聖剣の担い手   作:izuki

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第三節 補習授業

 補習授業部 仮部室

 

 あの後2人を先生が引き取り、補習授業部の4人と先生の5名は正義実現委員会の部室棟から補習授業部の教室に場所を移してお互いの簡単な自己紹介と補習授業部の説明が行われた。

 「えっと、そういうことなので……短い間ですが、よろしくお願いします」

 『よろしくね』

 「…………」

 「シュコー、シュコー」

 「ふふ♡」

 なかなか個性の強いメンバーがそろったなあ、と先生は思った。

 「うん、理解した。3回のミッションのうち、一度でもいいから全員で成功を収める。そのためにここ毎日集まって訓練を重ねる……それほど難しい任務じゃない」

 「に、任務…」

 「この集まりはつまり、各自のリタイアを防ぐための措置……私としては特にサボタージュする気もない」

 「そ、そうですね、頑張りましょう!えっと、アズサちゃん転校してからあまり時間も経ってないんですよね?まだこの学園になれてなかったせいもあるでしょうし、みんなで頑張ればなんとかなると思います!」

 言い方こそ癖があるが、思いのほか積極的にやる気を示す示すアズサにヒフミはこれならどうにかなるかもしれないと気合を入れる。

 そんななか、ハナコはヒフミがいった転校生という言葉に反応する。

 「あら?白洲さんはこちらに転校されてきたのですか?トリニティに転校なんて珍しいですね?」

 「……」

 「あ、書類上はそう書いてあって……も、もしかして私、余計なことを?」

 「いや、別に隠していることじゃないから気にしないで良い。れっきとした事実だ」

 ハナコの問いに黙り込むアズサにヒフミは言ってはいけないことだったかと心配するが、特に問題はないとアズサは言う。

 「なるほど……では私もアズサちゃんって呼んでいいですか?」

 「?……別にいいけど?」

 「では、アズサちゃん、ヒフミちゃん、コハルちゃん。うふふ、なんだかいい響きですね。私たちはこれから補習授業部の仲間ということで」

 「………………」

 ハナコたちが仲良くなっていくのに対して、少し離れたところにいるコハルは人を殺せそうなほどに鋭い目つきで4人を睨みつけていた。

 「あら、そんな憎悪に満ちた目で、どうしたんですかコハルちゃん?」

 「言っておくけど、私は認めないから!わ、私は、正義実現委員会のエリートだし!」

 声を荒げてそう言うコハル。

 同じ補習授業部だということが本当に気に入らないようだ。

 「こんな部活さっさと抜けてやるんだからっ!あんまり馴れ馴れしくしないでくれる!?」

 「……あんまり、そうやって拒絶するものじゃないわよ。コハル」

 「うるっ!……え、……っあ!れ、レナ様!?」

 突然、この場にいないはずの人から言葉が掛けられてコハルは一瞬戸惑い、すぐに声の聞こえた方へ振り向くとそこには自身の憧れであり尊敬している先輩であるレナがいた。

 「お久しぶりです、先生。コハルとハナコも元気そうね」

 『久しぶりだね』

 「お久しぶりです、レナさん。どうしてこちらに?」

 「補習授業部が始まるというのに、あなたが捕まったと聞いたから迎えに行ったらハスミからもう先生が引き取ったと聞いてね、折角だし顔をだしておこうかと思ってね」

 気軽に話すハナコとレナに他の4人はどういう関係なのだろうかと疑問に思うが、今はとりあえず聞かないでおく。

 話し終わるとレナはコハルの方に向き直る。

 「それよりもコハル。さっきの発言はいただけないわね。人と人との繋がりというのは大切なのだから蔑ろにしないようにしなさい。一時的とはいえ同じ部の仲間なのだから」

 「は、はい……」

 「大丈夫、あなたなら仲良くなれるわよ」

 コハルの頭を優しくポンポンと撫でる。

 憧れの先輩に撫でられているということに顔を真っ赤にする。

 頭と背中の羽がパタパタと少し動いている。

 「それじゃあ、そろそろ行くわ」

 『もう行くの?』

 「ええ、これでも多忙な身ですので。……それじゃあ、頑張ってねハナコ、コハル。………あなたもね」

 「…………」

 最後にハナコとコハル、それとアズサに少し声をかけて帰っていった。

 『それじゃあ、授業を始めようか』

 かくして、補習授業部は幕を開けた。

 揃って机に向かい試験勉強をする彼女達。

 補習授業ということで苦戦するかと思われたが先生が見ている限り順調そうに見えた。

