星暦2019年 夏の65日 土の日 昼
クミル叔父さんがペレーハ村から去ってから約3週間が経ち、生活はまた平凡な日常に戻った。変わった事があったとすれば、あれから毎日草原に行って軽い散歩をしている。自分の体力の少なさに焦りから始めたけど、思いのほかいい運動になる。
今日も草原で散歩していると、クミル叔父さんがグリーンウルフと戦った日をふと思い出す。叔父さんは悠然としてグリーンウルフの群れを倒したが、後から振り返るとグリーンウルフが弱いのではなく叔父さんが強いのだと最近になって気付けた。
本で分かったが、グリーンウルフは冒険者からして単体ではそれほど苦戦はしない。だけど相手群れだった場合、例え冒険者側が団体でいたとしても生存率はそれほど高くない。俺たちが出会った数は5匹。一般的な群れと比べれば少ない方だが、それでも危険には変わりなかった。
そう考えると俺、運が良かったんだなぁ……。
もしまたモンスターと遭遇してしまった場合、武器を使って戦う術や魔法を発動する力もない俺はどうするべきだろうか。答えは必然的に逃げの一択のみ。モンスター相手に逃げ切れる自信はないが、少なくともペレーハ村の門の近くまで行けば門番が助けてくれる。だから、そこまで走る体力は欲しい。もしそれまでに捕まってしまったら、間違いなく噛み殺される。
無残にモンスターに食い殺される自分の姿を想像してしまい、ゴクリッと息を重く呑んで走った。この世界に転生した時、想像していた恐怖がまさにそれだった。俺は必死になり草原を走り続けた。しかし、30秒後。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
ヤバい、本当にこれはヤバい?!これが引きこもりの末路か……。
気がついた時には、俺は息を荒立て仰向けになって倒れていた。
改めて体力の限界を理解すると悲観したくなる。呼吸が整えて、しばらくこの場で瞳を閉じて休憩する。ここは立ち入り禁止の森から離れているから、少し居座るくらいなら問題はない。
晴天の温もり、草を優しく揺らす風を感じながら、ある事を思いだしていた。それは、何故俺が異世界に転生できたのか、その理由について。
サーネス夫婦の下で生まれて数か月の赤ちゃんの頃、俺は前世の記憶と転生する理由について等を、記憶として思い出すように頭の中に入ってきた。それが転生の神様からのメッセージであった。
まず、転生の神様が俺に2度目の人生を送れるようにしてくれたというと、とある別の神様にそう頼まれたからだそうだ。
その神様の名は“運勢の神様”。名前の通り、全ての生物の幸福や不幸を均等にして今生を過ごさせるという使命がある。波長の波のように幸福があれば不幸を、不幸があれば幸福といったバランスを保たせる。しかしごく稀に、運勢を均等にできずに不幸の連続で余生を過ごさせてしまい、そして他界してしまう者が複数人同時に出てくる。今回もその事態が起き、その内の1人が俺だった。
誤ってそんな人生を送った者の魂が天国に来た場合、運勢の神様は毎回転生の神様に頼んで、異世界転生という処置をしているそうだ。因みに何故異世界かというと、その魂がもう一度同じ世界で人生を送ることは禁止されているそうだから。代わりに記憶を残したまま転生してくれる。だから俺はこうして前世の記憶を持ったまま、異世界で第2の人生を送れているのだ。
以上が転生の神様が俺を異世界に転生させた理由であった。
正直、不幸な人生だったなぁって自覚はないんだけどな。これが当たり前、たまたま運が悪かった程度でしか思わなかった。……いや、結果的に言えば運はなかったかも知れないが、恵まれているのは間違えない。こうして俺という人格を持ったまま第2の人生を送れるようになったんだからな。感謝しなくちゃ。
まあ……前世の記憶を持っているのに、この現状だけど。本当に体力がない、絶望的に。前世は筋トレとか興味なかったから、そういった知識は疎いんだよなぁ。マイペースに少しずつ体力付けていけば良いか……別に今から焦る必要はないし……。
「……アスタくん何しているの?」
「……ッ!?」
聞き覚えのある声が耳に入ると、瞬時に目を開けて体を起こして声のする方向を見る。そこにはいつの間にかナエナちゃんがいた。
びっくりしたぁぁぁ!急に現れたから思わず変な声出ちゃった!?ってか、どんだけ油断していたんだ俺は……いきなりとはいえ声をかけられたくらいでここまで驚くなんて。てか……かなり顔が近い、わざと?
