【完結】大学生になった重遠は全盛期!~未来の娘と紡ぐ室矢家の伝説~ 作:初雪空
テレッサ海洋女学校の高等部3年。
海に生きる女子2人は、とても仲良しだ!
卒業旅行として、
「着いたわ!」
「よし、USのソウルフードであるハンバーガーを食べよう!」
両手を横に伸ばしたまま、自動ドアを通りすぎる。
居合わせた外国人が、思わず微笑んだ。
乗り込めー!
セルフサービスで、ボックス席へ座った。
「大きすぎて、口に入らないわ!」
両手でハンバーガーを持ったエカチェリーナは、いきなり潰した。
ブシュッ!
ぺちゃんこになったハンバーガーを食べて、親友に言う。
「これが、USの作法だよ?」
「すごいわ、リーナ!」
「アハハハハ!」
「ウフフフ!」
2人でハグハグと食べながら、ふと千波が喋る。
「でも、リーナは男の趣味が悪いわね?」
「そうかい?」
「アハハハハ!」
「ウフフフ!」
「で、
「会っていない……。千波を犠牲にすれば、また会えるかな?」
「アハハハハ!」
「ウフフフ!」
このように、2人は仲良しだ!
ともあれ、主要な観光地を回り、ツインベッドで枕投げ(健全)。
一通りを回ったら、次の予定に困った。
ホテルの部屋で、ガイドブックと睨めっこ。
「うーん?」
「とりあえず、気分で動いてみよう!」
チェックアウトした女子2人は、スーツケースを転がしながら、テクテクと歩く。
「リーナ! バス停よ!」
「……プロスルイス? どこだろう?」
日陰のベンチで寝ていた男が、声をかけてくる。
「嬢ちゃん達は、日本人かい?」
「ええ、そうよ!」
「国籍は……」
ゆらりと上体を起こした男は、ニヤニヤしたままで言う。
「プロスルイスは、漁港だ! 魚介料理は美味いが、人気なくてなあ?」
「面白そう!」
「……余所者は、歓迎されないだろう?」
エカチェリーナの質問に、男は片手を振り、否定する。
「ホテルぐらい、あるぞ? 今からバスを動かすが、乗っていくかい?」
探るような目つきの、エカチェリーナ。
いっぽう、千波が彼女の袖を引っ張る。
「行ってみよう!」
「まあ、いいけどね?」
パンッと手を叩いた男は、2人をジロジロと見たあとで、運転席へ向かう。
「早く乗りな? 運賃は、いらねーよ!」
「太っ腹ね! リーナ?」
息を吐いたエカチェリーナは、千波の後を追う。
乗降口を閉じたバスは、今にも止まりそうな感じで走り出す。
日本であれば、とっくに廃車になっている古さだ。
――プロスルイス
プシューッと停止した、バス。
スーツケースと一緒に降りた女子2人は、巨大なボールを見上げた。
「ここの名物かい?」
「大きいわ!」
空賀エカチェリーナと支鞍千波の発言に、降りてきた運転手は戸惑う。
「い、いや……。何だ、これ? あー! こいつはいけねえ!? バスの足回りで点検必要だから、今日はホテルで泊まってくれ」
わざとらしい発言に、エカチェリーナは呆れた。
いっぽう、千波は素直に受け入れる。
「古いのなら、仕方ないわ! 行きましょう、リーナ!」
女子2人が見えなくなってから、運転手の男は笑い出す。
「ククク……。お前らはもう、ここで孕むしかねえんだよ! まあ、せいぜい楽しみな――」
『壊れているのなら、遠慮なくやれるわね?』
いきなり、女子の声。
驚いて周囲を見る男に、巨大なボールが変形していく。
「なっ!?」
瞬く間に人型となった元ボールは、片手で持つ巨大なライフルをジャキッと鳴らした。
その銃口をバスへ向ける。
「おいっ! 待て――」
ブゥウウウウウッ!
ガトリングと同じ発射音が響き、ゴゴゴと着弾する音も……。
やがて、おんぼろバスは炎上する。
『あっ! こっちにもある!』
銃口が向いた先には――
「おおおおいっ!? そっちは車庫とガソリンスタンドだよ、バカやろおおおおおおおっ!」
巨大ロボットは、構わずに連射する。
コンクリートが削られていき、車庫にあるバスなどの車両は次々に弾け飛び、燃え始める。
「あぁあああああっ!?」
男が絶叫するも、ボールロボットはロケットを撃ち出す。
ガソリンスタンドは、かつての本能寺のように炎上!
『ハハハハハハッ! おもしろーい♪』
よく聞けば、その声は潜水艦にいた『みづは』だ。
ボールロボットは、アニメのEDに合わせるように踊り出す。
内股なのが、女子っぽい。
「てめええええっ! 何しやがる!? あっ、何でもありません……」
上から自分の頭が入りそうな銃口を突きつけられ、男は反射的に黙った。
『プロスルイスは、邪神を信仰する危険な場所! 私はお母さんを守る!』
てめえほど、危険じゃないと思うけどな?
心の中で突っ込んだ男は、踊りをやめたボールロボットを見上げた。
伸ばした腕からの噴射で、どんどん消火していく。
(後始末は、するのか……)
焦げ臭い場所で、ボールロボットは再び男を見下ろした。
『ボールに戻るけど……。余計なことを言ったら、深海の底まで追いかけてぶっ殺すよ?』
「あ、はい……。分かっています」
ガキガキと、ボールに戻ったロボットは、再びオブジェクトの振りをする。
とんでもない女を連れ込んじまった、と後悔する男は、それでも従う。
彼だって、死にたくはないのだ。