手綱を握れ!人ちゃん&響ちゃん!   作:エヴォルヴ

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卵の特売は特に逃すなというのが私の持論です。


特売は逃してはならぬ

 個性把握テストとな。

 グランドに集合した俺達に課せられた最初の受難は個性把握テストなるものであった。入学式とかガイダンスはすっ飛ばしていくスタイル、嫌いじゃないしむしろ好きよ。

 んー、それにしても懐かしい響きですね、個性把握テスト。イレイザーヘッドが俺の家に来てくれて、個性が制御できるようになって、どれだけ動けるようになったのかとかを調べるためにやったなぁ。

 

「そうだな……そこの三馬鹿主席────は合理的じゃないか。爆豪、中学の時ソフトボール投げ何mだった」

 

「67m」

 

「じゃあ個性使って投げてみろ」

 

 む、睨んできたけど何もしてこない。もしかして変な所でみみっちい性格していらっしゃいますか、あの爆発バチンウニこと爆豪勝己君は。まぁ、そんな性格であったとしても、ヒーローを目指しているわけだからある程度の精神性が────

 

「死ねぇ!!!」

 

 うーん、これはヴィラン予備軍の可能性がありますがどうでしょう。まぁ、死ねはゲームやってるとたまに言っちゃうし、やんちゃな子ってことで。

 

「人ちゃん、響ちゃん」

 

「ああ。これは、あれだな?」

 

「間違いなくあれだよね」

 

「察しがいいな、三馬鹿。トータル成績最下位の者は見込みなしとして除籍処分としよう」

 

「「「はああああ!!?」」」

 

「「「知 っ て た」」」

 

 相澤先生ことイレイザーヘッドは俺達に限界突破せよとおっしゃっている。限界突破していかないと、この先の受難に立ち向かうことはできないと。個性が使えずとも、自分の限界の先を目指し、到達したらさらにその先に向かえと言っているのだ。

 

「Pulls Ultraの精神で行け。ようこそ、雄英へ」

 

 よーし、頑張っちゃうぞー。

 

 

 

 

 ────────────────────────────────────────────────

 

 

 

 

【第一種目50m走】

 

 

「多々良、5秒ジャスト」

 

「うーん、感度上げたらワンチャンもっと行けたかも」

 

「感度を上げるって何だよ」

 

「これをな、ぶっ刺すとな、感度4000倍になるんだ」

 

「感度アップ……!?」

 

「なんだそのよくあるエロ本のネタみたいなやつ!?」

 

 酷くない? 

 あ、人ちゃんも同じくらいだったよ。響ちゃんは4秒15だったと思う。音の壁にわざとぶつかってぶっ飛ぶという荒業を見せてもらいました。器用なことするよね。最速は飯田天哉君。あのマフラー、引き抜いたらまた新しいマフラーが生えてくるのかな。

 

 

 

 

【第二種目握力】

 

 

「ふんぬらば」

 

「70㎏!?」

 

「その細腕で!?」

 

「まぁ、個性の性質上握力は大事だからね。それよりも障子君、凄いねぇ!」

 

「540㎏……ゴリラか!? いや、タコ!?」

 

「タコってエロいよね」

 

「タコって市販のやつ大体メスじゃなかった?」

 

「百合ってことか……!?」

 

 頭が回るな、この紫色のボールみたいな髪型の峰田実君。個性を聞いてみたところ、『もぎもぎ』なる頭のボールだそうで、それに触れたものをくっつけるんだって。その粘着性は凄まじいもので、くっついたら峰田君にしか取れないそうだ。強くない? 

 

 

 

 

【第三種目立ち幅跳び】

 

 

「せーのっ!」

 

「どっから取り出したその薙刀!?」

 

「普通に腹から……」

 

「「「どこが普通だ!?」」」

 

 わぁい、20mだぁ。俺の作った薙刀の能力ありきだけど。能力はバネ。地面に叩き付けると凄まじい力で反発して高く飛べるってやつ。響ちゃんは音の壁を踏んで30m。人ちゃんは4m。うむ、三人共全然伸びてるね! 

