才羽モモイのずぼら飯   作:イッセ

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お久しぶりです。

小説の精度を上げようとブルアカのアプリを始めたら、ドはまりして執筆時間が取れませんでした(笑)

イオリとイロハを主軸に育成しているのですが、ピックアップで水着ウイや門主様をお迎えしたりと育成が追っつきません(´;ω;`)

もうすぐ先生レベルが50になるので、まずはレベル上げからやっていきます。

シリーズの更新?さあ?どうなるでしょうね?


ラーメン モモイVSトキ

 

 

 

「モモイさん!メイドとしていざ尋常に勝負です!」

 

「はいぃ?!えっ、トキ?どうしたのいきなり???」

 

 

ゲーム開発部の部室に、メイド姿の集団が押しかけて来たのは、お昼を過ぎてしばらくしてからだった。

 

通称C&C(クリーニング&クリアリング)と呼ばれるメイド部は、メイドとは名ばかりのミレニアムが誇る特殊部隊である。

 

 

「そのメイド部が、そろいもそろって一体どうしたのさ!まだ、セミナー相手に問題なんか起してないよ!!」

 

「・・・まだ、という点をみっちりと詰問したいところですが、今回は後輩ちゃんのわがままなんです。」

 

「最も、私たちも少し気になっていてね。せっかくの機会だからと同行させてもらったんだ。」

 

 

そう声をかけてきたのは、C&Cの2年。

 

爆発物の扱いを得意とする室笠アカネと、スナイパーの角楯カリンである。

 

 

「私は訳も分からずにいきなり連れてこられたんだけどな#」

 

「わたしはなんか面白そうだからついてきたー!!」

 

 

キレ気味に声をかけてきたのは、C&Cの3年生組。

部長の美甘ネルと、天然だが勘が鋭い一之瀬アスナである。

3年生組は理由を知らなさそうだ。

 

 

「・・・とにかく!トキは一体なんで私にメイド勝負を仕掛けてくるの?!理由を「あれは、昨日可愛いアリスとゲームで遊んでいる時でした。」・・・だからって、いきなり回想を始めるなー!」

 

 

・・・・・・・昨日の話・・・・・・・・

 

 

「そこです!そこの庭に不思議なアメが落ちてるので回収を忘れちゃだめです!」

 

「この家の庭ですか?アイテムアイコンは見えませんが?」

 

「見ただけじゃわかんないので、Aボタンを連打しながら移動するんです!」

 

 

昨日の午前中から、私の部屋にはアリスが遊びに来てくれました。

 

今日はゲーム開発部の面々が皆用事でいないとのことで、手持ちのゲームを持ってきて、一緒にプレイしていたんです。

 

リオ会長との一件迷惑をかけたにも関わらず、こうしてなついてくれるのは、本当に可愛くて優しくて可憐で食べてしまおうかと「トキ、話がズレてるズレてる・・・・最後何言いかけた⁈」・・・失礼いたしました。

 

 

時間は12時・・・半になったくらいでしょうか?

 

そろそろお昼の時間かと思い、アリスを食事に誘ったんです。

 

 

「いったんレポートでセーブしておきましょう・・・。そういえばアリス、そろそろお昼ですけど、どうしますか?」

 

「・・・・あ、もうこんな時間なんですね。そういえば空腹ゲージが赤くなっています!言い換えると腹ペコです!」

 

 

いつもなら食堂を利用しているのですが、せっかくアリスが遊びに来てくれているのです。

 

メイドとして磨いてきた料理の腕を、アリスに披露しようと思いまして。

 

 

「・・・せっかくですし、家で食べていき「それじゃあそろそろアリスは行きますね!!今日はモモイが作ってくれるんです!トキ、また一緒に遊びましょう!」・・・・・・・・・・・・・」

 

 

・・・・・・・呼び止める暇もありませんでした。

 

 

・・・・・・・・・・回想おわり・・・・・・・・・・・

 

 

「・・・・・・・・・・うわあ。」

 

 

確かに昨日はお昼にチャーハンを作り、アリスも帰ってきて一緒に食べていた。

 

私の料理を楽しみにしてくれているのは嬉しいが、その場面を想像すると、いたたまれない気持ちになる。

 

 

「そんな目で見るのは辞めなさいモモイ。」

 

 

思わず同情の視線を送ってしまったが、お気に召さなかったらしい。

 

 