「……ちょっと走ったら疲れて……少し休んでいた」
「あははは!相変わらず体力ないね、アスタくんは!」
「……ナエナちゃんこそ……何でここに?」
ファンタヘルムの曜日は全部で10個。
光・闇・火・水・土・木・氷・雷・風・無、の順に繰り返して1週間と数える。光の日は基本休日となっている。因みに、この世界の1年は400日であり、月日の区切り方は1月・2月・3月ではなく、春・夏・秋・冬の4つに区切られおり、1季節100日となっている。
そして今日は土の日、平日である。それなのに、この時間でナエナちゃんがここにいるのはおかしい。彼女の夢は両親のように冒険者になること。だから6歳の頃から平日は、家に先生を呼んで勉学を教えてもらい、両親には剣や魔法の稽古をしてもらっている。光の日は休みになっていて、よく外で遊んでいる姿を目に入るが、それ以外の日は毎日まじめに訓練をしている。
「アスタくんが見えたからついて来たの!」
知りたかったことと少し違う。これはちゃんと質問の意図を伝えられていない俺が悪いな。
「えっと……今日は土の日、なんでナエナちゃんはここにいるの?……勉強は?」
「先生今日来ないんだって!お母さんに会いに、先生実家に帰ったんだって!」
「じゃあ……稽古は?剣や魔法の」
「せっかくだから休みにしてもらった!パパもママも今日は遊んでも良いって!」
なるほど、そういうことか。それで遊びに出ようと外に出たら俺が見えたと。聞かなくとも容易に想像できた事情だったな、考えが及ばなかったな。
「ねぇねぇ~、アスタくんも今日は暇なの?せっかく草原に居るんだから一緒に遊ばない!」
草原でのナエナちゃんとの遊びと言えば、あの訓練のような遊びになるのだろう。正直嫌だが、断る勇気はない。例え相手が子供でも俺のわがままで嫌われたくない。
「……俺なんかで……いいなら」
「うんっ!遊ぼうっ!」
いい笑顔で返事するとナエナちゃんは俺の手を掴み、体を起こしてくれた。訓練しているとは女の子の力で簡単に引っ張られてしまうとは。俺って思っていた以上に軽いのかもしれない。
「ねぇねぇ~、何がしたい?」
「……何でもいいよ」
「う~~~ん……じゃあ村までかけっこしよう!」
よりにもよってまた走るのか。ここで遊ぶより村周辺の方が安全だから良いか。だけどここからペレーハ村まで意外に距離がある。無意識にここまで歩いていたんだな。
「んじゃ行くよ!よ~~~い……」
ナエナちゃんは隣で走り出す準備を始める。多分また彼女が先で俺が後を追うような光景になるな。だけど俺もあれから毎日、外出しているから少しはついて行けるはず。意外に乗り気になった俺も走る構えになりスタートの合図を待つ。
……、……、……んっ?なかなか始まらない……どうしたんだ?
一向に掛け声を言わない。気になってナエナちゃんを見ると、彼女はペレーハ村の逆方向を見ていた。
「……アスタくん、あれ誰だろう?」
そうナエナちゃんは指をさした先には見ると、なんと草原の奥にある森の方から1人の謎の者がこっちに歩いて来ていた。全身を隠すほどの長いマントを身に纏い、フードを深く被っているせいで顔も見えない。まさに不審者そのもの。
人……いや、ありえないッ!?
