めっちゃ嬉しいんですけどおおおおおおおおお!!!!
あ、それと誤字報告ありがとうございました(o*。_。)oペコッ
「付き合ってくれて、ありがとうございます!モモイ!」
「別にいいよ。エンジニア部にはお世話になってるし、お裾分けもしたかったしね!」
ミレニアムの通路を歩いているのは、モモイとアリス。
2人は、アリスの武器のメンテナンスと、前回、ヒマリに貰った野菜のお裾分けにエンジニア部へと向かっていた。
「でもさ、流石は宇宙戦艦用レールガンだよね。私たちの銃もメンテは必要だけど、スーパーノヴァほどの頻度では見せないよ。」
「アリスのウィークリーミッションの1つです!でも、ヒビキ曰く、ウタハ先輩がデータを取りたいだけらしいですよ?」
「ああ、やっぱり?そんな気はしてたんだよね。」
自分が言うのもなんだが、ウタハが部長を務めるエンジニア部は、ミレニアムでもトップレベルの問題児集団だ。
依頼を受けて色んなモノを開発するものの、余計な機能を組み込んだり部室をよく爆破していて、よくユウカが怒鳴り込んでいる。
「この間も、ドライヤーに自爆ボタンをつけて、怒られたそうですよ?」
「・・・なにそのアフロになる落ちが透けて見える発明。この分じゃ、今日もユウカあたりが怒鳴り込んでいるんじゃ「ちょっと!エンジニア部!!この報告書はどういうことなの?!」・・・・フラグ回収、早すぎない?」
「ぱんぱかぱーん、アリス達はお約束展開に巻き込まれた。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
エンジニア部の部室内では、セミナー所属のユウカとノアが、ある書類を持って部室を訪ねていた。
「ちょっとエンジニア部!!映画製作の協力によるスタジオ破壊の損害賠償って何!?」
「いや、セミナーの予算で落としといてくれないかと。」
「落ちるかあ!!」
室内からユウカの怒声が響き渡る。
扉の前までは辿り着いたモモイとアリスだが、明らかに気まずそうな空気感に、入室するのを躊躇してしまう。
(でも、ここで待ってたところでどうしようもないし、女は度胸!)
「し、失礼しま~す。」
気合いを入れたはいいが、怒っているユウカは怖い。
できる限り悟られないように、そろそろとエンジニア部の室内へと入っていった。
「あら?モモイちゃんとアリスちゃんじゃないですか?エンジニア部に用事ですか?」
2人の入室に最初に気付いたのは、ユウカと一緒に来たのだろう、セミナー書記のノアだった。
「うん、アリスの武器をメンテしてもらいに来たんだけど、忙しそうだね。」
「ええ、ウタハ先輩がまたやらかしまして。ユウカちゃんが怒っちゃったんです。」
「・・・いつものことかな?」
「・・・105回目の2週間と3日ぶりなので、ほとんどいつも通りですね。」
ノアの記憶力はすごいのだが、ここまでの頻度だといちいちカウントする必要はないと思う。
そうしてノアと話していると、エンジニア部の面々もモモイ達に気が付いたようで、機械をいじる手を止めてこちらに来た。
「ん?ゲーム開発部の2人?・・・ああ、もうそんな時間だったのか。けど、見ての通り部長は絶賛お説教中だし、とりあえずアリス。武器はそのテーブルの上においてもらっていいかな?」
「わかりました!!」
そう声をかけたのは、エンジニア部所属の1年生の猫塚ヒビキ。
ミレニアムに集う「マイスター」の一人であり、優秀な部員なのだが、発明品にやたらBluetooth機能や自爆機能を備えようとする変態でもある。
「・・・んで?ウタハ先輩は、一体何をやらかしたの?」
未だ続くユウカの説教と、それを聞き流すウタハの姿を横目にエンジニア部の後輩組に尋ねる。
「ああ、映画製作に利用するメカペロロに自爆機能をつけて、スタジオを破壊したらしいよ?※電撃アンソロジーより」
「正確には、その修繕費がセミナー宛てになってたからですよ。エンジニア部の自爆問題は、ユウカちゃんもあきらめかけてます。」
エンジニア部の発明品には、いつも余計な機能がついてくる。
説教をされているウタハ先輩もだが、目の前にいるヒビキも自爆機能を取り付けてよく問題を起している。
(だから、目の前のこの機械についても聞いておかないとね・・・。)
「・・・で?ヒビキとコトリがさっきからいじってるコレハナニ?」
モモイが白けた目を向けた先には、いくつもの刃物と火炎放射器を装備したコック帽姿のアバンギャルド君がいた。
