英雄たちが求めるエンディング   作:岩ノ川

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第31話 また昔のように

星暦2032年 冬の42日 闇の日 夜

 

「それではお先に失礼しますね!おやすみなさい!」

 

「おう、おやすみ!」

 

「おやすみなさい、ナエナちゃん」

 

 皿洗いを終えた私はアスタくんの両親にそう言い残して、寝泊まりとして貸してくれた屋根裏へ向かう。

 屋根裏に戻った私はまた別の作業を始めた。明日、ちょっとした急用ができたため、その準備を今のうちにしておかないと。とはいっても、そんな手間も時間もかかるような事ではないから、十数分程度で終わった。

 もうすることなく、後を床に就くだけ。だけど、その前に私は一度アスタくんの部屋へ向かった。来た理由はまた彼と談笑したいのもあるけど、先に言いたいことがある。

 

「ねぇねぇ~アスタくん、まだ起きている?」

 

 扉をノックして呼び掛ける。

 また無視されるのかなって一瞬、心配したけど返事は思いのほか早かった。

 

「起きているけど……どうしたの?」

 

「また話しがしたいの~。……開けてぇ~!」

 

 そう言い返すと、何故か中からの声が聞こえなくなった。

 アレ、どうしたの?なんで何も言ってくれないの?……もしかして意地悪しているのかな?もうっ、嫌なら嫌って言ってくれればいいのに!……まあいいや、また強引に入っちゃおう♪

 今後は扉を破壊しないように力加減をして……。

 

「……何しているの?」

 

「えっ、いや……また入れてくれないのかな~って思って……」

 

 丁度脚を上げた時、部屋の扉を開けてくれた。

 タイミングが良いのか悪いのかは判断しづらいけど、変な体勢でいる私を見てアスタくんはあからさまに呆れた表情を浮かべる。なにもそんな顔にならなくても。

 兎にも角にも、今回は普通にアスタくんの部屋に招き入れてもらえた。入室して一番に目に入ったのは、部屋の5割以上を独占しているのではと思うほどの大量の本だ。

 

「前から思っていたけど……やっぱり本が多いねぇ~!どうやって集めたの?どこかの街に行ったの?」

 

「ううん。これ全部母さんの私物、昔からあったやつ。屋根裏に置いてあるのを借りてきている……」

 

「あぁ~、あったあった!確かに本が沢山あったけど、あれ全部おばさんの?あんなに本を集めるなんてすごいな」

 

 おばさんにそんな趣味があったなんて知らなかった。

 今度、何か面白そうな本がないか聞いてみようかな。

 

「それにしても……もうちょっと掃除したらいいと思うよ?すごく散らかっているじゃん」

 

「……一応言っとくけど、全部ナエナちゃんのせいだからね?」

 

「えっ、そうなの?」

 

 床に散らばっている本を指摘すると、どうやら先日、私が扉を蹴飛ばした際に積み立てていた本の塔が崩れたそうだ。怪我をさせてしまったじゃないかと思い、倒れたアスタくんに夢中で全然気が付かなかった。

 

「あ~そうなんだ……ごめんね。私が片付けるね!」

 

「そんなことしなくてもいいよ」

 

「でも私のせいなんでしょ?これくらいさせてよ……」

 

「置いている順番や種類とか、こだわりがあるから本当に大丈夫。そもそも昨日、疲れてすぐに寝て放置していた俺に問題ある。今やるからベッドで少し待っていて」

 

 そう言ってアスタくんは自室の片付けを始めた。

 相当な数が床に散らかっているから終わるまで時間が掛かりそう。それまで言われた通り、彼のベッドに座って両足をパタパタと動かして待つことにした。その間、部屋は静寂となる。

 

 こういう雰囲気なんか嫌だなぁ~。せっかく話せると思ってきたのに、変に気まずくなっちゃう。……暇だし、ちょっと揶揄ってみよう♪

 

