ダーク・フォー・ワン『新時代を作るには何が必要だと思う?そう、人々の笑顔だ!』   作:バケギツネ

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これがエピローグの力ぁ!!!!!

 

 

『UNITED STATES OF SMASH!!!』

 

『豪躯+スケイルメイル+筋骨発条化+瞬発力×12+膂力増強×9+増殖×3+肥大化+鋲+エアウォーク+槍骨』

 

『『ぱああんんちいいい!!!』』

 

 平和の象徴。

 

 最悪の魔王。

 

 そして謎の不審者。

 

 共に満身創痍だった3人は、全ての力を拳に乗せて真っ向からぶつかり合った。

 

 その衝撃は、大気を揺るがし震わせる。三つ巴の収束点に発生した力場は、大地を抉り取り、巨大なクレーターを出現させていた。

 

『衝撃反転...!!』

 

 真っ先に仕掛けたのは、最多の手数を誇る悪の魔王だった。自身の拳に伝わる膨大なエネルギーを、相対する2人の元へと逆流させる。

 

『っ...!』

 

『いってぇぇぇえええ!!!』

 

 その攻撃はオールマイトの内臓から血を噴き出させ、ダーク・フォー・ワン擬きの鎧に大きなヒビを走らせていた。

 

『悪いが、勝つのは僕だ。』

 

 オール・フォー・ワンは拳を打ち付けあった状態のまま、個性の重ねがけによる衝撃波を発生させる。

 

『ぐっ...!!!』

 

『あああああれぇぇぇぇえ』

 

 オールマイトが何とか踏み留まる中、堪え切れなかったシャイニングマイト擬きは、後方に吹き飛ばされていた。

 

『さあ、存分に悔いて死ぬといいよ。平和の象徴!!』

 

 邪魔者を排除した魔王は、更なる個性の発動でその膨らんだ腕にブーストをかける。大きさと威力を増した歪な拳が、平和の象徴を飲み込もうとしていた。

 

『私は、まだ死ねない...!』

 

 とうに限界を迎えているオールマイトの身体。その奥底では、吹かずとも消えゆく程の弱々しい残り火が、煌々と燃えていた。

 

『象徴としてだけでは無い!お師匠が私にしてくれたようにっ!!』

 

 己が役目を果たす前にその美しい聖火が消えてしまわぬようオールマイトは、否、八木俊典は必死で抗い続ける。

 

『先生として、未来の象徴達を教え導くその時までっ!!』

 

 折れた左腕に力を込め、半ば強引にマッスルフォームを発現させた彼は、その両腕で渾身のスマッシュを放っていた。

 

 

 

『次はお前の番だ。頑張ろうな、俊典。』

 

 

 

 生前の師の言葉が、八木俊典の背中を押す。

 

『ヒーローとは、常にピンチをぶち壊していくもの!』

 

 皆んなの為になりますようにと。1つの希望になりますようにと。何人もの人間が時代を超えて次へと託してきたその想いを背負って、象徴は最後の力を振り絞る。

 

『オール・フォー・ワンよ、貴様には分かるまい!この言葉の持つ真の意味を!!』

 

 衝撃反転の個性で打撃を反射するオール・フォー・ワンを、八木俊典は更に上からねじ伏せようとしていた。

 

 平和の象徴は、100%を優に超えるスマッシュを、返し切れない威力と速度で何発も何発も打ち込み続け、魔王の右腕を少しずつ打ち砕いていく。

 

『さらに向こうへ!PLUS ULTRA!!!』

 

 痛みと苦しみを乗り越え、前へ進み続けたオールマイトの拳は遂に魔王へと届く。

 

『っ...!!!!』

 

『SMASH!!!!!!』

 

 その呼吸器を粉々に砕かれながら地面へと叩き伏せられた魔王は、完全に意識を失っていた。

 

『ハァ、ハァ、次は貴様だ...!!!』

 

 宿敵を下したオールマイトは、両腕を紫に染めて口から血を吐き出し続けながらも、自身のパチモンとも決着をつける為、シャイニングマイト擬きが吹っ飛ばされた方へと目をやる。

 

 しかしそこには巨大なクレーターがあるのみで、それの作り主と思われる化け物の姿は影も形も無かった。

 

『奴は逃げたのか?それなら....!』

 

 振り返ったオールマイトは、取り残された黄金の巨大ロボを見据える。その中では、未だ生徒たちが囚われて苦しんでいた。

 

『皆んな、もう大丈夫だ!何故って?』

 

 マッスルフォームの部分的な発動すら叶わない骨と皮だけの身体で、八木俊典は走り出す。

 

『私が来た!!!!』

 

 自身を象徴たらしめていた強大な力を失っても尚、とある無個性の男は、笑顔で人を助け続けるのだ。

 

 最高の英雄(ヒーロー)として。

 

 

 

 