ペレーハ村の場所はウエスト大陸の最端に位置にある。この村より西側の草原より奥へ行くと、モンスターも少なからず住んでいる森があり、更に進むと崖になっている。崖の下は海で、隣の大陸に行くにはとてもじゃないが泳いでは行けない。だから向こう側から人がやってくるのは常識的にはありえない。
一体、誰……!?とにかく速くナエナちゃんと逃げて村の人たちに伝えないと……。
「ナ、ナエナちゃん……に、逃げ……」
「お~~~い!こ~~~んに~~~ちわ~~~!!」
「なっ……!?」
警戒心がないのか、ナエナちゃんは大声でマントの者に声をかけた。更には手を振って俺たちの場所を教えている。
マントの者は俺たちの存在に気付き、顔を上げてこちらに向く。距離があるはずなのにマントで顔が隠れているはずなのに、マントの者からの視線を肌で感じる。
何この感じ……!?ヤ、ヤバいッ、何かヤバいッ!!
「アスタくん、ちょっとあの人と話してみようよ!」
「待ってッ!!」
ナエナちゃんを静止させるため、性格に合わず大声で言葉を言い放ってしまった。これ反応して止まってくれたが、流石の彼女も驚いたのか呆然とした表情で俺の方を振り向いた。
「あの人、怪しい!」
「えっ、なんで?」
「だって向こう側から人、絶対に来ない!だからあれは、絶対に怪しい!……逃げよう!」
何故向こうから来たのか、何故モンスターがいる森で無傷で出られたのか、何故全身を隠すほどのマントを纏っているのか。マントの者はここから見てもその背丈は大人だと分かる。もし追われたら、子供の俺たちではすぐに追いつかれる。だけどペレーハ村の周辺なら住民たちがおり助けてくれるはず。
マントの物とはまだ十分に距離がある。今から逃げればでもまだ何とかなる、早く逃げようとナエナちゃんに進言する。しかし、物事の展開は俺の予想を大きく超えた。
「ふぉっふぉっふぉ。いきなり人を怪しい呼ばわりとは、失礼じゃないかのう?」
「……えっ?」
突如として背後から聞こえた声によって、俺の思考は真っ白になった。全く聞き覚えのない声。いや、それ以前に後ろには誰もいなかったはず。額から冷汗を流しながら恐る恐る振り返ると、そこにはマントの者が立っていた。
何でここにッ!?さっきの所にいたのは……いない?!この距離を一瞬で移動してきたのか?!一体どうやって?!魔法?!それともスキル?!
理由はどうであろうと関係ない。今、感じているのは、迫ってきた恐怖。膝が徐々に笑い出し、無意識にその場に倒れてしまった。
「ふぉっふぉっふぉ。大丈夫か、少年?」
不気味に笑いながらマントの者は俺に右手を伸ばす。
「アスタくんをいじめないでっ!!」
いつの間にかナエナちゃんはマントの者の前に立ち、俺を庇おうと両手を横に伸ばす。俺が虐められていると思い、彼女はマントの者に強く睨みつける。
「ふぉっふぉっふぉ。安心せい、お嬢ちゃん。わしは怪しい者でもなきゃ、イジメもせん」
そう言いとマントの者はフードを外して、自分の顔を俺たちに見せる。
マントの者は、獣の耳を持った獣人族の女性であった。一人称で「わし」という一人称を使うには合わないほど若い容姿をしており、頭の上に動物の耳が生えている。マントの者は伸ばした右手でナエナちゃんの頭を優しく撫でた後、再び俺の方へ手を伸ばす。
「ほれ、立てるか?」
どうやら手を出していたのは、倒れた俺を起こすため差し伸べていただけだったようだ。俺はその手に捕まり、ゆっくりと立ち上がった。
「……あ……ありがとう……ございます」
「いえいえ。こっちこそ悪かったのぅ、怖い思いをさせてしもうて」
