【完結】大学生になった重遠は全盛期!~未来の娘と紡ぐ室矢家の伝説~   作:初雪空

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霊力ゼロだった室矢重遠は、地上にある宇宙を撃ち抜く!
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第80話 今回は味方に殺された、次回はもっと上手くやろう!

 バババと機関銃らしき発砲音は、荒れる海にもかかわらず、よく響いた。

 

 周りに展開している海上騎兵部隊からの無線。

 

『っ! 海鳥2号より全機へ! 海上警備の後部銃座が撃ちやがった!!』

『くそったれ! 撃った射撃員は、あとで海に叩きこんでやる!!』

『海鳥1号より全機へ! 敵のMA(マニューバ・アーマー)が仕掛けてくるぞ! 回避! 回避!』

 

 『護衛艦くまのん』の周りで並走している、海上で浮かべる構造のMA部隊は必死にランダム行動へ。

 

 いっぽう、低空を飛んでいるダルディアス帝国のMAは、明らかな攻撃へ移る。

 

 さっきの機銃らしき音が、複数になった。

 

(護衛艦の甲板にある、設置式の機銃か……)

 

 ヘリ並みの機動と思われるMAに当たるわけないし、連射で当たっても弾かれるだけ。

 

 いくつもの光る線と、チュイインッと蒸発するような音が、加わわった。

 

 乗っているオレンジ色のMAが、そのカメラやセンサーで捉える。

 

(レーザー? あいつら、レーザーライフルを実装しているのか!?)

 

 俺の正面で空中に止まっている状態のMAも、片腕のワイヤーをひっつけたままで動揺する。

 

 ファトミレ・シュヴェーベルと名乗った若い女が、感情的に叫ぶ。

 

『そんなっ! ロヴィエを止めないと……。詳しい話は、後で! いいですか? ここを動かないでください!』

 

 ワイヤーを回収したMAは、海へ飛び込むように離れた。

 

 重力で海面へ近づくも、あっさりと浮上して、ブリッジがある正面のほうへ飛ぶ。

 

(このままでは……)

 

 俺は、後部カメラを見ながら叫ぶ。

 

「出るぞ!」

『……そいつは、デッキの作業用だ! 海上移動は――』

 

 下士官の声が聞こえたが、気にしている暇はない。

 

 乗っているMAに溜めを作りつつ、背部のスラスターに出力を集める。

 

「後ろから離れろ! 噴射する!!」

 

 後部カメラで見ると、敵MAが近づいた時点で、デッキクルーは全員が離れていた。

 

「後方、安全確認よし! 室矢(むろや)少佐、出るぞ?」

 

 コックピットで両足を蹴り込むと、それを受けたMAが呼応する。

 

 後ろを置き去りにするような噴射と同時に、空中へ飛び出す。

 

 けれど、この機体はデッキの作業用だ。

 

 すぐに噴射が終わり、荒れる海へ落下して――

 

 何もない空中に、その巨大な足を立たせた。

 

 それを目撃した敵MAは、一瞬だけ驚いた様子だが、すぐにレーザーライフルを構える。

 

 ビシュンと閃光が走り、俺と敵MAを分断した。

 

 カメラで撃ったやつを捉えれば、さっきのファトミレの機体だ。

 

(俺を撃たないよう、牽制した? おっと……)

 

 彼女から通信があったようで、銃口を外した敵MAは別の相手を探し始める。

 

 俺のほうも、魔法師(マギクス)の魔法によって作り出したMA用の足場に反発力を追加する。

 

 トランポリンのように飛び出した先で、さらに撥ねていく。

 

「普通は、魔力切れになるがなあっ? こちとら、無限にエネルギーがある女とも接続しているんだよ!」

 

 4mほどのロボットが、びよんびよんと空中を跳ねていく。

 

 それを目撃したMAは、敵味方を問わず、呆気にとられる。

 

『はっ? 何だ、あれ……。その作業機には、誰が乗っている!? 戻れ!』

 

 味方にも、返事をしている余裕はない。

 

(ブリッジだ! さっきの女、ファトミレの慌てようから……)

 

 ロヴィエとやらは、間違いなくブリッジを狙う。

 

 上のほうに出れば、ファトミレが牽制射撃をするも、あっさり回避したMAは護衛艦のブリッジの前で浮かぶ。

 

 右手で持つレーザーライフルを向けようとした。

 

 こちらもMAにアサルトライフルを構えさせれば、FCSによる照準が出る。

 

 ロックオン。

 

(相手は、完全に停止……。この距離なら!)

 

 トリガーを押そうと――

 

「あぁあああっ! 発砲許可がない!!」

 

 ここまでくると、もはやギャグである。

 

 しかし、ないものは仕方ない。

 

 現状では、艦長による発砲禁止のまま……。

 

 言うまでもなく、艦長に聞いている暇もない。

 

 その間に艦長がレーザーで焼かれ、蒸発するだけ。

 

 けれど、ブリッジに銃口を向けた敵MAは、そのレーザーライフルを撃つ前に、こちらを向いた。

 

 グポンッと音を立てそうな、メインカメラの迫力。

 

 どこか苛立たしげに、矛先を変えた。

 

 ブリッジの前から急加速して、こちらへ向かってくる。

 

「助かっ――」

 ザシャアアアッ!

 

 レーザーライフルで撃たれたと分かったのは、MAの半分ほどが吹っ飛んだ後。

 

 おまけに、意識も失う……。

 

 

 ◇

 

 

 左右の半分を失ったオレンジ色のMAは、そのまま落下していく。

 

 海に水柱が立ったことで、撃墜した敵MAは興味を失う。

 

 自動の緊急脱出により、室矢重遠は意識を失ったままで沈む。

 

 暗い海底を目指し――

 

 それを追うように、別のMAが近づく。

 

 青を主体としたカラーリングだ。

 

 ブクブクと頭を下に沈んでいる重遠を支えるように、中央のコックピットブロックが展開する。

 

 乗降用に突き出したパイロットシートへ座るように調整した後で、それを仕舞う。

 

 海水で満たされたまま、ハッチを閉鎖。

 

 水槽になったコックピットは、すぐに排水処理へ。

 

 徐々に下がっていく水面に、生存本能で海水を吐き出してむせる重遠。

 

 明るいコックピットにいることに驚きつつ、慌ててモニターを見回す。

 

「こいつは、MAか? 機体名は、インフィニタ……」




過去作は、こちらです!
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