ダーク・フォー・ワン『新時代を作るには何が必要だと思う?そう、人々の笑顔だ!』 作:バケギツネ
◇
オールマイトの勇姿をその目に焼き付け、正義に目覚めたと供述するダーク・フォー・ワン。彼は純白のスーツに身を包み、その顔をオールマイトと瓜二つのものに変化させていた。
シャイニングマイトの誕生である。
瀕死の重傷を負ったオールマイトに後を託された(と本人は認識している)シャイニングマイトは、悪の魔王と対峙していた。
◆
丁度それと同じ頃、オールマイトの授かった力・ワン・フォー・オールの“内側”では、とある6人による集会が開かれていた。
『皆、集まってくれてありがとう。』
中心の椅子に座った白髪の男は、自らの同胞たちにそう告げる。彼の周りには、個性豊かなメンバーが揃っていた。
A組の某性格下水煮込みに雰囲気の似た、ツンツン髪で目つきの鋭い男。
バンダナを額に装着し、水色の髪を後ろに束ねた貫禄のある青年。
顔に大きなひび割れのある、ボサボサなグレー系のブロンドヘアーが特徴的な男。
スキンヘッドにゴーグル、鋲が打ち込まれた黒い革ジャンというラフな格好の男。
口元を覆った赤い服装で黒髪の大人しげな青年。
唯一の女性である“7人目”は、殆ど貰い事故のような形でオール・フォー・ワンから“孫”の現在を暴露された事もあり、“初代”である白髪の男が気を利かせて不参加としていた。
『今日は話しておきたい事がある。ダーク・フォー・ワン及び、シャイニングマイトと名乗る男についてだ。』
神妙な面持ちで、初代は話題を切り出した。議題はもちろん、現在“8代目”や宿敵の魔王を相手に大暴れをしている、謎のオッサンについて。
『奴の情報をこの場で共有しておきたい。どんな小さな事でもいいんだ。奴の事で、皆は何か知っている事はないかい?』
『『『『『いや、何も。』』』』』
『そうか。皆は何も知らないのか。......僕もだ。』
集会はその場で解散となった。
◇
そしてUSJでは、真の魔王と偽りの象徴の戦いが始まる。
『やはり君は目障りだ。ここで消しておく事にするよ。』
『黙れ悪党!いつまで経っても弟離れできない、ブラコン野郎が、何を偉そ
間髪入れずに魔王から放たれた空気砲を、シャイニングマイトはその手に錬成した金の盾で防いでいた。
姿が変わってもなお、元ダーク・フォー・ワンの金を操るその個性は健在だったのだ。
『ちょっとごめん!オールマイト!』
シャイニングマイトは突然その場にしゃがみ込むと、自分の盾をオールマイトに少し握らせ、再び自らの手に戻す。
『ありがとうオールマイト!キミから託されたこの武器が、俺を守ってくれたんだ!』
『一体、何を言っているんだお前は?』
『喰らえ、オール・フォー・ワン!これは俺の盟友・オールマイトを傷つけた分だ!ファイア〜!!!!!!!』
盟友(一方通行)のツッコミを無視したシャイニングマイトは、盾を変形し作り出した無数のロケットランチャーを、魔王へとぶっ放す。
『押し出し+鋲突+ダークボール+光塵。』
オール・フォー・ワンは個性で作り出したエネルギー弾で、その弾頭を撃墜する。しかし、生じた爆炎の奥から伸びてきた金色の糸が、彼の右腕に絡みついていた。
『卑怯者が!降りてこい!!』
シャイニングはそのパワーで、宙に浮いていた魔王を引き摺り下ろし、地面へと叩きつける。
『さあ行くぞ!男なら正々堂々、拳と拳で戦おうじゃないか!!』
先程まで銃火器を乱射していたシャイニングマイトは、一気にオール・フォー・ワンとの距離を詰め、接近戦を仕掛けるのだった。
『見ていてくれオールマイト!』
シャイニングマイトは、黄金に輝く自身の拳を全力で振り抜いた。
『貴方から学んだこの技で、必ず魔王を倒す!!俺こそがヒーローだ!!』
TEXAS SMASH 。CAROLINA SMASH。MISSOURI SMASH 。オールマイトの得意とする打撃は、彼の研修先である国の州が、そのモチーフとなっている。
それを真似たシャイニングマイトもまた、自身の放つ打撃に類似したモチーフを取り入れていた。
『
『ダ、ダサい......』
『凝火扇+押し出す+増殖+肥大化』
魔王の手から溢れた液状の盾。個性の併用によって最大限強化されていたソレは、シャイニングマイトの渾身の一発を防ぎきっていた。
『今度は、オールマイトの猿真似かい?節操がないな。』
『黙れ!お前にオールマイトの何が分かる!お前のような社会の塵がっ、オールマイトを語るな!!』
『その言葉、そっくりそのまま返すよ。』
発条化+膂力増強+押し出し+鋲突+ダークボール+光塵。オール・フォー・ワンの得意とするブレンドによって、彼の右手には強烈なエネルギー弾が生成されていた。