「・・・こほん、とにかく!料理のスキルはメイドの必須スキルです!それをあんな反応されたら、モモイの方が優れているように思われるでしょう!!」

 

「いやいや、私のは自己流の適当ご飯だよ?!本職みたいなメイドに勝てるわけないでしょ!」

 

「問答無用です!私と料理勝負してください!どちらが優れたメイドなのか、ハッキリさせましょう!」

 

 

昨日の事がよほどショックだったのだろう。

 

こちらの意見など、聞いてくれない。

 

 

「ちょっと先輩たちも止めてよ!私はゲーム開発部で、前に少しメイドの格好したことはあるけど、メイドじゃないんだってば!!」

 

 

困ったような表情をしている先輩連中に視線を向ける。

 

 

「まあ、確かにモモイちゃん相手にメイド勝負というのは「モモイは御主人様にも料理をごちそうしているそうですよ。」メイドの修行に料理は欠かせません。モモイちゃんも作って下さい。」

 

「落ち着けアカネ。当番の時に作ったくらいだろう?先生も生徒の手料理を断ることは無いだろうし「晩酌のつまみを作りに、夜間のシャーレへ差し入れもしたそうです。」挑まれたんだから、さっさと作れモモイ。」

 

「手のひらクルっクルか!!というかなんでトキは知ってるの?!「コタマさんに聞きました。」・・・あの盗聴魔(# ゚Д゚)」

 

 

フォローしてくれるかと思ったC&Cの先輩連中も一瞬で敵に回った。

 

というか・・・・

 

 

「そんなに気になるなら、先輩たちも先生に手料理作ったらいいじゃん!先生なら喜んで食べてくれるよ!!」

 

 

少なくとも本職の人間が、私のような素人の料理を気にする必要はないだろう。

 

先生のことを御主人様と慕うのだから、こういうのは先生に直接アタックすべきだ。

 

トキはアリスに直接食べさせればよいし、私を巻き込まないで欲しい。

 

そういう思いを込めて、改めて先輩2人に視線を向けると。

 

 

「「・・・・・・・・・・・・・・(すっ)(;一_一)」」

 

 

・・・・・2年のふたりに目をそらされた。

 

 

まさか、まさかだが、おそるおそるアカネとカリンのふたりに確認する。

 

 

「・・・・・二人とも料理、できないの?」

 

 

「・・・・・・・・・・・・紅茶は・・・・入れられます。」

 

「・・・・・・・・・・コーヒーも美味しく入れれる。」

 

(飲み物じゃん!!!)

 

 

喉まで出かかったのを何とか飲み込む。

 

メイドのたしなみだか、必須スキルだかという話しは何だったのか。

 

まさかという思いを持ちながら、今度は3年の2人に視線を移す。

 

 

「えっ、私は食べる専門だよ~。あ、でもクッキーは焼けるかな?」

 

「私は自炊してる。ややこしい料理は出来ないが、普通に作る位なら問題ねえ。」

 

 

(いっちばん意外な人が、1番料理できそうだああああ!!!)

 

 

メイド部であるにも関わらず、先輩たちの中で料理をできるのが部長のネルだけという事態にめまいをおぼえる。

 

言っては何だが、普段の言動からネル先輩が料理をできるというのは一番信じられなかったのだが・・・・・。

 

 

「・・・・なんだよ?どうせ私が料理できるなんて思わなかったんだろ?」

 

「いや、まあ、正直そうなんですけど・・・・私も・・・ねえ?」

 

「・・・・・・・・あ~~~。そうか。」

 

 

何とも言えない空気となり、沈黙が流れる。

 

 

言っては何だが、私自身料理ができると言って信じてもらえたためしがない。

 

アリスやユウカ、先生だって最初は信じられないような反応を返された。

 

ネル先輩も同じなのだろう。

 

このうえなくシンパシーを感じてしまい、一気にネル先輩と仲良くなれたようなきがした。

 

 

「何お見合いみたいな雰囲気になってるんですか。」

 

 

ジト目でこちらを見ているトキに話しかけられて正気に戻る。

 

 

「・・・まあいいでしょう。先輩方が料理下手というのは知りませんでしたが「苦手なだけですよ!」「そうだな!飲み物は入れられる!」うるさいです。唯一料理できるネル先輩に審査してもらうということで、勝負しましょう!」

 

「私も巻き込まれるのか?!まあ、腹減ってるしいいけどよ。」

 

