ライザ&カズマのアトリエ この素晴らしい世界と秘密の錬金術士   作:アトリエはいいぞ

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第8話 凸凹パーティ

 ダクネスだ、と名乗った女の人はまた来ると言い残して帰ってしまった。カズマと、そしてあたしとフィー。その3人でテーブルを囲んでとりあえず何があったのかとカズマに尋ねてみることにする。

 

 冒険に出て、1日であたしに助けてくれだなんて言ってくるからにはきっと相当なことがあったに違いない、うん。困ったときは先達に助けを求めるのは当たり前というか、そういうものなんだろうけどいくらなんでも早すぎない?しかも、カエル相手にしに行っただけなのに。ワイバーンとかドラゴンとかフィルフサよりもあれ相当弱いよ?それと……

 

「うわ、なんか新しい女に手をかけてるわよ……?」

 

「ちょっと前にぬるぬるの女の子二人侍らせて変なプレイしてたのにもう?」

 

「いやねー、女の敵よ女の敵」

 

「……ねえ、カズマさ……なにしたの?」

 

「俺が知りてえよ!これに関しては俺は悪くないからな!」

 

 ひそひそ、こそこそと主に女性冒険者がいるあたりからカズマに向かって投げかけられる心無い言葉の数々にあたしは冷や汗と心配がごちゃまぜになってしまった。ぬるぬるの女の子って何?まさかと思うけどアクアとめぐみん?その……どうやって戦ったんだろう……?

 

「いや、さ?めぐみんのやつ、爆裂魔法が撃てることは本当だったんだけど1発撃ったらそれで魔法使えなくなっちまうし……アクアのやつはまたなんかカエルに飲み込まれるし……」

 

「別の魔法使ってもらったらいいじゃない」

 

「あいつ爆裂魔法しか使えないんだ。つまり、大砲一発撃っておしまいってわけ」

 

「え、ええ……」

 

 さらにカズマが続けるには、どうにかこうにか爆粉うにを使って一匹仕留めたはいいものの、アクアと魔力切れで倒れためぐみんは動けずに後続のカエルに呑まれたそう。

 

 それあたしと会ったときの焼き直しじゃない?と思いつつもカズマは二人を飲み込んだカエルに対してイバラの抱擁を使ってイバラでぐるぐる巻きにして拘束した後何とか討伐成功して逃げ帰ってきたんだって。

 

「それで、さすがにめぐみんの面倒は見切れないって思って報酬を山分けして解散しようと思ったらあいつ大声で俺に悪い噂が立つように仕向けてなし崩し的にパーティ入りが決定しちまって……」

 

「ぬるぬるってカエルに飲み込まれたからなんだ……」

 

「フィ、フィー……」

 

「わかってくれるか、フィー。今の俺の気持ちが……」

 

 めぐみん、どうやらその爆裂魔法しか使えないせいで他のパーティはすでに彼女を入れてくれないらしく何も知らないカズマが最後の生命線なんだとか。道理でお金がなかったわけだよ……。

 

「それにしてもすごかったぜライザさんからもらった道具!あの爆弾だってカエルを一発だし、イバラの抱擁?だっけか。あれもカエルをふんじばって完全に動けなくしたりさぁ!」

 

「でっしょー?まあ、あれは量産が効くからお店始めたら買ってね?というか、使うの早すぎだよ。どうしても無理な時って言ったでしょ?」

 

「いや二人飲み込まれてるんだから使わないとどうにもならねえって」

 

 というか、根本的な話になるんだけどカズマって戦ったことあるのかな?多分、5年前、つまりは初めての冒険に出たばっかりのあたしたちみたいな感じだと思うんだけど……うわ、心配がちょっと笑えない範囲にきちゃったぞ……

 

 せめてぷにがいてくれればなあ……ぷには魔物なんだけど実際犬のほうがまだ強いって言われるくらいには弱い魔物だ。1体なら子供でも囲んでたたけば倒せるくらい。アビスぷにとかシャイニングぷにとかでかぷにとかは別としてね?青い普通のぷにがいてくれれば戦う練習になっただろうに……。

 

 あのカエル、弱いって言ってもそれはあたし基準なわけで。例えばこれがそれこそ5年前だったらあたしでも持て余してたかも?フラムとかがあれば別だけど。んー、まさか、まさかとはおもうんだけど……。

 

「カズマって戦った経験ってあるの?」

 

「ねえよ!ふつうねえだろ!?」

 

「それは苦戦するよねえ」

 

「フィム」

 

 そっかー、戦ったことないのかカズマは。なるほどなるほど……一応カズマが一度死んで生き返ってこの世界にきて、この世界から元の世界に変えるために人間と戦争中である魔王を倒すっていうのが目的だというのはきいてるんだけど……。

 

「とりあえず簡単な素振りとかしてみたら?あたしと一緒に冒険したレントっていう戦士がいるんだけど、ずーっと素振りとか戦う練習を欠かさずにやってたよ?」

 

