ。それの保管庫みたいな部屋があるの」

 

「そうなんだ……ちなみにどんなヒーローのサインが────」

 

「スターアンドストライプ、ブルショット、ブルズアイ……あとはサラームとか?」

 

「……ひょえ」

 

 おや、緑谷君がバグってしまった。

 

 

 

 さて、続きまして常闇君の部屋だが……

 

「フン、下らん……」

 

 おや、あんまり見られたくない感じ? 無理強いは良くないので、保留────ちょっと待ちなさい芦戸さん、葉隠さん。無理強いは良くないから!! 

 

「黒ッ!? 怖!?」

 

 黒い。昏い。暗い。色々カッコいいのが置いてある。

 

「男子ってこういうの好きなんね」

 

「このキーホルダー俺中学ん時買ってたわぁ……何か魅力的なんだよなぁ」

 

「……あれ……この涼しい香りはもしや……リンゴ?」

 

「む……そういえば多々良もリンゴをよく食べていたな。好みのリンゴはあるか?」

 

「夏の品種は食べたことないなぁ……よく食べるのはジョナゴールドとかかな」

 

 つがるひめなんて品種が存在するのか……へぇ……色々食べ比べるのも悪くないかも。というか剣とか盾なんて通販で売ってるんだね。え? 盾の中にリンゴを入れるとジュースになる? ……わぁ、本当だ。

 

 

 

 次は青山君の部屋。

 

「眩しい!!」

 

「ミラーボール二つだと……!?」

 

「甲冑だ……」

 

「ノンノン! 眩しいじゃなくて、ま・ば・ゆ・い☆!!」

 

 ぐおおおおお……眩しすぎて目が潰れそうになる……!! 想定の範疇を出ないとか思ってた通りとか言ってるそこのお二人は大丈夫なの……!? 

 

『フラッシュバンのような部屋だったな……』

 

 

 

 次。峰田君ルーム。

 皆がちょっと躊躇いを感じている中でも、俺は躊躇なく飛び込んでいくよ。

 

「峰田君の部屋……ちょっと躊躇いが」

 

「何とでもなる」

 

「常識外れだったら強制リフォームだが……」

 

「まぁ、入れよお前ら……すげぇの見せてやんよ……」

 

 よし、入室許可を頂きました。というわけで飛び込め峰田君の部屋────そして、俺達は中々趣のある部屋を見た。

 

 何かの付録だったのか、水着姿の女性の写真のタペストリーがベッド近くに貼り付けられており、勉強机には何冊かの本。本棚にも色々入っていて、R指定無し、R15、R18と振り分けられている本はとても丁寧に包装されていてタイトルが確認できない。そして手に取りやすい場所には読みかけなのか、しおりが挟まっているヴィランの拘束方法100選という本。シンリンカムイ、エッジショット、ベストジーニスト、ガンヘッド監修だって。中々面白そう。

 

「「「エロ部屋!!」」」

 

「エロ……部屋……?」

 

「思春期の男の子はこのくらいオープンな人、結構いるらしいよ」

 

「百人に一人レベルだけどな」

 

 うーむ、こういう部屋はエロ部屋と呼ぶのか……そうなんだ……

 

 

 

 続きまして人ちゃんの部屋。

 

「結構……」

 

「普通だ……」

 

「ゲーム用のモニターが結構大きいくらいか?」

 

「まぁ、本棚に漫画とか詰め込んでたりはするけどな」

 

 あんまり物を増やさないもんね、人ちゃん。

 モノトーンの部屋は配置によって広々としているように見えるが、他の部屋と同じ広さです。ベッドのサイズはセミダブル。俺達三人は基本的に広めのベッドに寝るのが大好きです。

 

「あ、ギターある! 弾けるんだっけ!?」

 

「体育祭でやったな」

 

 文化祭もライブやろうね。

 ちなみにそのうち壁紙とかも変えて色々とファンタジー風にするんだって。ファンタジーのアイテムショップ的な感じに。その時は俺も参加する。愉快なDIYの始まりだ! 

