【完結】大学生になった重遠は全盛期!~未来の娘と紡ぐ室矢家の伝説~ 作:初雪空
第73話 ラスボスの娘は、やはりラスボス!?
敷地に四大流派のエリアを設け、幼稚舎からの育成も視野に入ったそうだ。
むろん、5年、10年のスパンで進めていく。
今後の進学にいかがですか? という話だ。
4つの勢力が住み分けて戦うって、どこの学園バトル漫画だ?
(主人公がラッキースケベで、メインヒロインと決闘すれば、完璧だ……)
今の俺はホームで立ち、1人で電車を待っている。
室矢家の女子たちに言わせれば、危ないことは止めてください、だが……。
(たまには、1人にならないと!)
周りにいるのは四大流派の関係者ばかりで、俺を遠巻きにしながらヒソヒソ話。
それにしても――
「そろそろ抜刀術の気配を止めないと、斬り捨てるぞ?」
レールのほうを見たままのセリフに、後ろから女子高生の落ち着いた声。
「大学のトーナメントへ行かれるのですよね? ご一緒しても?」
俺が振り返ると、見慣れないブレザーの制服を着た、黒髪ロングに濃い茶色の瞳をした美少女が1人。
清楚でいかにも大和撫子だが、攻撃的な気配が強い。
この人の上に立っていそうなオーラは、よく覚えている。
「今のうちに、上がる株価を教えてくれ!」
「……未来が変わりますよ? お金が欲しいのなら、いくらでもお母様たちにいただけるでしょうに」
苦笑した女子に、俺も息を吐いた。
「誰の?」
「
――千陣
ついに、来たか!
嘆息した俺は、未来の娘に向き直った。
絵になる動きでお辞儀した女子は、顔を上げる。
「千陣、
「確かに、夕花梨の遺伝子のようだ」
「……Iはあります。ご覧になりたいのなら、制服越しでご遠慮なく」
視線を上げた俺は、美人系の顔を見た。
「だいぶ、ゴテゴテしているな? お前の価値を考えたら、無理もないが」
年相応の表情になった乃々葉は、迷ったような雰囲気に。
「流石ですね……。これだけ早く見破られたのは、初めてです」
「お前にも考えがあるだろうが、少し多いな?」
俺の隣に立った乃々葉が、こちらを見た。
「そう思いますか?」
「どちらかに絞ったほうが、良いと思うが……」
息を吐いた乃々葉は、レールのほうを見た。
「抜刀術は、趣味です……。お父様が愛用していると聞いて」
「そうか」
会話が途切れた。
「
「え? 想像できないんだけど!?」
俺の視線に、肩を落とした乃々葉が説明する。
「仲が悪いわけではありません……。私のほうが格上で、性格も合わないというか……」
言葉を濁した乃々葉は、意を決して告げる。
「未来のお父様が
俺、正妻の南乃
おずおずと、乃々葉が尋ねてくる。
「控えるつもりは?」
「……そうして欲しいのか?」
フルフルと首を横に振った乃々葉が、ホームの上にある時刻表を見ながら言う。
「思うところはありますが……。誰をどのように抱くのかは、お父様の自由……。私は女子ゆえ分かりませんが、あれだけの人数を捌いていて急に空けば、女体が欲しくもなるでしょう? 外で遊女や無関係な素人を巻き込まぬだけ、節度があると存じます」
息を吐いた乃々葉は、俺に向き直った。
「室矢家に籍を入れた女とそれ以外の事実婚では、一軍、二軍の格差になっております。お父様の子供の世代については母と私が目を配りますが、それ以降は責任を持てません。元々、四大流派に海外の勢力が交じっている大所帯です」
目に余るイジメや妨害が出ないよう注意するのが精一杯、だそうだ。
プルルル♪ と鳴り響く音を聞きながら、謝罪する。
「苦労をかけている……。埋め合わせとはいかないが、何か希望はあるか?」
「室矢クァトル大学で、私と戦ってください! 最初に行った
戦闘民族か、こいつは……。
そう思いつつ、答える。
「いいぞ! どうせ、俺も戦わされるし……」
電車が入ってきた。
そのタイミングで、乃々葉の声。
「お母様と電車に乗ったのですが……。さっきのようにホームの音などがすると、ピクッと反応します」
マズい。
夕花梨のやつ、完全に条件反射に……。
笑顔の乃々葉が、質問する。
「
そりゃ、そうだ。
電車プレイに励んでおりました、と言われたら困るわ!
開いたドアから乗り込みつつ、隅のほうで立つ。
俺の前で背中を向けた乃々葉は、顔だけ振り向いた。
「私も、両親の馴れ初めに興味があります! せっかくですし、同じようにしていただけませんか?」
…………
おい? 今の当番、出てこいよ?
出てきて、こいつに誤魔化せ!
どうした、夕花梨シリーズ!?
逃げたな、あいつら……。
ジーッと見ている乃々葉に、仕方なく告げる。
「可能な範囲で……」
「はい!」