「・・・・・・えええ」

 

 

結局グダグダなまま、流されるような形でトキとの料理勝負に持ち込まれたのだった。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

「それじゃあ、制限時間は30分!お互いに1品の料理を作っての勝負だよ!」

 

 

マイクを持った、ノリノリのアスナが司会の様な事をしている。

 

ゲーム開発部の狭いキッチンスペースでは、2人での調理ができないので、メイド部の部室に移動した。

 

備え付けられている綺麗なキッチンは、2人で作業しても十分なスペースがある。

 

・・・・・・・・・・きれいすぎるのはまあ、そもそも使っていないのだろう。

 

色々と言いたいことはあるが、料理勝負など早々に体験するものでは無い。

 

モモイは新作のゲーム開発に応用できるかもしれないと、自分に言い聞かせて、モチベーションを維持する。

 

 

「それじゃあ早速、料理開始!」

 

 

持ち時間は30分、手の込んだ料理は出来ないが、ある程度の持ち込みを許可されているので、早速調理を開始した。

 

 

「さーて、ついに始まったね!モモイちゃんとトキちゃんの料理勝負!」

 

「・・・ノリノリだな。まあ、腹減ってるからちょうどいいけど。」

 

 

いつの間にやら用意されていた長テーブルに座って話すアスナとネル。

 

2人が座るテーブルには、「司会進行役」と「審査員兼解説」のネームプレートが置かれていた。

 

 

「部長はこの勝負、どうみますか?やっぱりトキちゃんが勝つと?」

 

「トキはリオ会長のお付きをしていたころ、会長の食事も用意していたそうだよ。やはり、モモイでは勝てないと思うのだが。」

 

 

長テーブルの後ろにいるアカネとカリンの2人から、トキに関する情報が出る。

 

 

「そもそも、この形式の試合で料理の腕比べって自体が無理、・・・・・・つーか、てめえらが料理できないって話、初耳なんだが?」

 

「「いやそれはその・・・・・今はいいじゃないですか。」」

 

「あははっ!部長知らなかったっけ?「いや、アスナは予想してた。」ひど~い!」

 

 

気まずそうに視線を逸らす後輩2人に、ポヤポヤと気にした様子もない同級生。

 

仮にもメイド部を名乗っておきながら、こんな感じで大丈夫なのかと、ネルの口からため息が漏れる。

 

 

「あ、トキちゃんが調理に入ったみたいだよ!食パンを2枚用意してる!卵と牛乳も!朝食セットでも作るのかな?」

 

「・・・・いや、ボウルに牛乳と卵を割って混ぜてるな、それに冷蔵庫から出したチーズとハム、それにあの鍋は・・・『クロック・ムッシュ』か。」

 

 

キッチンに視線を向ければ、トキはミルクと卵を混ぜたものに塩コショウをしてボウルからパットに移し替え、10枚入りの食パンを取り出しハムとチーズを挟んでいた。

 

 

「『クロック・ムッシュ』?フレンチトーストじゃないの?」

 

「先にサンドイッチみたいにしてるだろ?クロック・ムッシュはパンにハムとチーズを挟んで、フライパンで焼き上げるフランスの料理だ。」

 

 

アスナのこぼした疑問にすかさず答えるネル。

 

 

「パリのオペラ座近くにあったカフェが発祥で、今ではフランス中のカフェで食べられる定番メニューでもある。サンドイッチとの違いは温めたベシャメルソース(ホワイトソース)を塗って食べる点だな、あっちの鍋で作ってるのがそれだろう。」

 

 

スラスラと出てくる料理の知識に、唖然とするアカネとカリン。

 

そんな2人をよそに、アスナとネルのやり取りは続く。

 

 

「ふーん、フレンチトーストのサンドイッチかな?お昼ご飯にしては軽め?あ、でもふたりの料理を食べるんならちょうどいいか。」

 

「・・・いや、卵を1つ残してるな。目玉焼きをのせて『マダム』にするんだろう。結構、食いごたえのある料理だ。」

 

 

ネルによる解説が続くが、トキの作業はバターに薄力粉を溶かす、ペシャメルソース作りの最中、この段階で料理の完成形が見えているあたり、ネルの解説役適性は高いと言えた。

 

 

「さて、モモイちゃんの方は鍋にお湯を沸かしてるね!それから・・・もう1個の鍋で温めてるのはなにかな?」

 

