ダーク・フォー・ワン『新時代を作るには何が必要だと思う?そう、人々の笑顔だ!』 作:バケギツネ
◆
『ここまで来ると恐怖すら感じるよ。一体何が、君をそこまで突き動かすのかな?』
『ヒーローである事。象徴である事。先代たちから思いを託された事。守るべき市民の幸せがある事。応援してくれる人がいる事。戦う理由も、負けられない理由もっ、ありすぎて困るほどさっ!!』
ああっ! カッコいい!!
オールマイトッ!!
素晴らしい!耐えている!
痛みに! 苦しみに! 命を懸けて!
正義!そう!正義だ!正義なんだ!
カッコいい!カッコイイ!カッコいい!
憧れる! なりたい!なれる!
俺は生きれる!俺はヒーロー!!!
五月蝿い!黙れ! 静かにしろ!
ああ苦しい!大丈夫!!
俺は英雄俺は英雄俺は英雄俺は英雄俺は英雄俺は英雄俺は英雄俺は英雄俺は英雄俺は英雄俺は英雄俺は英雄俺は英雄俺は
英雄として生きるっ!!!!
『俺の名はシャイニングマイト!この混沌に希望の光をもたらす天下無敵の新たな英雄だ!』
◇
『君たちに1つ問おう。正義のため、命をかけて戦う覚悟はあるか!?俺と共に戦ってくれるかぁ!?』
ダーク・フォー・ワンがUSJ内に持ち込み、雄英生たちや敵連合を飲み込んでいた黄金の巨大要塞。
その機能を掌握したシャイニングマイトは、ヒーローの有精卵たちに中継を繋ぎ、(無自覚ながら)オールマイトを装った詐欺紛いの手口で、彼らの協力を取り付ける。
『よく言った!その勇気っ、それでこそ真のヒーローだ!やはり君たちは英雄となるにふさわしい!俺と共に行こうじゃないか!!』
とあるクソナードや性格下水煮込み、その他一部メンバーの反対の声は届かず、シャイニングマイトは多くの人間を乗せたままの宮殿を、彼色に染め上げた。
『これが俺のっ、いや俺たちの最終兵器、シャイニングキングだ!いや、シャイニングオー、もしくはシャイニングカイザー、あ!グレートシャイニングなんかも捨てがた...
『また面倒な事を...!』
槍骨+増殖×3+肥大化×3+鋲突。魔王は自身の左手からは不気味な蔦を生み出した。凄まじい勢いで伸びていくそれは、シャイニングロボ(仮)の全身を絡め取っていく。
『発条化+膂力増強×3+押し出し+鋲突+ダークボール+光塵+風刃+ショックウェーブ+火炎+加速。』
強力無比なエネルギー弾がコクピットへと放たれた。しかし、シャイニングマイトの腹たつニヤケ面は崩れない。
『無駄な足掻きはよせ!シャイニングエース(仮)に、そんな小細工は通用しない!!』
自身に巻き付いていた触手を力づくで引きちぎったシャイニングマックス(仮)は、その背中に背負っていた巨大なブレードを引き抜いた。
『説明しよう!シャイニングブレードとは、高密度の純金によって作られた刀身に微量の個性因子を纏わせることによって、凄まじい切れあ、シャイニングスラーーーッシュ!!』
魔王の一撃は、シャイニングバスター(仮)の一刀の元両断され、その背後で爆発を起こす。
『さあ、次はこちらが攻める番だ!!』
シャイニングナイト(仮)の持つ大剣は2つに分かれた後にその形を変え、シャイニングフィーバー(仮)の背中に、幾何学的な両翼を形作っていた。
これによりシャイニングタイタン(仮)は、飛行能力こそ得なかったが、見栄えが大幅に良くなっていた。しかしその代償として、翼の重量分だけ機動力が犠牲になっている。
『あ、そうだ忘れていた!A組の諸君!』
団結し共に闘っている仲間達のことをたった今思い出したシャイニングマイトは、再び要塞内に中継を繋ぐ。
『俺と一緒に必殺技を叫ぼうじゃないか!いくぞ!せーのっ!!!シャイニッ、あれ?せ、せーーーのっ!!!ちょ、せーのっ!!......もういいっ!いくぞーーーッ!』
待ちきれなかった主人の命令で、シャイニングギガント(仮)は、その巨体に鬱陶しいほど眩い光を纏わせながら、フルパワーで突進する。
『シャイニング・ファイナリー・ジ・エンド・オブ・ラスト・フィニッシュ・エンド!!!』
『凝火扇+押し出す+増殖×3+肥大化+電波+膂力増強×3+ダークボール+光塵......っ!!!』
魔王の全力の防御に阻まれてなお、シャイニングハオー(仮)は止まらない。
『オール・フォー・ワン!貴様は必ず俺が倒す!!この命に替えてもだ!うおおおお!ハックション!うおおおおおおおお!!!』
『っ...!!!』
シャイニングアメイジング(仮)の全身はプリズム状に発光し、オール・フォー・ワンを飲み込んでしまう。
『これがっ、英雄の力だぁ!!!』
悪の魔王をその内部に封じ込めた胡散臭い煌めきは、右手のピースサインを掲げるシャイニングアクセル(仮)の姿へと戻った。
『とおっ!』
そのコクピットから無駄な回転を加えた宙返りで飛び降り、オールマイトのすぐ近くへと着地したシャイニングマイトもまた、同じポーズをとっている。
自称英雄、勝利のスタンディングだった。
