ライザ&カズマのアトリエ この素晴らしい世界と秘密の錬金術士   作:アトリエはいいぞ

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第3話 アクセル

「アクセル……聞いたことないなあ~。ふーむ、どうしようかな」

 

「えっと、ライザ、さんはどうしてこんなところに?」

 

「えーっとね、詳しく説明するとややこしいんだけど、転移する道具の誤作動、なのかなあ?いまいちあたしもよくわかってなくて」

 

「テレポート系の誤作動かしら?にしても、あんな魔法あたし知らないのよね、あんた何者?」

 

「あれは魔法じゃないよ。あたしが作った道具、あたし錬金術士だから」

 

「錬金術師!?それってパンって手を合わせたらぶわってものが変わるやつか!?」

 

「そんなことはできないかなあ……」

 

「フィー?」

 

 パンって手を合わせたら錬成ができる、みたいな解釈でいいのかな?カズマのなかでは錬金術士ってどんなイメージなんだろう?なんだかニュアンスも違うみたいだし……カズマたちは冒険者らしくてここにはあのカエル、ジャイアントトードっていうらしいんだけどそれの討伐にきてたみたい。え、その格好で……?と思わず口で手を覆ってしまった。

 

 だって、カズマの恰好は防御力も何もなさそうなちょっと見たことないデザインの布の服、材質的には村人が着ているような服とちょっと違って品質もそれよりはまし程度。とてもとても魔物の攻撃から身を守れるような防具には見えない。アクアの服も羽衣と杖はなんだかいいものっぽいけどあたしの知識にはないものだし、服自体もそんなかんじ。カズマの武器はショートソードひとつ。グラスビーンズみたいな薬もない、うん……。

 

「その……あたしが通りがかって、よかったね?」

 

「フィー」

 

「うっ、確かにそうだよな……準備不足だったんだ俺たち。ライザさんがいなかったらアクアがどうなってたことか……」

 

「ちょっと!さすがに助けなさいよ!?」

 

「うるせえな!出来たらやるよ!だけどこの状態じゃカエルに勝てるかどうか怪しいだろ!?」

 

 うーん、思い出すなあ。クーケン島で初めて冒険に出た時のこと。あの時は、一番ましな装備を持っていたのがレントで、それでもただの鈍の大剣だったわけだし、あたしの杖なんて錬金術製でも何でもない手作りの杖だったし。それで、危なくなってアンペルさんとリラさんに助けてもらって……まともに冒険の旅に出たんだよ。

 

 しかし、最寄りの町の名前がアクセルと言って、ここはベルゼルグ王国というらしい。あたしたちが暮らしていたロテスヴァッサ王国のことを訪ねたら二人とも知らないと来たものだ。これはもしかしたらもしかするんだけどあたしたちの世界やオーリムとはまた別の世界につながっちゃったのかな!?うっわー、どうしよ困った……。異空の天球儀は持ってるから地道に探るしかないか……。

 

「もしかして、通貨も違う?コール使えるかな……」

 

「ここの通貨はエリスよ?そのコールって通貨は聞いたことないわね」

 

「あっちゃー、だめかー。手持ちの素材を売れればいいんだけど……」

 

「錬金術師だっていうなら賢者の石とか持ってねーのか?鉄板だろ?」

 

「バカねカズマ。賢者の石なんて激レアアイテム国が動くほどに貴重なのよ?錬金術師だからっておいそれと持ってるわけないわ」

 

「そ、そうだよ~持ってるわけないよそんな貴重なもの~!」

 

「ふぃ~~~」

 

 あ、あっぶない!そうなんだ!?思わずへ?持ってるよ?ほらこれって見せちゃうところだった!そういえばカズマやアクアが知ってるほどに錬金術士の知名度がこの世界じゃ高いのかな?うーん、クリント王国みたいなことをしてないといいんだけど……フィーも冷や汗だらだらでごまかしてくれている。そうだよね、ウィンドルのアトリエを整理した時に賢者の石でおはじきして遊んでたもんね!ナイスだよフィー!

 

「あ、見えてきたぜ。あそこが始まりの町アクセルだ」

 

「ぷ、何得意げになってるのヒキニート」

 

「うるせえこの……!」

 

「ま、まあまあ……!あそこがアクセルね。ふーん、普通の町だね」

 

 うん、普通の町。なんだったらラーゼンボーデンとどっこいどっこいの、どこにでもあるようななんてことない町じゃないかな?世界が違うとは思えないほど、既視感があるような町がそこにあった。石の城壁に囲まれているのだから結構都会な方なのかもしれないね。なぜか喧嘩を始めちゃったカズマとアクアをまあまあと仲裁しながらあたしは冒険者ギルドに案内してもらうことにした。

 