「それは、その……ファンタジー世界なんだからこう……ぶっつけ本番でもなんとかなると思ってたんだ……」

 

「あー、なんかわからなくもないけど魔物との戦闘は命がかかってるっていうのは自覚して?多分もうわかってると思うけど……」

 

「それはもう、いやというほどに」

 

 そうだよね。パーティメンバーが二人もカエルに飲み込まれて必死こいて助けたんだからそういうのはもうわかってるよね。だめだ、なんか心配だ。イバラの抱擁もつかっちゃったみたいだし。

 

「よし、カズマ!明日、もう一回カエル討伐にいこう!戦い方、教えてあげるよ!」

 

「え、でもライザさんってなんか店出すとかで忙しいし冒険に行けないんじゃ」

 

「アトリエはもう建てたから大丈夫!あたしの中の錬金術士の勘がカズマをほっとくとそのうち死ぬって言ってるからね」

 

「嬉しくねえ勘だ……ていうかもう建てたってなんだよ!?それも錬金術!?」

 

「そうだけど?」

 

「こええよファンタジー……」

 

 がっくりとカズマが肩を落とした。なんだろなあ、放っておけないんだよ。不思議な感じ。まあ、いつものあたしと言えばそうなんだよね。タオ曰く、「困ってる人がいたらすぐ首を突っ込む」らしいしね。あたしは。

 

 カズマの口から延々と零れ落ちてくるアクアとすでにもう駄目な子扱いされちゃっているめぐみん、二人に対する愚痴にあたしはうんうんと相槌を打ってあげる。その……カズマの側からしかわからないけど、苦労してるんだねっていうのが伝わってくるから無碍にできないんだよね、可哀そうでさ……

 

「フィー」

 

「フィー、慰めてくれるのか……?なあ、俺についてきたりは……」

 

「フィムッ!」

 

「しないよなあ……」

 

 あはは、カズマったらクリフォードさんみたいなこと言ってフィーにそっぽ向かれちゃってる。ただ、フィーもカズマがお疲れだっていうのはわかってるみたいで、小さな手でカズマをよしよしと撫でてあげていた。

 

 

 

 

「というわけでもう一回カエル討伐に行きます。今回はカエルに飲み込まれないように」

 

「そう何度もあたしが不覚を取るわけないじゃない!」

 

「紅魔族に同じ攻撃は効きません!」

 

「不安だ……とりあえず今日はライザさんがついてきてくれるから、変なことすんなよ」

 

「あはは、よろしくお願いするね?」

 

 自信満々のアクアにめぐみん、そしてすでにげんなりしている様子のカズマに苦笑するしかないあたし。ライザのアトリエの本格オープンはもうちょっと先の話になるのでまだあたしの方も余裕がある。リラさんじゃないけど、戦士の心得のようなものをカズマ達に教えてあげたほうがいいはず。というか、いろいろふわふわ過ぎてみてられない。

 

 カエルは当然湿地帯にいるので、それまでは徒歩で移動する、途中に魔物が現れるかと思ったけどアクセル近辺は意外と安全らしくて呆気なく湿地帯についてしまった。そうして、一匹牧歌的にげこげこしているカエルを発見したあたしたち。

 

「じゃ、とりあえずカズマ達がどう倒すか見せてもらえる?」

 

「それでは私の爆裂魔法で!おほん!」

 

「何言ってるのあたしのゴッドブローよ」

 

「だあああ、どっちも使ったら行動不能だろうが!俺がやるから援護しろよ!いいな!」

 

「あたしのは行動不能にはならないわよ!」

 

 な、なんて連携がとれてないの……とおもいつつ静観するあたし。カズマがショートソードを構えておぼつかない足取りながらもカエルに走り寄ってくる。ぬかるんだ地面の水音のせいでカエルにはすぐ気づかれて、カエルは大口を開けて舌を伸ばしてカズマを……あれ?

 

「援護は?」

 

「私カエルに効く遠距離攻撃魔法なんて使えないわよ?」

 

「爆裂魔法意外習得する気はありません!」

 

「フィッ!?」

 

「うわあああああっ!?援護、援護おおおおおっ!?」

 

「カズマっ!?」

 

 何もしない二人に援護はしないの?とたずねるけど二人から帰ってきたのはできることがないから何もしませんというとんでもない答えだった。思わずフィーが悲鳴のような大声を上げると同時にカエルの脅威にさらされたカズマの叫びが響く。ちょっ!?

