ダーク・フォー・ワン『新時代を作るには何が必要だと思う?そう、人々の笑顔だ!』   作:バケギツネ

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これが、元祖魔王の力ぁ!!!!

 

 

 平和の象徴の命を狙い、雄英高校へのカチコミを敢行した敵連合。そこで彼らを待ち受けていたのは、ダーク・フォー・ワンという、余りにも理不尽な洗礼だった。

 

 数合わせの下っ端や標的の一部だった雄英生たちは、片っ端から謎の巨大要塞に吸収され、対オールマイト用の秘密兵器だった脳無も既にKOされている。

 

 土壇場で個性を覚醒させた死柄木だったが、止まる事の無いダーク・フォー・ワンの猛攻によって、窮地へと追い込まれていた。

 

『弔。よく1人で頑張ったね。もう大丈夫だ、僕がいる。』

 

 そんな中、突如として死柄子への救援が現れる。魔王の後継者を勝手に名乗る者の前に立ちはだかったのは、見た目はダーク・フォー・ワンにそっくりだが、真逆の信念を持つ敵。

 

 真の魔王であるオール・フォー・ワンだった。

 

『発条化+膂力増強+押し出し+鋲突+ダークボール+光塵。』

 

 自らの生徒を労った彼は、複数の個性を同時に使用し、その手に凝縮された高密度のエネルギー弾を、自身の紛い物に向けて放つ。

 

『これだけの個性をたった1人で!これが元祖魔王の力ぁ!素晴らしグワアアアアアアアアアアアアア!!』

 

 その一撃をモロに食らって吹き飛ばされたダーク・フォー・ワンは、自身の錬成した金色のオール・フォー・ワン像に頭から突っ込んだ。

 

『ここは僕に任せて欲しい。君はこの場を離れるんだ。』

 

『待て先生!その身体じゃ......』

 

 そう言いかけた死柄木の身体を、黒いモヤが包み込む。意識を取り戻した黒霧が、ワープゲートを発動させていたのだ。

 

『死柄木弔!今はオール・フォー・ワンに従いましょう!!』

『やめろ黒霧!クッソ、先生!!』

 

 最後まで抵抗を続ける死柄木を連れ、黒霧はUSJ(もはや原型はない)からの脱出を果たす。

 

『弔。今回の件で、キミは図らずも大きな成長を遂げた。僕は嬉しいよ。大丈夫。経験も、憎悪も、悔恨も、全てを糧として、“次”に備えるんだ。』

 

 確実に進化を遂げつつある次の自分。そんな教え子を見送った魔王は、自身のコスプレ擬きへと視線を移す。

 

 複数個性による攻撃を受けても尚、その男には目立った負傷は見受けられない。その事実が、彼の実力を裏付けていた。

 

『さて、君はダーク・フォー・ワンといったかな?』

 

 オール・フォー・ワンは、自らと同じ背格好をした目の前の男をマジマジと見つめる。

 

 似ているものの、自分とは微妙にデザインの違う骸骨のような黄金仮面。自身のスーツとは対照的な、全身にフィットした黒タイツに、その背でたなびく鬱陶しいマント。

 

 何もかもが、オール・フォー・ワンの趣味には合わなかった。

 

『ああ!オール・フォー・ワン!!オール・フォー・ワンではないですか!お久しぶりです!僕です!僕ですよぉ!!!』

 

 しかし、そんな事はお構いなしのダーク・フォー・ワンは、やたらとフレンドリーに憧れの魔王へと話しかける。

 

 当然、オール・フォー・ワンには心当たりなど無い。こんなキャラの濃い人間など、一度会えば忘れる筈などないというのに。

 

『えっと、君は誰だったかな?』

 

『ふふっ、ご冗談を!!お忘れですか?貴方が自ら後継に指名してくれた、次の魔王!ダーク・フォー・ワンですよ!!』

 

『いや、そんな憶えはな

 

『それよりオール・フォー・ワン!正統後継者であるこの僕に、連絡の1つもくれないなんて、寂しいじゃないですか!』

 

『......んんっ?』

 

 幾つもの個性を持つダーク・フォー・ワンは、直接言葉を交わした人の嘘を見抜く事ができる。しかし、その嘘発見器には何の反応もない。

 

 それが示す真相はただ一つ。目の前の狂信者(ダーク・フォー・ワン)は、自身が語る妄想の尽くを事実だと信じ、微塵も疑っていないのだ。

 

 これには、流石のオール・フォー・ワンも苦笑いである。なんなら、ちょっと引いてすらいた。

 

『どうやら君は、思った以上に凄そうだ。色んな意味でね。』

 

 その言葉を聞いたダーク・フォー・ワンは、突如痙攣しながら涙を流し始める。完全に恐怖映像だった。

 

『おい、待ってくれ。どうしたんだい?』

 

『い、いえ、すみません!余りにも嬉しくて!!僕はずっと、貴方の後継に相応しくあれるよう、ずっと頑張ってきたんです!だから貴方から、“思った以上に凄そうだ”とお褒めの言葉を頂けたのが嬉しすぎて!!!!!』

 

『そうじゃない。僕が言いたいのは、』

 

『分かっています!貴方にお褒め頂けた事で、慢心するつもりは毛頭ありません!常に自分の限界に挑み、世界に愛と平和をもたらす最高最善の魔王となるべくっ、邁進します!次の貴方となる為にっ!!』