 

 

 

 二階の男子部屋は終わって三階に向かった俺達は、三階最初の生け贄である尾白君の部屋に突入する。

 

「わぁ、普通だ!」

 

「普通だぁー!」

 

「これが普通ということなんだね……!」

 

「言うこと無いならいいんだよ……?」

 

「すっきりしてるね」

 

「住みやすさはトップレベルかもしれねぇ」

 

 こういう部屋作りって結構難しいんだよね。ここまですっきりしてればどこに何があるのかとか分かりやすくていいかも。

 皆ツッコミどころがない普通の部屋だって言ってたけど、結構俺は好き。

 

 

 

 続きまして、飯田君の部屋。

 

「おかしなものなど何もないぞ!」

 

「難しそうな本がズラッと……」

 

「ほへー……何あの参考書。鈍器じゃん」

 

「難しくないの?」

 

「分かりやすくまとめられているものが多いな。いくつか貸そうか?」

 

「今度貸して」

 

 にしても縦線横線が多い部屋だなァ……って、おや? 

 

「眼鏡クソある!! あははは!!」

 

「何がおかしい! 激しい訓練での破損を想定して準備をしているんだ!!」

 

 少し黒っぽい色のケースに入れているのは空気に触れてレンズが劣化しないようにするための対策らしい。そんなものがあるんだね。

 

 

 

 次は上鳴君の部屋だ。

 

 おお……ガチャガチャしてる感じ、ちょっとワクワクする。こう……ジャンクショップとかに来た時とかに感じるあのワクワク感というか何というか……

 

「チャラい!!」

 

 芦戸さん? 

 

「手当たり次第って感じだねー」

 

 葉隠さん? 

 

「多趣味というよりもとりあえずやったり話題に上がったもの全部買ったって感じ」

 

「もうちょっと手心ってのをだな……!!」

 

 皆辛辣過ぎない? このワクワク感、結構好きなんだけど。

 

 

 

 ジャンクショップ上鳴を越えて、口田君の部屋へ。

 

「ウサギいるー! 可愛いー!!」

 

「ペット禁止じゃないもんね、ここ」

 

「実家にいた子なんだけど、連れて来ちゃった」

 

「ペットはズリィよ口田ー。あざといわぁ」

 

「わー、可愛い!」

 

「ウサギってやっぱりニンジンとかが好きなのかね」

 

 あ、専用の餌があるんだ? というかこのウサギ、これ以上大きくは────ならない? そっか。それならいいんだ……魔境山のウサギは五メートル級がいるからな……!! ドンラビットと呼ばれてるそいつが強いのなんの……

 

 

 

 次は四階……なんだけど、ここで男子の皆さんから不満の声が。

 

「釈然としねえ」

 

「ああ……奇遇だね。俺も釈然としない」

 

「そうだな」

 

「僕も☆」

 

「アーマードコアやりてぇ」

 

「パルス縛りやる?」

 

「やるか」

 

「パルミサは?」

 

「「アリで」」

 

「男子だけが言われっぱなしってのは変だよなぁ? 『大会』、なんだから女子の部屋も見て決めるべきだよなあ……!? 誰がクラス一のインテリアセンスか全員で決めるべきじゃねぇのかァ!?!?」

 

 ああ、そういう感じ? 男子の部屋見たら女子の部屋も、か。……おや? となると響ちゃんの部屋も見ることに? ………………………………………………まぁ、いいんじゃないかな! 

 

 ちなみに爆豪君は先に眠りました。早いね。

 

 

 

 では切島君のお部屋へ。

 

「どーでもいいけど多分女子には分からねぇよ……この男らしさは!!」

 

 ……おー、凄い熱血なお部屋だ。あ、大漁旗だ! しかも結構昔のプレミア付いてるやつ! 

 

「おー! 熱いね! 暑苦しいね!」

 

「切島、サンドバッグどこの使ってる?」

 

「そこら辺はこだわってねえんだよなぁ」

 

 そうなんだ。人ちゃんは結構吟味してるよね。というか石材買ってたよね? セメントス先生が保管してるやつ。

 にしても……ちょっと眠るのが大変そうな部屋な感じはしなくもない。安眠できる? 大丈夫? 