アバンギャルド君は、ミレニアムの元生徒会長である調月リオが開発した自立型ロボットである。
アリスを巡ってのアレコレでは、奇抜なデザインからは考えれないほどの戦闘力を発揮し、先生が指揮するモモイ達ゲーム開発部やエンジニア部の面々を苦しめた。
ヒマリの助けがなければ、敗北すらありえただろう。
4本の腕に銃火器と盾を装備してモモイ達を苦しめたかつての宿敵は・・・・
「包丁にスライサー、ハンマーに火炎放射器?コック帽してるから料理用なんだろうけど・・・・ハンマーと火炎放射器が意味不明すぎるよ。」
以前よりも奇怪な姿で、台所に鎮座していた。
「ああ、それは「良い質問ですね、モモイ!その質問にお答えしましょう!」・・・はあ。」
「うぇぇぇぇ、しまった。」
話しは変わるが、ミレニアムの敷地内で下手に疑問を口にするのはご法度である。
生徒の間で暗黙の了解となっているそれは、このエンジニア部最後の一人、説明好きの豊美コトリによるものなのだが・・・・その理由は。
「ハンマーではなくこの機械は肉叩きであり通常動物系の肉類の繊維を断ち切ることで柔らかくするために用いられる道具なのですがこの肉多々他叩き君マークEXは超振動による高周波であらゆる動物性の食材例えば魚類などの肉質も柔らかく仕上げることが可能ですその上火炎放射器型バーナバーナー君マークⅡにより一瞬で火を通すのみならず普通のバーナーではできない超低温調理を一瞬で可能になるという実に画期的な「ハイハイハイ!!わかった!わかったから!!」・・・まだ説明は始まったばかりですよ?」
その説明がとにかく長いのだ。
ミレニアム生の中には、彼女の説明がトラウマになった生徒もいるほどである。
「というか、いくら高性能の肉叩きだろうと、こんな巨大ハンマーで何叩く気なの?!あと、火炎放射器も!どれだけ繊細な温度管理が出来ようが、ここまで大きい時点で使いづらいことこの上ないでしょ!!」
「「・・・・はっ!たしかに!!」」
「あほなの?!」
そもそも、アバンギャルド君自身とても大きく、細かな作業ができるとは思えない。
「なのに、アバンギャルド君に合わせたサイズのキッチンまで用意して、一体何したかったのさ!」
「「・・・いや、どうも無性にカレーが食べたくて。」」
「「ああ、分かります(!)暑い日になぜか食べたくなるものです(やつです!)」」
「同調するな!そこの2人!というかノア先輩は止める立場でしょう!」
第一、「カレーを食べたい→料理をする」ではなく、「カレーが食べたい→料理できるロボットを作る」という発想が、まず狂っている。
エンジニア部の2人がおかしいのはいつものことだが、一般常識が備わっているはずのノア先輩まで、何故止めに入らなかったかと聞くと・・・・。
「・・・・最近忙しくてですね。大量購入したソーメンばかり食べてまして
、正直私も食べたかったのと・・・・・ロボットと料理、この子達がどっちを作れるかと想像したら、まあ、・・・ねえ?」
中々ひどい答えが返ってきた・・・・・・・・・・思わず納得してしまったのは内緒だ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「・・・はあ、材料はあるんだよね?」
大きなキッチンスペースを横目に、うなだれているエンジニア部の1年組に確認をとる。
未だに向こうではユウカの説教が続く、何ともいえない空間。
正直、アリスの武器を預けて野菜を渡したら、すぐに帰るつもりだったのだが・・・
(ノア先輩の話を聞いてたら、私もカレーが食べたくなってきた。)
最近の猛暑で、食事が手抜き気味になっていたのはモモイも同じである。
ソーメンやざるそばは好きだが、何日も続けばカレーのような味の濃いものを食べたくなる。
「・・・・そういえば、ユウカちゃんがモモイちゃんの手料理をほめてましたね。」
「えっ?本当かい?ユウカ先輩、忙しすぎて味覚がおかしく?」
「うつ病の症状に、倦怠感や味覚の異常という症例が確認されているそうですよ?」
「エンジニア部の2人!ぶっ飛ばすよ!!(# ゚Д゚)」
「モモイ!カレーを作るんですか!?楽しみです!!」
「うん!アリスも手伝ってね!賢いバカ2人は食器出しといて!!」
ヒビキとコトリの反応は腹が立つが、もう慣れた。
意外だったのはノアの反応だ。
前に作った『親子丼』の感想をユウカから聞いていたのだろう。
(ユウカ、褒めてくれてたんだ・・・ちょっと恥ずかしい。)
元々、自分の腹を満たすために始めた料理だったが、誰かに「おいしかった」と言われるのはやはり嬉しいものだ。