 

 真の魔王と自称魔王が、言葉を交わしてからまだ1分も経っていない。しかしオール・フォー・ワンは、既に目の前のパチモンをだいぶ嫌いになっていた。

 

 オールマイトや駆藤ほどではないが、彼らとは別ベクトルで目障りな、今までに無いタイプの人間なのである。

 

『ちなみに君は、僕がきちんと命じさえすれば、言いなりになってくれたりするのかな?』

 

『勿論ですとも!!!!!』

 

『なら、もう二度と僕や弔の邪魔はしないと誓ってくれ。』

 

『分かりました!“邪魔”はしません!全力で“サポート”しますから、任せてください!!』

 

『あと、“ダーク・フォー・ワン”なんていうふざけた名を名乗るはやめてくれないか。』

 

『ふふっ、ご冗談を〜!』

 

『......君に一瞬でも期待した僕が馬鹿だったよ。』

 

 オール・フォー・ワンは即座に判断を下す。この狂人を御するのは不可能だと。

 

『この際、ハッキリさせておこうか。君と僕は根本的に違う。』

 

『仰る通りです!貴方と言う太陽が無ければ、僕は自ら輝く事のできない闇。そう言う意味を込めて、ダーク・フォー・ワンを名乗

 

『少し黙っていてくれ。僕と君では、目指すゴールがまるで違う。僕はねえ、この力で世界中の夢を侵し、阻みたいんだ。君のように、“光”を齎そうなんていう、つまらない理想を掲げはしない。』

 

『ハッ...!!!!!!!!』

 

『分かってくれたかな?』

 

『分かりました!僕は闇ではなく“光”だという事ですね!明日からは“シャイニング・フォー・ワン”を名乗ります!!』

 

『違う、そうじゃない。』

 

『“違う、そうじゃない”!?やはり僕は、“ダーク・フォー・ワン”という事ですね!ありがとうございます!僕の名付け親になってくれるだなんて、感激で言葉もありません!!』

 

『.........』

 

 謎に満ちたダーク・フォー・ワンから、少しでも情報を抜き出そうと試みていたオール・フォー・ワンだったが、正直それはもう諦めつつあった。この調子では、時間がいくらあっても足りそうにない。

 

『そうだオール・フォー・ワン!せっかく再会できたのです!記念に一枚、どうですか?』

 

 ダーク・フォー・ワンは懐から取り出したスマホを、錬成した自撮り棒に取り付け始めた。

 

『おいおい、嘘だろ?』

 

 一応、2人の今いる場所は雄英の敷地内であり、敵地のど真ん中もいいとこなのであると言い添えておこう。

 

『せっかくなら、僕の作った貴方の像をバックにしましょう!いや〜、しかしこう並んでみるとマスクもお揃いで、僕たち兄弟みたいですね〜!』

 

『どこがだい?』

 

『ふふっ!じゃあ撮りますよ、兄さん♡なんちゃっ

 

 “その言葉”を言い終えた瞬間、ダーク・フォー・ワンの胸を魔王の個性が刺し貫く。その一撃は、偽魔王の纏っていた黄金の鎧を貫通し、彼の心臓にまで到達していた。

 

『やめろ。僕を“そう”呼んでいいのは、世界でただ1人だ。』

 

 ダーク・フォー・ワンは、龍の逆鱗に触れたのだ。憧れの魔王に見下ろされたまま、彼は力なくその場に倒れ込む。

 

『オール...フォー、ワン......あり、がとう....ござっ』

 

 それを境に、ダーク・フォー・ワンの口は止まった。

 

 

 

 

 

【ダーク・フォー・ワン『新時代を作るには何が必要だと思う?そう、人々の笑顔だ!』】

         完

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【ダーク・フォー・ワン『新時代を作るには何が必要だと思う?そう、人々の笑顔だ!』】

         slash

 

『オール・フォー・ワン!ありがとうございます!!貴方は僕に、いつ如何なる時も気を抜いてはならないとっ、そう教えてくださったのですね!勉強になりました!』

 

 そして再び、彼の口は動き出す。

 

 確かに致命傷を受けた筈のダーク・フォー・ワン。どういうわけか、彼は普通に立ち上がっていたのだ。ひび割れていた金の鎧も完全に修復され、既に傷口は塞がっている。

 

『これは驚いた。キミの方も、“超再生”の類いを持ってるのかな?』

 

『よくぞ聞いてくれました!!僕の力はっ...』

 

 ダーク・フォー・ワンが、自らの力について語ろうとした直後だった。

 

『ハッ......!この気配はっ...!』

 

『来たか。随分と遅かったじゃないか。』

 

 2人の魔王はとある男の気配を察知する。その男は、弾丸を優に越えるスピードで、USJの跡地へと飛来した。

 

『DETROIT SMASH!!!!!!!!!』

 

 その拳から放たれる一撃は、直撃を避けたオール・フォー・ワン達を、その風圧だけで吹き飛ばしてしまう。

 

『貴様は、ここで終わらせる...!その為に、私が来たっ!!!』

 

 平和の象徴・オールマイト、現る。

 

 個性社会の未来を左右する最終決戦が、今ここに始まろうとしていた。

 

 

『覚悟しろっ!オール・フォー・ワ......2人ぃ!?』

 

 

 

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