夏油傑の妹は幸せに生きたかった   作:アルトリア・ブラック(Main)

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夏油 結友→禪院 美穂
夏油傑の妹、かなり歳の離れた妹、術式判明前に殺されかけた。
術式『呪霊操術』
現呪霊総数・2000、内特級呪霊・8体、一級呪霊・300体、他
身長・165(成長中)



第2話『色のない世界』

夏油傑の妹・夏油結友が禪院家に名前を変えて、禪院直毘人の娘として迎えられたことに関して、家入はかつての同級生に軽くメールだけ送っておいた

 

下手したら上層部に目をつけられるような話題だが、アイツがしでかした最悪のことを知らせる必要があった。

 

読まないと思っていたメールを読んだのか、喫煙所にその同級生がいた。

 

「結友に術式があったって本当かい」

 

その言葉に家入は「あったよー」と返す

 

夏油の表情に家入は舌打ちしつつ「そう考えないから後悔するんだよ、まぁ、あの子の人生はあの子のものだからお前はもう関わるなよ」

 

と言いつつも、あちらの闇に染まった瞳、幸せを奪った夏油傑を殺すために禪院家なんて言う地獄に行った彼女を思い出す

 

猿だと侮辱した存在が呪術師で、なんならかつての夏油達よりもヤバい地獄に突き進ませたことを後悔でもしているのだろうか

 

一服した後、背中を向けると

 

「……術式は?」

 

「呪霊操術」

 

そう言ってその場から去って行く

 

 

 

夏油結友を診察した時、傑がやらかしたことを責める一方、軽度の失感情症・PTSDなど発症し、それと併発するように後頭葉が少し損傷したことにより色盲のようなのを発症していると本人に伝える

 

目の前の光景が呪力のある無しで見えている光景が違うと本人が言っており、本人は全部が真っ赤に見える状態とのことだった。

 

識別できるのは五条と禪院直毘人のみ、家入はかろうじて見えるらしいが

 

(…今の禪院に行って普通に生活できているのか不安だな…)

 

 

 

 

 

 

 

両親が殺され、自分も殺されかけた日から世界は真っ赤に染まってしまっていた。

 

家入さんの話では色盲に近いと言われたが、呪力のある無しで判断できるようになって来た。

 

今ここで良く見えるのは禪院直毘人、禪院直哉のみであり、彼らは暴力的な青い色をしていた。

 

五条悟も見えるが、銀色が凄すぎて目が痛くなる

 

呪霊の色は真っ黒で分かりやすかった。

 

自分の手持ちの呪霊はきちんと色が見える。輪郭もはっきりしているのでありがたかった。

 

真依ちゃんは薄い青、その他は真っ赤な気色の中に灰色の人が見えるだけだった。

 

「おい、美穂、危ない」

 

「あ、ごめん」

 

真希ちゃんが本当に見えなかった

 

本当に薄い灰色で透明人間のようだった。

 

「真希ちゃんは呪力がカスしかあらへんからな〜」

 

直哉がここぞとばかりに揶揄う

 

「義兄さんは暴力的に青、目が痛い」

 

直哉を適当に追い払うと、真依ちゃんが『目が見えないの…?』と聞いてくる

 

「目は見えてる。ただ、色が判別できない。前、脳を怪我してから人の呪力を見て人か呪霊か判定してる。最近は慣れてるから心配しなくていい」

 

「そ、そうなんだ」

 

「んで?私は呪力がねぇから見えないのか?」

 

ハァとため息をつきながら言われる

 

「うん。ごめん」

 

謝ると『お前の目に関しては責めてねーよ』と言われる

 

「呪霊は何色なの?」

 

隣に座った真依にそう聞かれる

 

「真っ黒」

 

「へー」

 

「呪詛師も赤に見える。多分、こっちに敵意のある人間が赤に見えるのか、私が敵視してる人間が赤に見えるのか、いまだにそこは分からない」

 

まんじゅうを食べながら言う

 

「そういえば、お前の術式ってなんだっけ?」

 

真希が足を組む

 

「呪霊操術」

 

「呪霊を取り込んで使役するんだっけか?」

 

「うん。吐瀉物を処理した雑巾の味」

 

「えっ?そんな味なの?」

 

美穂はチョコを食べながら言う

 

「でも耐えれる、終われば甘いの食べれば良い話。それに、今2,000体超えた」

 

今日で2,000とピースして言う

 

「す、すごいね」

 

真依の言葉に『ありがとう。でもまだ足りない』と答える

 

 

 

高専に入学するくらいの年齢になってから美穂は義父が真希真依を高専にいれると言う話になる。

 

真希は当主になると家を出て行き、真依は必然的に京都校に入れられる事になった。

 

まぁ、かくいう美穂も京都校に入る予定なのだが、真依と美穂へ高専に入る前に任務をしろと言われ、半強制的に任務に行かされる。

 