 

 

 その数分後、USJの跡地に漸く他のプロヒーロー達が駆けつける。

 

 彼らが目撃したのは、シャイニングマイトの内部に囚われていた雄英の生徒及び教師そして敵連合の残党を、たった1人で全員救い出した象徴の姿だった。

 

 単なる偶然か運命の悪戯か。

 

 オールマイトの輝かしいキャリアを締めくくる最後の一仕事は、最悪の(ヴィラン)の撃破ではない。彼が最後に成し得たのは、華々しいデビューを飾ったあの時と同じこと。

 

 ヒーローの本分である人助けだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 神野区の敵連合アジト。

 

 バーに偽装されたその場所で、オール・フォー・ワンの教え子である死柄木弔は、1人佇んでいた。

 

『遅え...!まだかっ!!』

 

 苛立たしげに指で小突いたテーブルは、塵となって崩れ落ちる。彼は今、遣いに出した黒霧からの報告を心待ちにしていた。

 

 程なくして、原型を失ったカウンターの向こう側に黒いモヤが現れる。そこからは死柄木の腹心の顔が覗いていた。

 

『黒霧、先生は!?』

 

『ダメです、死柄木弔。先生は既にメイデンに拘束され、多くのプロヒーローが超厳戒態勢で護送を行なっています。救出は限りなく困難かと。』

 

『チッ、』

 

 手近な椅子を蹴飛ばした死柄木は、不慣れながらも頭を巡らせる。

 

『そうだ、あの化け物!脳無!作りかけでも何でもいい、ありったけ送り込め!!その隙に先生を、

 

『それが、ドクターとは一切連絡がつかないのです!』

 

『こんな時に、何やってんだアイツは!!』

 

 USJに送り込まれた改造人間・脳無。その生みの親である殻木球大はUSJの襲撃以降、音信不通の状態となっていた。彼の協力と調整がない以上、死柄木たちは脳無の運用を諦めるしかない。

 

『なら俺が行く!今の俺なら、』

 

『死柄木弔、気持ちは分かります。しかし、今はまだその時ではありません。』

 

 ダーク・フォー・ワンとの戦闘で個性を急成長させたとはいえ、魔王の正統後継者はまだ青い。そう判断した黒霧は、彼を押しとどめる。

 

『今は闇に潜み、爪を研ぎながら備えるべきです。次こそは万全の状態で、貴方という恐怖を世に知らしめるために。』

 

『........チッ、』

 

 納得などいくわけもないが、死柄木弔は黒霧の真意が分からない程馬鹿ではない。彼は一先ず、まだ崩壊していない椅子を選んで腰を下ろした。

 

 そこでふと、彼の中で一つの疑問が持ち上がる。

 

『おい黒霧。今回の雄英襲撃、知ってたのは誰だ?下っ端共には詳しい経緯を話してない。計画の時間と場所を正確に知ってたのは、せいぜい4人。俺とお前、後は先生とドクターだけだ。』

 

『はい?』

 

『あのイカれ野郎(ダーク・フォー・ワン)。口振りもタイミングも、俺たちの計画を知ってたとしか思えない。なら、どこから漏れたんだって話になる。』

 

 死柄木の眼は見開かれ、今はまだ姿の見えない彼の敵を睨みつけていた。

 

『いるだろ、内通者。』

 

『まさか貴方は、ドクターを疑っているのですか!?オール・フォー・ワンに心酔していた彼が、裏切ったとはとても思えないのですが......』

 

『何にせよ、全部アイツのせいだ...!ダーク・フォー・ワンとか言うイカれ野郎...!あのクソがいなきゃ、もっと上手くいったんだ....!!!』

 

 その瞳は敵意に満ちて爛々と輝いていた。

 

『次会ったら必ず殺す...!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 殻木球大。

 

 オール・フォー・ワンの協力者だった狂気のマッドサイエンティストである。

 

 ダーク・フォー・ワンと死柄木が感動の再会()を果たしたのと丁度同じ頃、彼は自身の経営する病院の地下を訪れていた。

 

 どう言うわけか、彼が全国に設置していたラボの1つが警察に発見されてしまったのだ。

 

 捜査の手が自身の手に伸びるのも時間の問題。そう考えた彼は、必要最小限の資材を纏めて雲隠れを試みる。

 

 しかし、

 

『そ、そんな......何故じゃ!?何故、“アレ”が無い!?』

 

 彼とオール・フォー・ワンの計画を完遂させる為に、最も重要だったパズルの1ピース。それが何者かの手によって、無断で持ち出されていたのだ。

 

『“アレ”の存在を知っておるのは、儂と先生だけだった筈じゃ。一体、何が......』

 

 予想外の緊急事態に頭を抱えながらも、殻木は複製した個性や一部の脳無のみを連れて、自身が長年勤めていた病院を後にする。

 

 

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