ライザ&カズマのアトリエ この素晴らしい世界と秘密の錬金術士   作:アトリエはいいぞ

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第11話 別の転生者

「ライザさん、これって使えるのか?」

 

「使えるよ。ナナシ草の代わりになると思う。トーンはこっちにも生えてるしうにもあるから爆粉うにはこっちの材料で作れそうだね」

 

「なるほど……!」

 

「ねーライザ!買取り依頼来てるんですけど~!」

 

「はーい、今行きまーす!」

 

「おかしいです。今頃私は華麗に爆裂魔法をモンスターにはなっているはずなのに……!」

 

「まあまあ、カズマが熱中しているのだ。宿代に関してもライザからの給金でまかなえている。消化不良なのは否めないが……」

 

 ライザとフィーのアトリエ、お店兼工房兼この世界における自宅であたしとフィー、カズマはメモ用紙に見たことない言葉を書きながら、素材を穴が開くように観察してる。

 

 さて、カズマの装備更新からはや1週間近くが経とうとしていた。カズマはあたしの弟子にならない?という誘いにいいのか!?とかなり驚きながらも二つ返事で受けてくれた。問題なのは、フィーのこととあたしが帰るまでの時間にどれだけ教えてあげられるかなんだけど……。

 

 もうしょうがないので異界の天球儀にこの世界の場所を記録させて向こうから風あとと秘密の鍵を利用してアトリエをつなげることにした。カズマが独り立ちできるまでの間だけ、そういう風にアクアに話すといいんじゃない?と返ってきたから拍子抜けしちゃった。

 

「私、魔王倒したいのよ。ここも悪くないけど天界に帰りたいし。あの元ヒキニートが錬金術覚えて強くなってくれるなら目標に近づくじゃない?エリスは私が黙らすから安心して」

 

 とのこと。うーん、他力本願……まあ魔王討伐はカズマが果たさないとアクアは帰れないらしいからそういうことになっちゃうのかな?

 

「本日の爆裂散歩に行ってきます!」

 

「あー、今俺手が離せないから今日はダクネス頼むわ」

 

「ああ、わかった。すまないライザ、少し空ける」

 

「はいはーい、いってらっしゃい」

 

 ちりんちりんとドアベルを鳴らして出ていった二人を見送る。カズマ達が装備更新をして数日後に開店したあたしの錬金道具店なんだけど、初日からすごい大盛況で人手が全く足らなかったの。

 

 というのも、キャベツ狩りであたしはいろんな意味で目立っちゃったから、そのあたしが店を出すっていうのがギルド経由で広がっていてじゃあどんな店なのか冷やかしに行ってやろうっていう流れになったみたい。

 

 カズマはその流れを聞いて生ぬるい目で冒険者さんたちを見てたけど、その冒険者さんたちがあたしの作った道具。特にグラスビーンズと隠者の軟膏を気に入ってくれてうわさが広がりに広がって3日でパンクしちゃった。

 

 グラスビーンズは外傷に効き目は薄いけど内臓の軽い痛み、打ち身とかには即効の痛み止めになるし、隠者の軟膏は塗っちゃえばすぐ痛みは引いて傷もふさがりだす。回復魔法の即効性には勝てないけどポーションよりは持ち運びやすいからね。

 

 で、パンクしちゃったあたしが予想外の人気にあっぷあっぷしてると見かねたカズマが教わるのになにもしないんじゃ申し訳ないから手伝わせてくれってありがたい申し出をしてくれて、あたしとフィーのアトリエは大繁盛してるんだ。

 

 ただ、開ける日は隔日にしてるの。店を開けると錬金術どころじゃなくなっちゃうし。カズマの錬金術の練習もできないし。

 

 カズマは店が開く日は手伝いに来てくれて、簡単な調合をしつつレジなんかをやってくれてる。アクアは接客担当。フィーはマスコット。おかげであたしは細かい注文の調合を行うことができてる。カズマは器用で、駆け出しのころのあたしみたいにいろんな調合を試してるみたい。

 

 めぐみんとダクネスもお店を手伝ってくれてるんだけど、めぐみんは1日一回爆裂魔法を撃たないと体がボンッっと魔力で爆発してしまうらしいのでカズマかアクア、ダクネスがめぐみんをどこか広いところに連れて行って爆裂魔法を撃たせる通称爆裂散歩とやらをやってる。

 

 そんなこともあるんだなあ、と出ていくめぐみんとダクネスを見送って、あたしはぽいぽいぽい、とこの世界の草やらを錬金釜に投げ入れてぐるこんぐるこんと杖で中身をかき混ぜてゼッテルを完成させて、そこからさらにそこらへんで拾った石と石材の効果を付与した緑の中和剤を入れて、旅人の水珠を作る。