 アクアはカエルに飲み込まれて汚くなってしまったので公衆浴場に行くらしいので見送り、結構立派な建物の冒険者ギルドにあたしはフィーを抱いてカズマと一緒に入っていく。道すがら聞いた話によるとこの国、というか世界全体で冒険者ギルドという組織があって、そこに登録した人は冒険者として認定されるみたい。勝手に名乗っていたあたしたちの世界とは全然違うね。

 

 それで、冒険者ギルドに登録すると身分証みたいなカードが発行されて、そこに職業とかレベルっていうものが表示されるらしいの。この世界だと、生き物にとどめを刺した場合その生物の魂がとどめを刺した人に一部吸収されて、それが一定量たまるとレベルというものが上がり強くなることができる。レベルが上がるとポイントというものがもらえて、それを使って様々な技能を習得する……らしい。何なのそれ、ってかんじかな?

 

 まあ、あたし的にわかりやすくまとめると、この世界には人間にも品質的なものがあって、それがあがると特性を手に入れることができる……って感じかな?うーん、よくわからない。だけど、登録すると身分証になっていろいろ便利だっていうし登録しておこうとは思う。しばらくこの町が拠点になるだろうし最悪アトリエを作らないとだめかもしれないし。目下の目標はフィーが健康でいてくれることと帰る手段の確保だね。

 

 この世界、文字も言葉もあたしたちの世界と同じみたいだし、まあ大丈夫でしょ。多分、やることって言ってもきっと王都の掲示板のあれそれと変わらないだろうし何とかなるなる!というか何とかする!それがあたし!ライザリン・シュタウト!というわけでカズマに聞いたルール通りに受付に並んでいると、じーっと視線を感じる。周りの冒険者たちがあたしとフィーをじろじろと見ているんだ。

 

 んー?フィーが珍しいのは何となくわかるんだけど、なんであたしも?そんなに変な格好しているかな?とあたしは自分の服装を見直すけどいたって普通の服だ。旅ができるように頑丈に調合してはあるけどね。そんな周囲の反応に首をかしげながらあたしの番がきた。カズマは別の受付でカエルのクエストに関する手続きをしているみたい。

 

「冒険者ギルドにようこそ!本日はどんな御用ですか?うわっ!?魔物!?」

 

「フィッ!?」

 

「魔物じゃないです!あたしの家族で、フィーっていいます。害はないですから安心してください!えっと、ギルドへ登録をお願いしたいんですけど……」

 

「し、失礼しました!登録となりますと1000エリス必要ですが……」

 

「実は今お金なくて……これを買い取ってもらえるならそれで登録したいんですけど……」

 

「こ、これは……少々お待ちください!担当者を呼んでまいります!」

 

「へっ!?」

 

 フィーのことを魔物だなんて失礼しちゃうなあ!こんなにかわいいのに、と思ったけど初めて見る人にはしょうがないか、と愕然とするフィーをよしよしとあやしながらあたしが取り出したのは品質そこそこのウェイクエメラルド。ここで限りなく品質を高めたアルクァンシェルだの精霊の小瓶だのを出す気にはちょっとなれないかなあ……賢者の石で国が動くならそれと同クラスの調合品は出さないほうがいいと思うし。

 

 なので、手慰みにつくったウェイクエメラルドを出したんだけど、それを見た受付さんはきっと顔を引き締めて後ろのほうに引っ込んでいってしまった。あれ?これならきれいな宝石くらいで済むと思ったんだけど……素材集めてるとハンマーで岩を砕いだときとか宝石の原石ゴロゴロ出てくるし、それより貴重なものもたくさんだ。もしかしたらまずった?インゴットくらいにしといたほうがよかったのかなあ?まとまったお金が欲しかったからなんだけど、まずった?

 

「お待たせいたしました。宝石の売却と、冒険者登録でよろしいでしょうか?」

 

「あ、はい。大丈夫です」

 

「承りました。まずこちらのエメラルドですが、大粒かつ見事なカットが施されていますので50万エリスで買い取らせていただきたく思います。よろしければこちらにサインを」

 

 50万!?コールと同価値だとすると結構な大金だ!?でも、これなら当座の資金は大丈夫だね!あたしはその場で契約書にサインを、する前にじっくりと契約内容を読み込む。親友で商売人のクラウディアから契約内容の落とし穴とか注意事項とかをこれでもかと口を酸っぱくして教えてもらったからね。それで契約内容が問題ないことを確認して、あたしはサインをした。ベテランっぽい受付さんはそれを確認してケースにウェイクエメラルドを仕舞ってまた別の紙を取り出した。

 

「それでは、冒険者登録に移させていただきます。まずこちらに身長、体重、年齢、身体的特徴をご記入ください」

 

 はいはい、体重はちょっと恥ずかしいけど仕方ないか、年齢は21歳、と。身体的特徴~~~?うーん、とくに思いつかないからこれはいっかな。それでこのカードに触れればいいのね。とカードに触れて受付さんに返すと受付さんは落ち着いた声で内容を読み上げてくれた。

