【完結】大学生になった重遠は全盛期!~未来の娘と紡ぐ室矢家の伝説~   作:初雪空

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澪は、ついに室矢家と会った!
いっぽう、誰にも知られないままで進んでいく、日本滅亡!?
同時進行する状況に、ついていけるか?
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第51話 千陣流での大百/足くんと扱いが良いのはどっちか?

 緊張した空気の中で、俺は突っ込む。

 

「お前は妻の1人だし、手伝えることは手伝う! が、将来的に室矢(むろや)家はなくなるんだぞ? カレナも、俺たちの面倒を見るだけだ。子供は例外なく、それぞれの家の責任とするんだ」

 

 これまで桜技(おうぎ)流を助けたのは、あくまで成り行き。

 どっちみち、男子校を軌道にのせて、同時に警察などの影響力を減らすことは、一代で終わらない。

 

 超空間のネットワークを通して、天沢(あまさわ)咲莉菜(さりな)が悩んでいる。

 

 頭を揺らし、やがて答える。

 

『承知しておりますー! 重遠(しげとお)に頼みたいのは、調子に乗っている男子を叩きのめして一罰百戒にすること!』

 

「最初に作った伝統が続くのは、そちらの意味でも、か……」

 

 話を聞けば、俺に桜技流の称号があることで、指導をつけて欲しい。

 

「怖いもの知らずの男子が、突っかかってくると?」

『警察の関係者で剣道や柔道が上手い男子や、退魔師互助会のお偉いさんの息子、あとは半グレみたいな腕自慢です』

 

 咲莉菜としても、こういった事態になると予想していた。

 

 どうせ、俺という切り札があるのだから、最大限に活用しよう。という話に。

 

『申し訳ございませんが、わたくし達を賭けるぐらいに思い切ったほうがいいかと……』

 

「釣るんだったら、金と女だな! ただし、今の俺は四大流派から認められた人間だ。その意味を分かっているんだな? 高校生だからと手加減はしないぞ? 異能をなくすぐらいに潰す。命があっても、二度と表舞台には立てんだろうな」

 

 それぐらいで当然のポジションだ。

 

 さもなければ、他の奴らが俺に逆らった報復で殺しかねない。

 

 深呼吸をした咲莉菜は、首肯した。

 

『お願いするのでー! むしろ、そうでないと意味がありません。女子校のほうは凪と澪がいれば、事足ります』

 

 

 ◇

 

 

 新設された男子校に出向いた俺は、パンダの気持ちがよく分かった。

 

 お世辞にも好意的ではない。

 

 まだ伝統や実績がなく、俺が桜技流で特別扱いだから、不安そう、俺に対する興味、敵意、呼ばれて面倒と、色々な感情が視線でぶつけられる。

 

(女っ気がない奴らにしてみれば、年齢が近い俺をよく思わんよな……)

 

 というのも、室矢家のハーレムを総動員したから!

 

 桜技流の女子校に1人ずついる、そちらの準ハーレムも呼び出した。

 

 女子大生ぐらいだが、年長者のような雰囲気もある美女が、ニコニコしている。

 

「注目されているわね?」

「だいたい、お前らのせいでな?」

 

 見事な着物を身につけた小坂部(おさかべ)(けい)をジト目で見た。

 

「あなたの式神だし、お手付きなのだから、当然でしょ?」

 

 悪びれもせず、得意げに言い返された……。

 

 息を吐いた俺は、自分の女子たちを見る。

 

「もう、1クラス分になったんだな?」

「……やっぱり、睦月(むつき)たちの数が効いているわね」

 

 あいつら、12人いるからなあ。

 

 しみじみと思っていたら、慧が呟く。

 

「1ヶ月休みなしでも、回らないんじゃ?」

「そろそろ、子作りに入る! 桜技流のハーレムはそっちがメインで、普段の優先順位は後ろ。あと、夕花梨(ゆかり)シリーズは基本的に護衛だから」

 

 それでも、キツい。

 女子2人ごとでやるべきでは? を検討している段階だ。

 

 お互いに許容できるペアを見ると、なかなか面白いが……。

 

 そう思っていたら、慧が溜息をついた。

 

「負けようがないとはいえ……。私たちに名前と経歴を書いたプレートをつけさせて、しかも事前に周知かあ」

 

「悪いな? 『俺に勝ったら、好きな女を与える』でないと、咲莉菜が潰したい奴らが乗ってこないから」

 

 不貞腐れた慧は、片手をヒラヒラと振った。

 

「ハイハイ……。夜の相手が面倒だからって、わざと負けないでよ?」

「今回は、本気でいく」

 

 ビンゴゲームの景品のような観覧席に戻った慧を見ながら、改めて男子を見た。

 

 どいつも、景品となった室矢家ハーレムを見ては、周りと騒いでいる。

 

 俺の周りには、護衛の夕花梨シリーズが、それぞれの角度を見たままで立つ。

 

 男子校の司会役が、外部音声で伝えてきた。

 

『えー! 次は、早崎(はやさき)との対戦です! 種目は剣道!』

 

 ギャラリーの男子どもが、歓声を上げた。

 

『彼の希望は……あ、天沢咲莉菜さん、です』

 

 ワァアアアアッ!

 

 盛り上がる会場。

 

(こいつ、親から親戚までの警察一家なんだよなあ……)

 

 満座で言うだけあって、全国クラスで、今は剣道部だか剣術部のエースだ。

 しかも、地元の県警から警察庁のキャリアまで招いている場。

 

 すっげー、視線が突き刺さっている。

 

 これで俺から奪えば、その瞬間に警察は元の状態に戻るからな?

 おまけに、本人も勝ち組の人生が約束される。

 

 千陣(せんじん)流での運命を左右した決闘と、同じだ。

 

(あの時は、本当に死ぬかと思った……)

 

 俺は竹刀を一本とり、スタスタと武道場のような中央へ歩み出た。

 

 相手も、剣道着のまま、竹刀を握っている。

 

『お互いに異能者のため、剣道のルールで防具なし! それから……』

 

 ――異能による戦闘を許可します!

 

 ――なお、ハンデにより、室矢さまは1本で負けです!

 

 その定型句によって、ただの茶番が始まる。

 

 お互いに前へ出たまま、横に審判がいる状態で話し合う。

 

 スッと頭を下げた早崎は、ドヤ顔のままで、尋ねてくる。

 

「室矢さんは……何段ですか?」

 

 アニメの主人公みたいな爽やかさで、なかなかの煽りだ……。




過去作は、こちらです!
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