【完結】大学生になった重遠は全盛期!~未来の娘と紡ぐ室矢家の伝説~ 作:初雪空
高級料亭から帰宅して、
深夜に呼び出して不機嫌だったが、仕方ない。
俺の正妻は、うなずいた後に言いました。
「子作りの順番決めや、それぞれの勢力への根回しで忙しいです! 若さまが適当な女子と一緒に動いてください。しばらくは、夜のお当番を止めますから……。お願いですから、室矢家の女をもう増やさないで! 困るのは、相手をする若さまですよ? 子供ができたら、私はしばらく実家で育児に専念します。正妻として譲れないことを除き、あなたが自分でやってくださいね?」
大学を卒業したら母親になるので、もう面倒を見切れない。
私は、あなたのママじゃないのよ? という話だ。
三行半のような台詞を突きつけられて、頷くのみ。
「わ、分かった……」
あくびをした詩央里は、片手を振りながら、自宅へ戻った。
さて……。
スマホを触れば、いつもの電脳少女の姿。
星を模した髪飾りをつけた、ブラウンのボブカット。
ロリ女子の黄色がかった紫の瞳が、こちらを見ていた。
見た目通りの可愛らしい声で、問いかける。
『なーに?』
「カペラ、事情は?」
『知ってる! どう動こうか?』
スマホを置いて、腕組み。
「正攻法でいこう!
『……やり方で、スピードが変わるけど?』
スマホの画面に表示されている美少女を見ながら、宣言する。
「痕跡を残すな!」
『他とタイミングを合わせるから、だいぶ遅くなるよ?』
俺が頷いたら、表情豊かに息を吐くカペラ。
構わずに、尋ねる。
「こっちのフォローは?」
『できる! ハッキングが可能な瞬間を待っている間は、暇だし!』
「正直なところ、室矢家の情報源やスピードを見せたくない」
『そう……。分かった! できるだけ、今の技術でやってみる!』
スマホの画面で、セーラー服の少女が正座して、内職を始めた。
何とも、凝った演出で……。
下を触ることで、アイコンの待機画面へ戻す。
「問題は、やっぱり金だな?」
腕組みして、考え込む。
だが、もう朝になりそうで、慌てて寝た。
◇
俺たちの専用であるレジデンスの入口に用意された、接客用のラウンジ。
ここだけで、アパートの一部屋のような空間。
来客として訪れた男女2人は、スーツ姿で横に並んだまま、直立不動だ。
上官らしき男から、自己紹介。
「警視庁の、
「同じく、
「
俺の案内で、お互いにソファへ座った。
控えていた女のスタッフが、それぞれにコーヒーとお菓子を置いていく。
会釈した彼女が去った後に、野見山と名乗った男が述べる。
「世間を騒がしている
「助かります……。あなた方に期待しているのは、現場の警官への周知と連絡で――」
室矢家が警察手帳を見せても退かない奴らがいた時に、抑えてもらいたい。
警察無線は、いらない。
実銃も、そちらの貸与品ではなく、執行実包を含めて、自前で用意する。
連絡はスマホで、このための使い捨て。
一通り聞いた野見山は、座ったままで腕組み。
「つまり、捜査への同行は求めないと? 通信指令センターに近い役割ですね?」
「はい、そうです! 先に言っておきますが、管轄をまたぐ可能性があります」
俺の指摘に、腕を下ろした野見山は渋い顔に。
「ああ……。仲四氏の地元は、中国地方でしたっけ」
「ええ! そちらへ出向くことの連絡を頼むぐらいで、あとは室矢家で何とかします」
そう願いたいです、と返事をした野見山は、話をまとめる。
「目的は、仲四氏の逮捕、または無力化……。我々は、室矢家の専属として24時間のコールセンター。送迎は?」
「自前で、行います! 実際に動かす人員は知らせず、こちらで警察手帳を用意します。連絡先は、俺か、このレジデンスの代表電話へ」
ようやく笑顔を見せた野見山は、コーヒーカップを口にした。
「分かりました……。昼夜もなく、電話一本のタクシー代わりと覚悟していましたが……。今後の予定は、どうなっていますか?」
探るような視線に、俺は答える。
「帰宅してから、すぐに金の流れを追っています。……申し訳ありませんが、詳しくは部外秘です! 現在の状況と、結果をお伝えします」
「承知いたしました! 上から急ぐように言われてますが、室矢さんがそう仰るのなら仕方ありません。よろしくお願いいたします」
一気にコーヒーを飲み干した野見山は、名刺を差し出した後に、帰った。
「では、失礼します……」
登根のほうは、同じく急いで飲み干し、お辞儀をしたのみ。
――
明大《めいだい》で講義を受けていたら、スマホが震えた。
『今日は、以上だ!』
「ふー! 終わった……」
「メシに行こうぜ?」
ガヤガヤと騒がしくなった時に、メッセージを見る。
“ゲーム会社を忘れるな! 歴史は繰り返すぞ?”
犯行予告のような文面を送ったのは……
息を吐いた俺は、周りの注目を集めつつ、ノート類を入れたデイパックを背負った。
――
俺が店内に入ったら、片手を上げているカレナを見つけた。
近づけば、背中を向けている人物が2人だ。
そちらも、座ったままで振り向き……。
1人は、女子高生になった
特徴的なストロベリーブロンドの長い髪で、すぐに分かった。
もう1人は、彼女よりも濃いピンク色の長髪で、薄い紫色の瞳をした女子。
高校生らしいが、大人っぽくて女子大生にも見える。
(すごい気品というか、オーラがあるな?)
店内にいる客と店員のどちらも、カリスマ女子を気にしている。
たぶん、また未来の娘だな。と思ったが、諦めて、彼女たちに近づいた。