ロリモブはネームレスです。
ツルギは根が良い子なので意外とロリ……小さい子に懐かれるんじゃないかなって思います。
正実モブ、可愛いですよね
口調がこれでいいのか不安ですが、書きたいことは書けたので是非とも読んでみてほしいです!
暇つぶしの一つにどうぞ!
学園内の施設にオリ要素アリ。
春の暖かい日差しが心地良い、とある平日の昼過ぎ。
単身での不良生徒グループの制圧任務を終えたツルギがトリニティ総合学園に帰還した。
「きひひッ」
ツルギは普段通り猫背で、愛銃である二丁のレバーアクション式ショットガンの“ブラッド&ガンパウダー”を両手に握り、見る者全員を怯えさせる恐ろしい笑顔を浮かべ、濡れ羽色の長い髪を翻しながら豪奢な敷地内を歩いていた。
今の彼女のハイテンションである。
その理由は、久しぶりの任務で思いっ切り暴れることができたからだった。
ここ最近はツルギが暴れた末に出す周囲の建造物への被害が大きすぎると、親友かつ副委員長であるハスミから暫くの謹慎を言い渡されていたのだ。
その謹慎が本日ようやく解除され、任務を言い渡され今さっきまで思う存分暴れてきたのだった。
長く抑圧されたせいで今日の任務地の被害はかなり悲惨なことになっており、数時間後に報告を受けたハスミが絶叫するのだが、それはまた別の話……。
「けけけッ」
ニタァ……と暗黒スマイルを浮かべたままトリニティ・スクエアを通り過ぎ、部室会館がある区画にツルギが足を踏み入れた、その時。
「ん?」
背後から自分がいる方向へ近づいてくる足音を耳にしたツルギは歩みを止める。
ツルギは正義実現委員会の委員長ではあるが、殺意剥き出しの超武闘派であり、気に入らないものがあったら破壊しつくし、壊してから考えるタイプだ。
そのことは学園内外に知れ渡っており、それゆえ彼女の元にはあまり人が寄り付かない。
強いて言えばハスミやマシロなどの委員会の友人や物怖じしない後輩は声を掛けることがある。
しかし、背後から聞こえてくる足音は聞き慣れない上に軽すぎるので知り合いではないだろう。
(誰だ?)
想像するだけでは分らない。
そう判断したツルギはクルッとその場で背後を振り返る。
「はぁ……はぁ……んッ……おねーちゃん、はい! ばんそーこー!」
「は?」
ツルギが後ろを向くと足音の主はもう既にツルギの近くまで駆け寄ってきており、乱れた息を整えると左手に持っていた絆創膏をツルギに向けて下側から突き出した。
「……」
ツルギは絆創膏へ視線を向ける。
それは普通のモノよりも一回り小さく、
そんな絆創膏から突き出す小さな手、細い腕、灰色の制服と順に視線を流していき、最終的に顔を確認する。
まず目に留まったのは碧色のヘイロー。
次に新雪を彷彿させる綺麗な白髪。前髪を分厚くまっすぐに切り揃え、サイドの髪も切り揃えた……姫カットと呼ばれる髪型をしており、腰まで伸ばしている。
その次は瞳。長めの前髪から覗く両眼はヘイローと同じ色であり、無垢な光が宿っている。
そして最後に全身を見る。
顔立ちはかなり幼く、身長も100㎝あるかないか程でとても小さい。
(この制服は……プリスクールの子供か)
トリニティ内には未就学児が通うプリスクールがある。
ツルギはあまり接点がないので忘れていたが、自分の前にいる
「……」
プリスクールのことを思い出しつつ少女と絆創膏を見つめるツルギ。久しぶりに正実の生徒以外、しかも幼児に声を掛けられて少々面食らっているのである。
「おねーちゃんのここ、けがしてるよ! だから、はい!」
固まってしまったツルギに対し、ロリモブは自身の餅のようなぷっくらとした右の頬をぷにぷにっと二回ほど突きながらズイッと更に前へ絆創膏を突き出す。
「……ぁ」
ロリモブの指摘を受けて己の右頬に手を触れるとぬるっとした感触を覚え、頬から手を放して見ると中指に血が付着していた。
任務中に切っていたのか、などとツルギが思いつつ指を見つめていると、痺れを切らしたロリモブが声を張り上げた。
「むぅッ……おねーちゃん、しゃがんで!」
「え?」
「しゃがんで!!」
「あ、あぁ……」
不満顔のロリモブの愛らしくも迫力のある声に押し負けたツルギは戸惑いつつも素直にその場にしゃがみ込む。
ツルギの赤眼とロリモブの碧眼の視線が交わる。
(綺麗な目をしているな)
そんなことをツルギが思っているうちに、ロリモブはたどたどしい手つきで包装を解くと、小さな両手でツルギの頬の切り傷へ絆創膏をペタッと貼ってしまった。
「できたぁ! えへへ♪」
手当てを無事に終えたロリモブは先程までの不満顔から一転してご満悦の笑顔を浮かべる。
「……」
