ダーク・フォー・ワン『新時代を作るには何が必要だと思う?そう、人々の笑顔だ!』   作:バケギツネ

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これが、魔王たちの力ぁ!!

 

『死柄木弔という少年がいる。僕の後継者さ。そして、先代のワン・フォー・オール継承者、志村菜奈の孫でもある。』

 

『お師匠のご家族が....まさか、そんなっ...!』

 

『おやぁ?おかしいなぁ、オールマイト。笑顔はどうしたぁ?』

 

 人の心を弄ぶ為なら手間も時間も惜しまない。それこそが、オール・フォー・ワンの魔王たる所以である。

 

 10年以上の時をかけてじっくりと仕込んだその策略は、平和の象徴の心を確実に蝕んでいた。

 

『しっかりするんだ、オールマイト!!魔王の宿敵として、そのザマはなんだ!!』

 

『『!?』』

 

 しかしそこに、ダーク・フォー・ワンが横槍を入れる。予想外の事態に、オール・フォー・ワンはひたすら困惑していた。

 

『君は一体、どっちの味方なんだい...?』

 

『オール・フォー・ワン、貴方の味方に決まっているじゃありませんか!僕が一度でも、貴方を裏切ったことがありましたか!?』

 

『いや寧ろキミ、僕の邪魔しかしていないだろ。』

 

『ふふっ、またまた〜!心にもない事を!!』

 

 相変わらず話の通じない偽の魔王は、未だショックの抜け切っていない平和の象徴に向けて、言葉を紡ぐ。

 

『確かに弔は、志村菜々の孫だ。しかし、それが何だと言うんだ!弔は他ならぬ自分の意思で、魔王を目指す道を選んだ!そんな彼に情けをかける事は、その夢を侮辱する事に他ならない!』

 

『.........』

 

『弔はもう、立派な魔王候補生で僕の教え子なのさ!だから遠慮はするな!君がヒーローだというなら、戦いっ、打ち勝ちっ、止めてみせるんだオールマイト!!』

 

 ダーク・フォー・ワンの熱弁を、しばし押し黙ったまま聞いていたオールマイトだったが、程なくして顔をあげる。

 

『お前から、そんな事を言われる筋合いはない!だが、言っている事には一理あるかもしれないな。』

 

 露わになった平和の象徴の顔からは、躊躇いと動揺が消え、固い決意に満ち満ちる。

 

『たとえその死柄木弔が、お師匠のご家族だとしても!お師匠の守った平和を脅かそうというのなら、私は全力でこの拳を振るう!!ヒーローとして!象徴としてだ!!』

 

 オールマイトは完全に吹っ切れていた。

 

 元来、彼の強さの根幹にあるのは、志村菜奈すら“異常”と形容する程の屈強な精神である。

 

 何でもいい。ふとしたキッカケさえあれば良いのだ。それさえあれば、平和の象徴は何度でも立ち上がれる。

 

 原作では、守るべき人の声援。本作では、宿敵のコスプレに身を包み、意味のわからない害悪行動を多発してくる、不審者(ダーク・フォー・ワン)からの叱咤激励。

 

 たったそれ“だけ”の違いなのだ。

 

『礼を言うぞダーク・フォー・ワン!!貴様のお陰で、心置きなく戦える!!』

 

『どういたしましてオールマイト!!そう!それで良い!!全力の君が相手でなくては!!最強のヒーローを倒してこそのっ、最高の魔王だ!!貴方もそうお思いでしょう?オール・フォー・ワン!!』

 

『......いや、別に。』

 

『ふふっ、ご謙遜なさらなくとも良いのに!!』

 

『.......』

 

 オール・フォー・ワンは、酸素マスクの裏で真顔になっていた。入念に仕掛けた10年がかりの嫌がらせが、数分前に発生したばかりのイカれたイレギュラーに見事にぶち壊されたのだから、無理もない。

 

『おやぁ?いつもの素敵な笑顔はどうなさったんです?オール・フォー・ワン!!』

 

『君、ホントは僕が嫌いだったりしないかい?』

 

 純然たる疑問を口にするダーク・フォー・ワンに、オール・フォー・ワンは自身の血管がピクつくのを感じていた。

 

『まさか!貴方を恨んだ日など、1日たりともありません!!運命の出会いを果たしたあの日から、僕はずっと

 

『CAROLINA SMASH!!!!!』

 

 放たれたのは、オールマイトの剛腕から繰り出されるクロスチョップ。その標的は、モノホンの方の魔王だった。

 

『凝火扇』

 

 先程よりも威力とキレの増したその一撃を、オール・フォー・ワンは個性の盾で受け止める。

 

 凄まじい衝撃にUSJの大気が震えた。

 

『衝撃反転っ!!』

 

 防御をぶち破って、オール・フォー・ワンへと到達するオールマイトの打撃。その衝撃は、彼自身に反射される。

 

『っ!!まだだっ!!!!!』

 

 それを食らっても尚、平和の象徴は歩みを止めない。

 

『MISSOURI SMASH !!!!!!』

 

 続いて繰り出した強烈な手刀が、魔王の弱点である呼吸器を狙っていた。

 

『オール・フォー・ワン!危ない!!』

 

 しかしそこに、ダーク・フォー・ワンが瞬間移動で割って入る。敬愛する先代魔王に代わって、超威力の打撃を喰らった彼は、再び黄金像の所へと吹き飛ばされる。

 

『オール・フォー・ワン....!貴方が無事でよかっ『発条化+膂力増強+押し出し+鋲突+ダークボール+光塵。』

 

『NEW HAMPSHIRE SMASH!!!!!!!』

 

 ダーク・フォー・ワンを気にかけるものはいなかった。象徴と魔王は、排除されたパチモンそっちのけで、戦いを続けている。

 

『なるほど!流石はオール・フォー・ワン!僕が自力で立ち上がれると、信じてくださっているんですね!!ならばっ、その期待に応えて見せましょう!!』

 

 身体の損傷を再生させた偽魔王は、憧れの魔王を支援するべく戦線に乱入した。

 

 個性を封じる力は、オール・フォー・ワンも巻き込んでしまう。幻覚を見せる個性は、オールマイト相手では有効打たりえない。

 

 そう判断した彼は、黄金を操る個性を選ぶ。

 

『受けてみよ!オールマイト!!この僕が全力で、君を殴る!!!!』

 

 錬成された巨大な黄金の拳は、雨となってオールマイトの元へと降り注ぐ。

 

『くっ、厄介な...!TEXAS SMASH !!!!!』

 

 戦力が拮抗していたオールマイトとオール・フォー・ワンの戦い。胡散臭さはともかく、実力だけで見れば彼らに近しいダーク・フォー・ワンの乱入によって、戦況は大きく傾こうとしていた。

 

『電波+押し出す+重荷!!!』

 

 ダーク・フォー・ワンの攻撃を何とか凌ぎ切ったたオールマイトだったが、その一瞬の隙を突いたオール・フォー・ワンは、複合個性による電撃波を炸裂させる。

 

 体内信号が一時的に麻痺し、平和の象徴には明確な隙が生じた。

 

『しまった....!』

 

 魔王はその右腕を個性によって変形させ、偽魔王はその左腕を黄金で包み込む。

 

 2人の魔王は、同時に(ダーク・フォー・ワンが無理やりタイミングを合わせてきた)その拳を振り抜いた。

 

『筋骨発条化+鋲+槍骨!!』

皇帝の鉄槌(エンペラー・パニッシュ)!!』

 

 友情(一方通行)のダブルスマッシュが、オールマイトに命中し、その身体を地面へと叩き伏せた。

 

 

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