夏油傑の妹は幸せに生きたかった 作:アルトリア・ブラック(Main)
【登場人物】
夏油 結友→禪院 美穂
夏油傑の妹、かなり歳の離れた妹、術式判明前に殺されかけた。
術式『呪霊操術』
死神
結友の式神の一人。結友の守護霊が式神に変異した。
特級呪霊
術式『術式攻撃キャンセル』
前世と言った方が良いのか、私は前の人生で突っ込んで来た車に跳ねられて死んだはずだった。
四肢が千切れ、腕が折れた。
痛い痛い痛い
叫びたくなるほどの痛みなのに声が出ない。助けてとも言えない
だから、もう二度も死ぬ感覚を味わいたく無かった。
二度目の人生、普通の両親と優しい兄の家族に恵まれて幸せだった。
時々帰って来る兄と一緒に出かけるのが好きだった。
黒いモヤが見えて怖かったが、兄が通ると必然的に見えなくなった。
だから、兄のそばにいれば怖いことなんて何もないと思っていた。
兄が宗教界の学校に通い始めてから雲行きがおかしくなった。
初めは普通だった。私のことを兄が兄の友人に紹介したらしく、私のことを可愛い可愛いと言ってくれた硝子お姉さん。
子供みたいな反応でガキって嫌い!と拗ねる白髪のお兄さん。
そんな二人と仲良く話す兄が好きだった。
怖いことも痛いことも兄がいればきっと平気だと思っていた。
でも、その日は突然現れた。
暗い顔をしていた兄が家に帰宅した。
四人での料理、兄を気遣う母の言葉を最後に目の前は真っ赤に染まった。
兄から飛び出したお化けはお母さんとお父さんを食い殺した。
わたしの頭を、脚を食べ始めた
痛い、痛い
どうして
どうして、また、死なないといけないの
しにたくない
いきたい
『非術師は猿だ』
あにだったモノがそう吐き捨てる
どうして?
なにもしてないよ?
サルなんかじゃないよ
ニンゲンなのに…
「…いたい…しにたくないよ…」
そう呟いた瞬間…
目の前の呪霊が吹き飛ぶ
「………」
目の前に立っている兵士のような服を着た人
血まみれの剣を背負っている半透明なお化けが、わたしを撫でる
特級術師・夏油傑。村人を殺戮した足で実家を襲い両親を殺害、妹は瀕死の重症
唯一の生存者である妹は家入硝子によって一命を取り留めた後、術式判明、夏油傑同様『呪霊操術』だと確認される
速やかに死刑執行を下されるが、未登録の特級呪霊が出現、死刑執行に関わった術師一人を再起不能に
夏油結友の呪霊だと確認される
夏油結友を呪術高専置きとしたが、翌日、夏油結友が失踪
「というわけだ」
直毘人が酒を飲みながら笑う
「いや分からへんのやけど、ジジイ」
「口が悪いなァ、直哉」
「………」
直毘人の横に座っている結友に直哉が
「いや、意味わからへん。なんで特級呪詛師の妹を一回殺したって申請した上でパパの娘にしたん?幼女趣味あったんか」
「頼まれたからなァ?五条悟の手元に置いておくのはもったいないとな」
直毘人の言葉に頭を抑える直哉
「……五条悟より、直毘人さんの方が良いと思った」
「その言葉に乗せられたんやろ」
ハァァアアと深いため息をつく
「……夏油傑を殺すためなら、なんでもする、五条悟は絶対に殺せないから」
殺意に満ちた眼で直哉を見る
「仮にも自分のお兄ちゃんやで?それに京都に来たら叶いそうにないやろ」
その言葉に
「京都で沢山呪霊を集めて、それから出発する」
その間よろしくお願いしますとペコリと頭を下げる
ー数時間前ー
搬送された病院で兄のことを強面のお兄さんから聞いた。
裏切り者、沢山の人を殺した人、私の家族を殺した人
沢山の悪口があちこちから聞こえて来た。
兄のそばにいたから私は怖い目にあった。
でも、私は私なのに、私の力?を見てみんな私のことを裏切り者の血筋だと殺せと話してた。
そんな私を助けてくれたのは、白髪のお兄さん。
兄が裏切ってから私の保護者になると、そう話してたらしい。
でも、私には、分かってた
白髪のお兄さんは私じゃなくて、私の兄を見ていることを
兄の妹だから引き取りたいと直談判しただけだと
私のことを『夏油結友』として見る人はいなかった。
硝子お姉さんは見てくれたけど、私のことよりも兄のことを責めていた。
私のことを本当に大事に思ってはくれている。
でも私は…
(…このままで良くない…)
私はきっと守られて育つ。
あの白髪のお兄さん、名前は確か悟と言った人は強いと言われているから何も知らずにぬくぬく育つ道を用意してくれるかもしれない。
でも…
『結友は大きくなったら警察官になりたいって言ってたのよあなた』
『凄い夢だな!でも大変だぞー』
私の大切な、今世の親、当たり前の道を与えてくれるはずだった親二人はいない。
だったらせめて…
(…私の手で…殺してやる…!)
