「覚悟しないさい、ジュラ!」
「ックゥッ冗談じゃねぇ、こんなとこで終わるわけには…」
パキっと小枝を踏んだ落とした。
その時、甲高い叫びが響いた。
けれど私たちは、呆然と立ち尽くしていることしかできなかった。
「なんだ?」
いつも落ち着いている輝夜でさえ、動揺を隠せないでいる。……その時に気づくべきだった……。
「…………」
みんなも周りをキョロキョロと見渡しているだけだった。
その時、きてしまった……。
天井から奴が、天井の一部が崩れ落ちると共にモンスターが生まれ落ちてきたのだ。
「え?」
っとノインが発した。
それと同時にそのモンスターは、壁を蹴りこちらに迫ってきていた。私たちでさえも反応できずに、懐に入られてしまった。
そして、
スパン。
風を切る音がした。
それと同時、金属音が響く。
ガキン、。
「ノイン!!」
ネーゼがそう叫ぶ。
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一方その頃……。
「ったく、起きたらなんでこんなところにいるんだろう」
とある少年が迷い込んでいた。
バコォン!
と轟音が響いた。
「今の音、あっちだな」
そう気づくと、少年は音の方へ進んでいく。
………そしてたどり着いたのが。
ってあれ、なんだろう?
「覚悟しなさい、ジュラ!」
「ックゥッ冗談じゃねぇ、こんなとこで終わるわけには…」
っと冒頭に戻る。
そして少年は、なんか聞き覚えがあるような……。
ジュラ、ジュラ、ジュラ…もしかしてジュラって!
そう、やっと気づいた、少し前リューさんと深層に迷い込んだ際に、ジャガーノートを生み出した本人だ。
ってことは、少年は察しがつく自分はどこにいて目の前の奴らは誰だと言うことが。
「なら、こんなことしてられない!」
少年は動き出す、目の前で悲劇を生み出さないためにと。
そして時はきた。
天井から、ジャガーノート…厄災が生まれ落ちてきた。
そして厄災は、生まれてすぐ壁を蹴りアストレア・ファミリアの方へ迫って行った。それと同時に少年もアストレア・ファミリアめがけて迫った。レベル5の持てる全てをかけて。
ノインの眼前には、骨身のモンスターが迫ってきているのをただ立ち尽くして見ることしかできなかった。
そして、気づいた…自分は死ぬのだと…頭では理解できないが体理解して身震いを起こしてしまっている。
「ノイン!!」
っとネーゼが叫んだと同時、
ガキン、!
金属音が響く、そこにはモンスターではなく少年が立ち尽くしているのが見えた。
「ノイン!!無事か!」
頭が追いつかない、自分は死ぬのかと思った瞬間目の前に人が現れて、助かったっと言うことだけ。
「う、うん大丈夫みたい、」
「そんな場合か!モンスターはどうした!」
そう輝夜は皆に言う。目の前のことに唖然を取られてしまっていて周りのことに注目してなかった皆は、周りを見渡すと壁にめり込んで陥没しているモンスターの姿があった。
それと同じに、1人でポツン立っていて異様なオーラを纏っている白髪の少年がいることだ。
「みんな無事ですか?」
っと白髪の少年が私たちに言ってくる。
「あ、ああ」
っと輝夜が返事をする。
「お、おい…お前は何もんだ?」
アストレア・ファミリア参謀のライラが警戒心をマックスに問いかける。
そして
「自己紹介が忘れてました。僕はベル・クラネルっていいます!」
ベル?と皆がハテナマークを頭に掲げている。
だが1人冷静に判断している者がいた。
「ベルって言ったけ?あなたは私たちの味方と見ていいの?」
アリーゼだった、アストレア・ファミリアの団長。
普段はおちゃらけているが今は至って真剣だ。
「はい!安心してください!」
そうベルは返答をする。
しかし皆は、警戒を説いていない。
この暗黒期、いい顔して仲間だと言って裏切るやつは五万もいるのだから。
けれどその少年の顔からは、裏などない純粋な表情が見受けられる。
「みんな!彼は…ベルは味方よ!だから警戒を解きなさい」
そうアリーゼが言うと皆が強張った表情が柔くなった。
「なんこか質問いい?ベル!」
「なんでもどうぞ!」
ベルの二つ返事でOKをもらったアリーゼいつもの調子でベルに質問をする。
「まずあなたのレベルと、所属のファミリアを教えてくれない?」
「はい、レベルは5……所属はヘスティアファミリアといいます」
「レベル5?」
と皆がすごく驚愕した顔でベルを見る。
顔はまだ10代前半の顔立ちにあまり逞しくない体、レベル2でも怪しいのに、5だと言うと怪しすぎる。
「そんなことより、団長…ヘスティアファミリアなど聞いたことがあるか?」