 

 とっさにポケットからコアクリスタルから外しっぱなしで懐中時計扱いしていた時空の天文時計を取り出してカチッと作動させる。あたしの時間だけ加速されて、スローモーションに見える世界の中カズマの前まで走り寄り、そして伸ばされた舌を杖で弾いた。

 

 そのまま杖を一振りして、コアクリスタルの中に入れていたローゼフラムを使う。バラの花のような爆炎がカエルを飲み込んで、そして残ったのは真っ黒こげになったカエルだった。

 

「た、助かった……」

 

「無事みたいだね。よかったよかった。うん、カズマ……少なくともまともに戦える人を一人パーティに入れるべきだと思うよ?」

 

「だよな……」

 

「い、今の!爆裂魔法ですか!?いえ、でもそれにしては範囲が……でも威力は爆裂魔法そのもの……」

 

「あんた、今さらっと時間操作したでしょ。頭おかしいんじゃない?何で反動もなにもないのよ」

 

 ローゼフラムを使い終わったと同時くらいに時空の天文時計のスイッチも切ってあたしの感覚が元に戻る。なんだろうなあ……いろいろ言っている二人のこともあるけど、困った。

 

 何で何もしなかったのか、も問題だけど、何もできることがなかった。こっちのほうがもっと問題だ。アクアの方は攻撃できない職業だから、という風に言い訳をしているし、めぐみんのほうは爆裂魔法しか使えない上に他の魔法を習得する気がないから、らしいんだけど……。

 

「リラさんだったら一瞬で見捨ててるだろうな……」

 

「誰だ?」

 

「あたしたちの戦い方の師匠、かな。そもそも生き残る気あるの?っていう感じだし」

 

「だってどうしようもないじゃない」

 

「うーん、アクア攻撃魔法は使えないんだよね?それじゃあ、例えばカズマを強化する魔法とかは使えないの?」

 

「使えるわよ?」

 

「じゃあ使えよこの駄女神!」

 

 カズマの叫びに完全同意のあたしはうんうんとうなずく。あたしは二人が何をできるのか、を詳しく知らないけど、カズマ曰くよく言えば一芸特化、悪く言ったらそれ以外ポンコツ、らしい。アクアはすごいはすごいらしいし、めぐみんも爆裂魔法の威力はものすごかったらしい。

 

 なんというか、お互いがバラバラなんだ。カズマ達3人は。あって日が浅いからというのはあるかもしれないけど、お互いがお互いに合わせようとはしていないから、個人プレーしかできないってところかな?カズマが何とかそれをしようと頑張ってるけど、残り二人がやれることが少なくて合わせることができないってかんじ?

 

「よし、次はあたしと連携の練習をしよう!次のカエルは最初からあたしといっしょにね?」

 

「お、おう!あいつだな!」

 

 とりあえず、あたしは一番やる気があるカズマにあたしたちの戦い方を身をもって教えることにした。どれだけみんなが頼りになったかがわかるなあ、今更ながら……。

 

「カズマ、右から回り込んで!前足斬って!」

 

「わ、わかった!」

 

「あんたはこっち!」

 

 次に見つけたカエルに対してあたしは左からカエルの足元に対して魔力の球を足元に打ち込んで気を引く。カエルは予想通りあたしのほうに向いてあたしを食べようと迫る、だけど反対側に入ったカズマがおぼつかないながらも足を斬ってダメージを与える。

 

「そうそう!コーリングスター!カズマ、次は大技でいいよ!」

 

「そんなのねえよ!だあっ!」

 

「連射っ!」

 

 口の中に向かって大玉の魔力、コーリングスターを入れてやるとカエルは大きくのけぞって苦しむ。その隙をついてと指示をカズマに出すと、カズマは大上段にショートソードを構えて、振り下ろす。脳天をついたそれはカエルをさらに追い込む。

 

 その隙をついたあたしは杖を回転させてコーリングスターを連射した。カズマの攻撃で半死半生だったカエルはコーリングスターの嵐を受けて、倒れた。そうそう、おぼつかないけどこれだよこれこれ!

 

「どうだった?カズマ。アクアにめぐみんも」

 

「やっぱあんた帰るまでパーティ入りなさいよ。絶対楽になるわ」

 

「マジでそうしてくれると助かるんだけど……すっげえ楽だったし倒したって実感あるし……」

 

「まるで里の大人たちみたいでした!ライザは強いんですね!」

 

 とにかく、とあたしはカズマ達に向けて指を立てる。島で先生のまねごとをしてた時みたいな感じだけど、よく言い含める感じで協力して敵を倒す。生き残ることが優先、と3人に向かってお説教のように説明した。アガーテ姉さんはこんな気分だったのかなあ……。

 

 




アトリエ解説のコーナー

ぷに

ぷにぷに。いわゆるアトリエ世界のスライム。子供の落書きのような顔をしている、そして子供でも囲んでたたけば倒せる程度にはよわいらしい。なお、例外がたくさんいる。うに、たるに並ぶアトリエシリーズの顔。

コアクリスタル

古式秘具の一つ、比較的よく見つかるらしい。アイテムを中に封じ込めることができ、封じ込めたアイテムを消費せずに効果を取り出すことができる便利アイテム。コアドライブという別の古式秘具を取り付ければアイテムの同時使用時に特定の組み合わせで必殺技が出る。
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