「ふふっ、女性をベッドで待たせるなんて、アスタくんももう大人だねぇ~。このまま私何かされるのかしら?キャー!」

 

「……学校って、そういう事も習うの?いや、王都っていう大都会となるとそういった機会がペレーハ村と比べて多そうだね」

 

「えっ?いや、その……」

 

「ナエナちゃんの方がすっかり大人になっているよ。まあ当り前だけど、向かうだと良い人に沢山出会えそうだ。人が集まる場所に暮らせば自然とそうなるし、寧ろ至って正常って話」

 

「そ、そんなことないし勘違いしないでっ!?今のは……えっと、その、あれだから!アスタくんのことを揶揄ったらどんな反応するのか見たくて言っただけで……!」

 

「変に取り繕おうとしなくても大丈夫。そんなことで一々、人のこと軽蔑なんかしないから。それに昨日と今日こう言っていなかったっけ?「冒険者になってから沢山の人と出会って、良い思い出が作れた!」って」

 

「そんな意味で言った訳じゃないからッ!?男女の関係とかじゃなくて、純粋に冒険者として良い思い出って意味だから!それに私はずっと冒険者一筋に頑張ってきたから、そんな事は全くなかったから……って何言っているの私はっ?!うわぁぁぁぁぁあああああんんんんんっ!!」

 

 揶揄うつもりが逆に揶揄われてしまった。しかも余計なことを口走ったせいでダメージ倍増。まさか口論でアスタくんに打ち負かされてしまうとは。これには思わず、赤くなった頬を隠すように顔を枕に押し当てて、ベッドの上で転がり暴れた。

 

「あまりバタバタしないでもらえるかな。年季ものでいつ壊れても分からないから」

 

 扉の次にベッドまで壊してしまうと流石に本当に嫌われてしまう。これ以上、変な事をせずに大人しよう。

 注意されて上体を起こした時には、丁度アスタくんも部屋の掃除がある程度終わっていた。

 

「それで、何しに部屋に?揶揄いに来たの?」

 

「それだけじゃないよ~。寝る前にアスタくんと話がしたかったから!……の、前にどうしても言いたいことがあるけどね」

 

「言いたいこと?」

 

 ふざけた雰囲気から一転して、少し真剣みのある眼でアスタくんを見る。

 

「まだちゃんと言えてなかったなぁ~って。ほらっ、最後のアンデット倒してくれたお礼」

 

 本当はすぐその場で言いたかったけれど、理想的なアスタくんの登場&討伐に火照ってしまって上手く口に出せられなかった。ようやく落ち着いた今ならはっきりと、彼の眼を見て伝えられる。

 

「もしアスタくんが助けてくれなかったら、あの攻撃を受けて私の身体は腐食状態に陥っていて大変なことになっていた。護ってあげるつもりが、逆に助けられちゃったね!」

 

「……もしかして、出過ぎた真似だった?」

 

「ううん、そんなことないよ!寧ろあの時、来てくれて、そして助けてくれて……本当にありがとう!」

 

 アスタくんの勇気ある行動には感謝してもしきれない。だから心の底から感謝の気持ちを伝えたかった。

 するとアスタくんは静かに首を横に振る。

 

「お礼を言いたいのは俺の方だよ。ナエナちゃんが俺を草原に連れて行ってくれたおかげで、俺の中のもやもやが吹っ切れた気がする。だから俺でも、あんな風に頑張れた気がする」

 

「そうだったんだ」

 

「それに俺が行動に移せるようになった一番のきっかけは……今日言ってくれたナエナちゃんの台詞だけどね」

 

「私の台詞??」

 

 一体いつの台詞のことだろう?そんなアスタくんの核心を突く様な言葉を言い放った気はしないけど……。

 

「“自分の今したい気持ちで動いたらいいじゃん!考える前に行動、だよ!”」

 

「……あっ」

 

 それは今朝、アスタくんに言った台詞だ。

 これには思わず気が抜けたような声を出してしまった。

 

