【完結】大学生になった重遠は全盛期!~未来の娘と紡ぐ室矢家の伝説~   作:初雪空

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霊力ゼロだった室矢重遠は、地上にある宇宙を撃ち抜く!
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第77話 護衛艦くまのんに乗るのん!

 次代の千陣(せんじん)流である女子2人は、万能人型フィギュアの室矢(むろや)カレナが連れて帰った。

 

 俺は着慣れていない制服に身をつつみ、潮風が吹いている場所へ来ている。

 

 乗っている車が停まった。

 

「到着しました!」

「……うむ、助かった! 俺たちは、ここで降りる! 室矢少佐?」

 

「分かりました」

 

 俺と五十嵐(いがらし)善仁(よしひと)は、後部座席からドアを開けて降り立つ。

 

 バンッと閉めれば、ゆるゆると進み出す車。

 

 それを見送りつつ、海があるほうを見た。

 

 中佐の階級章がまぶしい善仁は、いつものどっしりした様子とは違う表情へ。

 

「海に来るのは、久々です……。これが、護衛艦くまのん!」

 

 いい年をした職業軍人であるのに、ウキウキした様子だ。

 

(今回は、ゲストだからなあ……)

 

 そう思いつつ、貸衣装の軍服を着ている俺も、従来の軍艦とは違うシルエットを見上げた。

 

 埠頭に浮かんでいる『くまのん』はグレーで塗られており、上に突き出たブリッジとレーダーや通信アンテナがあるものの、全体的に四角張った形。

 

 戦闘用の兵器だけあって、ゆるキャラの雰囲気はない……。

 

「ずいぶんと、可愛い名前ですね?」

「ええ、まったく! これはこれで、愛嬌がありますけど……。ああ、軍帽はかぶってください」

 

 制服とセットの軍帽をかぶったので、それに倣う。

 

 忙しく動き回っている兵士や下士官の間から、1人の男がやってきた。

 

 目立つ軍帽と白い制服、各所の金色で、士官だと分かる。

 

 俺たちの前で直立不動になった男は、30代のようだ。

 

 右手による敬礼。

 

「お待たせしました! 護衛艦くまのんで砲雷長見習いをしている、竹熊(たけくま)大尉です!」

 

 ……この人も、護衛艦の一部かな?

 

 敬礼したままの竹熊に、善仁も右手による答礼。

 

「ご苦労さまです! 士官の方に迎えていただけるとは、恐れ入ります」

 

 善仁から視線が来たので、すぐに右手を上げる。

 

「初めまして!」

 

 善仁が右手を下ろしたので、俺も続く。

 

 竹熊も、右手を下ろした。

 

(ああ、階級順と……)

 

 ようやく理解したら、この場の最上位である善仁が話しかける。

 

「本日は、よろしくお願いします! 陸上防衛軍の人型戦車実験中隊の隊長をしている五十嵐中佐です」

 

「室矢少佐です……。軍属ではなく、Y機関にいます」

 

「ああ、そうですか! 陸上さんにしては、少し雰囲気が違うなと……」

 

 相槌を打った竹熊は、俺の左胸にあるプレートを見て、固まった。

 

 小さなブロックを固めており、その防衛官の経歴を示すものだ。

 基本的に所属を示すアクセサリーのような徽章の下へ、まとめてつける。

 

 今の俺は、五十嵐中佐に貸してもらった陸防の制服で、記念章がヤバい。

 

 ・統幕(とうばく)勤務

 ・海外勤務経験者

 ・国際貢献(救助)

 ・〃 (対テロ)

 ・海上戦闘

 ・水中戦闘

 ・海賊対処(エイリアン退治)

 ・国家防衛(防衛任務、空母打撃群の撃退)

 ・総理大臣感謝状

 

 海上防衛軍を探しても、ここまでの実戦経験者はそういないだろう。

 

 制服は陸軍で、艦上勤務の経歴がないのに……。

 

 理解に苦しんだ竹熊が首をひねっていると、善仁がフォローする。

 

「室矢少佐は、特殊な経歴です! 話したいのは山々ですが、機密が多くて……。私も、全てを知っているわけではありません」

 

 それに乗っかる。

 

「情報機関なので……。陸防としての乗艦ゆえ、最低限の説明はしておこうと制服を着ました」

 

「そ、そうですか……。ご配慮くださり、ありがとうございます! 立ち話も何ですから、ブリッジへご案内します」

 

 3人で歩きながら、兵士や下士官に敬礼されていく。

 

 善仁が歩きながら、質問する。

 

「そういえば……。わざわざ、士官を案内役にしたのですね? あなたに不満があるわけではありませんが」

 

 苦笑した竹熊が、先導しつつ応じる。

 

「ご指摘の通り、下士官の案内が普通です……。しかし、陸上さんの質問に答えられて、ブリッジなどへ行き来できる立場は、そうありません。私はちょうど手が空いていたことも、大きいですね! 砲雷長として、ここのシステムを研修中で」

 

 言いながらも、見晴らしがいいブリッジへ。

 

 目立つ色のカバーがある椅子に、いかにも偉そうな男がいた。

 

(艦長か……)

 

 竹熊は、その男の前で敬礼して、報告する。

 

「陸上防衛軍の五十嵐中佐、室矢少佐の2名をお連れしました!」

「……ご苦労! 私が護衛艦くまのんの艦長である、貴志(きし)大佐です」

 

 立ち上がっての自己紹介に、俺たちは敬礼した。

 

 慣れた感じで答礼した貴志が右手を下ろした後に、右手を下げる。

 

「陸上防衛軍の五十嵐中佐です。本日は乗艦させていただき、誠にありがとうございます!」

「同じく、室矢少佐です。海上防衛軍の精鋭ぶりを拝見させていただきます」

 

 頷いた貴志は、ぐるりと見回した。

 

「くまのんは、これより正体不明の艦がいる海域へ向かいます! 助言を求める場合もあるでしょう。竹熊をつけますから、そちらへどうぞ」

 

 会釈した善仁が、お礼を述べる。

 

「お気遣いいただき、感謝申し上げます! 少しでも役に立てればと存じます」

 

「よろしくお願いします……。私は、艦の指揮があるので」

 

 自分のシートへ戻った貴志を後目に、竹熊の案内ですみへ。

 

 文字通りに畑違いの俺たちは、正体不明のMA(マニューバ・アーマー)と関連があると思しき海上艦を調べに行く。

 

 俺は、ダルディアス帝国の戦闘艦だと推測。

 

 3回目にして、いよいよ本隊がやってきたのだ……。




過去作は、こちらです!
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