【完結】大学生になった重遠は全盛期!~未来の娘と紡ぐ室矢家の伝説~   作:初雪空

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高校時代の室矢重遠!

秘密の女子校で、1週間の滞在。
けれど、そこには世界を滅ぼす存在の召喚儀式があって……。

「異能者が普通にいる世界へ転生したら死亡フラグだらけの件」の3巻目は、誰もが疑わしい!?
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第3話 ストロベリーは食べごろになったー②

 姿を現した天ヶ瀬(あまがせ)(うらら)は、実弾のアサルトライフルを数発で指切りしながらも、歯噛みする。

 

「メグさん……」

 

 片膝をついたまま、廊下の先にいる男たちに撃ち続け、応戦されたことでの弾丸がヒュンッ! シュッ! と近くを通りすぎ、もしくは、壁や床に当たって破片を飛ばしてくる。

 歩兵のヘルメットは、この破片を防ぐため。

 

 先ほど、機動捜査隊の2人が耳にした音は、咲良(さくら)マルグリットが乗っていた車両が撃たれ、爆発した音だった……。

 

 不安でしょうがない麗に、ミーティア女学園の超空間を利用したリアルタイムの戦術データリンクで、マルグリットの声。

 

『聞こえる? こちらは全高4mのMA(マニューバ・アーマー)に襲われたわ! 車両は爆散! 手持ちの装備だけで対応して! 少なくとも2機! そちらにも行くと思う。制限なしで戦いなさい! 生け捕りの必要はなし』

 

「全力の制圧、了解! ……MAか」

 

 麗は、立ち上がった。

 FPSのように相手を見たまま、横移動。

 

 相手の射線を切った。

 

 マンションの壁を背にしたまま、小銃の空マガジンを下へ落とし、次のマガジンを()めて、片手でチャージングハンドルを引く。

 

 そのハンドルが戻りつつ、シャカッと装填された。

 

 データリンクで、問いかける。

 

「MA? どこの勢力ですか?」

 

『分からない! ただ、動きが良すぎるし、全体のデザインも……。こっちは集中するから、後でね!』

 

「はい!」

 

 バババと、うるさい小銃の音が消えて、軍靴(ぐんか)のような足音が重なる。

 

 全員が走っており、10人前後。

 遠ざかるように、どこかを目指しているようだ。

 

 対する麗は肩付けしたアサルトライフルを両手で持ち、銃口を下げた状態。

 

 すでに制限はなく、殺して構わない。

 

 銃口を上げ、トリガーを引くだけで撃てるまま、呼吸を整えた。

 

 自分を向いている銃口2つに気づき、そちらを見る。

 

 片手で上下に開いた手帳を見せていた中年男が、パタンと閉じて、上着のポケットに仕舞った。

 空いた手は、グリップを包み込むように添える。

 

「警察だ! 銃を捨てろ!」

「頼むから、指示に従ってくれ」

 

 麗は、その雰囲気から、刑事のようだと思う。

 

 一般人にしてみれば、刑事と機捜(きそう)のどちらでも同じ。

 

 ふーっ! と息を吐いた麗は、グレーのシューティンググラス越しに、何もない方向を見た。

 そのまま、視線で追う。

 

 動かない少女を見た櫻井(さくらい)は、銃口を向けたまま、部下に命じる。

 

影山(かげやま)!」

「ハッ!」

 

 影山は拳銃をホルスターに収めて、背中側のベルトから手錠を取り出す。

 

 相手が両手で抱えたままの小銃を取り上げようと――

 

「早く逃げないと、死にますよ?」

 

 銃口を向けた男2人がいるのに、少女は関心を払わない。

 

 それに答えず、影山は上から小銃を押さえようとするも、クオンッ! と不思議な音がして、同時に突風。

 

 思わず固まった男2人が改めて見れば、一瞬で遠ざかった少女は窓があった部分から外へ飛び出す。

 

「ここ、10階だぞ!?」

 

 櫻井が叫んだ。

 

 異能者でも耐えられないことから、2人は急いで駆け寄り、そちらを見た。

 

 けれど、下に目立つストロベリーブロンドの髪はなく、地面に叩きつけられるドシンという音もない。

 

「外を伝って、逃げたか?」

 

 櫻井は拳銃を持ったまま、首を巡らせる。

 

 だが、どこにも見えず。

 

 他の建物も廃墟で、割れた窓ガラスから内部へ入り込むことは容易だ。

 

「しくじった――」

 タタタンッ!

 

 アサルトライフルの発砲音だ。

 

 周囲に反響していて、くぐもった様子はない。

 

「屋上!? チッ! さっき逃げた連中のほうか……。行くぞ!」

「は、はいっ!」

 

 櫻井と影山は、上へ続く階段を目指す。

 

 

 ◇

 

 

 廃墟のマンションから飛び出した麗は、室矢(むろや)家の嫁データリンクによる共有で魔法を発動。

 重力ベクトルを逆にする。

 

 上へ落下していった麗は、ボロボロの屋上にいる男たちを見た。

 

 両手でアサルトライフルを構え、今度は下へ落下しつつ、パパパと連射。

 

 日光で輝くピンク色の髪と、はためく淡い色のワンピースに対し、眼下のテロリスト集団は頭を撃ち抜かれた。

 

 弾丸が抜けた側に大きな穴で、崩れ落ちつつ、一部の男は無意識にトリガーを引き、明後日のほうへ銃撃。

 

 重力とベクトルを制御した麗は、ふわりと、屋上に降り立った。

 

 残弾はあるが、マガジン交換。

 金属の擦れる音。

 

 次の瞬間に横へ飛び、魔法で身体強化をしたのか、驚くほどの距離を移動した。

 

 そのすぐ後に、さっきまで立っていた屋上が崩れ落ち、内部の鉄骨やらを剝き出しに……。

 

 両足でブレーキをかけた麗は、低い姿勢のまま、敵がいる方向を見た。

 

 チュイイイインッ! ドガガッ!

 

 近くの屋上を滑ってきた巨人が、両足で下を凹ませつつ、停止した。

 

 4mのMAだ。

 

 両手で艦砲のようなマシンガンを持ったまま、紫で塗装された機体の頭で、目のような部分を光らせた。

 

 マルグリットが乗っていた車を破壊したうちの、1機。

 

 駆動部分を凍らせようと、麗が魔法を発動させようと――

 

 MAは甲高い音を立てながら、両足で立ったまま、滑り出す。

 

「えっ!?」

 

 瞬く間に、MAは距離を詰めた。

 ロボットの動きではない。

 

 ドドドと、マシンガンが(うな)り、麗に襲い掛かる。




過去作は、こちらです!
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