「一度も聞いたことがないわね…普通一級冒険者がいるファミリアは自然と噂になる者だわ…」
「だよなぁ?少し怪しすぎるぜ?」
っとアリーゼとライラがベルを怪しむ。
「は、はは…別に信じなくてもいいんですけどこれだけは信じてください」
苦笑を浮かべながらベルは言う。
それに皆は、こくりと頷いた。
「今からは、質問も受け付けません」
そして黙ったまま皆は頭を振った。
「僕のことは、口外しないでください」
「…僕のことを気にせず……みなさんここから逃げてください」
この二つを話すと、1人だけ反発する者が現れた。
「あ、あなたを1人で置いていくなどはできない!死ににいくような者ではないか!」
っとアストレア・ファミリアのエルフ、リューリオンが言う。
「黙れ!青二才…こいつがほんとにレベルが5なのであれば私たちは足手纏いにしかならない!」
「っく、か…輝夜だって放って置けないのだろ?」
っとリューは少し怒気を交えた声で言う。
「そうだが、足手纏いになると言っただろう?」
っと輝夜は正論をぶつけ、理想と現実のぶつかり合いがそこにはあった。
グギャァァア
「みなさん、またきてしまいます…早く逃げてください!」
「っく、みんなベルの言う通り逃げるわ!」
「「おおー!」」
みんなで声を合わせて団結に組む。
「よし!…これで思う存分戦える」
勝ち目が薄い勝負だが、これは夢…死んだとしてもどうせ空想上のことでしかないため大丈夫だと自分の体に教え込む。だが体の震えは止まらない…いくら強くなったとはいえ1人だけで戦うとなるとそれは死を意味すると言うことをベルはその身を持って体験していた…だから震えが止まらない。
ドオォォォン!
ウジウジしてても意味がないとわかったベルは覚悟を決める。
「よし!来い!」
グギャァァア!
厄災は闘いに飢えた戦闘狂のように奇声あげる。
「っく、レベルが上がったはずなのに、」
厄災の爪が飛んだ、以前も経験していた筈だが厄災の生まれた階層は深層、下層とは訳が違うのがわかる。
ゴォーンゴォーン
ルームに、鐘の音が響く、これはベルのスキルの英雄願望だ。
「これしかない」
英雄願望のスキル体力と精神力を対価に必殺技の威力を上げる事が出来るスキル。今までは3分が限界だったのが5分まで増えた。
「これでいくしかないな」
5分だけ、たった5分だけでも稼げればいい。
グギャァァア!
だが現実も虚しく厄災は攻撃をやめない…むしろ悦びを感じているかのようだ。
「クソ!…これじゃあ先にやられる」
厄災の爪が飛んだ時、死を覚悟した一撃。
バコォン
「って、」
勢いで目を閉じていたベルは、自分の身に何もないことを疑問に思い目を開けると…。
「ベル!大丈夫?」
アリーゼさん達がいた。
「な、なんでいるんですか?逃げてくれって言ったじゃないですか?」
「自分より弱い子を置いて行って逃げるわけにはいかないでしょう?」
アリーゼ達の言い分を聞きベルは目を見開いた。
「弱いって僕の方がレベルが高いんですよ?」
「そうかもしれないけど、あなたは私たちより弱い」
「……なんで……」
「事実私たちがいるから今ベルが生きているのでしょう?」
それに対しては、ぐうの音も出ないベルは何もいえない。
「そうですけど…」
そして3分がたった。
「何この光!」
ベルの腕に纏っている腕を見てアリーゼ達は好奇心を隠せないでいる。
「説明してる暇がありません!できればあと2分粘ってください!僕も尽くします」
「急に無理なお願いね……」
「みんな聞いたわね?あと2分よ!…私たちの本気を見せてやりましょう!」
そして団員は、望むところってような顔をしてしている。
「じゃあマリューベルの治療を頼んだわ」
「任されたわ…」
そして僕は、残りのチャージの2分間をマリューさんに治療をしてもらうことになった。
「アリーゼ!そこだ!」
「ライラ、危ない!」
「輝夜、いくわよ!」
僕より強いと言ったのも伊達ではないなと思ったぐらい連携がすごくて、見惚れてしまった。
だがやはり少しずつだが、削られている。
生傷が後を経たない。
「アリーゼェ!」「団長!」
っと皆が叫ぶと、アリーゼは厄災の爪をモロに食らった。
そして腹部の肉が深く抉れている、光景が目の前に広がる。
そして丁度5分。
「みなさん避けてください!」
ベルがそう言うと、皆がアリーゼを抱えながらどく。
「アァルゴウェスタ!」
そう叫ぶと周りが炎に包まれて、厄災の体が崩れていく。
「やった、のか?」
そう皆が疑問を浮かべる。
「そして半身が焼けているベルだけが残っている」
「ベル!」
そう皆がベルの周りに集まると朦朧とした意識で声を掛ける。
「み、みんな、生きていて…よかったです。」
っと放ち、意識が落ちていく。