聖剣の担い手   作:izuki

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※物語の時系列的には連邦生徒会長がいなくなる前からです。


前日譚
プロローグ


 

輝く太陽の日の光に照らされた草原。

 

そこに岩に突き刺さった一本の剣がある。

 

それは人々の願いによって作られた星の聖剣。

 

剣は自身の(あるじ)が現れるのを待っている。

 

そこに1人の少女が現れた。

 

その少女は剣の前に立ち柄に手をかけようとする。

 

「それを手に取る前にきちんとよく考えたほうがいい」

 

後ろから声をかけられる。

 

少女が振り向くとそこには白いフード付きのローブを着た人物がいた。

 

「それを手にしたら最後、君は人間ではなくなるよ」

 

そうだ、この剣をとれば彼女は真っ当な人間ではなくなってしまう。

 

聖剣の担い手として、守護者として険しい戦いに身を投じることになるだろう。

 

その戦いに終わりはなく。

 

そこに人としての意思はない。

 

「それだけじゃない、惨たらしい最後を迎えるかもしれない」

 

だからやめておけ、とその人物は言う。

 

だが

 

「それでも――――」

 

 

 

…………………………

 

 

 

トリニティ総合学園

 

 学園都市キヴォトスにおける三大校の一角にして、そのゲヘナ学園と双璧を為すマンモス校。

 貴族制の雰囲気が残ったお嬢様学校であり名家出身の生徒も少なくない。

 領地内には礼拝堂や古書館、音楽堂といった施設を有し、校舎は宮殿の様な佇まいとなっている。 

 た。

 そしてこの学園の頂点に君臨するのが『ティーパーティー』

 トリニティ総合学園の生徒会。

 かつて無数の学園が紛争を繰り広げていたトリニティ自治区において、調停の場として存在したのが「ティーパーティー」である。

 やがて各学園は統合へと動き、その中でも主要な3つの学園であった「パテル」「フィリウス」「サンクトゥス」は、学園の三大派閥へと姿を変えた。

 現在は各派閥から選出された代表者である3名の生徒会長が一定期間ごとに最高意思決定者となる「ホスト」の役回りを交代して運営している。

 そして、ティーパーティーに設けられたもう一つの役職”ルーラー”

 ティーパーティー内の政争を防ぎ、調和を取るために設けられその役割からルーラーはどこの派閥にも所属しない生徒の中からティーパーティーホスト三人の全会一致によって選出され、完全中立的な立場を求められる。

 またティーパーティーが権力を振りかざすことが無いように会議によって出た意見を公正に判断する裁定者でもある。

 

 そのティーパーティーのテラスへと続く廊下を1人の少女が進んでいく。

 綺麗な白金の髪に真っ白な肌、エメラルドの様な緑色の瞳。

 この学園には少し似つかわしくない軍服の様な制服を着た少女。

 彼女の名は"(くれない)レナ"

 ティーパーティーの一員でありルーラーの役職を受け持っている。

「レ〜〜ナ〜〜ちゃん!」

「っわ」

 今後ろから勢いよく抱きついてきたのは"聖園(みその)ミカ"

 トリニティ総合学園の三人いる生徒会長の一人。

 トリニティを形成する三大分派の一つ「パテル分派」の首長にして、生徒会であるティーパーティーのメンバー。

 天真爛漫な明るい性格で、自ら公言して憚らない程のワガママで気分屋。

 そしてレナの幼馴染。

「もう、危ないからいきなり抱きついてこないって言ってるでしょ」

「えへへ、ごめんなさい☆」

「まったくもう」

 まったく反省の色が見えないがレナもそこまで気にしてはいないようだ。

「それにしても珍しいね、レナちゃんがまだここにいるなんて」

 なぜミカがそんなことを言うかというと、普段レナはティーパーティーでの定例会議の時は誰よりも早くテラスに着いている。

 だが今は集合時間3分前、レナがまだ着いていないのは珍しいのだ。

「さっきまで大聖堂で起きてた暴動を鎮圧に行ってたからね」

「またシスターフッドに対しての不満?」

「ええ」

 正義実現委員会の後輩からそんな緊急連絡が舞い込んできたのは昼過ぎだった。

 シスターフッドに対して不信を募らせた生徒達による大聖堂襲撃が起き対処したいのだが、部員のほとんどが定期のパトロールに向かっていて回せる人員が少ないから手伝って欲しいと。

「わざわざレナちゃんが行かなくてもよかったんじゃない?」

「後輩からの頼みだったしそれにああいうのは放っておけないから」

「ふーーん」

「それより」

 レナはミカの顔をじっと見て。

「ミカこそなんでまだここに居るの?」

「え、えっとぉ……」

 ミカはレナから目をそらす。

「まさか、”時間を確認していなかった”なんてことないよね?」

「……そ、それよりも!ほら急がないと遅れちゃうよ!」

 指摘されたことが図星だったのかミカは急に話題をそらす。

「ふふ、はいはいそれじゃあ行きましょうか”お姫様(princess)”」

 

 これは一人の騎士とそのお姫様の物語。

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