ライザ&カズマのアトリエ この素晴らしい世界と秘密の錬金術士   作:アトリエはいいぞ

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第4話 この世界

 この世界の人間?だなんて確信を持ったような感じで尋ねてくるアクアにあたしはしばらく面食らって固まってしまった。オーリムに行った時のように、『門』が当たり前にある環境だったオーレン族の人たちは珍しくはあっても慣れたものだったみたいだけどまさかこの世界でも世界の移動は一般的だったりするの?え、もしかしたらまだあたしが知らないだけで神代の民みたいなレベルの技術がこの世界にあるってこと!?

 

「う~~~ん……これは、そうだよって言っておくね。だけど、こんなところで話すことじゃないかなあ?一般的じゃないでしょ?たぶん」

 

「そりゃあそうよ。ただ、一応女神として世界移動だなんてぶっ飛んだことやったのなら確認しないといけないの。仕事よ仕事」

 

「め、女神?」

 

「そうよ!私はアクシズ教の主神にして水の女神アクア!敬いなさい!」

 

「……そうなんだ?」

 

「信じるのか!?」

 

 服の中で亀みたいになって突っ伏していたカズマががばっと顔を上げて叫んだ。うーん、半信半疑なんだけど、万象の大典みたいなものを見た後だと神様なんてものがいてもおかしくはないかなーって思えちゃうんだよねえ。でもね~、確かにカエルに飲み込まれる女神さまっていうのはちょっと信じがたいというかなんというか。ああでも、詳しく話を聞いてみないと。

 

「あたしの事情を含めて、さすがにここで話せるようなことじゃなさそうだね。どこか人気のない場所で話そっか」

 

「そ、そうだな……もうこんな恥ずかしいのはごめんだ」

 

「別に私は構わないけど……まあご飯の時に難しい話は無粋よね!カエル食べましょうカエル!」

 

「ええっ!?あのカエル食べるの!?」

 

「フィーッ!?」

 

 フィーが机の上から転げ落ちそうなほどびっくりして、というか転げ落ちた。空中でキャッチして机の上に戻すと同時くらいにお待たせしましたー、とウェイトレスさんが二人が先に頼んでいたらしい料理を運んできた。そのお皿の上には、こんもりと茶色で揚げたてアツアツって感じのから揚げがどっさり乗っていた。ジャイアントトードのから揚げ、だそうな……。

 

 いや、おいしそう。美味しそうなんだよ?でもね、それのもとがあのカエルかと思うとその……ねえ?ちょっと前にクラウディアが旅先次第では虫も食べるという話をしてくれたけど、まだカエルならあたしでもいけそう。というか、ここまで原型なくなっちゃったら大丈夫だ、たぶん。こんなので怖気づいてたらボオスに笑われちゃう!

 

 ウェイトレスさんに同じのお願いしまーす!と注文して、飲み物を聞かれたからお酒じゃないジュースにしておいた。知らない世界で知らない町なのに酔っぱらっちゃうのは避けたいからねえ。ああ、いつの間にか亀みたいになってたカズマが元に戻ってる。から揚げやけ食いしてるけど。

 

「それでなんだけど、ライザさん。錬金術について教えてもらえると、うれしかったりするんだけど」

 

「ん?錬金術について?いいよいいよー、何が知りたいのかな?」

 

「その、ライザさんが使ってる道具って錬金術で作ったって言ってたよな?その杖から出てきた氷の魔法みたいな」

 

「ああ、うんうん!そうだよ!正確には……よいしょっと。この道具だね」

 

「うわ!?どっから出てきたんだそれ!?」

 

「ふふ、これも錬金術だよ!なーんちゃって。じゃあ、説明するね」

 

 あたしが愛用の杖の先端からコアクリスタルを外してしまっていたラヴィネージュを取り出す。宝石のような氷の爆弾を見たカズマは椅子を鳴らして後ろに飛びのくほど驚いた。カズマは好奇心が旺盛なのかな?あたしがいたクーケン島だと錬金術って最初胡散臭ーい呪い扱いだったのに。でもちょっとうれしいなあ。お姉さん説明頑張っちゃうよ!

 

 というわけであたしは誤爆したらギルドごと吹っ飛ぶラヴィネージュをコアクリスタルに仕舞いなおしておほん、とわざとらしい咳を一つ。カズマはあたしのそれを食い入るように見つめていて、アクアがカズマの皿のから揚げをかっさらっていったのは見なかったことにしよう。それで、錬金術っていうのは……

 

「錬金術っていうのは、あたしの先生曰く『無を有に変える技術』らしいよ。そうだね、例えばそこに落ちてる紙と、なんてことない草、それとコップ一杯の水で、このゼッテルが作れるの。物と物を掛け合わせて、別のものにしちゃうって感じかな」

 

「この紙屑と、雑草と水で……?」

 