 

 

 

【第四種目反復横跳び】

 

 

 峰田君凄いや。

 

 

 

【第五種目 ソフトボール投げ】

 

 

「槍を持ちまして……なんちゃってオマージュ超必殺ファンクション! 行ってこい、ダボ戦のグングニルゥウウウ!!!」

 

「グングニル……!?」

 

「なぜあれをやろうと思ったのか」

 

「マジでやれるんだあれ」

 

「完全再現は無理だったよ……」

 

「スルトとかみたいな神話はできるのにか。というかあれをやれたらお前は神話の人間だよ」

 

「オールマイト……」

 

「確かに画風が違うが」

 

 いやはや、やっぱりサブカルチャーは神じゃないか? 麗日お茶子さんが最強だったよ。無限ですって、無限。

 

「緑谷くんはこのままだとマズいぞ……?」

 

「制御できてないから使ってないとか? ほら、よくあるじゃん。個性事故でその人自身が大怪我したーってやつ」

 

「む……! 確かにその線はあるな。あのパワーでは使う機会が少ないだろう」

 

「アァ!? デクは無個性の雑魚だぞ!!」

 

「本当? 溜めとくタイプの個性とかだと使おうにも使えないってこともあるよ? こう……怒りとかそういう感情を力に変換してストックする……みたいな感じの」

 

 食べ物を食べて脂肪を溜め込んでパワーアップするような個性があったりするし、緑谷君もそのタイプなんじゃないのかな、と俺なりの見解を話すと、爆豪君は舌打ちを一つして黙ってしまった。

 しかしそうなってくると緑谷君は凄いな。個性が使えない状態であの試験をクリアしたとすれば、人ちゃんより劣るとはいえ、結構鍛えてるでしょ。力を溜める系は自分の力に耐えられるようになるまで発現していても使えない、使えても怪我をするってことが多いと聞く。俺は独特の暴走を起こしたけどね。

 

「46m」

 

「────今、確かに使おうと……!?」

 

「つくづくあの入試は合理的じゃない……お前みたいな無鉄砲すぎるやつも入学できちまう」

 

 むむ……相澤先生が個性を使ったってことは、それほど制御の仕方が覚束ないんだろうな。俺の考察、結構当たっているのでは? 何らかの感情を一定以上の量蓄積すると発動する個性。そんな感じ。例えば、怒りは力だ。奮い立たせる、強い感情で……心を歪めてしまうかもしれない諸刃の剣だ。怒りのままに力を振るえば、個性っていうのはそれに応えてしまう。怒りの中にも、優しさがあれば、個性は応えてくれる。俺の武器達だって、守るために呼べば、守るための力をくれる。殺すために呼べば……殺すための力をくれる。多分緑谷君もそういう個性なんだ。怖いよね、そう思うとさ。

 その蓄積された力を放つのだから、下手気に使えば暴発して大怪我待ったなしなんだろう。相澤先生が担任になって本当に良かった。個人指導とか沢山してもらえるよ、きっと。

 

「おい、大丈夫か」

 

「ん? うん、大丈夫。────お、凄い勢いで飛んで行った! ははは! 凄いなぁ!」

 

「指、腫れ上がってるけどね。制御しにくいのかな」

 

 記録は700m超え。オールマイトみたいな超パワー的な感じなのかな。

 

「どーいうことだコラ!! ワケを言えデクてめぇ!!」

 

「あ、爆豪君、それは止めた方が────」

 

「何度も個性を使わせるな……俺はドライアイなんだ……!」

 

 ああ、ほら、捕まった……あれ装備した相澤先生との裏山鬼ごっことか地獄みたいな訓練だったな……今となってはいい経験────いや、いい経験だったか? 本当にそうか? 一週間のキャンプ生活は本当にいい思い出だったか? ……いい思い出だったと思おうかな!! 不可抗力だけど響ちゃんの裸見ちゃったし! マジの不可抗力だから! 鋏みたいな武器が出来たと思ったらあんな効果持ちだとは思わなかったんだよ、ごめんて響ちゃん! 

