ライザ&カズマのアトリエ この素晴らしい世界と秘密の錬金術士   作:アトリエはいいぞ

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第6話 パーティ

「誰も来ないじゃない!」

 

「来ないね。意外と需要ないのかな?アークプリースト」

 

「そんなはずないわよ!蘇生までこなせるのよ!?」

 

「いや、理由はわかってるだろ……ハードルがたけーーーんだよ!」

 

 絞るような声でカズマが叫んだ。錬金術を披露した翌日。早速あたしは爆粉うにと施しの軟膏をギルドに納めた。テスト、ということで爆粉うにの威力を試したんだけど少々強すぎるという言葉をもらったので次作るときは威力を弱めることにした。カエル程度なら一撃だからね、というかあのジャイアントトードって中級者用の相手らしいけど何でそれに固執してるんだろうカズマは?

 

 施しの軟膏の方は即効性がかなりあるしポーションと違って振ったりして瓶を割ったりする可能性がないのが高評価だったらしく大量生産してほしいと要請をうけた。冒険だけじゃなく常備薬としても優秀だからね!でも、あんまり重症なのは直せないからそこはポーションとか回復魔法とかの出番だろうし、すみわけできそう

 

 あたしは、カズマのパーティーに所属するつもりはない。というかアクセル近辺から離れるつもりは一切ないのでいずれは魔王討伐のための冒険に出るカズマについていくのは無理かなあ。というか、その前にエリスさんが元の世界を見つけてくれると信じているし。さすがに何年もここにはいられないなあ。正直今は冒険に出るよりも、フィーが死なないほうが大事だ。

 

 それで、カズマがハードルが高いって言っているのはアクアが募集したパーティーの条件だろう。カズマ達以外のパーティーでは机の上でお菓子をつまむあたしやフィーを尻目に面接とかが行われててすでに何組か成立してるっぽい。それだけど、いまだにこちらには誰も来ない。誰も来ない理由は明白、カズマが言う通りハードルが高いからだ。

 

「そもそも、ここって初心者の町なんでしょ?上級職っているの?」

 

「フィム」

 

「それだよ!フィーとライザさんの言うとおりだ!なあ、ハードル下げようぜ?このままじゃ誰も来ねえよ」

 

 フィーが、足で募集要項の上級職のみという文言をてしてしと指示している通り、アクアはなぜか上級職のみで募集をかけているらしい。舞い戻ってきたフィーがあたしの頭の上でそうだよ、と言わんばかりに鳴いているあたりこの上級職のみの募集はフィーの目から見てもおかしく映っちゃうみたい。アクアがぐじゅぐじゅと泣きそうになりながら弱弱しい抵抗を続けてるんだけど……。

 

「あの、上級職の冒険者募集を見てきたのですが、ここでいいのでしょうか?」

 

「そうだよ。よかったじゃないカズマにアクア、希望者来てくれて」

 

「あ、ああ……まさか本当に来るとは……えっと」

 

「ごほんっ!我が名はめぐみん!アークウィザードを生業とし、最強の攻撃魔法!爆裂魔法を操る者!」

 

「……冷やかしか?」

 

「ち、ちがわいっ!」

 

 えーと、赤い目、片目はおしゃれな眼帯で隠して、黒い髪にウィッチハット、ローブにマントを身にまとった女の子は、大仰に手でマントを翻して高らかに自己紹介をした。めぐみん、変わった名前だね。年齢は、初めて会ったときのパティと同じくらいかなあ?うーん、背伸びしてるようでなんともほほえましい。ちょっとかわいく思えてきちゃう。

 

 胡乱な目をしながら眼帯を引っ張ったりしてめぐみんにたいして問いただし始めたカズマをまあまあと止める。そしてアクアの解説を聞くと彼女は紅魔族という種族、あたしたちの世界でいうオーレン族のような種族で高い魔力と知力を備えて、総じて変な名前をしているのが特徴らしい。種族的な特性から優秀な魔法使いが多いのだとか。へぇ~、つまりはリラやカラさんじゃなくてキロさんとかセリさんみたいな感じかな?

 

「フィー」

 

「おや!おやおやおや!?これは、見たことない生き物です!」

 

「ふふ、フィーっていうの。種族でいうなら宥めの精、かな。あたしはライザ、ライザリン・シュタウトね。錬金術士をしているわ。カズマ達のパーティーじゃないけど、よろしくね」

 

「宥 め の 精 !!!!実に気になる単語です!そこらへん是非詳しく!」

 

「フィッ!?フィー!フィーィッ!」

 

「だーもうそれは後でいいだろ!んでアクア、パーティー入りどうなんだ?」

 

「いいんじゃないかしら?爆裂魔法って言ったら最強の威力を持つ超上級の魔法よ。それを習得しているということは魔法使いとしての強さを表しているわ」

 