距離を取ろうとしたシャイニングマイトの身体は、槍骨+増殖+肥大化+鋲突を組み合わせた歪な触手に囚われる。
『複数個性があるとはいえ、パワーもスピードもオールマイトには遠く及ばない。キミ程度が、オールマイトを名乗るな。』
『ぐわあああああ!しまったああああああああああ!!』
わざとらしい程のダメージボイスを披露しながら、シャイニングマイトはやたらとダイナミックに吹っ飛んでいく。
彼は器用にも空中で軌道を調整し、オールマイトのすぐ横に墜落した。
『お、おい!大丈夫か?』
一応心配してくれたオールマイトの優しさにすっかり気を良くしたシャイニングは、ノリノリで自分だけの世界へと突入する。
『クッソ!オール・フォー・ワン、なんてパワーだ!それにこのままではっ、制限時間がっ!!!』
相変わらずオーバーリアクション気味のシャイニングマイト。マッシブだったその身体は、煙をあげながら縮んでいく。
それはさながら、今のオールマイトの陥っている状態、トゥルーフォームのようだった。
『それは一体....?』
『実はっ!俺の身体はっ!度重なる戦いでボロボロなんだ!!これ以上は、変身していられないっ!!くそうっ!!』
シャイニングマイトは、(自らの意思で)身体をどんどん縮ませながら、声高らかに自らのピンチを説明する。
一応言っておくと、シャイニングマイトに時間制限的なものは無いし、身体がボロボロという程でもない。
彼はただ全力で、それっぽいピンチからの逆転をセルフプロデュースしようとしていた。
『変身!変身!!クソッ!どうしてっ!!......チラッ。』
『............』
シャイニングマイトは口からケチャップ血を吐き、その拳を大地へと打ち付けながら、盟友へのチラ見とウインクを繰り返す。
『俺にはっ、もう何もできないっ!俺1人じゃ何もっ!......チラッ。』
『............え、えっと、頑張れ...?』
根負けしたオールマイトは、渋々応援の言葉を口にするが、シャイニングマイトは厚かましくも、首をブンブンと横に振る。どうやらお気に召さなかったらしい。
『君なら、できる....?』
『あ、惜しい!方向性は合ってた!えーーっと、具体的には...』
地面からは巨大なカンペが錬成され、生えてきた。
『え...?』
困惑するオールマイトへ向けて、シャイニングマイトはニッコニコで親指を立てる。
もはやそれを読み上げる以外に、話を進める方法は無さそうだった。
『しゃ、シャイニングマイト。けっして、『もっと感情を込めてくれ!そんな棒読みじゃ、俺の心は動かせないぞ!!』決して諦めてはだめだ!!キミの力はっ、まだまだそんなものじゃないっ!!!』
オールマイトはヤケクソになりながらも、熱演を果たす。すると、2枚目のカンペが生えてきた。
Chapter9 シャイニングマイトの覚醒
シャイニングマイト
『でもっ、俺にはもう戦う力がっ...』
・地面から15度の角度で俯いたままのシャイニングマイト。
・オールマイトはその肩に優しく触れる。
オールマイト
『いいや、私は君を信じてる。立ち上がれっ!自分の限界を超えるんだ!その先にっ、君の目指すゴールがあるっ!!』
・オールマイト、セリフは徐々に強く。できれば涙を流しながら。
シャイニングマイト
『お、オールマイト...!そうだ、4分前に誓ったじゃないか!俺はオールマイトのように生きるって!!』
・BGM、『You say run』がフェードイン。同時に立ち上がるシャイニングマイト。
シャイニングマイト
『俺はなる!なってみせる!!自分の命をかけて正義を貫く、そんな真のヒーローに!』
・シャイニングマイト、拳を強く握り締める。その身体は力を取り戻し、マッスルフォームへと戻っていく。
オールマイト
『さあ、行くんだシャイニングマイト!今こそ、“次の君“へと至るんだ!!』
シャイニングマイト
『うおおおおおおお!!!』
一連の茶番を終えたシャイニングマイトは、さらなる変身を果たす。
盟友から託すよう強要した託された思いを胸に、彼のコスチュームは変化を果たしていた。
『刮目せよ!これが俺の新たなる力!!』
白一色だったシャイニングマイトのスーツには、オールマイトを彷彿とさせる赤と青のラインが走っていた。
『スーパー・シャイニングマイトV2・セカンド・オブ・ザ・ネクスト・弍式!』
背後で起こった大爆発と共に、彼は自らの字名を叫ぶ。
『これがっ、次の俺だ!!!!!!』
スーパー・シャイニングマイトV2以下略となった彼は、パワーとスピード、個性の熟練度をそのままに、モチベーションとやる気、テンションや声のデカさが、今までとは比べものにならない程の高いレベルへと至っていた。
強さはあんまり変わっていない!!!