『HAHAHA、よしてくれオールマイト!そんなに褒めないでくれよ!!』
『いや、まだ何も言ってないが。』
オール・フォー・ワンを制圧しても尚、シャイニングマイトのマイペースっぷりは健在だった。オールマイトの前で照れ臭そうに頬を染め、ニマニマしながらその触角を弄っている。
『正直、君の事は未だによく分からない。だがオール・フォー・ワンと戦い、大いなる成果を挙げたことは事実だ。ここは、素直に感謝しておこう。』
オールマイトは未だ傷の塞がらないトゥルー・フォームの体を押して、自称英雄に手を差し出す。
『礼を言う。ありがとう、シャイニングマイト。』
『ッ!!!!!!!!』
ホークスもかくやというスピードでその痩せ細った手を握ったシャイニングマイトは、目から大粒の涙を流して喜んでいた。
『ありがとう!ありがとうオールマイト!その一言で俺の人生は報われる!悔いはない!!まさか俺を、次の象徴として認めてくれるとは...!』
『いや、そこまでは言ってないが。それより、』
オールマイトは、USJ跡地に聳え立つシャイニングシャイニング(仮)へと視線を移す。
『生徒たちを解放してくれないか?まだ、あのなんちゃって機動兵器の中にいるんだろう?』
『何言ってるんだオールマイト。俺たちの戦いはこれからだ!!!!』
涙ぐんでいたシャイニングマイトの青い瞳。その奥には、静かに燃ゆるものがあった。そしてその恐ろしさを、オールマイトはよく知っている。
『どういう意味だ?』
『まだやるべき事があるのさ。この俺の英雄譚を美しく締め括る、そのためにな!』
錬成したハンカチで涙を拭き取ったシャイニングマイトは、再びシャイニングジョーカー(仮)へと飛び乗った。
『見届けてくれオールマイト!“俺たち”の最期の勇姿をおっぉぉおおっおおをっををっおぉおお!!!!』
急に喘ぎ出すシャイニングマイト。
コクピットへと乗り込んだ自称の身体には、無数のケーブルが突き刺さり、ナニカを吸い上げていく。
『おい、一体何を......』
『心配ない!ラストシーンの為の下準備のようなもの!俺の身体から個性因子の一部を吸引し、エネルギーへと変えているんだ!』
その直後、オールマイトの目の前には無数の映像が投影される。それはシャイニングアームズ(仮)の内部を写したものだった。
『っ!バカな...!!どういう事だ!?』
雄英生、教師陣、敵連合。要塞内に閉じ込められていた全員もまた、シャイニングマイトと同様に無数のケーブルに繋がれて苦しんでいる。
『見ての通りだよ!俺達全員、正義の為にこの身を捧げる覚悟なんだ!生徒たちも俺と思いは同じだと、確認はとっている!』
少し前のシャイニングマイトの問い、『君たちに1つ問おう。正義のため、命をかけて戦う覚悟はあるか!?俺と共に戦ってくれるかぁ!?』
それには悍ましい意味合いが込められていたのだ。
『それに、ヒーローの本分は自己犠牲!君が教えてくれたんじゃないか、オールマイト!!』
シャイニングクライマックス(仮)の身体は、大気を震わせ歪ませる程の、途轍もないエネルギーに包まれていく。
『生徒たちから託されたこのエネルギーを使って、シャイニングフュージョン(仮)を自爆させる!半径1.5キロを跡形も無く吹き飛ばすほどの大爆発さ!!きっと、英雄伝説のフィナーレに相応しい名シーンになる!!』
『ふざけるな!そんな事をすれば...』
そんな事をすれば、シャイニングマイトやオール・フォー・ワンのみならず、要塞内に閉じ込められた雄英生、教師陣、敵連合の残党、そしてオールマイトは、全滅する。
『馬鹿な真似はよせ!』
『オール・フォー・ワン!そして次いでにダーク・フォー・ワン!不死身の魔王共もこれで一巻の終わりだ!!英雄である俺が、この命を以て悪を滅ぼす!!ああ、何てドラマチックなフィナーレなんだぁ!』
憧れの象徴の静止さえも、狂気に眼を血走らせたシャイニングマイトには届かない。彼は相も変わらず、一方通行の思いを語り続ける。
『オールマイト!俺は子供の頃から、ずっと君のようなヒーローになりたかったんだ!笑顔で人を救えるような、そんな英雄に!でも、現実というのは残酷だ。何度も夢を諦めかけたよ。だがっ、俺は確かに成し遂げるんだ!平和の象徴にすら成し得なかった偉業を!この世の誰にもっ、“アイツら”にもっ、文句は言わせない!俺は人殺しの化け物なんかじゃないんだ!!』
『オールマイト!シャイニングマイトは危険すぎる!今のうちに、どんな手を使ってでも止めるべきだ!!』
平和の象徴は、忠告を残していったダーク・フォー・ワンの真意を漸く理解していた。
『この俺こそがっ、最高の英雄だ!!!』
オール・フォー・ワンもワン・フォー・オールも、ヒーローも敵も、全てを消し去らんとする、終末の光が満ちていく。
『刮目せよっ!シャイニングマイト伝説の終幕だっ!』
言い忘れていたが、
これは、ヒーローに憧れ、笑顔で人を助けたかったとある少年が、最高の存在として
-シャイニングマイト:オリジン-