【完結】大学生になった重遠は全盛期!~未来の娘と紡ぐ室矢家の伝説~   作:初雪空

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澪は、ついに室矢家と会った!
いっぽう、誰にも知られないままで進んでいく、日本滅亡!?
同時進行する状況に、ついていけるか?
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第53話 咲莉菜の娘という危険人物

 桜技(おうぎ)流の男子校で、室矢(むろや)家のハーレム、売るよ! とやった後。

 

 当たり前だが、満座で公開処刑になった早崎(はやさき)くんの後に、俺への挑戦は終わった。

 

 彼は晴れて、引き篭もりに。

 

 今の俺と戦ってそれぐらいなら、軽微だ。

 友人が励ましているから、いずれ立ち直るんじゃない?

 

 公開処刑にした張本人にして、小地裏(こじうら)先生は――

 

 裏金を流していた県警は、予定調和の分かりませんで惚けた。

 犯人に任せた結果だ。

 

 しかし、桜技流トップの天沢(あまさわ)咲莉菜(さりな)はそれによる鈍化を利用して男子校から警察の影響力をそぎ落とした。

 

 残らず。

 

 全国規模のため、他県の男子校についても同様だ。

 

 文句を言うか、嫌がらせをしたくても、横領の一味だった県警の視点では咲莉菜がどこまで知っているのか不明。

 伏せカードを開けたら、実は全部知っていて世間に公表されると、本気で詰む。

 

 キャリア数人を潰し、トップともやりあった女だ。

 面構えが違う。

 

 おまけに、本人もキャリアで警察局長だった。

 本庁は、とにかく神経質になる。

 他の県警も、パンドラの箱を開けたくない。

 

 俺を含めた室矢家と、四大流派まで動いたら、国家の体制が変わる。

 数年前には、その寸前までいったし。

 

 だいたい、私立でどの生徒に教えるのかは、そこの自由。

 文科省は天下りの受け入れなどで、ニコニコしているだけ。

 面白がっていそう。

 

 共犯の県警に裏切られた小地裏は、咲莉菜のほうで確保し、働かせている。

 むろん、教師はクビになったが……。

 

 ここまでくると、県警どころか本庁に暗殺されそうで、保護も兼ねている。

 

 それに、刑事事件は迷宮入りでも、横領した分の民事がある。 

 返済でかなりの好条件を提示したら、釣り堀の魚よりも早く釣れたそうな。

 

 男子校の事件を振り返りつつ、俺は現実に戻ってきた。

 

 周りには、制服の女子、女子……。

 

 桜技流の女子校の1つ、止水(しすい)学館だ。

 

 案内の女子が、目をキラキラさせたまま、説明する。

 

「室矢さま! ここが更衣室です!」

「ああ、うん……」

 

「更衣室ですよ!? 水泳の!」

「うん……」

 

「ズラすのと、切るの、どっちがお好みですか?」

「うーん?」

 

 セックスアピールが、すごい。

 

 プール、保健室、体育倉庫、使われていない教室、女子寮、露天風呂と、いかにもな場所ばかり……。

 

 ちなみに、桜技流ハーレムの1人にして止水学館のOGである、クールで小柄な水無瀬(みなせ)美亜(みあ)は、俺につきっきり。

 

 さっきから、不機嫌そうだ。

 

「美亜? 詩央里が前に許しているから、咲莉菜さえ良ければ、もう子作りに入るぞ? 他の4人とも、なるべく合わせたほうがいいだろう?」

 

 笑顔の美亜は、お上品に答える。

 

「分かった……。咲莉菜さまと、みんなに確認しておく! 重遠(しげとお)の都合も教えてね?」

 

 無表情ながら、お前たちとは違うんだよ! と言わんばかりのアピール。

 

 グヌヌ! となる女子たち。

 

 格の違いを見せつけて満足したのか、くるっと振り向いた美亜は、笑顔で告げる。

 

「……実は、皆が喜ぶニュースがあるの! あとで教えるから」

 

 さっきとは違う雰囲気で、女子が一斉にどよめく。

 

「え、何?」

 

 悪戯っぽい表情の美亜が、人差し指を口に当てた。

 

「まだ、秘密!」

 

 嫌な予感がする……。

 

 けれど、彼女はもう喋らず。

 

 ゾロゾロと、皆で歩く。

 

 ……グラウンドだ。

 

 止水学館とは違う制服の女子が、待っていた。

 

 長い黒髪を2つのお下げで、コバルトブルーのような青の瞳。

 ぷにぷにした顔。

 

 前に飛び出たアホ毛を揺らしつつ、俺を見上げている。

 

(身長と雰囲気から、小学生か?)

 

 見覚えがないらしく、周りの女子がざわつく。

 

「誰?」

「……知らない」

 

 年長者に囲まれつつ、その女子は怯まない。

 

 堂々と、宣言する。

 

「お父様! お願いがあります!!」

 

 どうして、嫌な予感はすぐ当たるのだろうか?

 嬉しいことは、その試しがないのに。

 

「私と一緒に、お風呂に入ってください!」

 

 小学生にして、この霊圧の高さ。

 

 とある女に、よく似ている雰囲気……。

 

「今日は、お母様がいると聞いて!」

 

 やべえ!

 

 こいつ、未来にいる咲莉菜の娘だ!!

 

「帰れ」

「……嫌です! お父様と会えないから、こうやって来るしか――」

 

 俺は一瞬で、天装に切り替えた。

 

 和装による草鞋(わらじ)が地面をえぐり、前に立つ女子をつかもうとする。

 

 その小学生はバックステップで20mも低空飛行をしつつ、一瞬で戦闘機のように飛び上がった。

 

 地上から見上げれば、俺と同じ剣道着のような和装。

 

 左腰には、日本刀を差している。

 

「やっぱり、御神刀を持っているのか!」

 

 ギャラリーの女子たちが騒ぐ中で、構わずに抜刀した。

 

「早く、家に帰れ!」

「お風呂に入ってくれたら、帰ります!」

 

 同じく抜刀した女子が、両手で下段に構える。

 

 重力と加速により、弾丸のように突っ込んできた。

 

 お互いに刃をぶつけながらも、俺は少しだけ空中に浮かび、その勢いに逆らわずにノックバックを受ける。

 

 地上から少しだけ浮かび、距離を開けての向き合い。

 

 中段に構えたままで会釈する、女子小学生。

 

飛花(ひか)と申します……。お父様が相手なら、解放してもいいですよね?」

 

 息を吸った飛花は、ついに言う。

 

「遥かに飛べ、桜風祈(さくらふうき)




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