 

「いつ見ても不思議っつーか、自分でやるようになったからわかるっつーか……ライザ先生やばすぎんだろ。俺がやったら時間とか3倍かかるし品質も……」

 

「何当たり前のこと言ってるのよカズマ。あんたもわかってるだろうけどライザは天才よ。そこら辺の十把一絡げの錬金術師が10ダースまとめて勝負を挑んでも鼻歌歌って勝つわよ」

 

「そんなスゲー人の弟子になれるなんてついてるんだなあ俺……自分の幸運に感謝するわ」

 

「やめてよー、背中がかゆくなるんだからもう。もう、あたしはなんてことない錬金術士ですぅ~。ねえフィー?」

 

「フィ~」

 

「昨日釜を爆発させたそこのヒキニート、見限られないようにしなさいよ」

 

「うるせえな!すいませんでしたライザ先生!」

 

「あはは、全然怒ってないよ。あたしも失敗なんて沢山したからね」

 

 錬金釜が爆発するなんて日常茶飯事なんだから気にしない気にしなーいと直角に頭を下げるカズマを宥めてあたしは次にカズマに何を調合してもらうか考える、

 

 中和剤は大丈夫、そうすると次は爆粉うに……いや、むしろ食品系から攻めてみようか?アンペルさんはレシピを渡して後は完成品を見せに来いの繰り返しだったけどここじゃそれはちょっと通用しないんだよねえ。

 

 この世界とあたしの世界じゃ、取れる素材が違う。だからレシピに多少の修正が必要なの。あたしが作ったレシピでカズマが調合して……うーんそれじゃ錬金術士に一番必要な発想力の特訓にならなーい!むしろ、今からさせるべきなのかな?アンペルさんも悩んだのかな~?

 

 そう考えてるとちりんちりんとドアベルが鳴った。めぐみんたちが出て行ってお客さんも結構はけていてちょっとした小休止になっていた私たちはそこで3人と1匹そろってドアの方を向いてなごやか~にいらっしゃいませ~と声をかけた。

 

「こんにちは、ギルドから新しく錬金術のお店ができたっていうからみに、きた……アクアさま!?」

 

「え、知り合い?」

 

「知らないわよ。あ、でも持ってるのは神器ね。ていうことはあたしが送り出しただれかかしら?」

 

「あ、つまりは転生者か。つーことは日本人?」

 

「それを知っているってことは君もなのか!?」

 

 ほわー、転生者の人なんだ?へー、アクアってやっぱり女神様なんだね~。信じてないわけじゃなかったんだけどさ、そりゃもういつもがいつもだから……ぐーたらっていったらいいのかな?

 

「驚いたよ、まさかこんなところで同郷の人に出会えるだなんて。僕は御剣響也、クラスはソードマスターだ。君は?」

 

「俺は佐藤和真、クラスは冒険者、特典はそこの女神だ」

 

「あ、アクア様が特典!?そんなことしていいのか!?」

 

「通ったんだから連れてこれちまったんだよなあ」

 

「何よ、不満なのかしら?」

 

「いや?ライザさんに会わしてくれたっつー意味なら感謝しないこともない」

 

「素直じゃないわね~もっとド級の感謝とお布施をよこしてもいいのよ?シュワシュワ飲み放題でも許すわ!」

 

 軽妙なやり取りはまるで王都で見た漫談のようで、思わずクスリと笑ってしまうほどカズマとアクアは仲良く見える。普段はいっつもこうなのに喧嘩になると一方的にカズマがアクアを言い負かして泣かせちゃうもんだからこらーってしてるんだけどねえ。

 

「……その、女神様としてはそんな扱いでいいのですか?」

 

「いいか悪いかで言ったら悪いわよ。でもね、アンタが幸せだって感じることはあたしだって幸せに感じるのよ?アクシズ教の教義は今を楽しく生きることよ!なら別に、美味しい食べ物があってお酒があって自由に生きられる下界は悪くないの」

 

「そう、なんですか。アクア様がいいのでしたら僕は何も言いません。すいません、店主さん。訳の分からない話をしてしまって」

 

「あー大丈夫大丈夫。あたしも転生者の話知ってるし、ここから見たら異世界の人間だから。あたしライザリン・シュタウト!ライザって呼んでね。見ての通り錬金術士だよ」

 

「……異世界?」

 

「そう、異世界。カズマたちの世界は地球っていうんだっけ?あたしたちの世界はえーと……名前ないや。国で言うのならロテスヴァッサ王国!オーリムっていう世界の隣にある世界ね!」

 

「…………?????」

 

