正義の理解者   作:火取閃光

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第5話

 白い、真っ白な雪の妖精の様な小さくも貴賓に満ちた少女だったと思いつつ初恋の様な淡い気持ちを抱いた。

 

「貴方が嗣郎ね! 私はイリヤスフィールよ! 今日から私がお姉ちゃんなんだから、よろしくね嗣郎!!」

 

 あの後、僕に出来うる限りで宝具を投影した事で切嗣は完全装備した状態でドイツにあるアインツベルン城へ向かった。

 

 結果は言わずもがな。完全勝利である。

 

 本来なら幾ら攻撃系の宝具を持ったからと言っても、第三魔法(ヘブンズフィール)を輩出した大魔術家系の大工房を潜り抜けるのは至難の業と言える。

 

 侵入者が例え英霊だとしても苦戦を強いられる場所だが切嗣には嗣郎から渡されたルールブレイカーと言う切り札が暴威を振るった。

 

 本来なら侵入者を生きて帰さない為に発動する大規模防衛魔術はその宝具により一瞬にして無力化される。

 

 それにアハト翁は何が起きたのか理解出来ず思考停止した。

 

 元々、ホムンクルス製造について当代一の凄腕大魔術師だったが、生きた石版と言う異名があるほど頑迷で第三魔法以外どうでも良いと思う老人だった事もありアインツベルンを裏切った切嗣にそれほど関心は無かった。

 

 だから、イリヤスフィールの返還を求められた時は普通に無視を決め込み工房内に入れば勝手に死ぬだろうと放置した。

 

 しかし、それが仇になったと思い知らされる羽目になった。

 

 なんと衛宮切嗣はなんの準備も無しにアインツベルン城に組み込まれた防衛魔術を一瞬にして無力化する魔法を彷彿される反則を行ったのだ。

 

 それでも、城の周りには人型や獣型のホムンクルスが警戒に周り侵入者を討つ防衛はまだ残っていた。

 

 しかし、そこでも衛宮切嗣は何処から入手したのか不明だが宝具級の魔術礼装で応戦した。

 

 卓越した戦闘技術と経験。

 

 魔法並みに反則じみた魔術無効化の礼装と伝承保菌者と遜色ないほどの神秘で溢れた衛宮切嗣は、最早鬼神の如き破竹の勢いで攻め落とし工房を機能不全手前まで追い込んで交渉した。

 

 流石のアハト翁もこれには参っていた。

 

 そして、こんな人の形をした鬼に宝具級の神秘を含んだ礼装と言う金棒を渡した手下人を心の中で憎んだ。

 

 そして、切嗣は事前に用意していた自己強制証明(セルフギアス・スクロール)をアハト翁を含むアインツベルンのホムンクルスと契約を交わして今後切嗣の家族やその関係者と敵対しない旨の内容を交わした事で無事に帰還した。

 

 その際にイリヤスフィールのお世話役として使用人紛いをしていたセラとリズも一緒に冬木の衛宮邸へ来た事で一気に家族が増えた感じだ。

 

 そんなこんなあり切嗣と出会って2年が過ぎた頃、僕はとある礼装を投影した。

 

 それは並行世界にてみんなの正義の味方と言う理想から愛する人だけの正義の味方になると選んだエミヤの片腕を引き継いだ衛宮士郎の記憶にあった宝石剣ゼルレッチ。

 

 イリヤ達が来てから共に魔術の訓練を行う過程で聖杯戦争の事や第三魔法の事などについて詳しく知った。

 

 その過程で自身の魔眼の事や根源について話した時に自然とゼルレッチ・キシュア・シュバインオーグの第二魔法の話題になり試しに投影した流れだった。

 

 正直言えば上手くいくとは思えなかった。

 

 確かに僕と腕士郎は英霊エミヤと一種の融合を果たした存在だから似ているし近しい存在だ。

 

 投影に伴って義姉のイリヤからアインツベルンの記憶も見させてもらった。

 

 だから、宝石剣の解析は済んでいたが魔術回路の強度もそうだけど、根本的な生物としての恐怖心と言うか投影後に魔術回路が暴発する様ななんとも言い得ぬ失敗のイメージがあったからだ。

 

 だが、そんな自身のイメージとは裏腹に実際に行った投影魔術では腕士郎よりも精度の高い、いや高過ぎて彼の経験が内包された真に迫る魔術礼装ゼルレッチが出現した。

 

 憑依経験による宝石剣ゼルレッチに内包された並行世界の運用方法についての共感で極小の孔を開けた魔法の真似事を再現したのだから周囲は嗣郎のヤバさを再認識して礼装を破棄した。

 

「ふむ……。まさか遠坂の所有する霊地でこの様な存在が居るとは思わなかったな」

 

「えーっと……? 貴方はどちら様でしょうか??」

 

 見た事はない老齢な貴族の様な気品と出立を醸し出す人外がいつの間にか衛宮邸に居た。

 

 人外と評したのは記憶にあるサーヴァント達よりも強く何処ぞの英雄王にその雰囲気が似ていたからだ。

 

「いや、失礼したな。儂はゼルレッチ。ただの隠居した魔法使いだ。そなたの名前を聞いても良いかな?」

 

 今更ながら僕はヤバい事してしまったと思い目の前が遠くなった。

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