猿だかなんだか知らない。
どんなことが兄にあったかなんて知らない。
でも、なんで殺す必要なんてあったんだ。
どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして
「ほぅ、良い顔をしておるなぁ、お前」
そう声をかけて来た歳の行った人に言われ、私は理解する
この人なら、私を通して夏油傑なんてものを見ない。
「おじいさん」
「ん?」
「私を地獄に連れて行ってください」
暖かい両親を殺した兄は許せない
だから、地獄を見ないと、兄以上に強くならないと意味がない。
その言葉に派手に笑うおじいさん
笑いながら了承してくれた。
ー翌日ー
「義兄さん。おはよう」
「…………」
早速呪霊を引っ張って来た結友こと美穂に頭を抑える直哉
(…あんのクソジジイ、ホンマなんでもさすんやな)
禪院美穂こと夏油結友は外で作った直毘人の子供と発表しているらしいが、その術式を聞いてピンと来ている人間は山のようにいるだろう。
それに気づいた禪院の術師が美穂を呪霊の巣窟である懲罰部屋にぶち込んだら全員喰って出てくるイカレ具合である
「……ホンマ意地汚いわ、呪霊の返り血まみれでよう食えんな」
「だって服替えさせてくれないから、それに、御三家なだけある。呪霊巣窟が山のようにあって嬉しい」
「…あっそ、そこまでイカれてるのはお前だけやわ」
女中に服を用意しろと命令し、背中を向ける
「とぅ」
「?何してんねん、このクソガキ」
首根っこを捕まえて持ち上げる
「背中がガラ空きだったから、夏油傑だと思ってやってみた」
「殺す気かい」
↑特級だと思われてることに気分よくなる
「直哉さん、殴り合いしよう」
「お前の場合、反撃するやろ、ビール瓶持って」
「当たり前」
直哉は美穂を地面に下ろす
「兄さんらに頼み」
「みんな弱い」
「は?」
「みんなわたしが夏油傑の妹だと知ってるから全力で殺しにくる。でも、飽きた、直哉さんだけ、強いの」
「………」
↑ちょっと気分が良い
直哉に暴行じみた訓練を受けた後、直哉が『呪霊ってどんな味するん?』と聞いてくる
「吐瀉物を処理した雑巾の味」
「おぇ、気色悪、てか、そんなん食べてまで復讐したいん?」
「うん、だって、お母さんとお父さんを殺したから」
当たり前の幸せを奪って、どこいても指を差される人生を与えてきたから
「おにいちゃん殺してなんになるん?」
「気持ちの整理。何にもならないかもしれない。でもわたしは許したくない」
「それでここ選んだわけ?」
「うん、直毘人さんとここだけが、私の動機を否定しない」
誰も助けてくれないのに、兄だから復讐は辞めろと、自分達がなんとかするとしか彼らは言わない。
『ガキの癖に達観しておるな、実の兄を殺すためにやるのか?』
直毘人の言葉を思い出す
伏黒恵を自分の所有物にしている五条悟が気に入らなかった。
夏油結友の死刑執行を阻止するために五条悟が『親友の妹だから』という理由で結友まで保護しようとした。
それを突っぱねた結友は、たまたま東京にいた直毘人に話しかけた
「わたしは五条悟にとって親友の妹だから保護したいと思われてた。夏油傑を引き戻すために必要な駒だと思われてる。あの人の下にいても強くならない。だから野に帰った方が早い」
(…禪院家を野っ原やと思っとるんか)
「まぁええわ、サンドバッグが手に入ったと見るわ」
「分かった、カウンター撃てるようになるね」
「ホンマ口は達者やな」
ダークギャザリング大大好き。定期購入。
呪術廻戦に混ぜたかった。夏油妹として…後悔はない!
呪術廻戦も好きだけど、宿儺戦が長くてちょっと…でも好きではあります