 

「ええ、それでは……筋力、生命力、敏捷性は普通ですね。ですが器用度と知力が非常に高く、魔力も水準以上です。幸運もそれなりに高いですね。これだと選択できる職業は魔法職系と基本職である冒険者と……錬金術士?というのもあるようですね。錬金術師でないのは初めて見ましたがいかがなさいますか?」

 

「錬金術士で!」

 

「は、はい。承りました。それではこれで登録を終えさせてもらいます。ではライザリン・シュタウト様、冒険者ギルドにようこそ。ご活躍を期待しています」

 

 食い気味に言ったそれに受付さんは少し驚いてしまったみたいだけど、あたしは胸をなでおろしていた。今更錬金術士以外の仕事に就く気なんかさらさらなかったから竜の風あとの事故とはいえこの世界でも錬金術士として生きていけるのはかなり、うれしい。エリスという通貨の紙幣と硬貨を数えてきちんと49万9千エリスあるのを確認し、お財布の中にしまった。

 

「フィー、とりあえずお金入ったよ。酒場も併設されてるみたいだしご飯にしよっか」

 

「フィッ!フィーフィー!」

 

「え?うーん、手料理かあ。今はちょっと無理かな。落ち着いたら好きなもの作ってあげるね。席は自由に座っていいみたいだし……あれ?」

 

 そっかー、フィーはあたしの料理が食べたいのか~。うーん、一般的なことはできるつもりだけど得意ではないんだよね~。でも、一緒に暮らしてた時は同じものを食べてたんだからフィーとしてもそうなるのかな?とちょっと、いやかなりお酒の匂いがする酒場の中でカズマと一緒に戻ってきたらしいアクアが席に座っていた。あたしはそこまでいって二人に声をかける。

 

「やっほーお二人さん、相席いい?」

 

「フィー?」

 

「あ、ライザさんか。いいぜ、というか時間かかってるみたいだったから待ってたんだ」

 

「その様子だとちゃんと登録できたみたいね!よかったじゃない!」

 

「うん、アクアもさっぱりしたみたいだね。何か頼もうかな」

 

「せっかくだし食いながら話そうぜ。いろいろ聞きたいことがあるんだ」

 

「ん?あたしのこと?いいよー、何が聞きたいのかな?」

 

 テーブルの上にこてん、と座るフィーの頭を撫でながらあたしはちょっとお行儀悪く頬杖をついてカズマの疑問に答えることにした。カズマは何度か言葉を飲み込んでから、意を決したようにずいっと身を乗り出してあたしに尋ねた。

 

「ライザさん!あんた、『転生者』かっ!?」

 

「え、なにそれ?」

 

 ひゅるりら~~とあたしたちの間にさむーい木枯らしが吹いたような幻覚がした。あたしが首をかしげているのに対し、カズマはどんどん顔を赤くして、服の中に顔を引っ込めていった。それが面白かったのかぷーくすくす!とわざと声に出しながらアクアが笑っている。あたしが事態を飲み込めないでいるとアクアが声を潜めながら笑うというちょっと器用なことをしつつカズマに話しかけた。

 

「だから、違うって言ったじゃない!あんたがどう思ってるかは知らないけど、正真正銘違うわよ!でも、気になるところはあるわね。ロテスヴァッサ王国だなんて国があるのなら、私が知らないはずないもの。ねえライザ、あなた本当にこの世界の人間?」

 

「えっ……!?」

 

 軽い調子で繰り出された質問に、今度こそ私はフィーと一緒に固まってしまうのだった。




アトリエ解説のコーナー

ライザリン・シュタウト

ライザのアトリエ(秘密シリーズ)3作品の主人公。多分TwitterとかXとかでかなり有名なのでビジュアル知っている人は結構多いと思う。アトリエシリーズは基本的に主人公の愛称がタイトルに来るのでライザのアトリエとなる。
ビジュアル面でものすごく色々言われているが、錬金術士としての才能はアトリエシリーズ随一。錬金術を初めてひと夏……つまりは一カ月とか二カ月で賢者の石の錬成までこぎつけたり、超古代文明の遺産の修復を成し遂げたりと枚挙にいとまがない。

フィー

ライザのアトリエ2の重要キャラ、マスコット枠。フィーと鳴くのでフィーとそのまま名付けられた。ライザのことを母親と認識してよくなついている。作者的にこういうのに弱いのでライザのアトリエ2では感情移入しすぎてボロ泣きした。ライザのアトリエ3で出たときはフラッシュバックで死んだ。
フィーと今一度冒険するライザが見たかったのでこの作品を書いたりしています。


評価ありがとうございました。次回への励みになりますので評価感想をくださるととてもとてもうれしいです。ではまた次回に。

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