とはいえ。
(嬉しいことは嬉しいんだけど、やっぱり手を込んだものはめんどくさい。ヒビキ達がこれを用意してたのは助かったな。)
材料の中に入っていた厚紙の箱を手に取る。
「『ジャワカレー辛口』私が好きなやつと同じだ。アリス、辛口カレーでもいい?」
「はい!中辛までしか食べたことありませんが、多分大丈夫です!!」
これを用意したエンジニア部とノアはまあ大丈夫だろうが、一番心配なアリスに確認を入れる。
食べたことがないというのは引っかかるが、本人が言うなら大丈夫だろう。
(でも、念のためにサラダをつけようか。)
頭の中でレシピを確認しながら、持ってきた野菜と用意されている食材を持ち、アバンギャルド君用の大きいキッチンに向かっていった。
「まずは、肉と野菜を切っていくよ!というか、こんなにいいお肉を用意してるなんてすごいね。」
手元に用意した牛肉の塊をみる。
普段は料金を抑えるために、豚肉か鶏肉を使っていたので、ビーフカレーを作るのは久々だ。
「牛肉の塊とニンジン、ジャガイモは一口大にする。私が牛肉切るからアリスはピーラーでニンジンとジャガイモ剝いといて! 普段、夏に作るときは、腐りにくいようにジャガイモを入れないんだけど、これだけ人数がいるなら食べきれるでしょ」
野菜を軽く洗い、ニンジンとジャガイモをアリスに渡す。
牛肉を可能な限り繊維沿いに切っていく。
せっかくの牛肉、普段より気持ち大きめにカットする。
次に玉ねぎを手に取り、上部と下部を落とすと皮をむいていく。
(たまねぎ・・・、半分はみじん切りにして、もう半分は大きめにカットしよう。)
玉ねぎの大きさは、その日の気分で変えるのだが、せっかく大人数分作るのだ。
せっかくなら両方用意する。
「モモイ!野菜むけました!」
「ありがと!こっち持ってきて!」
アリスがむいてくれたニンジンとジャガイモを、気持ち大き目にカットする。
「玉ねぎは気分で大きさ変えるけど、ニンジンとジャガイモは大き目が好きなんだよね~♪」
手早く乱切りにして、フライパンを火にかける。
「さすがに大きい寸胴で作るのは初めてだから、焼くのはフライパンを使おうか、混ぜにくそうだし。」
少量のサラダ油を引いて、カットした牛肉を炒める。
“じゅ~!!”
4面に焼き色がつくまで火をいれ、軽く炒める。
適当な焼き加減で、一度皿に上げる。
「フライパンは洗わずに、そのまま玉ねぎ・ニンジン・ジャガイモの順に炒めていく。」
木べらを使い、玉ねぎが透き通るまで炒める。
みじん切りにした分は、軽くあめ色になっていた。
ニンジンとジャガイモには、軽く油がコーティングされている。
「よし!それじゃあ、寸胴に入れていくよ!!」
軽く熱を通した野菜たちを寸胴に入れ、カップで測って水を入れていく。
うち2杯ほどは、フライパンに一度いれ、フライパンの肉汁も寸胴に移す。
「・・・あれ?モモイちゃん、水の量少なくないですか?」
「うん、わざとだよ!炊き立てのご飯と合わすなら、水気は少ない方がいいからね!」
箱の裏面を見ていたノアが、カップを持ったモモイに思わず声をかける。
が、これはモモイもわかってやっている。
「ご飯を固めに炊いたら、水っぽいルーの方が美味しいんだけど、炊き立てでホカホカしてるなら、ドロッとしたルーが合うからね!まあ、ここもその日の気分だよ!」
モモイが料理できることはユウカから聞いていたが、もっと適当に作るものだと思っていたノア。
ノアは普段のモモイとのギャップに、目を見開いていた。
「さて、このまま温めている間に、サラダを作ろうか!!」
モモイが持ってきたお裾分け、その野菜達の中からキュウリを取り出す。
「って、モモイ?そんなに使うんですか?」
人数が多いとはいえ、モモイが取り出したキュウリは、かなりの量がある。
思わずアリスは声をかけた。
「ま、ただのサラダじゃないからね!ヒビキ!コトリ!」
「「ふえ?」」
モモイの料理姿を呆然と見ていた2人に声をかける。
「アバンギャルド君のスライサーって使えるの?」
「・・・うっうん、包丁とスライサーは普通のものだが、使えるよ?」
「じゃ!このキュウリと玉ねぎ半玉よろしく!」
「は、はい!わかりました!」
いきなり声をかけられて、一瞬戸惑ったものの、アバンギャルド君にセッティングする。
“ぎぃぃぃぃぃ、シャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャ!”
