常住戦陣~月島流剣術推して参る~   作:トコヨノオウ

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第五陣

 悪魔の隠れ蓑であるオカルト研究部。

 在籍するのは、全員で五名だった。

 ここに、人間として籍を置く月島仁郎を含めて六名となる。

 そして、

 

「月島!?お前も、悪魔だったのか!?」

「いや、自分は人間だぞ」

 

 騒がしい新入部員がもう一人。

 金髪の少年に連れて来られた兵藤一誠は、そこで自分が悪魔になった事を知る。同時に驚いたのが厳しくも優しさを持ち合わせた黒髪の友人もまた悪魔ではないのか、という可能性。

 もっとも、本人に否定されたが。

 ソファから勢いよく立ち上がった一誠は、その衝撃と共に同時にとある事も思い出した。

 それは、朧げな記憶。

 

「……なあ、月島」

「ん?」

「お前ってさ、俺が悪魔になった時に居た……よな?」

 

 確証と言えるほどの物はない、がその掠れた記憶の中に駆け寄ってきた友人の姿があった。そんな気がした一誠。

 一方で、仁郎は眉を上げるとチラリと事の成り行きを見守っているリアスへと視線を送った。

 返ってきたのは、小さな頷き。

 

「……まあ、な。と言っても、自分がその場に居合わせたのは兵藤。お前が殺された後だった。もし、もう少し早く居合わせてたなら……」

「ちょ!?落ち込むなよ!?」

 

 どんよりと雰囲気を沈ませる仁郎に、焦ったのは一誠の方。

 所詮は、もしもの話。悔やんだ所で、どうにもならない。

 部室の空気が悪くなるのを感じ取り、リアスが手を打ち鳴らす。

 

「はいはい。話を変えましょう。イッセー、貴方が堕天使に襲われたのは貴方がその身に宿した力に因る所が大きいわ」

「俺の……力、ですか?」

「ええ。人間と人間の血を持つ者が与えられた神の奇跡。神器と呼ばれるものね」

「それが、俺に?」

「そうなるわね。祐斗、貴方の神器を二人に見せてあげて」

「はい、部長」

「……ん?二人?」

 

 リアスに促され、金髪の少年が一歩前に出る。同時に、一誠は首を傾げた。

 ただ、その彼の疑問に答える前に、木場祐斗はその手に力を顕現させる。

 彼の手に現れるのは、一振りの諸刃の剣。

 

「僕の神器は『魔剣創造(ソード・バース)』あらゆる属性の魔剣を生成できるんだ。といっても、オリジナルには質が劣るんだけどね」

 

 そう言って、祐斗は最初に呼び出した一振りを消すと順繰りに、炎を纏う魔剣、冷気を纏う魔剣、風の渦巻く魔剣をそれぞれ造っては消していく。

 その光景に驚いたように目を丸くする一誠。一方で、仁郎は顎を撫でていた。

 

「凄いな。手数がより取り見取りか」

「まあね。もっとも、さっきの通り僕の作る魔剣はオリジナルには劣るんだ。だから、場面場面での最適な選択とその選択を成立させるための細かな切り替えが必須かな」

 

 笑みを浮かべる祐斗。

 そして、今度は二人の番だ。

 

「俺にもそんな力があるんですかね?」

「神器は発現するまで分からないとされているわね」

「成程……よしっ。神器、出て来いっ!!」

 

 水を打ったように静まり返る部室。

 いたたまれない空気の中、羞恥に震える一誠の肩に手が置かれる。

 

「ドンマイ」

「るっせー!!つーか、お前もだろ月島!神器持ってるの!」

「自分も、出し方は知らないな」

「あ、あはは……ええっと、参考になるか分からないけど、神器はいわば僕らに宿った力の形なんだよ。だから、そうだね……自分にとって強いイメージが重要かな。一度発現させれば、練度による差はあっても出し入れはそう難しくは無い筈だから」

 

 見かねて助け舟を出す祐斗。

 彼の言葉を受けて、新部員の二人は顔を見合わせる。

 

「……んじゃ、次は月島だろ」

「自分か?兵藤がリベンジしても良いと思うけど」

「まあまあまあま、な?」

 

 サムズアップしてくる一誠に、仁郎は眉を上げる。とはいえ、彼とて本気で嫌な訳でもない。

 一歩離れて目を閉じた。

 集中する。力のイメージと言われるとパッとは思いつかないが、しかし仁郎には戦いに向けての心構えは持っている。

 

「ふぅーーーー……いざ、常住戦陣……!」

 

 呟くと同時に意識が変わる。そして、虚空を掴む手にソレは現れた。

 環頭大刀と呼ばれるものがある。

 柄頭に、円形を少し潰し透かしのを入れた装飾に、シンプルな円形の鍔を持つ直刀或いは直剣である。

 それが今、仁郎の右手に鞘に収まった状態で握られていた。

 瞼を上げた仁郎は興味深そうに手に収まった神器を眺める。

 

「剣……いや、刀か?まあ、極端に変わり種じゃないだけマシか」

 

 そう呟きながら鍔へと左指を掛け、右手で柄を握り慣れた動作で鯉口を切って引き抜き、

 

「「「え?」」」

 

 室内の全員がポカンと口を開く事になった。無論、神器の持ち主である仁郎も例外ではない。

 

 引き抜かれた柄の先、そこには刀身が無かった。

 見えないとかそういう事ではなく、実際に存在していない。

 思わず、鞘の方をひっくり返してみるが中に刀身が残っている様子もなく埃の一つも出てこない。

 

「……不良品か?」

 

 仁郎がそう呟くのも無理はないだろう。

 刀身の無い刀など、ソレは最早用を成さない木偶の坊状態。

 変なものだったならば笑ってやろうとか思っていた一誠ですら、気の毒気に声を掛けるに躊躇う雰囲気。

 

 かくして、月島仁郎は神器を得る。

 その名は――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――漸くか」

 

「未だ声は届かぬが、それでも」

 

 

「我が力、使いこなせると信じているぞ」

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