「正直、モンスターに立ち向かうナエナちゃん心配する気持ちがあった……けど、すぐに行動に移せれなかった。もっと言えば、動くことに躊躇っていた。自分がどうすればいいのか分からなかった。どの行動が最善で、何をすれば最悪から逃れられるのか、ひたすらに考え続けた。だけど結論は出せずただ時間が過ぎるだけ。どうすればいいのか深刻に悩んだ。……そんな時に、あの台詞が頭の中に浮かんできた」

 

 正直に言って、特に深い意味でもない言葉だった。ありきたりで私なりの耳当たりが良さそうな台詞だと語ったつもりだ。それがまさか彼の心には響いていたなんて。

 

「そっか……。ちょっと嬉しいな!私の言葉が役に立てたなんて!」

 

「ナエナちゃんにとっては何気ない言葉だったかもしれない。けど、とても心に響いた。だからさっきも父さんや母さんに、やっと返事をすることができた。たった4文字だけど、これからもっと頑張れる気がする。本当に……本当に……ありがとう」

 

 そう言いながらアスタくんは頭を下げてお礼を言ってきた。

 本当に人生というのはよく分からないな。昔から私より賢くて、私より大人っぽくて、私の遊びに付き合ってくれたアスタくんが、まさかこんな風に頭を下げられる日が来るとは思わなかった。

 最初は目を見開いて驚いてしまったけど、これがアスタくんの誠意なら私なりに笑って受け止めなきゃいけない。

 

「えへへ、どういたしまして!」

 

 そう言い返すとアスタくんは顔を上げて、小さく微笑みを見せる。やっと笑ってくれた彼の表情に、どこか安心感を覚える。

 

「隣、いい?」

 

「いいよ~!」

 

 アスタくんは私の横に腰を掛ける。自分のベッドなのに一応許可を聞いてくるなんて、律儀な性格は昔と変わらないな。私だったら聞く前に座るか、聞きながら座る。せっかく落ち着く体勢になったことだし、ここから楽しく談笑でもしようじゃないか。

 

「ねぇねぇ~、なんか面白い話でもしようよ!」

 

「また面白い話か。……なら、さっきの草原で話の続きでもする?」

 

 まさかアスタくんの方からゴブリンの話をしてくれるとは。確かに好奇心で話してほしいと言ったのは私だけれど、さっきのホーンラビットの号泣した彼の姿を見てしまったせいで、あまり乗り気で聞けなくなった。

 アスタくんなりの気遣いでそんな提案をしてくれたのだろうか。だったら無理をさせたくはない。

 

「……いいの?嫌だったら無理して話さなくてもいいよ!別の話でも全然いいんだよ?」

 

「いいよ、それぐらい。話すだけだから。それに、すごく気になっているんでしょ?」

 

「うんっ!……あっ」

 

 即答で頷いてしまった。遠慮するつもりが逆に遠慮されてしまった。これには思わずやってしまったと声が漏れてしまう。

 だって仕方がないでしょ。幼馴染のアスタくんがどうやってゴブリンを20体も討伐したのか、気にならない方がありえない。冒険者としてもあるけど、1人の幼馴染として彼の武勇伝を聞いてみたい。無意識に口角を上げて、前のめりになってしまう程に。

 そんな私の反応を見て、小さくの笑ったアスタくんは、3年前の出来事について語ってくれた。

 

 

 アスタくんの話を聞き終えた私の心境は、なんて言葉にすればいいのか分からないっていう程、複雑なモノになった。

 

 ペレーハ村の住民のために1人で森の調査しようと決断した、その勇敢さに心が熱くなった。モンスターとはいえ理不尽な攻撃をしてしまったホーンラビットを気に掛ける、その優しさに感動した。不敵な笑みを浮かべながら森から草原までゴブリンに追いかけられる、その恐怖に共感した。片足を攻撃されて万事休すって状況でも諦めずに魔法で立ち向かう、その覚悟に興奮した。そして戦闘の最中で【狂人化】という恐ろしいスキルを得してしまい、自分に対する不安感を覚えたことに私は一気に高揚した気持ちが消えてしまった。