「うん。といってもものすごーく、雑な説明だけど。こればっかりは言葉じゃ限界があるかなあ」

 

「そうなのか、っておいアクア!俺のから揚げ全部食っただろ!」

 

「油断するのが悪いのよ!」

 

 いや人のもの食べちゃダメだと思うよアクア?付け合わせの野菜だけになった皿を前にしたカズマが口の周りを油でてかてかにしたアクアに飛び掛かる。その間にあたしの分のから揚げがきて、勇気を出してフィーと一緒にいただいた。ちょっと淡泊な鶏肉って感じかなあ?意外とおいしい。フィーも気に入ったようでもりもりと食べている。フィーにとっては魔力がご飯で、普通の食べ物は補助でしかないってカラさんが言ってたっけ。

 

 錬金術ってペチャクチャ言葉でいうよりも、直接見せたほうがわかりやすいというよりも、あたしがそもそも体で覚えるタイプだったからねえ。今となっては錬金術関連の本をたくさん読んだから理論とかそういうのもアンペルさんと通じ合える程度にはなったけど、それこそ一回目の時とかほとんど感覚で錬金術やってた気がする。理論をわかってなかったから王都に行ったときに道具の違いで実力が出せなかったりね。いまはそんなことないけど!

 

「それでなんだけど、ライザさん。俺たちとパーティー組んでくれないか?」

 

「ああ~~それは、ちょっと今は無理かな……あたし、やることがあってね~」

 

「そうだよなぁ……」

 

 だめでもともと、みたいな感じのカズマのお願いを申し訳なさに包まれつつあたしは断る。カズマはわかってたよ、と言わんばかりに肩を落とした。

 

 

 

 

 

 

「それで、あんたの事情とやらを聞かせてほしいんですけど?」

 

「ここなら、いいかな?ああ、それとカズマの事情も聞かせてほしいな。転生者ってなに?」

 

「あー、俺、一回死んだんだよ。それで、そこの駄女神にここに送り込まれたってわけ」

 

「へ?」

 

 人気のない馬小屋であたしから素っ頓狂な声が漏れる。一回、死んだ?ふむふむ……んん?ん~~~……?首をかしげるばかりのあたしに対してもっと詳しい説明が必要だと感じてくれたらしいカズマが詳しく説明してくれるところによると、あたしの世界や、オーリム、この世界とはまた別の世界に住んでいたカズマは、事故で死んでしまった、らしい。

 

 だけど、世界を管理する神様のアクアにこのまま生まれ変わるか、天国に行くか、もしくは今のまま一つだけ餞別をもらって別の世界で魔王を倒す冒険に出るか選べると言われてカズマは別世界で生きることにした。餞別は、やけくそで所望したら通ってしまったアクアそのもの……なにそれ~~~~?魔王ってことはあれだよね?フィルフサの王種みたいな?

 

 疑問符が頭の上に浮かびまくっているあたしにさらにアクアが畳みかけるところによると、この世界は魔王と人間が戦争真っ最中で、この世界で死んじゃった人はみんな輪廻の巡りに入るときにこの世界に生まれなおすのを拒否してしまった。このままではこの世界に生まれる魂が極端に減ってヤバイので若くして死んでしまった人の中から希望者を集ってこの世界に移住させている、と。

 

「それに、魔王を倒すのも別に強制してないわ。倒してほしいのはそうだけど、自分の人生を生きればいいのよ」

 

「ふぅん、なるほどね。あたしの世界とは全く関係なさそうだけど、一応あたしも説明するよ?」

 

「むしろそうしてくれなきゃ困るわ。そうポンポンと世界を移動されてたまるもんですか。かなーり前の話になるけど世界を移動する神殿を開発した人間もいるからね」

 

 む、それ多分万象の神殿のことじゃない?それを知ってるってことはアクアの神様説はあたしの中でちょっと信憑性を帯びてきちゃったな~?そこであたしはとりあえず全部アクアにぶちまけることにした。古龍が世界を移動した風穴があって、それを利用して隣り合った世界に移動ができていたこと。あたしは今回、その風穴を使って移動したらいつの間にかこの世界にきてたことを説明すると、アクアは面倒くさそうな顔をして上に顔を向けた。

 

「ちょっとー、エリスー!さっさと降りてきなさいよ!仮にも主神でしょ!?面倒ごとあたしに解決させようとしないで!」

 

「おいお前、この世界で崇められてるんじゃないのかよ」

 

「腹立たしいけどこの世界の主神はエリスなのよ!しかも、世界に穴が開いてるのよ!?面倒くさいったらないわ!」

 

「こ、ここまでぶっちゃけるとは……」

 

「フィー……」

 

「早く来なさいよエリス!じゃないとあんたの胸がp「わーっ!アクア先輩それはストップです!」なによ、聞いてたんじゃない」

 