 

 

 

 次は障子君の部屋だ。

 

「何も面白いものはないぞ」

 

「面白いものどころか!!」

 

「最低限オブ最低限!!」

 

 何もないミニマリストな部屋だ。

 机、座布団、布団、クーラー、カーテン。初期部屋である。初期機体も磨けば最強だから。

 

「あれ、この写真……」

 

 ふと、緑谷君が机の上に置いてあった写真立てに飾られていた写真に気付いた。

 

「ああ、それか」

 

「障子君に……もしかして、小さい頃の多々良君、耳郎さん、心操君!?」

 

「わー! ちっちゃい!」

 

 お、懐かしいや。あの時障子君と一緒に撮った写真だ。障子君を中心にして、俺、響ちゃん、人ちゃん、そして障子君の幼馴染の女の子と撮った写真……ちゃんと残してくれてたんだ。

 

「それ以外には何もないな」

 

「ミニマリストだったのか障子」

 

「まぁ幼い頃からあまり物欲がなかったからな」

 

「こういうのに限ってドスケベなんだぜ」

 

((ドスケベなのは障子よりも……うん))

 

 人ちゃんと響ちゃんが微妙なお顔をしていらっしゃる。

 

 

 

 続きまして五階、男子の部屋がある最後のフロアであります。トップバッターは瀬呂君。

 

「おお~! エイジアーン!!」

 

「ステキー!」

 

「瀬呂ってこういうのこだわるやつだったんだ」

 

「へっへっへ。ギャップの男、瀬呂君よ!」

 

 ほへー、アジアン風の家具が綺麗に整えられてる……ファンタジーライフで再現できないかな……いけそうかな? 行けるかな? ダルスモルスに籠る日々が始まりそうだ。

 

 

 

 で、お次は轟君の部屋────とんでもないことになってた。

 

「和室!?」

 

「造りが違くねぇか!?」

 

「実家が日本家屋だからよ。フローリングは落ち着かねぇ」

 

 和室だ。駆世組の事務所兼社員寮兼実家と同じ和室だ。

 

「当日即リフォームってどうやったんだお前!?」

 

「頑張った」

 

「何だこいつ!?」

 

 衝撃的な部屋だったなァ……

 

 

 

 さてさて、そんなこんなでやってきました俺の部屋。

 

「多々良君の部屋かぁ……」

 

「想像できない!」

 

「ケロ、意外と奇をてらう部屋かもしれないわね」

 

 そこまで面白いものは無いと思うけどねぇ。そう思いながらも、ドアを開けて皆を迎える。……不味い、睡魔がやって来たぞ……!! 

 睡魔に耐えながら迎え入れた部屋にあるのは、ゲーム用のモニターとゲーム機が置かれたテーブル、セミダブルサイズのベッド、武器の手入れ用具が入っている少し大きめの箱くらいだ。……あ、でも今はあれが置いてあるのか。

 

「この……武器は……!?」

 

 それを見て戦慄を隠せない声を上げたのは、飯田君である。まぁ、当然か。だって、その刀と短剣達は────飯田君が戦ったというヒーロー殺しステインの武器達だったのだから。

 

「あ、それね。公安から修繕しろって言われたんだ」

 

「なぜ公安?」

 

「さぁ? まぁ、でも……公安に武器として渡すつもりないけどねぇ、これ」

 

 ボロボロになりすぎて打ち直すしかないそれらの刀身を、撫でるように触れる。たくさんの人の血を短期間で吸い上げたからなのか、この刀達は俺の武器みたいに意志を持ち始めようとしていたのだ。公安的には俺が武器を打ち直すことでステインみたいな能力を持っている武器を手に入れようと思ってるんだろうが、そうはいかんよ。

 

「この子達はもう人を傷付けたくないって泣いてた。全部一旦溶かしてアクセサリーにでもしてやるさ」

 

「それは……大丈夫なの?」

 

「相澤先生からやれとのお達しが来てるんだよね。根津校長先生からも許可貰ってます」

 

 武器が誰も傷付けたくないと願うのなら、俺はそうするための形に作り直してあげるのがその武器に対する礼儀だと思ってます。残念だったな公安。お前達の好きにはさせんよ。

 

「世界にはナイフで作った天使の像なんかもあるし、戒めの象徴にしようじゃないか」

 

「色々考えてるんだな…………っと、そういえば多々良、包丁とかも手入れできんの?」

 

「? うん。砥石はたくさんあるし」

 

「悪い、今度教えてくんねぇ? 実家から持ってきたはいいけどちょっと切れ味が悪くてさ」

 

「いいよー。あ、でも今日はごめん、俺風呂入って寝るよ。めっちゃ眠い」

 

 そんな言い訳をしたためて、俺は部屋披露大会から一足先に離脱する。風呂! 風呂だ! 三時間は入って寝るぞ!!

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