自分に対し怪しい呼ばわりした子供に対して、マントの者は逆に笑ってくれた。そんな彼女の笑い声でさっきまで緊張感がなくなる。
「あの~」
「何じゃ?」
「えっと……もしかして、獣人族ですか!」
ナエナちゃんの質問にマントの者はニヤリと笑いながら、その大きな耳をピョコピョコと動かす。
「ふぉっふぉっふぉ。そうじゃ、わしは獣人族のロップ!占い師をやっている者じゃ!」
マントの者の名は獣人族のロップさん、占い師であった。
薄めのブロンドの髪色、マントの中に革の防具を着ている獣人族のロップさんが自己紹介をしてくれた。
「私はナエナ!ナエナ・マーシェナ!こっちは幼馴染みのアスタくん!」
「……どうも」
俺たちも続いて自己紹介をする。俺のはしてもらったと言った方が正しいか。軽く自己紹介が済み、俺たちはその場に座り会話を始めた。
「わぁ~~、獣人族だ!初めて見た!ねぇねぇ~、その耳触ってもいい?」
「ふぉっふぉっふぉ、ええぞぃ。ほれ!」
ナエナちゃんはロップさんの隣に移動して、その大きな耳を触らせてもらった。気持ち良さそうに触っている。さっきまで睨んでいたのが嘘の様に上機嫌になった。
初めて会った獣人族に興味を示しているようだ。ペレーハ村は住民も来訪者も皆、人族しかいないから他種族の容姿を見られる機会など全くない。だから、こんな反応をするのも当然。実を言うと俺も興味が湧いている。早く他種族にも会って見てみたいとは思っていたのだけど、まさかこんな形で出会えるとは思わなかった。
「もふもふ~!……キツネさん?」
「そうじゃ、わしは狐種じゃ」
獣人族は人種が多く分かれており、耳や尻尾の形や大きさも異なっている。改めて見ると、ロップさんの耳はキツネの様に先が少し尖った形をして、腰の方にはキツネの尻尾が生えている。
「ねぇねぇ~、そういえば何でロップさんはあっちから来たの?あっちは森だけで何もないって聞いてるよ?」
ここで俺も気になっていた事について質問をした。確かにあの森の先には崖で、人が満足に通れるほど開拓されていないはず。
「いや~、説明しても良いが……ちと長くなるぞ?それでもええか?」
「うんうん、教えて!」
興味津々にナエナちゃんは首を縦に振った。そして耳を触るのをやめて、その場に座って話を聞く姿勢になる。
どうやらロップさんは旅占い師という少し特殊な商いをしているそうだ。文字通り特定の場所に留まらず、点々と街町を移動してはその場所で占いをしている。
そんな旅をしている道中、運悪くゴブリンの群れに遭遇してしまったそうだ。なんとか応戦したけど数が多かったため、やむを得ず森の中へ逃亡した。しかし逃げ切った先は崖で、引き返すわけにもいかずそのまま崖に沿って移動することにした。体得している【索敵】というスキルで、比較的モンスターの数が少なかった区域を見つけて、長時間森の中を進み続けた。そして漸く、森から抜け出して視界の良い草原へと到着した。その時にナエナちゃんに声を掛けられ、今に至るというわけだ。
これは予測できるわけがない。まさか崖に沿って歩いてくる人がいるとは。モンスターから逃げ切れたとか、スキルを駆使して安全確認とか、それら普通に言っている。恐らくロップさんはかなり実力者だろう。マントの中にある腰に添えられてある剣も納得ができる。
「ねぇねぇ~、それじゃどうやってアスタくんの後ろに一瞬で着いたの?」
「おお、あれか?あれは【土中遊泳】ちゅう魔法を使ったんじゃ!わしのオリジナル魔法じゃ!すごいじゃろ?」
オリジナル魔法……!?そんな魔法初めて聞いた!
