ダーク・フォー・ワン『新時代を作るには何が必要だと思う?そう、人々の笑顔だ!』   作:バケギツネ

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俺色に染まれぇ!!

 

 ◇

 

 雄英生を閉じ込めた悪趣味な宮殿のすぐ横で、英雄(自称)と魔王(モノホン)の激戦が繰り広げられていた。

 

  オール・フォー・ワンはシャイニングマイトの攻撃によって、右腕を失い内臓も幾つかを損傷している。

 

 複数の個性を併用し、それを何とか補っているのが彼の現状だった。

 

『今の一撃でも倒せないとは!ラスボスらしいしつこさだ!こうなったら、“アレ”を使うしかないな!!』

 

 オール・フォー・ワンとの決着をつけるべく、シャイニングマイトは魔王像の立ち並んだ黄金の宮殿へと、ひとっ飛びで着地する。

 

『さあ、シャイニングマイト伝説のクライマックスだ!その目に焼き付け...もがっ!!』

 

『そうはさせないよ、シャイニングマイト。』

 

 シャイニングマイトの口からは、彼と真逆の野望を持つ自称魔王がヒョッコリと顔を出していた。

 

 ダーク・フォー・ワンの復活である。

 

『何故って?僕がいるからさぁ!!』

 

『出たな!クッソ、鎮まれ!!俺の中の闇よ!!』

 

 自らのダークサイドを必死で制御しようとするシャイニングマイトは、口から飛び出していた偽魔王を無理やり体内に収納しようとする。

 

『無駄だよ!光が強くなればなるほど、闇もまた色濃くなる!!大人しく、僕に身体を明け渡すんだシャイニングマイト!!』

 

『ふざけるなっ!お前のような卑劣な悪に、正義が屈する事はない!!』

 

 まるで1人芝居のようなやり取りの後、シャイニングマイトは何とかダーク・フォー・ワンを飲み込む事に成功した。

 

 しかしその直後、彼の胸を突き破ってダーク・フォー・ワンの顔が現れる。

 

『オールマイト、宿敵として1つ忠告しておくよ!』

 

 ダーク・フォー・ワンは、離れた場所で呆れ顔をしていたオールマイトの方へと首を捻る。

 

『っ!何の真似だ?』

 

『シャイニングマイトは危険だ!奴は狂っている!!』

 

『お前もな。』

 

『ププッ、最高のジョークだが、今はツボっている場合じゃな、ぎゃっ!!!!』

 

 オールマイトのごもっともなマジレスをスルリといなした偽魔王だったが、自身の顔面を狙ったシャイニングマイトのパンチは避けられなかったようだ。

 

 堪らず顔を引っ込めたダーク・フォー・ワンは、今度はシャイニングマイトの後頭部から、少し腫れた顔を出す。

 

『見てくださいオール・フォー・ワン!顔をスマッシュされてしまいましたぁ!!これで貴方とお揃いですねっ!!ふふふふっ...ぷぎゃあっ!!』

 

 再び殴られたダーク・フォー・ワンは、今度はシャイニングマイトのケツの辺りから顔を出していた。

 

 ダーク・フォー・ワンが()ってるよ〜。

 

『さて、話を戻そうオールマイト。いいかい?シャイニングマイトは君をリスペクトしているようだが、その癖、君の本質をまるで理解しちゃいない!憧れの人からの教えを履き違えるなんて、まったく、ここまで来ると哀れを通り越して滑稽だよ!』

 

『......自分で言ってて、何か思うことはないのか?』

 

『ああ、そうだね。愛と平和を願うオール・フォー・ワンの理想を、唯一理解している僕とはえらい違いだ。正に真逆の存在って感じだね。』

 

『いや、だいぶ似たもの同士だと思うが。』

 

 憧れからの教えを履き違えた哀れを通り越して滑稽な奴は、マイペースに話を続ける。

 

『とにかくだオールマイト!シャイニングマイトは危険すぎる!今のうちに、どんな手を使ってでも止めるべきだ!!』

 

『確かに奴は無茶苦茶だが、一応今はヒーロー側として、オール・フォー・ワンと戦っ......

