【完結】大学生になった重遠は全盛期!~未来の娘と紡ぐ室矢家の伝説~   作:初雪空

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召喚儀式は終わった。
室矢重遠が気づかないうちに……。

そして、咲良マルグリットの姿もない。

5巻目で、ベル女編がどうどうの完結!
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第33話 ヒモ理論による新たな宇宙

 人気のある飲食店が集まり、展望台も兼ねているため、高層ビルの設備は一流だ。

 そもそも、目立つランドマークという他に、若者から高齢者まで集まるサロン、話して自慢できるブランドの意味合いが強い。

 

 とはいえ、テレビなどのマスコミが結論ありきで宣伝しつつ、有名人に裏で金を積んで知名度を上げるのが一般的。

 

(良ければ売れるってのは、幻想だよな……)

 

 知らないものは買わないし、行きようがない。

 他の人間にも言いにくい。

 

 すると、インターホンの音。

 

 立ち上がって玄関へ行き、相手を確認した後で開錠。

 

 バタンという開閉音に、若い女が入ってきた。

 

「ごめん! もう大丈夫だから……」

 

 肩で息をしつつ戻ってきた時翼(ときつばさ)月乃(つきの)と共に、宿泊する部屋でまったりする。

 

 2人で角の二面が窓になっているほうを向いたソファーに座り、そちらを見ていたが……。

 

「ボク、薄情かな?」

 

「その話をすれば、今日が潰れると思う。明後日まで、お前の予定を外しておけ」

 

 驚いた月乃は言い返そうとするも、すぐに口を閉じた。

 

 俺から視線を外し、色々な角度を見る。

 

「う、うん……。分かった! 重遠(しげとお)と一緒にいられるのは、今回ぐらいだし。言う通りにするよ」

 

 ちょっと待ってて、と言いながら、スマホをいじり出す。

 

 けれど、メッセージアプリらしき着信音のあとで、息を吐いた。

 

「これで良し、と……。お待たせ! 友人に、大学のことを任せたから」

 

「そうか……。じゃあ、落ち着いている間に、今後の予定をザッと説明するぞ?」

 

 このホテルの宿泊費などは、全て俺が持つ。

 余計な手間を省きたい。

 

 どういう形であれ、いったん感情的になれば、翌日まで落ち着かないだろう?

 だから、先に食事とドリンクの買い出しも済ませておく。

 

「とりあえず、吐き出せるものは全て出したほうがいい! でも、それを始めると他に何もできない。俺だけ外で買ってくるのは、嫌だろ? ルームサービスも、アレはアレで気を使って面倒だし」

 

「ああ、うん……。泣き腫らしたり、感情的になったりした状態で、部屋の外に出たくないよ。かといって、お腹がグーグー鳴る状態で話し合いもねえ……。たださ? 君、すっごく慣れていない!?」

 

 ジト目になった月乃に、しみじみと答える。

 

「こんな事ばかりしているような気がする。もう慣れたが」

 

「そこは嘘でも、『君が初めてだよ?』とか言うべきじゃない!?」

 

「俺が言っても、説得力がない」

 

 その返答で、月乃は俺の家族構成に気づいたようだ。

 

「あ、うん……」

 

 何とも言えない表情。

 

 その月乃に提案する。

 

「明日どうするのかは、明日に決めよう! とりあえず、明日も泊まるようにフロントへ行って――」

 

 2人で外出して、フロントで延泊の手続きと支払い。

 

 これで、チェックアウトの時間を気にせずに済む。

 

 永 俊熙(ヨン・ジュンシー)たちの見送りで、今はもう夕方だ。

 

 

 ――ステーキハウス

 

 予約なしだったが、飛び込みでテーブル席へ。

 

 高級ホテルのテナントだけあって、クラシックな内装。

 ブラウンが主体で、グリル形式のステーキも味わえる。

 

 高層ビルらしい絶景があるものの、俺たちの部屋で見られる。

 

 広い空間で他の客の話し声や、美味しそうな匂いが漂う中で、話し合う。

 

「ステーキハウスは、もっとワイルドだと思ってた」

「海外のUSスタイルなら、そうだろうけどな?」

 

「お待たせしました! こちら、国産牛の――」

 

 上品なホール係が嫌味にならない説明をしつつ、俺たちの料理を手際よく置いた。

 

 そのままテレビや映画に出られそうな、外国人のイケメンだ。

 カジュアルだが、気品あるスーツ。

 

「ごゆっくり、お楽しみくださいませ」

 

 定型のセリフを聞きながら、サービス料は一定の割合で追加だったか? と思う。

 

 彼が立ち去った後に、食事を始める。

 

 オシャレな大皿の中心で、上品な盛り付け。

 

「美味しい! でも、お皿や分量は創作料理みたいだね?」

「場所的に、アッパークラス向けだからな」

 

 足りなければ、他の店で持ち帰りのスイーツなりを買えばいい。

 

 ともあれ、和気藹々と食事が終わり、俺はカードで支払った。

 

 敵に襲われても優雅に撃退しそうなイケメンは、俺のカードを受け皿で丁寧に戻しつつ、店外まで見送る。

 

「またのお越しをお待ちしております」

 

 気配だけで、深々とお辞儀をしていることが分かった。

 

 やっぱり、ステーキという雰囲気ではないな?

 

 ちなみに、俺は正妻の南乃(みなみの)詩央里(しおり)の許可で他の女と泊まり、財閥の悠月(ゆづき)明夜音(あやね)のカードで支払い、月乃の親友である咲良(さくら)マルグリットが超空間ごしに見守っている。

 

 暇をしている室矢(むろや)家の女たちも、全員……。

 

(どこのテレビ番組だ?)

 

 最年少で中等部に上がった二条(にじょう)(すみれ)も、ちょこんと正座をしたままで見ている。

 しかし、この超空間のネットワークに規制はなく、全て無修正だ。

 

 菫もいずれ初夜となるため、予習している。

 

(どうせ、あいつらで好き勝手にダメ出しだろう)

 

 女同士の会話を聞いても、ロクなことがない。

 

 ともあれ、俺は高次元のヒモとなり、宇宙を再現できるまでに至った。




過去作は、こちらです!
https://hatuyuki-ku.com/?page_id=31
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