【完結】大学生になった重遠は全盛期!~未来の娘と紡ぐ室矢家の伝説~   作:初雪空

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明らかになった、召喚儀式の実行犯。
今日、ベル女で召喚された存在によって世界が終わる。

4巻目は、ついにバトルへ!
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第6話 室矢家が動いた結果

 バンッ!

 

 屋上に続くドアが蹴り開けられ、数人の刑事がセミオートマチックと一緒にこちらを見た。

 

「警察だ!」

「ゆっくりと、武器を捨てろ!」

 

 その後ろから機動隊員が現れて、逃げ道を塞ぐ。

 

 包囲したまま、咲良(さくら)マルグリットを追い詰めようと――

 

「犯人役が欲しければ、よそで適当に捕まえなさい」

「ふざけるな! ネット!」

 

 現場の指揮官らしき男が叫べば、射出式のネットガンを構えていた隊員が動く。

 

 けれど、狙いを定める前に、彼女の姿が消えていった。

 

「見えないだけだ! 撃て!!」

「ハッ!」

 

 グレネードランチャーを半分にしたような筒から、ネットが飛び出した。

 対異能者で、ミサイルほどではないが避けにくい弾速。

 

 それは空中で広がりつつ、対象となった人物に覆いかぶさり、動きを封じるのだ。

 

 直接の綱引きでは身体強化ができる異能者に負けるため、トリモチのように粘着質のネットで手足を動けなくする。

 

 しかし、その蜘蛛(クモ)の巣は、虚しく屋上のコンクリに落ちた。

 

 指揮官は舌打ちした後に、すぐ命じる。

 

「サーマル! 特ケにも、応援要請!」

 

「ハッ!」

「至急、至急! ――の駅前、ビル屋上にて、異能者のテロリストと遭遇――」

 

 それぞれに動き出すも、熱源を見ている機動隊員は困惑した。

 

「屋上に、不審な熱源を見られず!」

「特ケの到着まで、15分!」

 

 大半の機動隊員、警官は、見えない敵に怯えつつも、下へ降りられる出口の前に壁を作っている。

 

「念のため、このまま前進しろ! お前たちは、そのままだ」

 

 半包囲のまま、ゆっくりと歩く。

 

 それ以上は進めない場所まで歩き、誰もいないことを確認した。

 

 面倒になり、床の下へ落ちるようにワープした彼女が、ここで見つかるはずもない。

 

 

 ◇

 

 

 与党のパーティーで、テログループと武器を持ち込ませた外務大臣は、この上なく焦った表情のまま、スーツ姿の男に囲まれていた。

 

 場所は、左右の建物に押し潰されそうな路地裏。

 

 彼らは足早に移動しており、その中心にいる構図だ。

 

「大丈夫かね? 私にはもう――」

「ご安心ください! 我々が、責任をもって護衛いたします」

 

 リーダーらしき男が返答をしたものの、その目は冷たい。

 

 肝心のパーティー襲撃による要人暗殺や捕獲が失敗して、目の前の外務大臣を消すかどうかで迷っているからだ。

 

 閣僚には、警視庁のSP(セキュリティ・ポリス)がつく。

 けれど、彼らにそういった雰囲気はなく、それでいて荒事に慣れた感じ。

 

 リーダーは、再び口を開いた。

 

「これだけの騒ぎでは、大使館へ逃げ込むのは危険です! 沿岸で船を奪って、そのまま沖合いで乗り換えましょう」

 

「わ、分かった! よろしく頼む」

 

 外務大臣は、もはや任せるだけ。

 

 クシャクシャになったハンカチで汗をふく姿に、どこかの特殊部隊らしき男は一瞥(いちべつ)をくれたのみ。

 

 とにかく、全員が乗れる車と、できれば(おとり)も――

 

「外務大臣? そこにいるのですか!?」

 

 誰何(すいか)の声で、SPに成りすましている特殊部隊は、全員が銃のグリップに手を伸ばした。

 

 立ったままで縮こまる外務大臣に対し、リーダーが堂々と応じる。

 

「警視庁の警備部です! たった今、そこで外務大臣を見つけて、保護しました。あなたは?」

 

 相手は20歳ぐらいの男で、私服だ。

 

 と思ったら、姿が消える。

 

 警戒していた特殊部隊は、ホルスターから銃を抜いた。

 

「Watch out!(警戒しろ!)」

 

 外務大臣を中心に、全方位を見る。

 

 守られている外務大臣の足首2つが、何者かの両手でつかまれた。

 

「なっ!?」

 

 驚きの声を上げる間もなく、水面から落ちたように消える外務大臣。

 

 その尋常ならぬ叫びで、警護している男たちが振り返れば――

 

 さっきの若い男が立っていた。

 両手でハンドガンを持ち、両脇を締めたままの構え。

 

 パンッ! と発砲しつつも、そのリコイルを活かして、反対側の相手も撃つ。

 

 パパパンッ! と銃声が重なり、ドサリと倒れる男たち。

 

 あり得ない位置からの攻撃で、まったく反応できず。

 

 トドメで頭に一発ずつ撃ち込まれ、どこかの特殊部隊は全滅した。

 

 ホルスターに拳銃を収めた室矢(むろや)重遠(しげとお)は、さっきの外務大臣のように地面から落ちる。

 

 銃声を聞いた警察が駆けつけた時には、国籍不明の死体が見つかっただけ……。

 

 

 ◇

 

 

『発見された外務大臣は「騒ぎになった責任と体調不良で、公務の継続を断念したい」と申し出て、総理による解任となり――』

 

 義理の父親である桔梗(ききょう)巌夫(いわお)を通して、捕まえた外務大臣を引き渡した。

 

 久々の室矢家による出動だったが――

 

「美少女アンドロイドに熱を入れて、そこに付け込まれたと……」

 

 咲良マルグリットが、呆れたように突っ込む。

 

「仮にも、一国の大臣がね? 重遠は……心配いらないか! 合法ロリ枠だけで二桁なのだし」

 

「俺も、好きでこうなったわけじゃない! (うらら)は大丈夫か?」

 

 天ヶ瀬(あまがせ)麗は、疲れた様子だが、笑顔を作った。

 

「はい! メグさんに助けてもらいましたけど……」

 

「キャリアが違うわよ! 初陣で私より上手くやれるようなら、逆に自信をなくすわ」

 

 マルグリットのフォローで、この大事件は終わった。

 

 少なくとも、ウチでは……。

 

「そうだ! 私が撃破したほうのMA(マニューバ・アーマー)だけど、明夜音(あやね)から連絡があって」

 

 ――どうやら、地球上にない技術らしいわよ?

 

 その言葉は、新たなステージの幕開けだった。

 

 理解したのは、かなり後だったが……。




過去作は、こちらです!
https://hatuyuki-ku.com/?page_id=31
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