ポケモンが現実のあべこべ世界に来たのでやりたい様にやってみる   作:八雲ネム

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第1話 散策

 準備をして、外に出たからと言って最寄りの市役所へ行かず、自転車を使って近くの公園などを散策しながらどんなポケモンがいるのかを確認した。

 突如として現れたポケモンに対して、省庁を始めとする各地方自治体は対処に気を取られて混乱状態だと思うので今行っても邪魔にしかならないし、そもそもポケモンが現れた当日に行っても12歳のクソガキがどうこうできる事はないだろうしね。

 ポケモン図鑑などの情報提供をするにしても、役所で働いている人達の方針が決まらないと有効活用されない情報の塊でしかない為、俺としても提供の機会を探るつもりで散策すると大体の事が分かった。

 

 まず、自宅として使っている家の周辺数キロに限定されるがゲームにおける序盤のポケモンを中心に出現している様で、レベルもそこまで高くない事から今まで一緒に暮らしてきたゴーストタイプのポケモン、ゲンガー達なら難なく対処可能だろう。

 次に、そんな序盤のポケモン達でさえも普通の人達からすれば脅威でしかなく、たいあたりが何かで大破した車を何度か見かけたし、電車も遅延しているようだ。

 その為、そろそろ切り上げて自宅に戻ろうとした時に手続きの保証人として色々と手を尽くしてくれたお姉さんから電話が来た。

 

『優くん、大丈夫!?』

「あーはい、こっちは大丈夫ですよ」

『優くんの家に行ったら居なかったから、電話したんだけど今何処にいるの!?』

「あーすんません。少し散策してました」

『そんな事して怪我したらどうするのよ!? すぐに戻ってきて!』

「畏まり〜」

 

 ポケモンを知らない人からすれば、今の街中はあまりにも危険な場所になっているのでヒステリック気味にそう言ってくるのも理解できる為、散策を切り上げて自宅に戻ると保証人のお姉さんであるカンナさんが待っていた。

 

「よ、よかったぁ〜! 怪我はない!? 何処かで転んだりしてない!?」

「この通り、ピンピンしてますよ。彼らも居てくれた事ですし」

「確かに優くんはずっとおかしな生き物と一緒に居たわね。だけどこんな状況なんだから連絡の1つ、取って頂戴」

「んえー」

「拒否らない!」

 

 どうやら、かなり心配した様で俺の姿を見るなりベタベタと触りながら怪我の有無などを確認してからそんな事を言ってきたので、嫌な顔をしながら拒否反応を示すと彼女からツッコミが入った。

 いやまぁ、オヤブンになったポケモンなんかを見れば危険な生き物なのは確かだし、ゲンガー達もポケモンの皮を剥がせば幽霊や妖怪の類いになるので霊能力者からすれば、俺も中々にヤバい状況に置かれていると言っても過言ではない。

 ただ、命を奪おうと思えばいつでも奪える環境にいながら未だに生きている俺からすれば、己の欲望で俺に危害を加えようとする人間よりも彼らの方が信頼と信用ができるのは確かだ。

 

 その為、渋々ながら連絡を入れる様に頷くとカンナさんは感極まった表情で俺を抱きしめてきたので、顔面に当たる柔らかくて大きい双丘の感触を堪能しながらおっほ♡相変わらずデッカいね♡と内心で思いつつ、本題に話を移した。

 

「それで用件はなんですか?」

「そうそう。優くんだったらこの状況を何とかできるんじゃないかな、と思って来たのよ」

「いや、12歳のクソガキに頼んで良い事じゃないでしょ、それ」

「役所の方はてんやわんやな状態ね。何しろ、今まで見た事のない動物ばかりだもの」

「でしょうねぇ」

 

 実際、ポケモンを知らなければよく分からん動物が火を吐いたり、雷や水を出したりするんだから混乱ぐらいはするだろうなと想像しながら、彼女の頼みもあって自分ができる事を考えた。

 

「まー、俺ができる事なんて情報提供とブリーダーとしてのアドバイスぐらいですかねー」

「情報、持ってるの?」

「なんでか知らないけど、そう言った情報が入った端末(モノ)があったんですよ。ホラこれ」

 

 一応、記憶媒体としてのポケモン図鑑は確かなのだが野外活動全般で実際に使えるかどうかが未知数だったので、散策時に小さい肩掛けカバンの中に入れて野生のポケモンから接触してきた時に使ったのだが、アニメで登場したポケモン図鑑のように使えた。

 なので、この混乱している時期に公式でポケモンと認定された彼らの情報が入っているこのポケモン図鑑は、同じ大きさの貴金属としての金以上の価格がついてもおかしくはないので、そう簡単に人前に出せないものの使えない物を持たされ続けるのも癪だったので普通に使った。

 そして、そんな貴重な物を見せたという事はそれだけカンナさんを信用している事を暗に伝えているのだが、当の本人はポケモン図鑑を一通り操作してからこう言ってきた。

 

「すごいわね。こんなのが唐突に現れたの?」

「はい。いくら、彼らの事を知っていたとしても12歳の子供が事前情報なしにそこまで詳細に作れる筈がありません。あったとしても、組織ぐるみで作成した、と言った方がまだ信じられます」

「でしょうね。私も優くんじゃなかったら子供のおもちゃ程度に考えていたわ」

「でしょうね。なので今回の俺が持っている情報に関してはカンナさんが決めてください。俺は俺で好きな様に動きますので」

 

 大人の世界に対して、今の俺には年齢的にも社会的にも力がないので大人であるカンナさんを頼るしかないが、ある意味で彼女を介して触れる事ができるからそこまで気にしてはいない。

 気にする必要があるのは、ポケモン達が暴走して今の人間社会を急激に崩壊させる流れになる事であり、ポケモンに詳しい第一人者になってでも防がないといけないと思っている。

 ネックなのは、今世における霊視などができる体質であり、下手に生き霊だったりなんだったりを飛ばされるのが嫌だったから、今まで男なのにひっそりと暮らしていた。

 

 表舞台に立ち、急激な社会変動の騎手になればその反動で既得権益を持つ人達から恨まれて呪いやら何やらを飛ばされても困るし、仮に飛ばされてもそれを祓ってくれる人が知り合いにいないのも問題だ。

 霊視は霊を視ると言う文字が使われている為、寺生まれのTさんの様な霊に対処できる力と書く霊力はある程度、あるにしても平均レベルよりもやや低いのでやれる事に限界がある。

 ゲンガー達もいるとは言え、限界がある以上は関わるのを避ける意味で彼らと共に一人暮らしをしているのに、色々と目立つ表舞台に出る事になれば多勢に無勢で近い内に限界が来ると思われるから困った物ではある。

 

「分かったわ。少し落ち着いてから私の上司に相談してみるわ。その間に何かあればすぐに私に連絡して頂戴。分かったわね?」

「勿論です。カンナさんは歳の離れた姉みたいなものですから、困った時は頼ります」

「っ!」

 

 そんな背景から、当面は様子見で機会があれば報告すると言う方針になったので彼女にそう答えると頬を赤らめて硬直してしまった。

 

「ませた事言わない!」

「ま、ませてますかね?」

「ませてるわよ!」

 

 その為、首を傾げているとカンナさんは急に俺の頭をグリグリと撫で回しながらそう言ってきたので少し戸惑ったのだった。




カンナさんは、ゲームの方でカントー地方の四天王を務めるカンナさんと良く似た人物です。
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