 うわ、ものすごく驚いた!突然空間に光の亀裂のようなものが走ってその中から転げ落ちるようにシスター服のような恰好をしたアクアと同じくらいの女の子が出てきた。うーん、これはまたあたしの理解を超えているような……カズマも話についてけなくてぽけーっとしているし。しばらく何かを言おうとするアクアの口をふさごうとする女の子……アクアの言葉を信じるのならエリスさんは、頬を掻いてあたしに向き直ると表情をただした。

 

「改めまして、エリス教の主神をさせてもらってますエリスです。アクア先輩からあらかたご報告してもらってます、世界移動をしてしまった、ということですね」

 

「ああ、はい。そうなんです」

 

「そうですか~……あの~、何とかこの世界で生きて行ってもらったりとか……」

 

「しません。あたしは向こうでやらなきゃいけないことも待っている人もいるので。まあ、放っておいてくれれば帰ります、勝手に」

 

「……世界を移動する手段がおあり、と?」

 

「一回見てますからね、万象の大典を。まあ、やろうと思えばできるんじゃないかな?あたしはいつもそれで何とかしてきたから」

 

「ああ~~~~……技術力のある人だったんだ~~~……」

 

 神様的には世界を移動してほしくはない、のかな?残念だけどその希望にはあたし添えないかな。申し訳なさそーに指をつんつんとしてこちらをみるエリスさんにあたしは即決でお断りを入れる。その答え自体は予測していたらしいエリスさんがどうやるのか尋ねてきたが、あたしは万象の大典を一応隅々まで見てきたし……やろうと思えば多分『門』を開くことができそうだ。あんまりやりたくないのは事実だけど。

 

「わかりました。私の方でもあなたの世界を探しましょう。そして、特例として送り出します」

 

「いいんですか?」

 

「特例、です」

 

「なるほど」

 

 言い含められた言葉に、あたしは自力で門を開くという選択肢を頭の中から排除する。エリスさんは神様らしくそれを察してくれたらしくほっと息をついて頬を指で掻いてから、ではあなたの世界を特定し次第連絡をしますと言って転がり落ちてきた光の亀裂の中に身を潜らせて帰っていった。おわった~?と藁の上で寝転がっていたアクアが起き上がる。いつの間にねてたんだろ?

 

「あんた、とりあえずこれで帰れるわね?あたしに感謝してもいいわよ?」

 

「ふふ、そうだね。ありがとアクア。エリスさんも」

 

「じゃあ報酬としてあたしたちのパーティーに入りなさい!」

 

「それはもうちょっと待ってほしいかな?」

 

「なんでよ~~~!!!!」

 

 ビシッと指を突き付けてそんなことを言うアクアのお誘いを再度断る。話についていけなかったカズマもどうしてそこまで嫌なんだ?とたずねてくる。カズマがどことなく傷ついたような顔をしていたので変な勘違いさせちゃったとあたしはあわてて理由を説明する。あたしがカズマについて冒険に行けないのは、フィーのことが心配だからだ。

 

 フィーは、オーリムの魔力がないと生きていけない。マナドロップの効果もきちんとあるのかわからない。エリスさんがあたしの世界を調べてくれている間にどうにかこうにかなったら困る。なので、あたしはアクセルに拠点、すなわちアトリエを拵えてここでエリスさんの連絡を待つつもりでいた。カズマの最終目標は魔王討伐らしいし、ここを離れる時もあるだろう。

 

「だから、下手に冒険にでてフィーが体調を崩したときに対処できないのが怖くて……ごめんね?」

 

「そういうことだったのか……なんか初対面で嫌われたのかと思って焦ったぜ」

 

「あはは、カズマのこと嫌いになる理由はないよ!そうだ、お詫びと言ったらなんだけど、錬金術……見せてあげるよ!」

 

「おお!」

 

「明日ね!」

 

「だーーーっ!」

 

 もう夜も更けていたので、あたしが付け足した言葉にカズマはガクッとずっこけるのだった。

 

 




アトリエ開設のコーナー

錬金術

アトリエシリーズの根幹をなす技術。素材と素材を掛け合わせ道具あるいは別のものに生まれ変わらせる技術のこと。なおできるのは魔法の道具から爆弾、武器に薬、防具に至るまで多種多様。パイだとかお菓子だとかお茶ですら釜の中で作り出す。熟練者になると時間やら空間やらも錬金術で弄りだす。どうなっとんねん。また、素材に関してはある程度代用が効くらしい。

門 

別名竜の風あと。ライザ世界では古竜が世界を渡る際に自然的に発生する別世界の穴のことをさすのだとか。フィーの種族である宥めの精は古竜と同調し、その感情を宥めすかすことで竜の風あとの被害を小さくするらしい。また、ライザ世界のすべての元凶ことクリント王国が人工的に作り出したあるいは自然発生した竜の風あとを固定したものもあり、そちらは主に「門」と呼ばれている。


 評価ありがとうございます。超励みになってます。どしどしくださいです。それではまた次回
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