Lostbelt No2 悠久延焼世界 ゲッテルデメルング  消えない焔と巨人の絆   作:焔の隣人

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成長し、育む悲劇

「スルト」

 

『何だ』

 

 

 スルトと出会ってから、もう四回くらい冬が終わった気がする。

 

 

「にひひ」

 

『……何を笑っている、気味が悪い』

 

「ひどい」

 

 

 スルトのおかげで、こっちは毎日がとっても楽しいのに。

 

 

『……ほら、奴らが来たぞ』

 

「ん」

 

 

 おじさんが、やって来た。

 

 

「ニッキー」

 

「はい、どうかしたんですか。おじさん」

 

「どうしたも何も、魔術訓練の時間だ。さっさと来なさい」

 

「はい」

 

『……』

 

 

 おじさんは厳しい。

 どうやら、おれが一族の魔術を受け継ぐにふさわしいとか、何とか。

 こくいんを受け継ぐのにまだまだ未熟だって怒鳴ってた。

 

 

『……大丈夫か』

 

 

 ? おれは大丈夫。

 スルトがいる。

 

 

『そういう、ことではない』

 

 

 ……?

 

 

『……まぁ、良い』

 

『だが、辛くなったら正直に言え』

 

 

 言ったら、どうなるの。

 

 

『奴らをこの家ごと燃やす』

 

 

 それはダメ。

 お父様達が悲しむ。

 

 

『ぐぬ……』

 

 

 でも、ありがと。

 

 

『……礼は要らん。俺にとってこいつらが不快なだけだ』

 

 

 それでも、ありがとう。

 

 

『……』

 

 

 あ、だまった。

 こいつ、こういう時何もしゃべらなくなる、ずるいやり方。

 

 

「……何をニヤニヤとしている」

 

「いえ、何でもありません」

 

「チッ……こんなガキとは言え我が家の……ただでさえ忌々しいあいつのガキだと言うのに』

 

「……」

 

 

 おじさん、イライラしてる。

 おれに関わる時は、大体こんな感じ、怒りっぽいから髪の毛なくなったのかな。

 おばさんは、おれよりお父様達に怒ってる。

 どっちもそっくり。

 

 

「そこに立ちなさい」

 

「……? これは?」

 

 

 変な祭壇みたいなの、なんかすっごく禍々しい感じがする。

 

 

「お前が気にすることじゃない、必要な儀式だ。……さっさと立ちなさい」

 

「はい」

 

 

 いつもと、違う。

 何か、怖い。

 

 

「……ふん、よりにもよって……」

 

『……』

 

「まあいい、これも根源に……深みに至るが為だ」

 

「……■■■■■(フングルイ) ■■■■■■(ムグルウナフ) ■■■■■(■■■■■) ■■■■■■(ホマルハウト) ■■■(ウガア)=■■■(グアア) ■■■(ナフル) ■■■(タグン)! ■■(イア)! ■■■■■(■■■■■)!」

 

「? なんて……?」

 

『……っ!?』

 

 

 祭壇が、揺れて……。

 わっ。

 

 

『小僧!』

 

「   !?」

 

「……あれ?」

 

 

 何ともない。

 何が起こったんだろう、眩しいだけ?

 

 

「……あれ?」

 

 

 静か。

 

 

「おじさん?」

 

 

 いない、どこだろ。

 

 

「……血?」

 

 

 ……なんで、こんな所に?

 おじさんが、何かしらのしょくばいを用意してたのかな。

 

 

『   小僧、小僧!』

 

「わっ、どうかしたのか、スルト」

 

『どうしたも何もおまえ……! 奴は何をした!?』

 

「?」

 

『あんな醜悪な気配は、狡智の神(ロキ)からすら感じたことがない!』

 

『奴は、あの男は一体何を呼び込んだ!?』

 

「……わかん、ない……」

 

『……小僧?』

 

「……あつい……」

 

 

 体が、燃えてる?

 全然、大丈夫……じゃあ、なんだろ。

 

 

「っぅ……うぐぁ……」

 

『大丈夫か?』

 

「……ん、だい、じょう、ぶ」

 

 

 動く、うん。

 全身が痛いけど、動くなら問題、無し。

 

 

『……アレの所為か?』

 

「?」

 

『小僧、今すぐこの部屋から去れ』

 

『……得体の知れぬモノと、繋がった場所なぞ、早々に立ち去っておけ』

 

 

 ……。

 

 

『……小僧?』

 

「……」

 

『……どうした?』

 

「……ん、何でも、ない……ちょっと、ぼーっと、してた   」

 

 

 ぁ、痛い。

 

 

「あ、うぐうぁ……!!!」

 

『おい、しっかり気を……っ!?』

 

『これは、どういう……』

 

 

 何かが、焼けるおと。

 おれのせなか、からきこえて……いたい、いたいいたいいたい。

 

 

「う、う……ぐぁ……っ!」

 

『……ぬ、これはまさか……!?』

 

『気を強く保て小僧、さもなくば』

 

 

 するとが、なにかいってる。

 じゅうじゅういってて、いたくて、りかいできない。

 

 

「   ぁ」

 

『小僧!』

 

 

 頭の中から、ぷつんって、音がした。

 

 

 


 

 

 

「……ぁ、えうあ」

 

『貴様、何者だ……!』

 

「……ひさま、は……この地の、ものか」

 

『……質問に答えろ』

 

「われ、そとなる、もの。外側から、この地に降臨せし、もの」

 

『外なる……ありえん!』

 

「何がだ」

 

『ただのニンゲンごときに、世界の外側に潜む異形の神性を呼び込める筈がないだろう!』

 

「だが、とある人間、が、我らを、呼び当てた」

 

『何……?』

 

「そして……奴が、こちらにいる」

 

『奴、だと?』

 

「我、と、関係のある、外の神」

 

「……この世界線、では、ない?」

 

「……おまえ、から、因果を、感じる」

 

『……何?』

 

「おまえを、知るもの、が……我と、関係のある神を、呼び出している」

 

「我は、それに呼応した、のみ」

 

『!? ……まさか……!』

 

 

 ……オフェリア? いや、違う。

 ならば、カルデアか……!

 

 

『厄介なものを呼び込んでくれたな……!』

 

「ん、違う。我、呼んだのは、おまえ」

 

『……!』

 

「……おまえと、異世界の奴が、楔。我が喰らったものが、道。そしてこの、純粋なるものが、器」

 

『……ッ! 貴様……!』

 

「……とは、言え」

 

「我、生命の終わりを願うもの。あらゆるものを喰らうもの」

 

「……おまえ、我と似ている」

 

『何だと……!』

 

「おまえも、終わりをもたらすもの。なにかを、喰らうもの」

 

「珍しく、きょうが乗った」

 

『何を、するつもりだ!』

 

「奴(・)と(・)同(・)じ(・)こ(・)と(・)を(・)す(・)る(・)」

 

「この器に、我の力、与える」

 

『そんなことをただのニンゲンに行えば、身が持たんぞ!」

 

「否、この器、我の降臨に耐えられるもの」

 

「つまり、我の力にも、耐えられる」

 

「……我(・)の(・)剣(・)となれ、器よ」




フォーリナーが顕現するようになった正史のカルデアから認識されているスルトの断片が薄い触媒に、おじさんが贄兼呼び出す道に、純粋かつ異世界のスルトなんてものを抱え込める主人公が器となって、って感じです。
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