「・・・ブイヨン。・・・いや、スープだな、何かで出汁をとってる。作ってきたのを温めなおしてる感じか?用意してるのは中華麺、なるほど。」

 

 

モモイの方に目をやれば、2つの鍋以外にも小さめのフライパンを用意していた。

 

 

「へー!モモガキが作ってるのは、ラーメンか!スープはあらかじめ作ってて、麺は業務用の生麺みたいだが、インスタントじゃないあたり期待してもいいかもな。」

 

 

おそらくネルの好物だったのだろう。

 

心なしか嬉しそうな声を上げる。

 

 

「・・・?けどモモイちゃん、電子ケトルでもお湯を沸かしてるね?お鍋でも沸かしてるのになんでだろう?」

 

「だから期待できるんだよ。麺茹でる段階にはわかるから、もう少し見とけ。」

 

 

モモイの不思議な行動に首をかしげるアスナだが、ネルは何かを察している様子である。

 

そうして着々と料理を進めていくモモイだが、ふと視線を上げてトキの方を確認すると、テーブルに座るネルたちに声をかけた。

 

 

「ねえ先輩。冷蔵庫の野菜使っていい?」

 

「え、えっと「いいぜ、好きに使え。」あ、うん。キャベツとモヤシくらいしかないけど「十分だよ!ありがと!」あ、は~い。」

 

 

確認を終えると、モモイは嬉しそうに笑い、冷蔵庫に駆け寄っていった。

 

 

「・・・野菜入りのラーメンか、おいしそうだね部長「モモイか、ゲーム開発部から引き抜けねーかな。」ぶちょう?!」

 

 

信じられない提案をするネルに驚愕するアスナ、後ろで空気になっている2年コンビも目を見開いている。

 

そんな周囲の様子を気にすることなく、ネルはますますテンションを上げていた。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「よし!パン部分の仕上げです!」

 

 

そう声を上げたのはトキである。

 

卵液に漬けていたサンドイッチは、既にフライパンで焼かれてフレンチトースト状になっていた。

 

 

「別の鍋で作っていたペシャメルソースをミルクで伸ばして、パン全体に塗り付けます。そして!」

 

 

トキが手に取ったのは、バーナーである。

 

たっぷりとホワイトソースが塗られたパンを、焦げ付き過ぎないように炙っていく。

 

 

「うわ~!トキちゃんの料理、すっごく美味しそう!」

 

「たしかに上手いな、焦げ付かず丁度良い炙り方をしてやがる。」

 

 

見ている先輩たちも、思わず唾をのみ込む。

 

ホワイトソースの焼ける香りがキッチンに広がり、より食欲を刺激する。

 

 

「モモイちゃんの方も、麺が茹であがったみたいだね!お湯から上げて冷水で洗ってる・・・・・・はあ?!」

 

 

もう一方のモモイを見て、思わず声を張り上げるアスナ。

 

それもそのはず、モモイはせっかく茹で上げた中華麺を、冷水でじゃぶじゃぶ洗っていた。

 

 

「??あれっ?冷麺作ってたの?どうして水でしめてるの??」

 

「・・・いや、あれで正解なんだよ。」

 

 

モモイの行動に焦るアスナだが、ネルは予想済みとでもいうような顔で解説を続ける。

 

 

「生麺を調理したことのあるやつがしがちな失敗だが、麺の仕上がりが悪く完成時にダマになってたり、食感がネチネチしちまうことがある。それを防ぐのに、いっぺん水でしめるって工程は必要不可欠なんだよ。」

 

 

ネルの解説が入るが、アスナはまだ納得がいってないようだ。

 

 

「でも、それじゃあ麺が冷たくならない?」

 

「電子ケトルでお湯を沸かしてただろう?そいつを回しかけて温めなおすんだ。」

 

 

モモイの方を改めて見ると、確かに水から上げたザルへケトルのお湯を回しかけていた。

 

 

「いっかい水でしめるって工程が重要だからな、その後温めなおすのは問題ねえ。これだけで中華麺の仕上がりは格段に良くなる。」

 

 

2人の調理も仕上げに入り、トキ・モモイの順で料理を完成させるのだった。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

「それじゃあ、審査を開始するよ~!」

 

 

全ての調理が終わり、いよいよ勝負の審査へと入る。

 

ネルは長テーブルから1人掛けのテーブルへと移動しており、その上にはナイフとフォーク、箸とレンゲが用意されていた。

 