 

「どうしよう、壱が何を思い出してるのか手に取るように分かる」

 

「これが、愛……!?」

 

「はいはい、ちゃんと授業受けな。シバくよ」

 

「大歓迎♡」

 

「全く……」

 

 響ちゃんのお叱りならいつでも大歓迎だよ♡

 

「あ、ところで響ちゃん、今度の土曜日暇? ちょっとデートに行かない?」

 

「それ、人使もいるでしょ」

 

「正解。でも使い方は合ってるでしょ?」

 

「多分。……まぁ、いいけどさ」

 

「多々良くん! 真面目に授業は受けた方がいいぞ! それと不純異性交遊は避けるべきだ!」

 

「ああ、いいんだよ飯田。あれは壱が甘えてるだけだから」

 

「そうなのか!?」

 

「まぁ、普通に人見知りする子だったしね、壱って。いっつもウチらの後ろを追いかけてたよ」

 

「「「これが!?」」」

 

「これってなんだ?」

 

 

 

 

【第六種目上体起こし】

 

 

 うーん、平均よりも多いくらい。

 

「そういや壱、お前、シャンプー合ってるか?」

 

「んー、ちょっと最近ギシギシするかも?」

 

「あれ、俺用だからなぁ……買いに行くか」

 

「ん、だね」

 

 確か商店街の外れにドラッグストアあったはずだし、そこで買い物だ。

 

 

 

【第七種目長座体前屈】

 

 

 柔軟は基本です。

 

 

 

【第八種目持久走】

 

 

「「「うおおおおおおおおおおおお!!!?」」」

 

「速いな!?」

 

「多々良の暴走に追いつくためにあの二人も鍛えてるからな」

 

「詳しいんだね、障子君」

 

「まあ、色々あったからな……」

 

 得意分野だよ、得意分野。走りまくるのなんて、いつもやっていることだしね。走り込みは体力を身に着ける最適な運動だと俺は思っている。というか八百万百さん、バイクって持久走で使っていいの? 

 

 

 

 

 

 

 ……うん! 終わり! 疲れてはいないけど疲れた!! 

 

「ちなみに除籍は嘘な。君らの最大限を引き出すための合理的虚偽」

 

「「「嘘吐けぇ!!」」」

 

「除籍がお望みか?」

 

「「「ノー・サー!!」」」

 

 まさかの言論統制。でも見込みナシなら絶対に除籍処分にしてましたよね、相澤先生。マジでやる時はやるからなこの人。俺も響ちゃんも人ちゃんも、あの人にたくさん扱かれたから分かるんだ……あれはやると言ったらやる人だ……!! 山に置き去りにしようとしたのは忘れてないですからね、相澤先生……!! 

 

「んじゃ、校舎に戻れ。カリキュラムの説明を行う」

 

 うーむ、教科書はどれくらいの量をいただくことになるのやら。あんまりにも多いなら持ち運ぶのが苦になりそうだ。

 

「それと、多々良、心操、耳郎」

 

「「「はい?」」」

 

「親御さんから伝えられてるだろうが、シェアハウスの件で色々提出してもらう書類がある。あとで職員室に来い」

 

「「「分かりました!」」」

 

(((シェアハウス!?)))

