【完結】大学生になった重遠は全盛期!~未来の娘と紡ぐ室矢家の伝説~   作:初雪空

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召喚儀式は終わった。
室矢重遠が気づかないうちに……。

そして、咲良マルグリットの姿もない。

5巻目で、ベル女編がどうどうの完結!
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第35話 四次元を超えた死亡フラグが迫る!

 時翼(ときつばさ)月乃(つきの)との時間が終わった。

 

 室矢(むろや)家のハーレムに加えることが、正妻の南乃(みなみの)詩央里(しおり)によって決定。

 

 目を離したら、月乃は攫われる。

 彼女が子供を産めば、無条件で開門搏撃拳(かいもんはくげきけん)の宗家の直系だ。

 

 もはや、選択の余地はない。

 諸々の事情を説明した後に、室矢家の超空間ネットワークへ加えた。

 

 目を丸くした月乃が受け入れるまでに、時間がかかるだろう。

 

 卒業後の就職先として、魔法技術特務隊に誘われていたようで。

 その責任者である(りょう)愛澄(あすみ)に、キャンセルを丸投げ。

 幸いにも、貸しはいくらでもある。

 

 月乃は、ベルス女学校の学年主席だったし。

 俺が予約していたわけでもないから、別に怒る話じゃない。

 

 東京の明示(めいじ)法律大学で、日常に戻った。

 

 マンモス校の私立だけに、ボッチの俺は目立たない――

 

「あいつだよな? 日替わりで、違う美人を(はべ)らせている奴は」

「どこの奴だ?」

「知らん! 目ぼしいサークルじゃないだろ」

「俺たちのサークルに入れるか? 飲み会で、その女たちも呼べば――」

「やめとけ! 前に、あいつへ絡んだグループが全員、大学を辞めた」

「マジ!?」

「ああ、マジだ! 日本に帰れないまま、船員をやってるとさ!」

「そいつらが『時間を飛ばされた』と騒いでいたの、聞いたぜ?」

「講義でも、あいつの手下みたいな学生がいるしな」

「そいつは?」

「話しかけたけど、違う奴がフォローしてきたんで。すぐ逃げたわ」

「……何か、ヤバくね? どっかの組の御曹司とか?」

 

 このベンチだけ、近づく学生がいない。

 

 ゾロゾロと、大学生のグループが近づいてきた。

 

 その先頭は――

 

重遠(しげとお)!」

 

 俺の妻の1人である、悠月(ゆづき)明夜音(あやね)だ。

 マネーパワーなら、断トツ。

 

 しかし、お付きの数が多い……。

 

「明夜音か? ずいぶんと大袈裟だな」

「仕方ありません! いつぞやに、男子グループが絡んできたから」

 

 自分でも不本意だ、と言わんばかりの顔。

 

「そうか……。で、何の用だ?」

「天気が良いから、遊びに出かけましょう」

 

 明夜音が、片手を耳に当てて、トントンと軽く叩いた。

 

 超空間のネットワークによる念話へ。

 

『以前のMA(マニューバ・アーマー)で、進展がありました』

 

『急ぎか?』

『はい! 申し訳ありませんが、すぐにでも』

 

 息を吐いた後で、返事をする。

 

「ああ、いいぞ! 残りの講義は――」

「代行させます。手配を」

「了解」

 

 これだから、金持ちは……。

 

 そう思ったが、明夜音は真剣だ。

 

 バッグを肩掛けしつつ、立ち上がる。

 

 遠巻きに見ている大学生たちの視線を感じつつ、立ち去った。

 

 

 ――悠月財閥の研究所

 

 軍施設と同じレベルの警備を抜けた先には、モジュール単位にされたMAの姿。

 4mのサイズ。

 前に言われた通り、家紋のようなマークがある。

 

 人が乗れるシートを持つ、コクピットブロックも……。

 

 モニターには、そいつのパイロットらしき男の姿。

 牢屋に閉じ込められていて、両腕は拘束服によって固定。

 

 かなり憔悴している。

 

 俺は、悠月明夜音に問う。

 

「何が分かった?」

 

「パイロットの彼は、貴族のようです。そして、彼がいる帝国は、こちらへ侵攻するようです」

 

「そりゃ、大変だ!」

 

 他人事のように言えば、ため息をついた明夜音が目配せ。

 

 すると、IDカードを胸につけた白衣の男が頷いた。

 

「自称パイロットが言うには、侵攻してくるのはダルディアス帝国。ご覧になったMAは小規模ながら、慣性制御を実現……。平たく言えば、本来のベクトルを自由に軽減できるのです。これによって、推進ユニットの効率が飛躍的に――」

「要点だけ、お願いいたします」

 

 白衣の男は、明夜音に頭を下げる。

 

「失礼しました、悠月さま……。物理法則への干渉は、超能力に近いですね! 地球上のMAとは比べ物になりません! 生身で交戦してよく撃破できたと、感心しております」

 

 俺は、説明してる科学者に尋ねる。

 

「あなたの視点で、ダルディアス帝国が侵攻してくる可能性は?」

 

「高いです! (くだん)のパイロットの発言に頼りますが……。我々とは違い、すでに四次元より上の理論を実用化しているようです」

 

「単刀直入に聞きます。あなたの手に負えますか?」

 

「……ぜひ研究したいとは思っています」

 

 つまり、無理ということだ。

 

操備(そうび)流にMA一式を渡し、協力を要請したいのですが?」

 

 すかさず、明夜音が決定を下す。

 

「その方向で動きましょう! ウチだけで抱えていたら、危険です! あなたの頑張りは、ムダにしませんよ? 可能な限り、時間を与えます。取れるだけのデータを」

 

 白衣の男は、明夜音にお辞儀をした。

 

「ご配慮くださり、ありがとうございます! データ収集を急ぎます」

 

 1秒も惜しいようで、早足の退室。

 

 バシュッと扉が閉まり、俺は息を吐いた。

 

「おそらく、どこかの時空に穴を開けてくるぞ……」

 

「ええ……。1機だけで圧倒的な性能。それに、帝国と名乗るだけの規模」

 

 明夜音の指摘。

 

「強行偵察か、こちらへ繋げた際の事故かは、微妙なところだ」

 

「いずれにせよ、連絡が途絶えた時点で、後続がやってきます」

 

 2人で憂鬱になるも、ここで唸っていても仕方ない。




過去作は、こちらです!
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