弦巻こころのバースデークエスト   作:黒マメファナ

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弦巻こころのBirthday Quest Ⅱ

 まりなの居るライブハウス「CiRCLE」でたくさんライブをするようになったきっかけは、確か香澄たちポピパに頼まれたからだったかしら。

 そこで色々なバンドの子と出会えた。だからあたしにとっても「CiRCLE」は特別な場所でもあった。

 今ではガールズバンドの聖地のような扱いになっていて、二号店もオープンして、あの頃よりもすごくすごく大きくなった。

 

「けれどここは全然、変わらないわね!」

「あはは……そうだね、CiRCLEにはCiRCLEの味があるからね」

「そうね、あたしはRiNGもCiRCLEも好きよ!」

 

 あたしがまりなと話をしていると、そこにモカと紗夜が入ってきた。ちょっと前にハピハピ島に行ったばかりだからか、それともギタリスト同士で何か共感できることがあるのか二人は前よりも打ち解けているように感じる。

 二人ともあたしに気付いて声を掛けてくれる。モカはふにゃりとした笑顔で、紗夜はやや慣れないような笑顔で。

 

「こんにちは」

「お~、こころ~ん」

「モカに紗夜、今日は二人で練習かしら?」

「はい、青葉さんとの練習は刺激になるので」

「あたしも~」

 

 紗夜が所属する「Roselia」はプロになってから色んなところでライブをしていて、ずっと忙しそうだけれど、ちょっと落ち着いているみたい。逆にモカが所属している「Afterglow」は活動休止中だからこうして一人で、もしくは誰かと練習していることが多い。

 

「そーだ、今日って誕生日なんだっけ~」

「そうだったのですか、おめでとうございます……生憎何も用意していませんが」

「ふふ、おめでとうと言ってくれるだけで嬉しいわ!」

「おめでと~、パンいる~?」

「ありがとう、もらうわ!」

 

 モカからパンを受け取り、その場で別れた。外のテラスで食べようかしらと席を探すと今度はこっちこっちと声を掛けられた。

 素直に、珍しいと思ってしまった。日菜がここにいることが、ではなくて紗夜と日菜が両方オフでどちらかとしかいない、ということが珍しいと。

 少しだけ涼し気だけれど、やっぱり暑いテラスには日菜のほかにもリサもいて、やっほーと笑顔でフランクな挨拶をしてくれる。

 

「あはは、あたしは突発的にオフになっちゃったからね、モカちゃんとの予定は前から決まってることだったし」

「そうなのね」

「それでアタシに突然電話してきて、暇だったら遊ぼうって」

「暇だろう、っておねーちゃんも言ってたし」

「紗夜め……」

「そうそう、さっき蘭ちゃんに会ってさ、バイトで忙しそうだったけどこころちゃんの誕生日だよーって言ったらおめでとうって言っておいてください、って」

「蘭には最近会ってないわね」

 

 蘭はやっぱり忙しいのだろう。他の「Afterglow」のメンバーとはこうして時折顔を合わせるけれど、蘭とはあんまり会えていなかった。

 けれどこうして、間接的にでもおめでとうという言葉を伝えてもらえると、なんだか上手くは言えない感覚だけれど「繋がっている」と思う、なんて──蘭が言っていたような表現になってしまったけれど。

 

「あたしも誕生日会行く予定だけど先に言っとくね、誕生日おめでと!」

「ありがとう日菜!」

「プレゼントはまた夜にね!」

「ええ!」

「アタシはちょっと行けそうにないケド、友希那と二人分で用意してるから」

「毎年ありがとうリサ!」

 

 どーいたしまして~と目を細めてリサは笑う。リサは本当にあたしが気づきもしないような細かいことにまで気が回るし、はぐみと美咲が「女子力が凄い」って言っていたようにマメで知り合ったばかりのあたしにも誕生日プレゼントをくれて、そういったものにあまり関心のない友希那と一緒にお祝いをしてくれる。

 日菜は日菜で同じ天文部という繋がりがあったから仲良くなって、ハロハピとはまた違う特別な友達だわ。

 

「相変わらずこころちゃんはピッカピカの太陽スマイルだねぇ」

「確かに☆」

「そう? 二人の笑顔もまるで太陽みたいで素敵だわ!」

 

 日菜はピカピカしていて、リサは陽だまりのように柔らかくて、あたしはどっちの笑顔もとっても素敵で大好きよ。

 パンを食べ終わるまでに少しだけおしゃべりをして、日差しがさらに強くなる前に解散した。

 

「今度はそうね、日菜やリサともハピハピ島に行きたいわ!」

 

 きっとハロハピみんなで行った時と、モカと紗夜、ましろと透子と行った時、イヴや有咲たち花咲川の同級生で行った海とも違う楽しいが見つかるだろう。

 日が暮れるまで遊んで、日が暮れたら星を見たりバーベキューをしたり、そうして過ごしていく中であたしの知らない二人が見られることもまた、笑顔になれる。

 ──お腹が減ってきたから、お昼ご飯を食べなくちゃ。一旦家に帰ろうか、それとも──そこまで考えていいアイデアが浮かんできた。

 いつの間にか沢山の人から「おめでとう」をもらう道のりになっているあたしの冒険の次の目的地は、ハロハピのみんながいたからこそ知ることが出来たあそこにしましょう。

 気ままに浮かんだメロディを鼻歌に乗せて、あたしの足は次の目的地へ向かっていく。

 

 

 

 

 




千聖、つぐみ、ひまり
モカ、紗夜、日菜、リサ、蘭

次は誰だ
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