ポケモンが現実のあべこべ世界に来たのでやりたい様にやってみる 作:八雲ネム
「これでよしっと」
〈庭先か?〉
〈モザイク処理されててはっきり分かんないけどそうっぽい〉
〈なぁんでモザイク処理しちゃうんですかー!?〉
〈↑オメェみたいな特定厨が居るからだよ!〉
〈とととと、特定厨ちゃうわ!〉
〈ネットリテラシーあるのね〉
〈てか、庭に居るの何?あれも人形?〉
〈ほーん、最近の人形ってすごいなー〉
今の俺が住んでいる家は、戸建ての事故物件なので大きめの庭がある事から軽めのポケモンバトルは可能だ。本格的なのは広めの公園や競技場じゃないと無理だが。
その為、バトルの規模を相対的に小さくできるゲンガーとヨノワールにら先に庭先に出てもらって待機してもらっていたのだが、彼らを見た視聴者さん達からは困惑の声が上がった。
「えっと、彼らはポケモンって言う生物です。特定外来生物って名称で呼ばれていますが、いずれはポケモンって呼称が公式になれば良いと思っています」
〈本気で言ってるの?〉
〈アイツらと同類かよ〉
〈折角のショタかと思ったらアタオカだったかー〉
〈全裸民のワイ、ショックで寝込んだ模様〉
〈いやないわー〉
「そう言うと思ったので彼らに実演してもらう事にします。始めて!」
〈はっ?〉
〈オイオイオイ〉
〈始めるって何、を〉
〈う、動いてるじゃん〉
〈妙にリアルな動きをするもんだな(震え声)〉
〈しかも、音まで聞こえてくるよ〉
〈あんなんがゴロゴロ居るんでしょ?怖いわー〉
そういった声が来ると思っていたので、小規模なバトルであろうとも圧巻なバトルを視聴者に理解してもらう為、ゲンガー達に頼んで始めてもらうと小規模なバトルながら圧巻の動きをしてくれた。
俺はポケモンについてある程度、知っている上に彼らと日常生活を送っていたから実際に存在している事を知っているが、ポケモンについて全くと言って良いほどに知らない彼女達からすれば画面越しなのも相待ってCGの類いだと見える様である。
それも当然で、他人からすればよく分からんバケモンがバトっているのだから、目の前の非現実的な光景をCGとかの創作として処理したいのだろうし、俺も同じ状況に陥ったら“CG乙”とコメントしていただろうな。
そんな訳で10分ほど、ゲンガーとヨノワールのバトルを見せてから話を再開した。
「えっと、いきなりの事で理解し切れていないと思いますがCGの類いではないです。彼らは歴とした生き物であり、僕の家族でもあります。なのでポケモン、今はまだ特定外来生物という分類ですがその相談室的な物を中心に配信していこうかなと思います」
〈何、この………何〉
〈そ、創作の割には上手くできてるじゃないか(震え声)〉
〈理解が追いつかねー〉
〈てか、これってマジもんのマジ?〉
〈少なくともこの子だけでここまでリアリティのあるCGは作れないし、作ったとしてもメリットがなさすぎる〉
〈バレたらバレたで炎上しそうだしね〉
〈そもそもここまでやってネタでした、て方がどうかと思う〉
「はい。なので、この配信をこちらから削除するつもりはありませんのでCGかどうかをとことん検証してください。SNSのマシュマロ等で質問を募集していますし、不定期ですが掲示板等で情報共有できたらなぁと思います」
〈うーん、未だに信じきれてないけど何も知らないよりかはマシかな?〉
〈そうだね。今後、増えていく事は間違いなさそうだし〉
〈できれば増えてほしくないんだがなぁ〉
〈そうかなぁ?〉
〈まー、ないよりかはマシかな〉
〈元の世界に戻ってくれー〉
俺の言葉に、懐疑的なコメントや半信半疑なコメントが大半だったのでそう言ったコメントに否定的な反応は示さず、バトルが終わったのも相待って雑談配信として視聴者との質疑応答に移った。
「疲れた〜」
「お疲れ様」
「今の時代は不思議じゃな。こんな折り畳みができる板で多くの人と繋がれるのじゃから」
「不思議」
