ダーク・フォー・ワン『新時代を作るには何が必要だと思う?そう、人々の笑顔だ!』   作:バケギツネ

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これが魔王の力っ!!

 

 

『いや〜、ブラボー!ブラボー!うん!我ながらいい出来栄えだ!オール・フォー・ワンの愛っ、勇気っ、そして慈愛の精神が上手く表現できている!これぞ僕のイメージそのもの!優しいって感じの魔王だ!!』

 

 雄英を襲撃した敵連合を単身でさらに襲撃し、USJの全てを謎の巨大要塞で飲み込んでしまったダーク・フォー・ワン。

 

 今や雄英の一大施設は金色に塗りつぶされ、大量のオール・フォー・ワン像が乱立している。趣味の悪い建物チャートがあったら、ブッチギリでNo.1となるレベルの勢いだ。

 

『しかし、どうするべきだろう。』

 

 新たな魔王(自称)として、それに相応しい圧倒的な力と、(何をしでかすか分からないという意味での)恐怖を、たっぷりと披露したダーク・フォー・ワン。

 

 しかし彼は今、魔王を引き継ぐ者として、耐え難い過酷な選択を強いられていた。

 

『自分自身に1つ問おう!素顔のオール・フォー・ワンに!仮面を被ったオール・フォー・ワン!新時代を象徴するモニュメントとして、必要なのはどっちだと思う!?そう、僕には選べない!うわああああああ!!』

 

 ダーク・フォー・ワンにとっては、どちらも同じくらい尊ぶべき存在。どちらかを諦めるなど、到底できる筈もなかった。

 

『そうだ!いっそ像には、首を2本生やそう!どちらの顔も楽しめてお得だ!!いいアイディアだろう?黒霧に弔!』

 

『いい加減にして頂きたい...!』

『どこまで人をおちょくれば、気が済むんだお前は。』

 

 ダーク・フォー・ワンからの攻撃にガッツリと狙われていた黒霧に死柄木、そして脳無の3人だったが、彼らはワープゲートを駆使し、巨大要塞による吸収から間一髪で逃れていたのだ。

 

 そんな部下達のファインプレーに、ダーク・フォー・ワンは拍手を送る。

 

『中々の反応速度だったよ!弔だけじゃなく、脳無まで救い出すとはね!!』

 

『貴方は誰目線なんですか......』

 

『? 魔王目線だよ!当然だろう?流石は白雲!あ、間違えた黒霧!!その調子で、これからも弔を頼むよ!!』

 

『その名に心当たりはありませんが、何かとんでもない事を口走ってませんか...?』

 

『あ、像のアイディアを思いついた!せっかくなら、幼児期や青年期に至るまで、オール・フォー・ワンのご尊顔を再現しよう!やはり像は四つ首だ!いや、4つの顔に東西南北を向かせて、どこから見ても目が合うように......』

 

 ダーク某の態度に胃痛がplus ultra しそうな黒霧だったが、声と体格が主にそっくりの不審人物を相手に、少しでも情報を得ようと奮闘する。

 

『ダーク・フォー・ワンと言いましたか。あの光は何なのです?中に取り込まれた者達は、死んだのですか?』

 

『フフッ、ふふふふふふっ!冗談はよしてくれよ黒霧!次の魔王たるこの僕が、人の命を粗末に扱うわけないだろう?勿論全員無事さ!!生けとし生けるもの全てを愛する、それが魔王のあるべき姿だからね!!』

 

 魔王、とは...?それはともかく。

 

 巨大要塞の内部には、ダーク・フォー・ワンの個性によって、別世界が形作られていた。

 

暁の監獄(オール・フォー・ワン・ランド)!あの中に広がる、楽園の名さ!!』

 

 余談だが、吸収された者たちが不自由なく過ごせるよう、そこには食糧や娯楽(ダーク・フォー・ワン完全監修)が死ぬほど充実している事を付け加えておく。

 

 ともかく、雄英生や敵連合の有象無象は今、その中に閉じ込められているのだ。

 

『ほら、中の様子も見てみるかい?』

 

 空中にばら撒いた金貨から、ダーク・フォー・ワンは幾つかのモニターを出現させる。そこには、オール・フォー・ワンまみれの要塞内が、鮮明に映し出されていた。

 

『キミ達が数合わせで連れてきた、連合のその他大勢がいるだろう。残念ながら、彼らは不合格だ。』

 

 モニターに映る別世界では、大混乱に陥った有象無象’sが、自分だけは助かろうと同士討ちを始めていたのだ。

 

 そこそこアレな民度を誇るヒロアカ世界での、最底辺ともいえるような(ヴィラン)なのだから、まあ仕方ないっちゃ仕方ない。

 

『彼らは雄英生たちの手で、お縄になるだろうね。まあ、仲間を大切にできない者は、“僕らの”連合に必要ない。そうだろう?弔。』

 

『どの口が言ってんだ。』

 