 

「審査は料理の完成順で!まずはトキちゃんもってきて~!」

 

「はい。」

 

 

”コト”と置かれた皿の上には、香ばしいホワイトソースに包まれたハムとチーズのサンドイッチ。

 

その上には、まん丸半熟の目玉焼きがのせられており、黄身がプルンと震えていた。

 

 

「クロック・ムッシュに目玉焼きをのせた、『クロック・マダム』です。お召し上がりください。」

 

「・・・ああ、いただきます。」

 

 

ネルはテーブル上のナイフとフォークを手に取り、ホカホカと湯気を立てるクロック・マダムにナイフをおろす。

 

 

“つぷ、・・・とろおおおお”

 

 

半熟の目玉焼きをナイフでつぶすと、香ばしいホワイトソースの上をトロリとした黄身が滴っていく。

 

まずは半分。三角形になるようにパンを切ると、その断面はハムとチーズが何層にもなっていた。

 

 

“つぷ、つぷ”

 

 

一口大になるようにナイフを走らせる。

 

半熟目玉焼き・ホワイトソース・フレンチトースト状のパン・卵液が染み切っていない部分のパン・ハム・チーズ、これらの断層が美しく食欲をそそる。

 

 

“ハグッ”

 

 

大きめに口を開け、口に入れる。

 

最初に口に広がるのは、半熟目玉焼きのトロリとした旨み、塩とブラックペッパーで味付けされたそれは、濃厚ながらもピリリとした味となっている。

 

同時に、ホワイトソースの濃厚な旨味。

 

柔らかなフレンチトーストと相まって、とても美味しい。

 

 

“もぐもぐ”

 

 

噛みしめるごとにあふれてくるのは、ハムの食感とチーズの濃厚な味。

 

このシンプルな組み合わせは、期待通りのおいしさを提供してくれる。

 

断層となった食材により食感もよく、満足感のある料理となっていた。

 

 

「うん、うめえな。さすが会長に作ってただけある。」

 

 

じっくりと味わい、一口目を飲み込むと、ネルは一旦ナイフとフォークをおいた。

 

 

「さて、腹いっぱいにするわけにはいかねえし、モモガキの料理も持ってきてくれ。」

 

「了解!・・・これの後に私のラーメンだすの?もう私の負けでいいんだけど。」

 

「いいから!麺が伸びる!!」

 

「わ、わかった。」

 

 

ネルにせかされると、モモイはどんぶりをネルの前に置いた。

 

 

「これは、野菜炒めの醤油ラーメンでしょうか?」

 

「キャベツにモヤシ、チャーシューもあるみたいだけど、野菜炒めラーメンってとこか「バカ2人はしゃべるな、どう見たら炒めてるように見えるんだ。」・・・・ちがいました?」

 

 

モモイのラーメンは、醬油ラーメンでうっすらとラードが浮かんでいる。

 

麺の上には、キャベツとモヤシ、ふたきれのチャーシューが具材としてのっていた。

 

 

「・・・これは、ボイル野菜ですか?」

 

「うん、トキ正解。耐熱容器にラップをして、レンチンしただけの野菜ボイルだよ。モモイのずぼら飯『ボイル野菜の醤油ラーメン』、食べてみてよネル先輩♪」

 

「・・・ああ。」

 

 

テーブル上のレンゲをとる。

 

レンゲの背を使い、野菜をスープに沈めつつ、すくったスープを口に運んだ。

 

 

“ズズ”

 

 

最初に感じたのは鼻孔をくすぐる香味油の香りだ。

 

それが醤油の香りと合わさり、食欲を刺激する。

 

口に広がる醤油ベースのスープは、野菜の旨みが加わり、確かなおいしさをかもしだして、それでも決してくどくはない。

 

 

“かちゃ、・・・・ハグ”

 

 

レンゲから箸へと持ち替え、スープに沈めた野菜を口にする。

 

スープを吸った旨み以外にも、ボイルしたことによる野菜本来の旨みもそのまま楽しめる、ボイル野菜自体にも軽く味付けされているが、醤油ベースのスープを邪魔しておらず、味の相性もよい。

 

 

“ちゅるちゅる”

 

 

続いて、麺をすする。

 

 

“もぐもぐ”

 

 

ツプツプと歯切れのいい麺、業務用ながらも仕上がりの良いできになっている。

 

 

