【般若】ー華の血編ー   作:original

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堂島と鉢合わせた樫木。無事難を逃れた樫木と実は事務所へと向かう。


― 直談判 ―

 「櫻上さん、話したいことがあります。」

事務所に入った樫木は開口一番そう口走ると、櫻上の前で深々と頭を下げた。

 「…客間、行くぞ。」

 「どうした、樫木。実も一緒になって、ヘマでもしたか?」

椅子に座った櫻上はそう言うと、フッと笑って見せた。樫木はそんな櫻上とは真反対に真剣そのものの表情で重々しく口を開いて見せた。

 「今回の件、誰からの依頼ですか。」

 「今回つうと、“華の血”のことか?」

 「はい。」

 「会長だ。 …総会の時にな。今頃なんでそんなこと気になった?」

 「俺と実はさっきそこで、堂江と会いまして。」

 「あぁ、どうやら最近こっちのシマまで動きを見せとるらしいな。」

 「えぇ。」

 「それで?何だ。殺っちまったか?」

 「いえ、そんな真似は。」

樫木は少し頭を搔くと、少し言いずらそうに話し始めた。

 「ハジキ(チャカ)持ってまして。」

 「ハジキィ?」

 「えぇ、それも大通りで。堂江は昔から大胆って言いますか、向こう見ずな所あるっては思ってましたが、今回の件、相当急いでるなと…。」

櫻上は煙草に火を点けると、顔を渋めた。

 「そうか…怪我、なかったか?」

 「――はい。」

 「そんで、その報告か。ただまぁお前、それだけじゃないよな。」

 「はい。」

 「あのお前がそんな畏まって、相当言いづらいことなんだろ。何だ、言ってみろ。」

 「頭、俺を白蓮連合会に連れて行って下さい。」

実が驚いた顔で樫木を見る。櫻上はまだ残っているタバコの火を消すと、樫木を真剣な顔で見つめた。

 「お前、それ本気で言ってんか?」

 「頭。俺はいつだって本気です。」

 「会長がお前の為に時間取ってくれると思ってんか?」

 「頭、そこは頼みますよ。」

樫木はそう言うと微笑を浮かべた。

 「…俺の顔に泥塗るような真似はせんといてな。」

そういった櫻上はスッと立ち上がり、ゆっくりと客間を去っていった。

2019年 8月某日

 「ここか…。」

櫻上と話を付けた一か月後、樫木は白蓮連合会総本部に呼び出しを受けた。

 「樫木さん、俺運転なんで車ん中で待ってますね。」

 「おぅ、ありがとな。」

アルファードを移動させた実を見守ると、樫木は正面の門に歩みを進めた。

 「樫木 真さんですね?」

黒のスーツを着た男は樫木にそう尋ねる。確認が取れると門を開き、樫木を中に入れた。

 「久々に来たがやっぱ豪勢な造りだな。」

樫木はそう言うと周りを見渡す。木造の作りで余すことなく豪華な装飾。中に入るといくつもの部屋があったが、樫木は最奥の部屋へと案内された。

 「こちらに、会長及び幹部の方がお待ちです。」

案内した男はそう言うと樫木の元を去った。

――コンコン。

 「失礼します。」

 「おう、入れ。」

樫木がドアを開けると、向かい合った20程ある革張りのイージーチェアに3人。茶色の革が張られたエグゼクティブチェアに60歳ほどの和服を着た貫禄のある男が座っていた。

 「お久しぶりです、会長。」

 「おう、樫木。久しぶりだな。」

―第四代白蓮連合会会長 白蓮 昭(はくれん あきら)

和服の男は樫木にそう挨拶すると、樫木を懐かしそうに見つめた。

 「幹部の方々もお元気そうで。今日は、お三方だけですか。遠路遥々、ご苦労様です。」

 「まぁ、立ち話もアレや、そこでええから座れぃ。」

―第四代白蓮連合会若頭幹部 和紋 花道(わもん はなみち)

 「ありがとうございます。」

 「しかし樫木君がわざわざ来るってのは、珍しいですよね。菊川さん。」

―第四代白蓮連合会本部長幹部 藤山 尊(ふじやま たける)

 「あぁ。昔よりは、落ち着いてる印象はあるが…牙を抜かれた、って訳でも無さそうだな。」

―第四代白蓮連合会若頭補佐 菊川 宍道(きくかわ しんじ)

 「えぇ、最近は専ら戦争もないですから。俺自身もなるべく櫻上さんには面倒は掛けたくないですから。」

少し笑うようにそう答えた樫木に、昭が問いかける。

 「櫻は元気か。」

 「はい、変わらずです。今朝もしのぎの件で部下にキレてました。」

 「ハハハ…そうかそうか。 ―アイツとは、盃も交わした親子みてぇなもんだ、帰ったらよろしく言っておいてくれ。」

 「はい、もちろんです。」

微笑を浮かべる昭に樫木は深々と頭を下げた。割って入った花道が続けて質問をする。

 「んで、あぁー…さっそく本題だが。今日は何が目的だ。会長も忙しい中来て下さってんだ。手短に用件言ぃや。」

眉間にしわを寄せ、樫木を睨むように見つめる花道。樫木は花道にへぃ、と返事をすると真剣な眼差しを昭に向け口を開いた。

 「会長、俺にも盃を貰えませんでしょうか。」

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