【般若】ー華の血編ー   作:original

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“華の血”の情報を探していた樫木と実。堂江組が最近櫻上組のシマである新宿にまで聞き込みをしていると話を聞いた樫木は、偶然にもその堂江を見つけてしまう。

 堂江はにんまりと口を開き、肩で空を切るように堂々と歩いてきた。
 やがて樫木の前まで来ると、樫木と実をつま先から顔まで舐めるように見ると、少し掠れた声で話し始めた。



ー 第四代白蓮連合会直系堂江組 ー

 「おぅ、兄ちゃんら。この辺のシマか?」

ー 第四代白蓮連合会直系堂江組三代目組長【堂江 和利(どうえ かずとし)】ー

堂江はニタッと不敵に微笑むと、樫木を見つめる。

 「だったら何だっていうんだよ。」

 「―――んいや別に。」

堂江の顔から笑みが消える。

 「何だ、オメェあれだろ。この辺じゃあ櫻んとこか?」

 「あぁ、そうだ。俺もこいつ(実)も櫻さんとこでやらさせてもらってる。」

 「そうか。そうか…。」

 「おめぇ、この辺のシマが誰のもんか知ってんのかこの野郎。」

ズボンのポッケに手を入れ仁王立ちのまま直立不動の樫木。十数人を連れた堂江の顔に苛立ちが見え始める。

 「てめぇ、誰に向かってのその口だ?」

 「オメェと話してんだ、オメェ以外誰がいんだ馬鹿野郎。櫻上組(うち)堂江組(あんたんとこ)とは昔ドンパチ起こしてんだ、覚えてねぇ訳あっかこの野郎。」

睨むように堂江は樫木を見つめる。樫木も堂江の目を離すことなく、直立不動を決め込む。お互いにとても冷静に話しているが、その間には痺れるほどの威圧感と凄みのある雰囲気が漂っていた。

 「―――そうか、てめぇ口の利き方知らねぇらしいな?」

 「あんたも“礼儀”知らねぇんだな。」

暫くの間堂江と樫木の睨み合いは続き、やがて目を逸らした堂江は隣にいた取り巻きに話しかける。

 「おう、道具貸せや。」

堂江はそう言うと何かを受け取る。

樫木のシャツに何かが突き付けられる。

 「この世界いんなら…これが何か分かるよな。」

 「…チャカか、こんな場所で出すなんざ大分先急いでんだな。」

樫木は腹に突き付けられたリボルバーをさらに押し込むように一歩歩みを進める。

 「――随分と冷静だなぁ。お前何者だ?」

 「ふ、さあな。」

ニッ…と不敵な笑みを浮かべた樫木に、堂江はさらに睨みを強める。

 「殺っちまうぞおいコラ。」

 「ここでか?殺れんなら殺れや。」

――――カチャ……

堂江は撃鉄を指で起こす。新宿の大通り、大勢の人の群れに大勢の人の声が響くこの大通り。だが、確かに樫木と堂江の周りには、静寂とはまた違う静けさがそこにはあった。

二人だけの睨み合いが続くと、堂江は静かに銃先を下した。

 「今回だけは見逃したる。次はねぇぞ。」

堂江は腹の輪入道を少しなでると、樫木に背を向けてその場を後にした。

 「樫木さん…あなた何者なんすか…。俺、この道6年…こんな場面初めてですよ。」

実は樫木にそう言うと、全く吸ってなかった煙草を灰皿に捨てた。

 「いやまぁ…俺は別に言いたい事言っただけだ。まぁ、これで堂江もこの辺うろつかなくなるとは思うんだがな…。」

樫木は実に少し目をやると、事務所に向け歩き出した。

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