 めぐみんの目の前に飛んでよろしく!と片手を上げたフィーに対してめぐみんの目がぎらりん!と輝いてフィーについて大興奮しながらあたしにいろいろ訊ねてきた。そんな反応をされたことがないフィーはかなりびっくりした感じで毛を逆立てながら大急ぎであたしの背中に抱き着くように隠れてしまった。残念そうなめぐみんだが、カズマが本題に戻してくれる。

 

「じゃあ、決定だな。早速カエル討伐に……」

 

「その……図々しいお願いなんですが、何か食べ物をいただけませんか……?もう三日も何も食べてないのです……」

 

「とりあえずこれ食べていいよ!ご飯もあたしがおごってあげるから!」

 

「わぁ、美味しそうなお菓子……いいんですか?」

 

「いいからいいから!冒険に行くにも何するにもおなかが減ってたら何もいいことないよ!」

 

 3日も食べてないなんてとんでもないことを言うめぐみんにかなりの危機感を感じたあたしは四の五の言ってられないとコアクリスタルの中からイノセントレープを取り出して机の上にドン!と置いた。皿の上に屹立する小さなお菓子の家を見ためぐみんは眼帯をしてないほうの目をさっきとは違う純粋でキラキラした瞳に変えてあたしに聞くのでもちろん食べていいよ、とうなづくと。めぐみんは美味しそうに食べだした。うんうん、それでいいんだよ。

 

「あの、ライザさん。もしかしてこれも……」

 

「そうだよ、錬金術で作ったの。薬とお菓子の中間ってところかな。3日もご飯食べてないなら、元気が出ると思うしね」

 

「はむはむ、お、おいしいです!甘くて、果物がたくさん入ってて……こんな豪華なお菓子初めて食べました!」

 

「それはよかった!ああ、そうだカズマ。念のためこれを持っていってね」

 

「なんだ、これ?」

 

「イバラの抱擁っていう魔法の道具だよ。カエルに挑みにいくみたいだから、最後の手段として持って行って」

 

 なんだか心配だから一緒に行ってあげたいくらいなんだけど……ジャイアントトードの依頼はアクセル周辺だし……。だけどこのあとあたしアトリエをたてる土地を担当さんと見に行くことになっているので同行することができないの。だからせめて、カエル相手でもオーバーキルで絶対に生き残れる道具を渡すことにした。それがこのイバラの抱擁だ。

 

 向こうで作ったものだけど、品質を上げまくった錬金繊維が余っていた時に作ったやつだ。品質は最高だし、束縛に特化している道具だから問題ないと思う。ただ、こればっかりに頼ってたらカズマたちの成長につながらないので死にそうで逃げるときに使うことと、カズマに直接ぎゅっと手を握って渡した。

 

「それじゃ、あたしはこれでね。めぐみん、これで好きなもの頼んでね」

 

「え、でもこんなに……」

 

「お金ないんでしょ?女の子なんだから危ないよ、たとえすごい魔法使いでも。ちゃんと、ご飯は食べてよく寝て、楽しく冒険してきてね!」

 

「フィーッ!」

 

 ご飯を食べるお金がないってことは、宿に使うお金もないかもしれないし、もしかしたら野宿してるかもしれない。12、3歳の女の子が秋の空の下マントを布団に眠る様子を想像してあたしはせめて馬小屋には止まってほしいと2万エリスほどをめぐみんに握らせて席を立つ。フィーは、アクア、カズマ、めぐみんの順で挨拶をするように頬を摺り寄せてからあたしについて飛び立った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここ、なんですか?」

 

「そうですね」

 

「え、でも隣……」

 

「問題ありません」

 

「いや、だって」

 

「どう頑張っても繁盛しないので問題ありません」

 

「なんて無慈悲な言葉!?」

 

「フィィィッ!?」

 

 あたしはあまりにもあんまりな言葉思わず突っ込む。担当さんに案内された土地は、結構広くて、いい感じの土地だった。ただ、隣にウィズ魔法道具店というお店があるということを除けば。いや絶対よくないと思うの。あたしに商売っ気があるかどうかはともかくとして競合店が隣にあるのはまずいのでは?というか、どう頑張っても繁盛しないとは?

