邪神転生〜ガルパン世界で生き残れるか!〜 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
戦車道シミュレーター···かつての戦車道は地上にある道場に通うか、学園艦の部活動の合間に貸してもらうか等、限られた者しか学ぶことができないのが戦車道であった。
しかし、その常識を覆したのが戦車道シミュレーターと戦車ゲームの普及である。
戦車道シミュレーターはゲームセンターにある大型筐体として、ネットでワイワイ楽しめる家庭用のゲーム···Wor◯d o◯ Tanksは世界の戦車道女子もゲームが好きな男子もやるゲームであった。
戦車道シミュレーターは戦車の基礎を学ぶにはとても良く、パーツを組み替えればドイツ式、日本式、イギリス式、フランス式、ソ連式、アメリカ式と様々なバリエーションで学ぶことができる。
まぁ一式揃えると200万するが、戦車を買うのや戦車の維持費を考えると格安である。
ゲームセンターでは100円で1ゲーム遊ぶことができるので、バッティングセンター感覚で遊ぶ人やトレーニングの為に活用する人が増えつつあった。
そんな筐体を転生者達はちゃっかり自分の家に揃えていた。
西住すみと島田百子は各流派の関係者なのであるのは当然として、北海道の月島桜は道場に行くのに片道50キロかかるため、自宅で練習するためにセンチュリオン貯金を切り崩してシミュレーターを購入し、家の庭に小屋を父親に建ててもらって毎日練習をしていた。
金持ちの園城寺美希も部屋の1つをシュミレーション部屋にして導入したし、特殊カーボンの会社の社員の藤原歩美もちゃっかり買ってもらって練習していた。
転生者達はこのシミュレーターのルームマッチ機能を使い、集まることが増えていた。
「アマチュア無線の免許だるいわ〜、マジでダルいわ···分家になるんだからって2級以上取れって言われたし」
『僕の所もそうだわ。あ、1.5キロ北西の茂みに待ち伏せ居るから気をつけて』
西住すみと島田百子は愚痴を言う。
『ご愁傷さま。まぁ一応アマ4級は私らも取っておかないといけないけど』
『クックック、4級はもう取ったぜ〜』
『アタイも取らないとな〜』
藤原歩美、園城寺美希、月島桜もそう返答する。
『正面撃破。あ、来月から僕欧州リーグ見に行くけどすみは行くの?』
「分家だからいけない」
『あちゃー、そりゃ残念だ』
『クーックックック、俺はアメリカリーグ見に行ってくるぜ。まぁアメリカだとシャーマン系列の殴り合いだけどな』
美希は父親の仕事の関係でアメリカに行くらしい。
欧州リーグはイギリス、フランス、ドイツの3強であり、戦術のイギリス、防御力のフランス、エースのドイツと役割が違う。
ちなみに練度はシャーマンを自家用車の代わりにできるアメリカが強く、火力のロシアと言われ、戦車道の世界5強である。
日本? ···旧日本軍の自国戦車の性能がね···。
ちなみにリーグとしてはほぼアメリカ(一部カナダ)で成り立っているアメリカリーグ、EU圏内の欧州リーグ、旧ソ連領域のロシアリーグが3大プロリーグとして有名であり、世界の先端を突き進んでいる。
日本? ···プロリーグがない時点で察しろ。
世界的に戦車道は金持ちのやる競技であり、日本の競技人口が増加したのも政府が狂ったように広めるために戦車をばら撒いたバブル期とゲームが増えてきた最近である。
不景気の谷間世代は···就職難で自衛隊に入隊するのに戦車道経験者が歓迎されたくらいで、他の就職先が壊滅するため、避けられ気味であった。
『僕らは強い戦車もそうだけど各校に対する戦術も開発しないと』
転生者達が考えている戦術は2両1分隊を5つ作って頭を潰されても直ぐに指揮系統の譲渡ができるようにする方法だ。
西住流、島田流の直系がそれぞれ居るが、指揮する頭を切り替える事が出来れば、常に相手に戦術的アドバンテージを得ることができる。
事実最終章の大洗が指揮系統を引き継いで継続と戦っていたので不可能ではない。
ただ両方の流派についてある程度の理解を車長は叩き込む必要があるが···。
『さて、そろそろ僕は本当の車両の方で装填訓練してくるわ』
「乙、私もそろそろ落ちるわ」
『じゃあ解散で』
『ういー』
この日はそのまま解散となった。
凄い···レベルが違うと思ったのが欧州リーグを見学した僕こと島田百子の感想だ。
ドイツ戦車がどうしても戦車の性能が上だが、それをイギリスのチャーチルの防御力とコメットの機動力、それに指揮官の戦術でドイツのエース達に対抗していく。
戦車道は好きだった。
前世ではゲームはやっていたが、乗ることに縁のなかった戦車に乗れて嬉しかった。
勿論島田流を継ぐために厳しい訓練をしていたから、辛い思いをする事もあったけど···
「これが本当の戦車道」
まるで芸術であった。
2両のイギリス車両が煙幕を焚き、ドイツ車両を煙幕の中に閉じ込める。
視界不良となればドイツのエース達も無闇に攻撃することはできない。
イギリスの戦車達はその間に移動をして、自身に有利な陣地を構築してしまう。
煙幕が晴れ、ドイツ戦車が動き出した時にはもう遅い。
キルゾーンに誘い込まれたドイツ車両が次々にやられていく。
ドイツも意地を見せて、やられた車両で即席の陣地を作り、障害物を使って反撃をしてくる。
結局イギリスが押し切りったが、良い試合であった。
心から感情が込み上げてくる···まさに戦闘芸術であった。
「僕もあれをやりたい。あんな指揮をしてみたい」
島田流は忍者戦術と言われるぐらい神出鬼没と言われるが、一番は機動力を活かした、常に相手の側面や背面を取る戦い方だ。
重戦車で固める西住流とは根本が違う。
そもそも撃ち合いは避けるのが島田流である。
「やるべきことは多い」
収穫の多い欧州リーグ観戦だった。