幼い頃から任務慣れしている美穂には簡単な仕事だったが、初任務の真依は震えながら銃を撃ち続けていた。

 

結局呪霊は倒せず、美穂が倒す形になった。

 

三級呪霊でギリギリの真依は震えながら車に乗り込む

 

「………」

 

隣に座り、手を握る

 

それにビックリした真依がこちらを見て来るが、黙って微笑む

 

「私の呪霊で訓練しようか」

 

「……ありがとう。美穂」

 

呪霊は悍ましい。

 

分かってはいるが幼い頃から復讐心だけで動いている自分には関係なかった。

 

だって、人間の方が怖いのだから

 

 

ー数日後ー

 

直毘人の援助もあり、呪術高専京都校に入学することになった。

 

学校に行く前に学生書を手渡される

 

直毘人から『見るなら車の中にしろよ』と言われる

 

「真依ちゃんと一緒は凄く嬉しい」

 

隣に座る真依にそう言うと『東京じゃなくてよかったわ』と言われる

 

真希が高専に行くと言ってから真依も流れるように高専に通わされることになった。

 

それはまぁ、真希というメンタル強がいなくなり、禪院の嫌がらせが真依に向くのを考慮した直毘人の配慮なのだが、どうせ伝えていないだろう。

 

「等級は?」

 

「はい」

 

そう言って見せる。

 

学生証の上には『特級』とあった。

 

真依は『私はあの任務で震えてたのに三級よ、どうせ真希への嫌がらせの一環よ』と言われる

 

「女々しい嫌がらせだね、私に嫌がらせして欲しいのに」

 

「……貴女の場合、嫌がらせにならないでしょ」

 

そう言われ『そうかな』と適当に返す

 

 

 

(…メカがいる…!)

 

教室に入った時に真っ先に目についたのはロボットと青い髪の子だった。

 

「三輪霞です!よろしくお願いします!!」

 

「……メカ丸と呼んでくれ」

 

「禪院真依よ」

 

「禪院美穂。真依ちゃんとは(義理の)従姉妹」

 

四人でわちゃわちゃしつつ、一限目を終えると、二年との挨拶になる

 

「女子だ!!やった!!」

 

西宮桃が興奮気味に言う

 

加茂憲紀も挨拶を終え

 

「東堂葵だ、栄えある呪術高専に入学した諸君らにひとつ聞きたいことがある。どんな女や男がタイプだ!」

 

西宮は心底ウザそうな顔をする

 

「ぶん殴っても吹き飛ばしてもメンタル割れない金髪チャラ男がタイプ!」

 

元気に返す美穂にビクつく三輪とメカ丸が『そうなのか』と呟く

 

(……まさか、禪院直哉…?)

 

染めたとはいえ、金髪だしチャラ男通り越してゲスだが

 

「ふん!内面のことではない!!」

 

「いや外見も言った」

 

「まともに相手にしなくて良いよ」

 

西宮に引っ張られ校庭に向かう

 

体術訓練をすることになり、歌姫がペアを発表する

 

「三輪と加茂とメカ丸、西宮と真依、東堂と美穂ね」

 

そう言われ、西宮が「美穂ちゃんだけ可哀想です」とはっきり言う

 

「…美穂の方が等級上だし、純粋に殴り合いしても東堂は怪我しないから大丈夫なの」

 

そう言われ美穂が『筋肉ゴリラは素直に嬉しい』と呟く

 

「え?!美穂さん等級、東堂先輩より上なんですか?」

 

三輪の言葉に『特級って書いてあった、それって凄いの?』と首傾げる

 

「特級呪術師は一般的な呪術師の斜め上に位置している。特級になれる基準は『一人で国家転覆が可能な者』だ」

 

加茂の説明に三輪が良いリアクションで『ひ、一人で国家転覆?!』と反応する

 

「国家に興味ない」

 

キッパリ言う美穂に『興味なくて良いよ』という西宮

 

「つまりはブラザーということか!」

 

「まだ殴ってないよ」

 

「殴る前提なのか…」

 

歌姫は手を叩くと

 

「ちなみに、術式に関しては相手を殺さない程度なら使用可能。美穂は言わずもがな特級は出さないこと」

 

「OKです。死にそうになったら出します」

 

「殺す前提の話はしない」

 

東堂と向き合い、歌姫の号令と共にスタートする

 

東堂が「女だからと言って容赦しないぞ!」と言って殴りかかってくる

 

クルッと回転して東堂の背後に回る

 

パンっ!と手を叩く音が聞こえ、東堂と位置が入れ替わっていた。

 

「ふんっ!!」

 

東堂の拳が襲いかかってくる

 

呪力を纏った手で拳を受ける

 

「…ホント、女性を殴るのに容赦しないんだ…」

 