「うん、こっちもうめえな。」

 

 

モモイのラーメンも少しだけ食して、一旦箸をおいた。

 

 

「さあ!いよいよ審査結果の発表だよ!!どっちも美味しそうだけど、下馬評ではトキちゃんが有利!けど、料理のできから言って部長も難しい判断が「モモガキの勝ちで・・・・んじゃ、このまま普通に飯食うから、あんまり騒ぐなよ。」・・・・ふぇあ?」

 

 

サラッと告げられた内容に、その場にいた全員が固まる。

 

そんな周囲に目もくれず、ネルは再び食事を再開した。

 

 

「・・・・っ!なぜですか!!私の料理がモモイさんに負けるなん「ちゃんと後から説明してやるから、食い終わるまでまってろ!」っ!」

 

 

真っ先に再起動したトキが抗議の声を上げるが、食事を再開したネルにピシャンと言われて黙り込んでしまう。

 

 

“ハグッ、もぐもぐ。ゴクン。はふはふ。”

 

 

静まり返った部屋の中で、ネルの咀嚼音だけが聞こえる。

 

結局、食事が終わるまでは、誰一人として口を開けなかった。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

「“ゴクゴク”んん。ごっそうさん。・・・くったくった。」

 

 

ラーメンのスープをすべて飲み干し、満足そうにお腹をさする。

 

食事を終えたネルに、モモイとC&Cの面々はおそるおそる近づいて行った。

 

 

「それで、ネル先輩。どうして私がモモイさんに負けたのか、納得できる説明が欲しいのですが。」

 

「ん?・・・ああ、そうだな。アスナたちも疑問に思ってるみてえだし、なにより勝ったはずのモモガキが分かってなさそうだ。」

 

 

他の面々の顔を改めて見回しながら、ネルは椅子に深く腰掛けなおした。

 

 

「まず、料理の腕自体はお前らふたりたいした違いはねえ。そもそも、同じ品目を作らずにただ漠然と料理を作らしても、細かな料理の腕を比べるのは無理だ。」

 

 

どちらかが極端に下手だったり、美味すぎでもしない限りなと補足しながら、ネルは真剣な表情で話していく。

 

 

「トキのクロックマダムは、まず火入れの技術が見事だったな。ホワイトソースやフレンチトーストを全く焦がさず仕上げるのって、意外と難しいんだよ。」

 

 

それはモモイも感じていた部分だ。

 

それに最後にのせた目玉焼き。

 

目玉焼きの焼き加減は人の好みで別れるが、超弱火で片面だけ焼き上げるあの方法は、モモイもマネしたいと思った。

 

 

「それに、塩と胡椒による味の調整も見事だった。半熟目玉焼きをのせるマダムだと、味がマイルドになりすぎる場合があるからな。塩とブラックペッパーでうまく味を引き締めてたのも評価が高い。」

 

 

べた褒めである。

 

トキも心なしか嬉しそうな顔となっているが、その分、なぜ負けたのかが疑問のようだ。

 

 

「一方でモモイの料理だが、まず評価すべきはスープとタレの配合率だな。」

 

 

次にラーメンの評価へと移る。

 

 

「ラーメンの塩分濃度は一般的に1.3%塩分量は5gと言われてるけど、野菜などをトッピングする場合、濃いめの方があう。この辺はラーメン屋によってまちまちなんだが、モモチビはタレとスープを合わせる時、細かく味見をして最適な濃度を調べてたな。」

 

「うん、前に自分用で作った時は野菜を入れなかったからね。その分の調整をしたよ!」

 

 

よほどラーメンが好きなのだろう。

 

細かな所までよく知っている。

 

 

「用意したスープは、多分チャーシューを作った時に下茹でしたものだな?豚骨や鶏じゃあなかったし、香味油も入れてなかった。浮いてた油分はチャーシューから溶けたラードだろ?」

 

 

これも正解。

 

以前にシャーレへ先生のつまみとしてもっていった煮豚、あれを作った時に出たゆで汁を、冷蔵庫で保存してラーメンスープに転用したのだ。

 

 

「ニンジンや白菜の甘みが溶け込むスープは、醬油ベースのタレと相まって見事にマッチしてたぞ。」

 

 

「!!!!」

 

 

ネルの発言に驚愕の表情を浮かべるモモイ。

 

こちらのラーメンも絶賛され、いよいよ勝敗の理由に触れる。

 

 