 死柄木の言うように。先に仲間()を攻撃したのは、ダーク・フォー・ワンである事を忘れてはいけない。

 

『まあ、人はいくらでもやり直せる。彼らが罪を償って生まれ変わると言うのなら、僕の臣下に加える事もやぶさかでは

 

『いい加減にしろ!一体何なんだお前は!?何がしたい!?』

 

 理不尽かつ意味不明なダーク・フォー・ワンからの仕打ちに、死柄木は完全にブチ切れていた。

 

 まあ無理もない。

 

『言っただろう?僕は新時代を作りたいんだ!!愛と平和に満ちた、笑顔溢れる社会をねえ!!!!』

 

 死柄木の激昂を他所に、ダーク・フォー・ワンは自身の夢と理想をノリノリで語っていく。仮面で隠れてはいたが、その素顔はニッコニコだった。

 

『そうじゃない!俺が知りたいのは、何でお前がここに居て、俺たちの邪魔をしてるのかだ!とっとと答えろ!』

 

『いいかい弔。答えを教わるだけじゃ意味がないんだ!自身に考えさせ、成長を促す!教育とはそういうもの...

 

『御託はいい!!!!!』

 

『ふふっ、冗談だよ!ただの魔王ジョークさ!可愛い生徒の為だからね、特別に教えてあげよう!!』

 

 ストレスで首を掻き壊しそうになっている死柄木を尻目に、ダーク・フォー・ワンは自身の目的を明かしていく。

 

『1つ!授業参観のようなものさ!弔の初仕事を見届けたくてね!!』

 

『邪魔です。』

『帰れ。』

 

『2つ!知らしめたかったんだ!オール・フォー・ワンという素晴らしい魔王がっ、この世界には居るんだとね!』

 

『止めてください。』

『迷惑だ。』

 

『ふふっ、そう言うなよ!僕は推しを見つけると、共有せずにはいられなくなるタチでねぇ!この力で僕は、オール・フォー・ワンを布教するのさ!!』

 

『本当にやめて頂きたい...!!』

『迷惑だっつってんだろ!!!』

 

『そして3つ!キミ達を通じて、オール・フォー・ワンとコンタクトを取りたいんだ!彼は中々シャイでねぇ!後継である僕にすら、ちっとも連絡をくれないんだ!』

 

『は、はあ。』

『そもそもお前の事、先生は知ってんのか?』

 

『ふふふっ、ふはははははははは!弔ぁ!君も面白い冗談を言うようになったじゃないか!』

 

『『............』』

 

 死柄木たちは確信する。目の前にいるオッサンが、いかにハタ迷惑な人物であるかを。

 

 そして同時に感じていた。この新たな魔王(イカれポンチ)は、下手をすればオールマイト以上に、計画の障害になり得ると。

 

 あと、シンプルにめちゃくちゃウザいな、とも。

 

『死柄木弔。ここまでの騒ぎになったのでは、大勢のプロヒーローがやってくるのは時間の問題でしょう。当初の計画通りに、オールマイトを狙うのは不可能です。』

 

『どの道今日はゲームオーバーか。でも帰る前に、

 

 死柄木と黒霧、そして脳無は、ワープを駆使した連携でダーク・フォー・ワンへと襲い掛かろうとしていた。

 

『目障りなバグには、ゲームから降りて貰う!!』

 

『やれやれ、ここまでワンパクだとはね!まあ、それでこそ教え甲斐があるというもの!先生、ちょっと張り切ってしまうよぉ!!』

 

 先生を名乗る不審者(ダーク・フォー・ワン)は、掲げた左手で指を鳴らす。そんな中、突如不可視の領域が現れ、死柄木や黒霧を飲み込んでしまった。

 

『おい、黒霧何してる!?早くワープを......

 

『......できないのです。』

 

『はぁ?』

 

 黒霧の得意とするワープゲートは、いつまで経っても開く様子が無い。

 

『これはおかしい!!奴が指を鳴らしてから、個性が一切使えないのです!』

 

 ダーク・フォー・ワンから一定の距離を離した黒霧や死柄木、脳無の持つ力は、魔王の“2つめ“の個性によって発動を封じられていた。

 

『どうなってる!?金を操るのが、ヤツの個性じゃないのか!?』

 

『何を驚いてるんだい?僕は次の魔王なんだぜ?個性の2つや3つや4つや5つくらい、持っていて当然さ!』

 

 動揺する生徒を相手に、ダーク・フォー・ワンは語りかける。その声帯だけは、指導者らしい確かな威厳に満ちていたりする。

 

『弔!今の君は、力を失ったただの人間!自分の脆弱さを思い知るんだ!!それもまた、君の成長に繋がる!自分の限界を越えるんだ!さあ、頑張れ!僕も全力で迎えてあげよう!!』

 

 そう叫ぶ思想犯(ダーク・フォー・ワン)の目は静かに燃えていた。彼はそのまま、”3つめ“の個性を使用する。

 

『これが、魔王の力っ!!』

 

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