 ヒフミはペロロ様のライブなどでテストをサボっていたせいで成績が悪いだけで、頭が悪いとか勉強ができないとかそういうわけではないため特に苦戦せず。

 ハナコも特に問題なさそうで、むしろさっきからわからないところを聞いてくるアズサに教える側になっている。

 そのアズサもハナコの説明を聞いて理解して言っているようだ。

 一方で、コハルだが手が止まっていることが多いが、先ほどレナに応援されたからか頑張っているようだ。

 『順調そうだね』

 「はい!ハナコちゃんが何だかとってもすごっくて……!それにアズサちゃんも学習意欲たっぷりです!コハルちゃんもエリートとのことなので」

 これならば、本当に合格できるかもしれない。と、ヒフミは希望を胸に抱く。

 「……実はすっごく心配してたんです……ナギサ様から「一次試験を突破できなかったのなら夏休み中に合宿を行ってほしい」と言われていまして……」

 『合宿?』

 「はい、そうなんです……それに、もし三次試験まで落ちてしまったら……あうう……」

 『何か、マズイことに…?』

 「な、なんでもありません……!心配は杞憂で終わりそうですし、暗い話はやめましょう!とりあえず試験はどうにかなりそうです!」

 最後に言っていたことに先生は気になったが、あえて聞かずに手が止まっているコハルに教えに行くことにした。

 それから数日、放課後に教室に集まり毎日数時間先生が付きっきりで勉強を教えた。

 たまに仕事が忙しい中レナが手土産片手にやってきてはコハルやアズサに勉強を教えるということもあった。

 そして、試験当日。

「えっと、100点満点で60点以上取れれば合格だそうです!高得点は取れなくても、とりあえずそのラインだけ越えられれば大丈夫です。それに内容も簡単でしたし……では、結果発表といきましょう!」

『結果を発表するね。まずはヒフミ、73点。合格』

「あっ、ありがとうございます!なんだか無難な点数ですが、よかったです!では次に……」

 ヒフミの言葉に続いて先生は解答用紙をめくり……そして、なんとも言い難い表情を経てようやく口を開いた。

『アズサ……32点。……不合格』

「……はいぃっ!?」

「ちっ、紙一重だったか」

「ま、待ってください!紙一重って点数じゃないですよ!?結構たりてないですよ!?」

 ヒフミの叫び声が教室に響く中、先生は次々と採点結果の点数を発表していく。

『コハル……15点。不合格だね』

「!?」

「コハルちゃんんんんん!?ち、力を隠してたんじゃないんですか!?今回はちゃんと1年生用の試験を受けたんですよね!?ま、まさかまた2年生用の試験を……いえその点数は3年生用の試験を受けたんですか!?」

「やっ、その……!か、かなり難しかったし……」

「すっごく簡単でしたよ!?小テストみたいなレベルでしたよ!?」

「あらあら……」

「うぅ……合格したのは私とハナコちゃんだけ、ということでしょうか……となるとまた次の二次試験を受けないと……」

 思いっきり叫び続けたせいか、肩で息をするヒフミはとりあえず落ちたのは2人かと次回以降の試験勉強をどう行うか考え始めたのだが……

『えっと……ハナコ……2点。……不合格……』

「えっ!?2点!?!?!?!?」

 思わず先生とハナコを二度見してヒフミはついに爆発した。

「2点、2点ですか!?20点ではなく!?いえ、20点でもダメなんですけど……!むしろ何が正解だったんですか!?と言いますか待ってください、ハナコちゃんものすごく勉強ができる感じでしたよね!?」

「まあ、そういう雰囲気があるみたいですね。まあ、成績は別ですけど」

「雰囲気!?雰囲気だけだったんですか!?成績とは別ってどういうことなんですかぁ!?」

 アズサとコハルの赤点という自身の予想を超える事態が連続で起きたことからヒフミは若干オーバーヒートを起こしつつあった。

 そしてハナコのなんと2点という試験結果。

 これによりヒフミは完全にオーバーヒートしてしまいショートした。

「あうぅ……」

 意識が遠くなるのを感じて、ヒフミはそのまま意識を手放した。

 『ヒフミ、しっかり!』

 

 第一次試験結果

 

ハナコ───2点、不合格

 

コハル───15点、不合格

 

アズサ───32点、不合格

 

ヒフミ───72点、合格

 

 補習授業部、合宿決定。

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