 終盤を語っている時、アスタくんは自分のステータスウィンドウを見せてくれた。そこには確かに【狂人化】が載っていた。学校で聞いたことはあるけど、こうして取得者に会うのは初めてだ。発動効果も見せてくれたけど、確かに自分はサイコパスなのかと疑いたくなる物騒な詳細だ。

 

 【狂人化】って【俊敏化】や【筋力強化】と違って、未だに明確な取得方法が発見されていないスキルの1つのはず。本当に何でアスタくんがそんな物騒な……あっ、でも唯一判明している取得者の共通点があった!確か……長きに亘るストレスなどの重度の精神的負担を患った者、だったっけ?……アスタくんに教えない方がいいかな。いくら不確かな情報かもしれないけど、余計に自分に不安に感じてしまいそうだし。

 なんて言い現わせばいいのか分からないけど、今アスタくんにかける言葉は慰めでも御託でもないっていうのは確か!いつも通り……私は私らしく、思ったことを言って場を盛り上げよう!!

 

「1人で20体のゴブリンを討伐、か……!すごいよっ、同じ年の私でも多分同じことをするのは難しいよ!」

 

「無理じゃなくて難しいなんだ。凄い自信だね」

 

「そりゃそうだよ!なんたって当時の私も子供だったとはいえ、冒険者育成学校の生徒だよ?モンスター討伐の経験は十分あったよ!」

 

「授業の一環で討伐でもするの?いや、流石にそこまで過激じゃ……」

 

「うんっ!初めての討伐は2年生への進級試験だったけなぁ?」

 

「本当にするんだ……。というか、すごい進級試験だね。死傷者とかでないの?」

 

「学校側の配慮で何人か先生や学校の先輩がついているから大丈夫!13歳の時、私は初めて剣を装備してモンスターと対峙したんだ。名前はブルーベアって言うんだけど……命の取り合いってこういうことなんだって実感した瞬間、怖くなっちゃったんだ」

 

 あの感覚は今でも覚えている。自分の身長以上あるブルーベアに委縮したというのもあるけど、初めての死闘に恐怖感を覚えた。例え先生や先輩たちが同伴していようとも、力量が私の方が上でも、人々の害となる存在でも、命の取り合いに一瞬躊躇ってしまった。

 その感覚を乗り越えた結果、こうして冒険者として活躍ができているけど、あの時の感覚は今でも忘れないようにしている。簡単に命を奪うことが当たり前と思わないように。

 

「だから私は思うの、アスタくんはすごいって!」

 

「……えっ?」

 

「だってそうじゃん!ちゃんとした訓練も受けていないのにゴブリンを倒せたんだよ!しかも20体もだよ!こんなのすごい通り越して、カッコいいじゃん!!」

 

 無意識に顔をぐいぐいと近付けながら語ると、アスタくんは恥ずかしそうに後退りする。

 

「いやっ、いやいや、話聞いていた?あれは全部【狂人化】のおかげで、俺自身は何も対抗できていなかった。全然カッコよくないし、寧ろカッコ悪い……」

 

「でもゴブリンと戦う覚悟を決めたのはアスタくん意思なんでしょ?それだけでも十分すごいよ!私なんかモンスター1匹だけでも怖かったのにそれが20体……考えただけでも恐ろしいよ!だからすごいと思う!本気でカッコいいって思っているから!!」

 

 アスタくんがどれだけカッコいい偉業をなしたのか理解してくれるまで、私の口は止まらなかった。いや、止める気がない。彼が行ったことに対して、もっと周りの人間は知るべきだと思う。なんだったら明日、私が言い回りたい程。

 熱く語り続けた甲斐があったおかげか、アスタくんは私の肩を掴んで後ろを押し返す。一瞬だけ彼の頬が赤くなっている様に見えたけど、多分気のせいだろう。こんなことで彼が恥ずかしがるとは思えないし。