実に20本はあったであろうキュウリたちが、一瞬でスライサーにかけられていく。
半玉の玉ねぎなど、それこそ瞬きの間に薄くされていた。
「えっ、すご!めっちゃ早いじゃん!!」
「まあ、スライスするだけだし。」
「アバンギャルド君クッキングⅢは包丁さばきや、肉叩き、バーナー機能が本「そっちはいらない!スライサー機能だけで小型化できない?」・・あぅぅ、筆箱サイズくらいで可能ですぅ。」「自爆機能をつけ「いらない!後でちょっといい?」・・・まあ、わかった。」
ロクなモノを作らないことが多いエンジニア部だが、時にはちゃんと役に立つモノも作ることがある。
技術力自体は優秀なので、こうして依頼を出すことも多いのだ。
(これで、あの料理が作れる♪)
「さてと、たくさんキュウリをスライスしてもらったところで、ボールに移して塩もみするよ!」
「サラダなのに塩もみするのですか?」
「うん!野菜をたくさん食べるための工夫ってとこかな?その上、カレーにすっごく合うんだよ!」
ボールにスライスしたキュウリと玉ねぎを移して、塩を加える。
全体に塩がなじむように、手でかき混ぜながら“ギュッ!ギュっ!”と握り込むように揉み込んでいく。
「仕上げに、ガラスの器にレタスを大き目にちぎって敷き詰めるように入れて。塩もみキュウリたちは手で“ぎゅー!”って水分を飛ばしたら、器に盛って完成!レタスの代わりにキャベツを使っても美味しいよ!」
これで、付け合わせのサラダが完成したので、先にテーブルへもっていってもらう。
その間に、寸胴ナベも良い感じに沸騰している。
「カレーの方もいい感じだから、お皿に取り出してた牛肉を加えて、ひと煮立ちさせるよ!豚や鶏肉を使うときは、野菜と一緒に入れるんだけど、牛肉は火を通し過ぎるとすぐ固くなっちゃうからね!」
普段カレーを作るときは、大体豚肉を使っている。
その理由は、値段という面だけでなく、長時間煮込んでも牛肉に比べて肉が固くならないからだ。
(弱火で適当に調理する時は、時間を気にしない豚や鳥が便利なんだよね。味的には牛肉が好きなんだけど。)
肉類を入れると、寸胴の中でアクが出てくるので、お玉を使って取り除く。
「よし!じゃーいよいよジャワカレーのルーを入れてくよ!ノア先輩!それちょうだい!」
「ええ、どうぞ。」
ルーの箱を開けて、こちらへ渡してくれるノア。
ラッピングをめくると、ルーは十字の切れ込みが入っているため、ぽきぽきと割って鍋に入れていく。
「スパイスから作っていく本格的なのも美味しいけど、こうして手軽にできるお家カレーって定期的に食べたくなるんだよね~♪」
火の勢いを弱火に変え、焦げないようにゆっくりと鍋をかき混ぜる。
水気を飛ばしてルーに粘り気が出るまで加熱するのだが、最初から水分量を減らしておいたので、短時間でドロッとしてくる。
(カレーは2日目が美味しいって言うけど、あれは余分な水分が蒸発して味が引き締まるからなんだよね。だから、最初から水分を少なくすることで、2日目のカレーに近づけることができる。)
無論、それだけが理由ではないだろうが、個人的にカレーは濃厚でゴロゴロ野菜たっぷりなのが好みだ。
かき混ぜている寸胴から、カレーの凶悪な香りが、エンジニア部の部室を包み込んでいく。
「とにかく!今回の資金はセミナーからは出ないので次回の部費から捻出するから“くぅぅぅぅぅぅう”・・・・・出してください。・・・・・・・・モモイ?」
「・・・・これは、凶悪な匂いをさせてるじゃないか。作ってるのは・・・・モモイかい?」
ずっと続いていたユウカの説教と、しれっと聞き流していたウタハの2人も、この猛烈なスパイスの香りに、視線を向ける。
「・・・・えっとモモイ、あなたなんでカレーを作って「ユウカも食べるでしょ?」・・・・・・・・・・・ほしい・・・「もうすぐできるから、お皿にご飯盛ってくれる?」・・・・・・うん。」
