※設定上2022年になっておりますが、過去から投稿してたとかじゃないです。一応。
「託夜さーん? 寝正月するつもりですかぁ?」
十二月三十一日、ソファで寝転がるオレの視界を当たり前のように覆う人影。
黒く長い髪に、特徴的な紫色の瞳。
一見すれば全体的に冷たい印象を受けるが、へにゃっとした笑い顔が全て崩してくる。
……他に人が居るとキリッとしてる癖に。
とまぁ、そんな目の前の相手は
「……いや、まだ正月入ってないし。そもそももう良い子は寝る時間でーす」
時間は午後九時頃。
正直眠いし、陽奈華は家族と過ごすとか聞いてたから普通に寝ようとしてたのに。
「子じゃないしぃ? あ、妹とかおばあちゃんは寝たからそこは安心してもらって」
「ご両親は?」
「さぁ? 二人でお酒飲みながらあたしに託夜の所行ってこーいって」
それで良いのか……?
まぁ、信頼されてるって事で良いか……。
「そうかぁ……で? 陽奈華さんは何がご所望なので? 一人で過ごすもんだと思ってたから特段何も用意できてな────」
「えー? 初詣?」
まぁ、そうなるか……。
にしても、初詣、か。
「
昔なんかは隣町に行ったような気もするけど。
「あー……そこは……ほれ、託夜、バイクあったでしょ」
「……運べと?」
「正っ解!」
一瞬ルールを盾に逃げようかとも思ったけど、目の前の相手はオレが二人乗りできる条件を満たしてるのを知ってる。
で、この調子だとオレが酒飲んでないと思ってるな。その通りだけど。
「まぁ、うん。良いよ」
わざわざ来てもらった手前、追い返すのも悪いし。
「わぁい。託夜さん大好き」
「はいはい。オレも好きですよー」
オレはようやく起き上がり、外出の準備を始める。
「……にしても、明日に妹さん達と行かなくて良かったのか?」
このタイミングで出たりしたら明日眠くなるだろうに……。
「んー? 託夜と家族は別だから。それにほら、妹の干支はあと二年後だし?」
「……ん? 辰年は来年じゃ……あぁいや、まだ年越してないからまだなのか」
「そうでーす。ほら、寝ぼけてないで、早く行こ!」
陽奈華はすっかり行く気満々でドアの向こう側に移動して顔を覗かせている。
寝ぼけてると思うなら安全優先した方が良いと思うけどなぁ。
「はいはい。神社と新年は逃げませんよー」
「あたしからすると逃げるんですぅ」
オレは準備も終え、ワクワクを滲み出したままの陽奈華の方へ向かう。
これは、西暦2022年の最後の日の事だった。