 なんかミツルギ君の目が混乱してぐるぐるしてきたので私はぽいぽいぽいと釜にルフトアトマイザー、ドクトルボトル、こっち産のキャベツ、ドンケルハイトを放り込んで静寂のミストを作り出し、それをしゅわーっとミツルギ君に向けて噴射した。

 

「なんでアンタはさらっと片手間で超一級の魔道具作って使ってるの!」

 

「なんか調子が悪いのかなって。怪我も病気も治る優れものだよ?」

 

「……過去一体の調子がいいんだけどなんなんだこれ……」

 

「あー、アクア曰くこの人多分この世界でも故郷でも超天才の錬金術士らしいんだよ」

 

「凄いんだな……アクア様がここに居るのってこの異世界から来たっていう人も関係してるんですか?」

 

「まあ、それもあるわ。だいたいエリスに投げてるけど。まあアンタ今客なんでしょ?良かったらなんか買って売り上げに貢献しなさいよ」

 

「あ、そうですね。分かりました」

 

 ミツルギ君はまあ、悪い人ではなさそう。アクアが沢山転生者を送り出して来たっていうからこういう風に旅先での出会いみたいなものもあったりするのかなー。

 

 いいなー面白いねえ。そういいながら私は棚の方に行ってしまうミツルギくんを観察する。フィーも興味が出たのかすいーっとミツルギ君に近づいていった。彼はフィーに驚いたらしいけどはたき落としたりはせずにそっと手の上に留まらせて商品を見ている。

 

「ライザ、あんた何見てるの?」

 

「ん?ミツルギくんの剣。あたしじゃさかさまになってもどう頑張ろうと作れそうにないなーって。カズマもわかるでしょ?品質の見方はおしえたよね」

 

「あ、ああ。ライザ先生と同じ見え方かどうかはわかんないけど……なんか理解の外側って感じだな」

 

「そうかな?私が見ると近いもののレシピは思いつくんだけど一味足りないっていうか、そこからさらに位を上げる方法があれば行けるんじゃないかなって思うんだけど……」

 

「あのねえ、あいつが持ってるのは特典、神が作った神器よ!その一味っていうのは間違いなく神の力!あんた神にでもなるつもりかしら!?」

 

「ありゃりゃ、それはいやだなあ。あたしの世界で神様なんて言われてるやつは碌なことしないんだから」

 

 神代の人たちといい古代の人たちといい神様っていうのにあんまり私はいい印象がない。アクアは別だよ?ミツルギくんが持ってる剣……ガワだけ再現するのは間違いなくいけるんだけど宿ってる力の再現は無理、かな。錬金術とは別機軸のちからだろうから私じゃどうやってもだめだね。

 

「すいません。これをもらえませんか?」

 

「はいはーい。えーと、たる型フラムが3つに、うに袋3つ、隠者の軟膏が3つね!端数切捨てで10万エリスになりまーす」

 

「うん、これで。いい買い物だったよ。ありがとう」

 

「……あ!そうだ!ねえミツルギくん!よかったらカズマに戦い方を教えてあげられないかな?私はほら、お店やってるから忙しくて。カズマもしっかり戦えるようになった方がいいんじゃない?カエルに飲み込まれるのはいやでしょ」

 

「僕が、彼を?僕は構わないけど……そっか、君はアクア様を連れてこれたけど、君自身に何か特別な力をもらえたわけじゃないんだったね」

 

 ぽん、と私が柏手を打って提案をする。私は結局錬金術士の戦い方しか教えてあげられないし、カズマは冒険者で単体で見れば私より多彩なことができる。この世界の戦い方はこの世界の先輩に教えてもらうのがいいんじゃないかな。

 

 カズマは錬金術の腕を磨くのは大事だけど、それと同じくらい冒険に出てもちゃんと生き残れるようにしなくちゃ。具体的には凸凹パーティのフォローを完璧に入れることができるくらいには。そうすれば、カズマはもっと活躍できるようになる。

 

「どうする?カズマ」

 

「そんじゃあ、頼むわ。折角だし俺もファンタジーに浸りたいしな」

 

「安心しなよ、君の状況は十分ファンタジーさ」

 

 そういってミツルギくんはカズマに手を差し出す。カズマもその手を握り返して、なぜかフィーがその上に乗ってひと鳴き。キョトンとしたフィーを見た私は思わず笑いがこみあげてしまうのだった。




 お久しぶりです。死ぬほど私生活が忙しかったので死んでました。次回投稿もわかんないです。この世界のミツルギはアクアへの扱いに関する怒りよりも困惑が襲い掛かってきて結果柔らかい対処になりました。ミツルギ君はいいやつなんです、しかたないね
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