 

「……ウィズ魔法道具店の店主は……商才がまるでないのです」

 

「そんなバッサリ!?」

 

「その……凄腕の冒険者で魔法使いではあるのですが、商才がないらしく経営はいつも火の車でして……この辺りにある魔道具店はここだけなのですが、必要なものは仕入れない割に売れないものばかり仕入れているようで……」

 

「え~~……」

 

「シュタウト様に刺激されてまともな商売をしてくれれば、と」

 

 ど、道楽でやってるって言われたほうがまだ納得できるんだけどその商売……ウィズって名前の人なのかな?アトリエを建てたら覗いてみようかな。というか、かなり丁寧な印象のある担当さんにこんなにもぼろくそ言われちゃうほど儲かってないということだよね?うーん、そこまで言われてしまうお店の中が俄然気になってきたけど今は先にやることがあるや。

 

「しかし、よろしいのですか?材料等の準備をシュタウト様がして、業者も1日しか使わないなんて」

 

「はい、大丈夫です!明日1日、よろしくお願いします!」

 

「承りました。それでは明日手配で進めさせていただきます。つきましては料金について……」

 

「これを売って何とかなりませんか?」

 

「……シュタウト様はすさまじい人ですね。こんなものを隠し持っていただなんて……ええ、差額につきましては納めさせていただきます」

 

「はい、よろしくお願いしますね!」

 

 あたしはあらかじめ用意していたセイントダイヤを担当さんに渡す。たぶん、ウェイクエメラルドよりは高額になるし多分魔力もかなり詰まっている、はずだ。うん、たぶん。魔力に関してはあたしはふんわりとしかわからないんだけど、担当さんの反応を見るにこれもお高いと考えてよさそうだね。さて、あたしは準備をしないと!

 

 担当さんが帰ったのを見計らってどしん!とまた探検バッグから錬金釜と今度は複製釜そしてフォウレとオーリムにあったコンテナも取り出す。何度もやってきたアトリエの建築だ、今更設計その他で間違うこともない。混鉄剛板、簡易建材、簡易石材、海草土を錬金釜と複製釜を使用してどんどんと作り上げていく。形はあたしが変えた。あとはくぎを打ちつけたりして組み立てるだけにしておくように。

 

「あの~……」

 

「フィー!」

 

 でも今までの建築はみんながいてくれたから素早くできたんだよねえ。こうして一人で、いやフィーもいるんだけど材料を作っていくのはなかなか骨が折れるなあ。どしんどしんと建材を積み上げながら釜を混ぜる杖を止めることなくどんどんと材料を投げ込んで調合を進めていく。目指すアトリエはあの隠れ家のアトリエ!慣れ親しんだあの形がいいよね!

 

「その~~」

 

「フィムッ!!」

 

「うわあっ!?どうしたのフィー!?」

 

「フィッ!フィフィフィ!」

 

「ああ、やっと気づいてもらえました」

 

 突然目の前にばっとフィーが飛び込んできたあたしの集中力が切れてがばっと錬金釜から顔を上げてしまう。辺りはもうすっかり夕方の茜色に染まっていて、あたしが使う予定の土地には建材が積み上がり今日の寝床のテントが申し訳なさそうに鎮座しているのみだった、のだけどフィーが顔の前からどいたら、ほっと息をついている女の人がいて、あたしはびっくりしてしまった。

 

「ああ、ごめんなさい!気づけなくて!何か御用ですか?」

 

「すいません、集中しているところに。私はウィズといいます。そこのウィズ魔法道具店の店主です……その、ギルドからお隣さんができると聞きまして……ご挨拶に、と」

 

「あなたがウィズさんですか!あたしはライザリン・シュタウト、ライザって呼んでください!」

 

「はい、ライザさんですね。その、不躾な質問を許してほしいんですけど……なにをなさってるんですか?」

 

「えっと、アトリエを建てるための資材を錬金術で調合していたところです」

 

 緩いウェーブのかかった髪をしていて、おおきな黒いローブを着ているウィズさんはかなり興味深そうに錬金釜と複製釜を見つめていた。へー、この人がウィズさんかぁ~……とても担当さんから聞いたような凄腕の魔法使いって雰囲気には見えないし、商才がないダメ店主にも見えない。むしろ、ほんわかとしていて話していて落ち着く。この人目当てに店に通う人もいるんじゃないのかな?とあたしは錬金釜から最後の簡易建材を取り出した。

 

 釜より大きな木材が出現したことにものすごく驚いているウィズさんに、あたしは錬金釜の火を消して向き合うのだった。フィーは、なぜか初対面のはずのウィズさんの頭に乗って居心地がよさそう。ボオスとはかなり違うと思うんだけど、どうなんだろう?




アトリエ解説のコーナー

アトリエ建築

ライザのアトリエにあるシステム。新天地に行くたびにアトリエを丸々建築するという謎技術のこと。ゲーム内ムービーを見る限りライザはひたすら調合をして、仲間はそれを見守っているだけだがいつの間にか一軒家が建っている、内装込みで。これが錬金術パワー。

複製釜

ジェムという錬金術で作られた宝石のような物体を消費することで錬金術で作られた物体をそっくりそのまま複製できる不思議な道具。ライザ世界では古式秘具と呼ばれている超古代文明の遺産である。その気になれば爆弾を99個量産することも容易だがゲームシステム上そんなことしても意味がない。もっぱらインゴットなどの素材を量産することに使われる。


評価感想ありがとうございました。まだまだたくさんくださるとうれしいです。それでは明日に。
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