 

「(あ、あんまり褒められていないから恥ずかしくなってきた。別の話題に変えて落ち着けないと……。)そ、そうだ。ナエナちゃんがアンデッドを倒す時、装備していた剣が赤く光っていたよね?あれは何?魔法、それともスキル?」

 

 ここでアンデットとの戦闘に発動したスキルについて聞いてきた。

 まだアスタくんの偉業について追及したかったけど、今度は私の事について興味を持ってくれた。しかも戦闘に関してなんて、まさに私の専売特許。さっき以上に語るなんて簡単だ。

 

「ふっふっふっ……アレはねぇ~、実は魔法じゃなくてスキルなんだ!今回使ったのは【ファイア・フォー・ブレード】って言うんだ!」

 

「名前のニュアンス的に火と剣を使うスキルっぽいね……。そんなのがあるなんて知らなかった」

 

「日常生活で見られる技じゃないもんね!これは【無魔法】をベースに、【火魔法】と【剣術】を併せることで得られるスキルなんだ!」

 

「……ッ!?スキルって、そうやって得るものなの?!」

 

 アスタくんの目を丸くして問い返してきた。どうやら一般的なスキルの取得方法について知らなかったみたいだ。

 

「うん、そうだよ!例えば【俊敏化】だったら、【無魔法】をベースにある程度まで熟練度のレベルが上がった【歩行術】と併せることで得られる!【筋力強化】は同じく【無魔法】をベースに、レベルを上げた【歩行術】と【体術】を併せて得られる、とかね!」

 

「それは知らなかった……。じゃあ俺でも頑張って【歩行術】のレベルを上げれば【俊敏化】を得られるんだ」

 

「そういうこと!……因みにっ!【ファイア・ブレード】っていうのは【剣術】のレベルが高くなる程、威力や連撃数も増えて調節ができるんだよ!今回は4連撃だったけど、今の私は7連撃までできるんだから!」

 

 同業の人の話では、同い年でここまでの連撃を放てる冒険者は中々いない。これは文句なしの、アスタくんにできる事ではないかと思って、胸を張って言った。

 しかし、あまりすごさに実感が湧かないのかアスタくんの表情は少し曇っていた。

 

「……4連撃?俺には8連撃に見えた気がしたんだけど……」

 

「あぁ~、遠くからじゃ気付かないと思うけど私は最初の4連撃をした後、もう一度同じスキルを発動したんだ。ほらっ、私を追いかけてきたアンデッド9体だったでしょ?私は8体しか見えていなかったけど。どっちにしても7連撃1回じゃ倒しきれないから、余力が残る4連撃をして2回使ったわけ。だから8連撃に見えたのかな?」

 

「ぐぅの根も出ない見事な解説だね。流石は学校を卒業しているだけあって、アンデッドと対峙をしてもそんな冷静に考えられるなんてね」

 

 少し意外と感じたのか、アスタくんはふむふむと頭を振って納得してくれた。【ファイア・セブン・ブレード】についてあまり感心を持ってくれなかったのは少し癪だけど、アスタくんとこうして談笑できているから良しとしよう。

 

「うっふっふっ、そうでしょ~!ねぇねぇ~、他に聞きたいことはない?何でも聞いていいよ!」

 

「ふ~ん。それじゃあ……」

 

 その後もアスタくんとの談笑は続いた。

 同じ部屋の中、同じベッドの上、向かい合って話す私たちはまるで子供の頃のように遠慮なく言葉を口にしていった。あぁ、やっぱりこの時間は楽しい。結局はこうしてアスタくんと笑い合える空間があれば、草原でも彼の部屋でも笑える。

 話していくうちに時間を忘れて、いつの間にか外は真っ暗になっていた。ペレーハ村の住民たちは就寝し、真夜中になって明かりを灯している家はアスタくんの家の、1つの小さな窓だけ。それでも関係なく、その窓の中で私たちは眠る時まで話し続けた。

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