初めての配信が終わった後、自室で気が抜けた声で机に突っ伏すと普通の人からは見えない存在達が俺に声を掛けてきた。
今、住んでいる戸建て 2階建ての一軒家が事故物件になったのは購入した家族が一家惨殺された挙句、惨殺した殺人犯は理由が分からないままに居間で自殺した。
建物の築年数は、惨殺された家族が亡くなった時点でそこまで経過していないものの別の理由も相待って、買い手がコロコロと変わって定着しなかった為に俺の手元に来る頃にはかなり割安になっていた。
「てっ、あーそーだ。食材切れそうだったから買い出ししなきゃ」
「じゃあ、いつものお願い」
「甘納豆洗面器一杯食いたし」
「ジュース頂戴ジュース」
その理由とは、怪異や心霊と言った普通であれば目に見えない存在である彼女達がこの家に住み着いていた為であり、この家を購入して住み着いた人達は彼女達が発生させるポルターガイストなどによって長くとも1ヶ月程度で売却したらしい。
俺の場合、霊感体質だった事に加えてゲンガー達もいた事から移り住んだ後で彼女達とお話しと言う名のバトルによって、調子に乗っていた彼女達を分からせる事に成功して現在の様に気軽な会話ができる関係になった。
とは言え、この事はカンナさんに伝えてはいない。
伝えた所で、幽霊や怪異が見えない彼女からは視認できないので信じてもらえないし、信じてもらえても必要に応じて一々説明するのが面倒なので敢えて伝えていない部分もある。
それに、幽霊や怪異が見える事は決していい事ばかりではなく、何もしていないにも関わらず、食った物をその場で吐き出す様な悍ましい物を視認する事もあるので神経が図太くないとやっていけないだろうな。俺の場合は見慣れたせいである程度の耐性は付いたが。
その為、冷蔵庫の中身や缶詰などの日持ちする食材の在庫と彼女達の要望を聞きながら買う物を決めていき、カンナさんと共に買い出しに行こうと思いながらメモに書き出していく。
「にしても、一緒に暮らせるなんて今でも信じられないんだけど」
「そりゃあ、私達とドッタンバッタン大戦争した仲だしねぇ」
「左様。我らとタメを張れる存在と闘い、負けた以上は貴様に従うのが我ら怪異の慣わし」
「そんな貴方から友達になってほしいと言われた以上、一緒にいるのは当然な反応」
「それもそうか」
こうなったのも、母親の死がきっかけで才能が開花した結果なのだが第二の人生で怪異のハーレムを築くとは思ってもいなかった。
しかも、洒落怖スレでも有名で本来なら同居する状況なんであり得ないであろう八尺様の八重さんに姦姦蛇螺の蛇子さん、そして
まぁ、そもそも洒落怖スレに掲載されている内容なんてどこまで本当の内容なのかが分からない以上、封印が解除された時点でその場所にいる理由がなくなってもおかしくはない。
その為、「力ある者同士が惹かれあった結果としてこの家に集結したんだろうな、多分」と言う事で結論付けて彼女達やゲンガー達と穏やかに過ごす事にした。
《???side》
「な、なんでこんな配信が出来たの!?」
優くん、と呼ばれた少年が住んでいる家からそこそこ距離が離れたとある家にて、1人の銀髪の少女がSNSで話題になった配信を見て驚愕の表情を浮かべた。
何しろ、少女も少女でポケモンの事を知っている転生者の1人であり、彼と同じく、ポケモンに関する情報を配信で地道に広めていくつもりだった。
それなのに、一足飛びでポケモンバトルを見せた事に驚きを隠せなかった上、ゲンガーとヨノワールの他に彼が膝の上に乗せていたのはミミッキュで配信中、右下に映っていたのはロトムである事は確定している。
そしてゲンガー達、ポケモンに関しての質疑応答で情報をすらすらと話している事を考えると情報の守秘にかなりの自信があるのか、あるいはそうせざるを得ない状況なのかが分からなかった。
その為、少女は手持ちの相棒に構いながらかなりの長時間を費やして悩み、導きだした結果は彼と会って互いにポケモンを見せ合う事に決めて行動に移すのだった。