真依の呟く声が聞こえる

 

「……」

 

美穂は迷いなく東堂の急所に拳をお見舞いする

 

「Ooo…!!」

 

悶絶しながら吹き飛ばされる東堂

 

「あ、ごめん、反射」

 

近寄って行き『無事?』と聞く

 

「良い打撃だったぜ、マイブラザー」

 

「兄弟いないよ」

 

ガクッと気絶した東堂と歌姫が『反射って何…?』と呟きつつも終わりと言われる

 

「美穂ちゃん、手洗って来な」

 

西宮に案内されて手洗いに向かう

 

 

 

 

京都校のメンツは一癖も二癖もある人たちばかりだった。

 

禪院家と違って悪口が聞こえない楽園だ。

 

(…東堂先輩の術式は入れ替えか…そう考えるとちょっと厄介かもなぁ)

 

鍛錬相手の術式を思い出しながらリンゴジュースを飲んでいた。

 

東堂の入れ替え術式はいつ来るか分からない。

 

本気で敵対した場合、呪霊と東堂の場所を入れ替えられたら洒落にならない。

 

(…死神、なら無効化出来るだろうけど…タイミングずれたら私がやばいしな…)

 

死神と付けてはいるが、取り込んだ覚えのない特級呪霊

 

兵士のような姿をした呪霊。

 

私のことを助けてくれた呪霊

 

よく分からないが、兵士と名前を付けようとしたら少し嫌がったので死神と付けたら何故かそれで良いような反応を返された。

 

ジュースを飲みながらふと窓の外に見える星空を眺める。

 

(…ちょっと稽古してから寝るか…)

 

任務に行って呪霊を回収した後、稽古しようと思い立ち上がる

 

体育館にて…

 

京都校に入学してから東京の任務に行くことも増えつつ、呪霊を殴っては食べ、殴っては食べを繰り返しつつ、目標に辿り着けないことに深いため息をつく

 

「美穂」

 

声が聞こえてくる

 

「あ、真依ちゃん」

 

体育館の入り口にいた真依が入ってきて「任務終わったんなら寝なさいよ」

 

体が持たないわよと心配してくれる

 

「うん、まぁ…ちょっと、彼と話してた」

 

「会話は聞こえなかったけど?」

 

「頭の中で会話してた」

 

目の前の兵士姿の呪霊を見て真依が『物々しいわね』と言われる

 

「とりあえず、今日は早く寝なさい」

 

明日も早いのよと言って立ち上がる

 

「うん、ありがとう」

 

そう言ってその兵士呪霊に背中を向けると

 

ガシャっと言う音がし、美穂の頭を撫でてくる

 

「……?」

 

振り向くと兵士が姿を消す

 

 

 

 

 

授業終わり、任務を終わらせ戻ってくる

 

「メカ丸くん、ノートありがとう」

 

『例ニハ及バナイ』

 

「任務お疲れ様です!特級ってだけで任務多くて大変ですね」

 

そう言って三輪がチョコレートをくれる

 

「そんなことない、任務は楽しい」

 

「うへー、凄いです。流石特級術師!」

 

三輪が素直に褒めてくれる

 

「これから授業するわよ」

 

歌姫の言葉に「はーい」と返す二人

 

 

 

 

授業終わり、歌姫が声をかけてくる

 

「硝子からの連絡、ちゃんと病院行ってるの?」

 

「…………病院?」

 

そう言うと大袈裟にため息をつかれる

 

「硝子が京都に来てるから、見せに行くわよ」

 

連行されるまま保健室に行くと

 

「うん、ちゃんと悪くなってる」

 

家入が目の前に座った美穂に向けて言う

 

禪院家に行く時、当主に言わなかったのか?やそもそもまともに飯食えてるの?とかいろいろ聞かれる

 

「………完全に忘れていたというか、こういうものかなと」

 

目を背ける

 

そもそも禪院家では割と面倒を見てもらっている方だと伝える

 

「まぁ、いい。今後、色盲を取り戻すためにいろいろ治して行くぞ」

 

まずーといろいろ説明される

 

「治さなくて良いですよ」

 

禪院家に迷惑はかけたくないし、治らない方がきっと良い

 

(景色が見えない方が幸せだし)

 

そう思っていると家入がため息をつきつつ

 

「何を言っても止まらないのは分かるし、耳にタコが出来るほど言われてたのは分かる。でも、私個人としては実の兄を殺すっていう目標を辞めて高専での生活をするのが精神面でもその色盲も治るのに繋がる」

 

家入の言葉に美穂は

 

「歌姫先生にも同じこと言われました。でも、これだけは譲れないんです」

 

ごめんなさいと言って背中を向けると

 

「じゃあ、約束。夏油を殺して後を追うなんて考えは無くすこと」

 

「…しませんよ」

 

そう言って手を振って去っていく

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