「あの……オリジナル魔法って……何ですか?」
「ある程度じゃが、使い熟した魔法と自分が体得してあるスキルで、どんな魔法にしようかと想像しながら統合して創る……平たく言うと、自分だけの特技みたいなもんじゃな」
ロップさんは難しそうな顔をしながら説明してくれた。こういった説明は苦手なのだろう。
どうやら冒険者なら3つや4つ以上は持っているそうだ。そしてロップさんは、この魔法のおかげでモンスターの群れから逃げ切れたという。確かに土の中に移動すれば攻撃される心配もなく、安全に距離を稼げる。
「ところで、お嬢ちゃんたちは……」
「お嬢ちゃんはやめて!ちゃんとナエナって呼んで!」
「おっと、すまんすまん!ナエナたちは何でこんな所におるんじゃ?」
「ここは私たちの村の草原だからアスタくんと遊んでいたんだ!ほらっ、あそこに!」
「なに?……ほぉ~、ホントじゃ。こんな所に村なんてあったんか」
ロップさんはこの辺の土地勘がないのか、ペレーハ村のことについて知らなかったようだ。だとしたら本当に運良く、村のある所で森を抜け出せたみたいだ。
いや、そんなこと考えている場合じゃない。俺はロップさんに言わなければならないことがある。
「あ、あの……」
「どした、アスタ?」
「さ、さっきは……すいませんでした。勝手に……モンスターって言って……逃げようとして」
会話を通してロップさんは少なくとも害ある者ではないのは分かった。だからこそ、ロップさんを俺の勝手な勘違いで侮辱した発言に対して深く謝罪したかった。
そんな俺に満足してくれたのか、ロップさんは笑いながら俺の頭を撫でる。
「ふぉっふぉっふぉ、気にすんな気にすんな。もう過ぎたことじゃ」
「怒って……ないんですか?」
「怒ってないぞ?もし先の行動を気にしておるのなら、寧ろわしはおぬしに感服しておる」
「俺に感服……?」
ロップさんの言っている意味が分からない。
「わしら獣人族は基本、五感のどれかが優れている。わしの場合は耳じゃ。だから先ほどのおぬしらのやり取り、しっかりとこの耳に入っておったんじゃ」
獣人族は索敵のエキスパート。聴覚だけじゃなく嗅覚や視覚など、人種によっては様々な分野に長けている。
それは俺でも知っている。だからこそ分からない。あの会話を聞いたのに何故ロップさんは俺に感服しているのかが。
「自分たちの身の安全を考えたうえでのあの発言、とても若人には思えなくてのぉ!わしは感心したと同時に感服したじゃ、咄嗟のあの判断に!おぬし、なかなか賢いのぉ」
どうやら、行き過ぎた自衛能力を評価してくれている。申し訳ないけど、その評価は素直に受け入れられない。
あなたが思っている程、俺は感服されるような人じゃない。現にあなたが迫ってきた時、俺は怖気づいて動けず、結果的にナエナちゃんに助けてもらった。
「……そうじゃ!これも何かの縁じゃ、せっかくだし2人を占ってやろう!」
そう言い出すとロップさんはマントの中にあるカバンから、1つの水晶玉を取り出して俺たちに前に出してきた。
「ほれ、これがわしの商売道具じゃ」
「きれい……!」
ナエナちゃんの言う通り、確かに綺麗な水晶玉だ。水色で太陽の光でより輝いて見える。前の世界で水晶玉なんて見たこともなかったから俺も初めて見た。
「あの……今、お金は……」
「子供から金は巻き上げん!
「本当に!?わ~い!」
「わしの占いはよく当たるぞぉ!さあ、どっちが先にやりたい?」
よく当たるということは占いで不幸な将来が見えたらその通りになるということなのか?占いに興味あるが、もしそうなったら……嫌だな。
「アスタくん、私が先で良い?」
「いいよ……先にやってもらって」
「やったー!ありがとう!」
ナエナちゃん満面の笑みで喜ぶ。分かってはいたけど、俺以上にナエナちゃんもロップさんの占いに興味を持っていた。
順番が決まるとロップさんは、ナエナちゃんの前に水晶玉を置いて両手をその上に沿える。
「よしっ!それじゃあ始めるぞぉ……」