「・・・おお、これは珍しいものが見れたね「ウタハ先輩も欲しい分だけご飯盛ってください。ルーかけていくので。」・・・・・いただきます。」
「「「「モモイ(ちゃん)が強い(です)」」」」
エンジニア部最大の問題児に冷酷な算術使いも、空腹には抗えないようだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「さて、全員分そろったかな?私もお腹すいちゃった。」
テーブルには大きな野菜と肉がゴロゴロ入ったホカホカのカレーライス。
ガラスの器に入ったサラダ、こちらは敷かれたレタスと中に盛られたキュウリ・玉ねぎのスライス達が、まるでアジサイの花のような形をしている。
ガラスコップに入った氷水も、表面の水滴が涼しげだ。
「「「「「「ゴクッ。」」」」」」
「モモイのずぼら飯、『ゴロゴロカレーと塩もみサラダ』だよ!サラダにはマヨネーズを使ってね?」
「「「「「「いただきます。」」」」」」」
「めしあがれ~!」
一斉にスプーンを持ち、カレーをすくう。
(野菜が大きい。)
依頼もだが、何より趣味として機械いじりに忙しい日々を過ごすウタハにとって、ここまでしっかりとした昼食は久々だ。
普段は時間があれば学食で済まし、そうでない日はカロリーメイトなどで済ます日も珍しくはない。
(このゴロゴロとしたカレーは、食べ応えがあっていいな。)
そんな中モモイが作ってくれたこのカレーは、まさにお家で作るカレーといった感じで、満足感が半端ない。
「そうか、大きくカットしてることで、野菜の甘みや味をカレーに負けずに感じられるのか。」
「おっ、ウタハ先輩正解だよ!細かく切ってカレーに溶かすことで、ルーのコクを増す方法もあるけど、野菜単体の味が残るゴロゴロカレーも好きなんだよね~♪」
「・・・・たしかに、おいしい。」
炊き立てのご飯をトロリと包むカレールー。
辛口なので確かに辛いのだが、野菜達の甘さもしっかりと感じられる。
(野菜も美味しいですが・・・・牛肉のブロックが良い味をだしています。口の中で溶けるような柔らかさは、煮すぎないように焼いた後、取り出したからでしょう。)
大きめに切られた牛肉ブロックをかみしめ、ノアは口内にあふれる肉汁を楽しむ。
ノア自身、料理はできる方だ。
レシピ通りで良ければ、大抵のものを作ることができる。
(でも、私が作ったらこうはいきませんね。牛肉はもっと固く、それにこれより水気が多いカレーになってたでしょう。)
もしノアが、カレールーの箱に書かれたレシピ通りに作れば、もっと違ったカレーになっていただろう。
(このカレーは、モモイちゃんが自分好みに改良した、ちょっとしたオリジナルレシピなんですね。)
以前にユウカが絶賛していたのも、これが理由だろう。
レシピ通りにしか作らないノアやユウカでは、できないしろものだ。
(すっごく美味しい・・・けど、辛い。ヒビキちゃんに合わせたけど、私には中辛くらいが丁度よかったかなぁ?)
コトリも美味しく食べてはいるが、後味として残る辛さに舌がひりつく。
「モモイ!美味しいですけど、辛くてヒリヒリします!アリス状態異常にかかりました!!」
「ありゃりゃ、やっぱりか。」
テーブルの向こうで、アリスとモモイのやり取りが聞こえる。
どうやら辛さに参っているのは、コトリだけではないようだ。
「じゃあアリス、マヨネーズをサラダにかけて少し混ぜた後、レタスで巻いて食べてみな。」
「サラダですか?“パクッ”“パリポリ”!!!美味しいですモモイ!」
辛さに参っていたアリスが、一瞬で上機嫌になり、再びカレーを食べ始めた。
(サラダってこれ?軽く塩もみしてたみたいだけど・・・。)
いずれにしても、辛さにシビレタ舌の口直しにはなるだろうと、アリスをまねて食べてみると。
“パクッ”“パリパリ”・・・・“パクパク”“パリポリパリ”、“パクパクパク”。
(!!!美味しい!!止まらない!)