可愛い笑顔だなと思いながらツルギは自分の頬に貼られた絆創膏を指で撫でる。
「けひひッ。お前、名前は?」
「○○!」
ツルギはいつも通りの怖い笑みを浮かべながら名前を問うと、ロリモブは元気良く自分の名前を教える。
ロリモブはツルギの笑みを見ても恐怖の感情を抱かないようで、ツルギの前で変わらずにニコニコと太陽のような笑顔を浮かべている。
「良い名前だ。コレ、ありがとうな、○○」
絆創膏を指差しながらツルギは素直にお礼の言葉をロリモブへ送る。
ツルギはキヴォトス随一の回復力の持ち主なので絆創膏とは無縁である。
この程度の切り傷ならば十数分後には傷跡が残ることなく完治しているだろう。
しかし、だからと言ってロリモブの純粋な好意を無下にするのはよくない。
自分に与えられた純粋な幼子の善意に隠された意図などはないのだ。なので、ここは素直に受け取っておき、感謝するべきだとツルギは判断したのだった。
「○○、ココアとミルクティー、どっちが好きだ?」
「え? えっと……ココア!」
「分かった……ほら、絆創膏の礼だ。受け取れ」
質問の答えを聞きツルギが制服のスカートのポケットから取り出した缶のココアをロリモブへ差し出す。
これはツルギが任務後、委員会室でハスミに報告しながら飲もうと学園へ戻る直前に自販機で買った普通の缶飲料である。
「わーいッ!」
ロリモブは喜びの声を上げてココアを受け取った。
プリスクールの幼児たちも高貴な家系の者たちが多いので自販機の飲み物は口に合わないのではないか。
ツルギは一瞬そう考えたが、嬉しそうに両手で缶を握り締めるロリモブの姿を見て取り越し苦労だったかと口角を緩めた。
「さて、と……じゃあな」
ツルギはしゃがむのを止めて立ち上がると、別れの挨拶を言いながら踵を返して歩き出し……。
「ぁ……おねーちゃん……これ、かたい……あけられない……」
「……」
「あけてほしい……だめ?」
たのだが、二歩進んだ後、ロリモブがトテトテと駆け足で距離を詰めるとツルギのスカートを掴み、悲し気な声で自分の代わりに缶を開けてほしいと上目遣いで訴えてきたのだった。
―――
――
―
ツルギとロリモブの出会いから十数分後。
「——はぁッ……はぁッ……」
正義実現委員会の黒い制服とペレ―帽を身に纏った黒髪姫カットの少女——ロリモブの姉が息を切らせながら学園内を駆けていた。
「ッ……ふぅ……もぅッ、〇〇ってば、どこにいるのよ……」
正実モブはトリニティ・スクエアの大きな噴水の前で一旦足を止め、額を伝う汗を拭いながら焦り混じりの呟きを漏らす。
彼女が学園中を走り回っているのは妹のロリモブがプリスクールから脱走したから。
教員曰く、お昼寝タイムに入り子供たちを寝かしつけたかと思い三分ほど目を離した隙に逃げ出してしまったとのこと。
そんな理由から、教員から緊急連絡を受けた正実モブは昼食を投げ出し、大慌てで探しに出たというワケである。
「次は……部室会館の方を見てみようかな」
一息ついて少し落ち着いた正実モブは次の探索場所を定める。
そして、部室会館へ続く道を駆けていき会館裏の小さな庭園へ足を踏み入れた、その時。
『——おおきくなったら、わたしもせいぎじっこーいーんにはいりたい!』
探し人の聞き慣れた無邪気な明るい声が正実モブの鼓膜を震わせた。
「○○ッ……ん? えッ⁉」
声を耳にした正実モブは足を止めると、表情を明るくしながら妹の名前を口にして声が聞こえた方向へ視線を向け、驚愕の声を上げる。
『きひひッ。まぁ、止めはしない。夢を持つことはいいことだからな……だが、今すぐに決める必要はない』
『?』
『○○はまだ幼い。他にもいろいろ見て、他の組織のことも知るべきだ。その後にウチへの興味が薄れていなかったら、その時は入ればいい』
『んー? わかったぁ!』
正実モブの視線の先には確かに探していたロリモブがいた。
ただ、いたのはロリモブだけではなかったのだ。
正実モブが驚きの声を上げたのは妹の同伴者がよく知っている人だったから。
数十メートル離れた先にある
「~~ッ⁉⁉」
危ない目に遭っていないかと思っていたら、キヴォトス内で一、二位を争うくらい安全な場所改め人の膝の上にいた妹。
この文言を聞けばホッと胸を撫で下ろせるだろう。
しかし、正実モブにとっては自分が所属する組織のトップに身内が迷惑をかけしまったかもしれないという別の心配に代わってしまい、思わず声にならない悲鳴を上げてしまった。
「○○~~ッッ!!?」
正実モブはガゼボに向かって駆け出した。
それはもう全力で、今日一どころか十五の半生の中で一番の速度を出して妹の名前を叫びながら二人の元へ駆け寄っていく。