「だから、料理の腕としては双方互角、むしろ制限時間30分というお題に対して、モモイはスープやチャーシューといった持ち込みを使った分、トキの方が優れていた。」

 

「!だったらなぜ!?」

 

「料理として勝負したらの話ならな!」

 

 

トキの疑問を遮って、ネルは続けた。

 

 

「モモイ。お前本当はラーメンの具、野菜使う予定なかったろ?」

 

「・・・なんでわかるのかなあ?確かに、煮豚と一緒に漬けてた、味玉をのせるつもりだった。」

 

「「「「!!!!!」」」」

 

 

ネルの指摘とモモイの答えに全員が驚愕する。

 

 

「そう、こいつは当初、味玉を具材として使おうとしたが、おそらくトキが目玉焼きを上にのせるマダムを作ろうとしてることに気付いて、即座にボイル野菜へと切り替えたんだ。」

 

「・・・うん。それと用意されてる食材に野菜がなかったから、栄養が偏りそうだし。」

 

 

トキを始め他の面々も、モモイがした心遣いに全く気付いていなかった。

 

 

「対してトキは、自分の料理に集中するあまり、そういった心遣いまで気が回っていなかった。これは『メイドとして勝負』と考えると明確な勝敗理由だろう?」

 

 

ただ一人、メイド部部長のネルを除いては・・・・・。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「モモイ!聞きましたよ!料理勝負でC&Cに勝ったそうですね!」

 

後日のゲーム開発部にて、アリスがモモイを見つけると機嫌よく話しかけてきた。

 

「トキが悔しそうに話してました!『今はメイドとしてあなたの方が優れていると認めましょう。ですがいずれ必ず!』だそうです!」

 

「だから私はメイドじゃないって!」

 

 

途中からのってしまったが、そもそもモモイ自身、わけのわからないノリで巻き込まれただけに過ぎない。

 

お遊びとしてならともかく、本格的にメイドをやるつもりなどないのだ。

 

 

「それでも、チビ先輩もモモイをほめてましたし、モモイがメイドとして高レベルなのは確かです。ひょっとしたらメイド勇者も目指せるかもですよ!」

 

「ネル先輩がねえ?」

 

 

料理を褒められるのは確かに嬉しい。

 

それが3年の先輩にというのは、なおさらだ。

 

 

「・・・・でも、メイド勇者には程遠いかな?本物のメイドさんにはかなわないよ。」

 

「???」

 

 

思い出すのはネルが言った一言。

 

 

『ニンジンや白菜の甘みが溶け込むスープは、醬油ベースのタレと相まって見事にマッチしてたぞ。』

 

 

(・・・あんなこと言われちゃあ、自信無くしちゃうよ。)

 

 

モモイが作ったボイル野菜ラーメンだが、あの日使った野菜はキャベツとモヤシである。

 

ネルが言ったニンジンや白菜はボイルしていない。

 

では、ネルが間違えて指摘したのか?・・・・・・それも間違いである。

 

 

(何をどうやったら、スープの臭み取りに使った香味野菜を当てれるんだよ。化け物じゃん。)

 

 

ラーメンスープに使った豚肉の下茹で、モモイはこの臭み取りとしてネギ頭とニンジン、白菜を使用していた。

 

 

(ニンジンやネギ頭はラーメンスープの出汁によく使われるけど、白菜は一部の店舗と私のオリジナルだ、適当に言って当てられるもんじゃない。)

 

 

「多分、私の料理じゃまだまだ足元にも及ばないと思うよ?」

 

「そういうものですか?」

 

 

今回の一件で意外な側面を見つけたメイド部の部長を思い浮かべながら、モモイはアリスとゲームをするのだった。

 

 

 

 

 

 

“ピコピコピコ”

 

「いや、そうでもないかも?」

 

「?どうしたんですかモモイ?」

 

「あ、いや、何でもない。」

 

 

一瞬、料理勝負の後半には、ロクに発言すらできなくなっていた2年の2人を思い出し・・・・・・・・・・・・・・・すぐ忘れることにした(笑)。

 




チャーシュー作るときは、ゆで汁やツケダレ冷蔵して、自家製ラーメンを作ってます。

まあ、ガチ勢ではないので製麵はしないのですが、これが意外と美味しい。

トキが作ったクロックマダムも取ってもおいしいですよ!

半熟の目玉焼きにすると食べにくいですが(;^_^A
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