 

『手を組もうオールマイト!共にシャイニングマイトを倒そうじゃないか!』

 

『人の話を聞けえ!!!』

 

 ダークなんちゃらは、シャイニングなんちゃらのケツから生やした手を、オールマイトへと差し出した。

 

『シャイニングマイトは確かに恐ろしい相手だ!でもねえ、僕“達”と君が手を組み、“3”人がかりで挑めば、必ず勝てる!!』

 

『ナチュラルに僕をカウントしてないかい?』

 

 離れたところにいた最愛の人(オール・フォー・ワン)すらも巻き込んで、復活したてのダーク・フォー・ワンは暴走を続ける。

 

『魔王!平和の象徴!そして僕っ!!!夢の共演といこうじゃないか!ほら、まずは握手しようオールマイト!』

 

『断る!!!!』 

 

『困った男だなぁ〜。ほら、貴方からも、何か言ってやってくださいませんか?オール・フォー・ワン!』

 

『ノーコメントで。』

 

『聞いたかいオールマイト!オール・フォー・ワンは乗り気だ!“言うまでもなく”、この作戦に賛成だそうだ!』

 

 ダーク・フォー・ワンの脳内フィルターの前では、あらゆる発言・行動が、彼に都合の良いよう自動変換される。

 

 要するに全ての会話は無意味だった。

 

『チーム名はどうするべきだろうねえ。全員から1文字ずつ取って、オール・ワン・ワンなんてのは...『越後湯沢すまっしゅ!!』

 

 無駄口を叩き続ける偽魔王の顔は、シャイニングマイトの拳によって撃ち抜かれる。

 

『おのれシャイニングマイト!しかし、これで終わりじゃない!僕を倒したところで、いずれ第二第三のダーク・フォー・ワンが現れ、君を討ち滅ぼすだろう!ふふっ、こういうの一回言ってみたかっ 

 

   DOKAAAAAAAAN!!!

 

『見たか悪党め!正義は必ず勝つのだ!!』

 

 セリフの途中で粉々に吹き飛ばされたダーク・フォー・ワン。彼はその後、再びシャイニングマイトの身体から生えてくる事は無かった。

 

『すまなかったオールマイト。自身の闇に再び飲み込まれそうになるとは、俺も修行が足らないな。』

 

 ケツから煙をあげながら、少し焦げ臭くなったシャイニングマイトは、オールマイトへ形ばかりの謝罪を送る。

 

『ダーク・フォー・ワンは、もう大丈夫なのか?』

 

『ああ。恐らく倒しきれてはいないだろうが、暫くは表に出てこれない筈だ!』

 

 オールマイトからの問いに、シャイニングマイトはサムズアップで答えるのだった。

 

『ずっと疑問なんだが、君にとってのダーク・フォー・ワンは、どういう存在なんだ?』

 

『俺の影、とだけ言っておこう。決して設定が定まっていないわけじゃないが、親友に語るような事じゃない。ヒーローとして、この秘密は墓場まで持っていくつもりだ。』

 

 相変わらずのシャイニングマイトは、肝心の質問をスルーする。

 

『さて、待たせたなオール・フォー・ワン!今度こそ決着をつけるぞ!!』

 

 汚れていたスーツを新調したシャイニングマイトは、魔王の方へと向き直るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『やれやれ。まさかシャイニングマイトが、あれほど力を増しているとはね。やはり生オールマイトは、相当刺激が強かったとみえる。』

 

 その場所は“今はシャイニングマイトである男”の精神世界。身体の争奪戦に敗れたダーク・フォー・ワンは、その場にポツンと体育座りで佇んでいた。

 

『あっ!!!!そういえば、シャイニングマイトの“真の目的”を、オールマイト達に伝え忘れてしまったな。下手をすればあの場にいる全員......』

 

 ダーク・フォー・ワンの脳裏には、シャイニングマイトがその願いを完遂する最悪のケースが浮かぶ。

 

『まあ、あの場にはオール・フォー・ワンもいるし、何も問題はないだろう。彼ならきっと上手い事やってくれるさ。』

 

 敬愛する魔王に問題を丸投げしたダーク・フォー・ワンは、その場で横になるのだった。

 

『五月蝿いなあ、1人にしてくれよ』

 

 その周囲には、物言わぬ8人の“不合格者”が影となって浮かんでいる。

 

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