「あ! ねぇねだ!」
「ん?」
艶やかな黒髪を靡かせドタドタドタッと勢い良く駆けて来た姉の呼び声と足音にロリモブが反応し、ツルギの膝の上で手を振って呼び掛けに答える。
ロリモブに釣られてツルギが視線を向けたのと同時に正実モブがガゼボへ到着した。
「ねぇね!」
「つ、ツルギ委員長ッ、すみませんッ! 私の妹がご迷惑をッ!!?」
姉と会えて嬉しそうなロリモブに対し、正実モブの方は謝罪をすると共にツルギに向けて顔面蒼白で勢い良く頭を下げる。
「ねぇね……?」
突然の姉の行動に戸惑うロリモブ。
そんな彼女の頭を撫でながらツルギは口を開く。
「落ち着け、□□。謝罪はいらない。顔を上げろ」
「は、はい……え、私の名前……」
「私は委員長だ。正実のメンバー全員の名前はしっかり覚えている」
恐る恐る頭を上げた正実モブの漏らした呟きに対し、ツルギは何を不思議がるといった声色で正実モブの名前を言えた理由を答える。
「○○は別に迷惑をかけていない。むしろ、私はこの子に世話を焼いてもらったんだ」
ツルギはそう言ってロリモブを撫でる手とは逆の手で右頬の絆創膏を指差し、話を続ける。
「○○から聞いた。□□は他人に優しくあれと教えているらしいな。良いことだ。お前はしっかりした姉をしているんだな」
正実モブが来るまでにロリモブから聞いたことを上げると、ツルギはいつもの悪魔のようなものよりも少し普通寄りの笑みを浮かべて彼女を褒めた。
「い、委員長……ぐすッ……あ、ありがとうございます!」
ツルギからの賛辞を聞き、正実モブは目尻に涙を浮かべながら感謝の言葉を述べる。
実は正実モブはとある事件に巻き込まれた際にツルギによって助けられたことで彼女に憧れを抱き、少しでも近づきたいと思い正義実現委員会に入会したのである。
しかし、今は下っ端ゆえにツルギと会話する機会はなかなか巡ってこない。
そんな中、妹を交えてとは言え会話をすることができ、しかもツルギから褒められるというサプライズも受けた。
自然に涙が出るのも当然である。
「それじゃあ……」
保護者もきて、言うことも言い終わり、別れ時だと判断したツルギは膝の上からロリモブを抱えて下ろして自分も立ち上がる。
「私はハスミへの報告があるから戻る」
ツルギはそう言うとロリモブから飲み終わったココアの空き缶を回収すると、それを片手で軽く握り潰して小さくしてポケットに仕舞い込む。
「あ、はい! ご苦労様です……あ、○○! ツルギ委員長にお別れの挨拶を言おうね」
正実モブは労いの言葉を送った後、自分の元までやって来た妹をツルギの方へ向かせて挨拶を促す。
「うん! バイバイ、おねーちゃん! ココア、ありがとう!」
「けひひッ。またな。歯磨きはしっかりしろよ」
独特な笑みを漏らしながら挨拶を交わしたツルギは歩いてその場を後にし、いつも通りの猫背でのそのそと委員会室へ向かっていくのだった。
【登場人物】
➀剣先ツルギ
・正義実現委員会の委員長
・戦闘のやり方や笑い声や笑顔が怖いが、トリニティ総合学園の中でも屈指の常識人
・上記より、このことは疑わない子供たちには分かるようで意外と小さい子たちからは慕われやすく、後輩も懐きやすい
・後日、プリスクールにモモフレンズ柄の絆創膏を大量に寄付してハスミにちょっと叱られる
➁ロリモブ
・この作品のオリキャラ(ネームレス)
・トリニレィ総合学園内に設けられたプリスクールに通う幼女
・白髪の姫カットのロングで、少し長めの前髪の中から綺麗な碧い瞳が覗いている愛らしい女の子
・ヘイローは瞳の色と同じ碧色のシンプルな環状
・正義モブの2Pカラー(黒髪⇒白髪、赤い瞳&ヘイロー⇒碧色の瞳&ヘイロー)
・容姿は母親似(ちなみに母親はとある犯罪者によってロリモブの目の前で殺された)
・今回は友達に唆されて一緒に抜け出したが、普段は言いつけを守る優しい良い子
・プリスクールを抜け出した先でたまたま見つけたツルギが頬を切っていたのを見つけたため、普段から姉に持たされてポケットに仕舞っていた絆創膏を渡して貼ってあげた
・今回の出会いでツルギのことが大好きになった
・十年ほど後に正実の委員長になっている……のかもしれない
➂正実モブ
・ロリモブの姉、年齢はかなり離れているが仲は良好
・正義実現委員に所属している生徒の一人
・見た目は普通の正実モブと同じ
・ツルギに救われ、彼女に憧れを抱いている
・妹もツルギ推しになってくれて嬉しい
⓪阿慈谷ヒフミ
・本作未登場
・ツルギの頬に貼られたペロロ柄の絆創膏を偶然見て「ツルギ先輩もペロロ様推しなんですね!」とツルギへの好感度を勝手に上げた