 

 そっかぁ、色々手続きとかがあるんだろうな、両親と自分どっちも確認しないといけない書類なんかもあるだろうから、それ関連だろう。入学前にハウンドドッグ先生とブラドキング先生の家庭訪問があったのが凄く衝撃的だったけどね。

 

 

 

 

 

 

 

 そうして色々カリキュラムの説明なんかも終わって放課後。職員室から戻った俺達を待っていたのはクラスメイト達の質問攻めであった。

 

「本当に三人で住んでるの!?」

 

「「じゃないと壱が心配過ぎる」」

 

「やだ、俺の幼馴染ってば心配性。でもそこが素敵♡」

 

「こいつ、過去一公衆の面前で発情顔晒してねぇか?」

 

「人使、違うんだよ。ウチらって学校だと昼休みと放課後しか一緒にいないから」

 

「見落としていた可能性がある……!!?」

 

「いや、二人がいないとやらないよ?」

 

「「だったらもっと控えろ変態」」

 

「蔑むような視線も素敵だね♡」

 

「「無敵かこいつ」」

 

 なんか男子が苦悶の表情で頭を抱えてるけど、別に問題ないだろ。脳破壊とか興味無いし。勝手に壊れててどうぞ。

 

「ケロ、独特な子なのね、多々良ちゃん」

 

「梅雨ちゃん表現はもっと辛辣にしていいよ。そこに興奮するのが壱だから」

 

「いや、言葉責めは響ちゃんと人ちゃんにしか反応しないけど」(真顔)

 

 あふん♡。響ちゃんの細くて綺麗なおみ足によるローキックと人ちゃんの拳骨が突き刺さった。刺激的な愛だね♡! 二人の愛を感じられるなら何でも大歓迎だぜ……! 

 

「で、シェアハウスしてるのはマジだよ。その方が近いし」

 

「女の子一人と男の子二人で!?」

 

「こいつらにウチを襲う悪性は無い」

 

 おお、中々の高評価。まぁ、十何年も一緒にいるし、響ちゃんに嫌われたくないしやらないよ、そんなことは。だから呪詛のような目を向けるのは止めてよ峰田君。確かに響ちゃんは凄く素敵な女の子だけど。

 

「どこに住んでるんだ?」

 

「ここから歩いて一時間弱のここ」

 

「あれ、ここって確か血みどろカルトの……」

 

「超安かった」

 

 大家さんが泣きながらお礼を言ってくるくらいには、手を付ける人がいない場所だったみたい。

 

「ところで多々良、お前が使っていたあの武器は何だ?」

 

「俺の個性で作ってる武器だよ、常闇君。あ、俺の個性は『武器鍛造』ね! 鉄分、カルシウム、ビタミン、食物繊維から武器を作るんだ。まぁ、武器がどんな姿で生まれてくるかは決められないんだけどね」

 

「作成者なのにか?」

 

「うん。俺は武器にとっては親なんだけど、俺の個性で生まれる武器は皆少なからず意志を持つ。こう生まれたい、こうなりたいって願って生まれてくるんだ」

 

 望んだ姿で生まれてこれるように、俺はその手助けをするだけ。形を変えるなんてとんでもない。武器がそうありたいと願うのなら、俺はそうあれかしと願って金槌を振るうのだ! 

 

「そうして生まれてくるのが障子君が知ってるような黒剣の亡骸(コープスオブスルト)だったり、幅跳びの時に見せた跳躍丸だったりなんだ」

 

「個性で、武器の形をしている個性を生み出している……ということでしょうか?」

 

「さぁ? ただ、俺の武器は皆、俺に力を貸してくれる。それで十分じゃない?」

 

 まぁ、結構なじゃじゃ馬な子もいるんだけどね、俺の武器。薔薇陸奥とか、淫語刀とか、感度上昇系とか……八割方そういう変な方向に飛び抜けた武器が多いんだけどね。武器だって人を傷付けるためにだけ生まれたくないってことなんだと思っている。

 

「あ、そろそろ特売始まるから帰るね! 内臓(モツ)類の安売りなんだ!」

 

「キャベツも忘れるな。今日はもつ鍋だ」

 

「洗剤類も買わなきゃ……壱、あんたウチのシャンプー使ってみる? 艶はあるけど指通り悪いし」

 

「使うー!」

 

 こういう学校帰りの買い物っていうのも楽しいものだ。ネットでも買えるんだけど、遅い時間に帰ってきたりすると時間指定できなかったりするし、まだ学生だし。仕送りでやりくりできるようにしてかなくちゃ。

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