箸休めや口直しなど、とんでもない。
さっぱりとしたキュウリに程良い塩気、一緒に揉み込まれている少量の玉ねぎ。
それらがマヨネーズと混然一体となって、とても旨い!
レタスを巻くことで、よりさっぱりと食べられ。
箸を進める手がとまらない。
(そうか!ピクルス!サラダとピクルスのいいとこ取りした料理をマヨネーズでまろやかにしてるんだ!!カレーに合わないわけがない!!)
普通のサラダほどさっぱりしすぎず、ピクルスほどの味の尖がりもない。
まさにちょうどいい塩梅のカレーのお供が、完成していた。
「「「「「「ごちそうさまでした。」」」」」」
「はーい、お粗末さま~。」
テーブルの上には空になった食器が並び、結構な量作ったカレーも見事にすべてなくなっていた。
「ふう、暑い夏ほど辛いものとはよく言ったものだね。久々のカレーは最高だったよ。」
「そうね、いくら暑いからって冷たい食べ物ばかりじゃ、体に悪いもの。」
ウタハとユウカは、共にパンパンになったお腹を満足そうにさすり、椅子に座りながらくつろいでいる。
他の面々も、思い思いに食後のひと時を楽しんでおり、先ほどまでのギスギスした雰囲気は見る影もなくなっていた。
「アバンギャルド君はともかく、ちゃんとした料理をするって点はいいことだよ!暑さにやられちゃうと、食事をいい加減にしがちだからね!」
そんな皆を眺めながら、機嫌よさげにモモイは話す。
やはり、自分の料理をおいしく食べてもらえるのは、嬉しいものがある。
「いやしかし、モモイがこれほどまでに料理上手とは思わなかったよ。大したものだ。」
「前にごちそうしてくれた親子丼も美味しかったしね。」
とはいえ、そう手放しに褒められると、気恥ずかしさを感じるのもまた事実。
モモイは照れ隠しがてら話をそらして、調理中思いついたことをエンジニア部に相談した。
「アバンギャルド君に搭載してたスライサーを、ちょっと改良して小型化したい?」
「うん、コトリが筆箱くらいの大きさにできるって言ってたから。・・・で、ごにょごにょ。」
「うむうむ、そのくらいは簡単だ。物自体もアレを改良すればいいから、比較的すぐにできあがるよ。」
アバンギャルド君の腕の1つを見て答えるウタハ。
どうやらモモイは、スライサーを改良した、ある調理器具が欲しいらしい。
「そうなんだ!じゃあ、料金だけど。」
「たいした作業にはならないし、料金はいいよ。」
「調理器具でしょ?予算がいるみたいなら、セミナーからだすわ。」
「ふえ?!2人ともいいの!?」
太っ腹な発言に目を見開く。
ありがたい話だが、完全に自分用の調理器具にそこまでしてもらうのも気が引ける。
しかし、2人は
「別にそれくらいはいい」「別にいいわよ、大した値段じゃないでしょうし」
「「ただし」」
ウタハとユウカの声がそろう。
「「それで作った料理を、またごちそうしてくれればね」」
モモイの顔から笑みがこぼれる。
「まかせてよ!!」
モモイのずぼら飯、まだまだ続きそうである。
・・・・・・・・・・・後日談。
「・・・・・・頼んでた調理器具、受け取りに来たんだけど、3人共なにしてんの?」
「むっ!モモイか!見てくれ!」
「以前の失敗を元に作ったお料理ロボットのマークⅡ!」
「今度は大きさも小型の人間サイズです!!」
エンジニア部の3人は、かぶせてあった布を取り、自身の傑作をモモイに紹介する。
「「「お料理ロボット2型!『ロボモモイ』だ(よ)!!」」」
「やめんか馬鹿垂れ!!」
まずは料理を覚えてから、料理ロボットを作れと、2時間ほどモモイの説教は続くのだった。
10000文字近くになってしまった(-_-;)
ランキングに載って嬉しかったんだもん。
仕方ないね!