アルがいなくなってから2年の月日が経った。
アストレア・ファミリアは、皆が全員、昇華を果たしており、等級もAまで上がっていた。
「おめでとう。レベル5よ、アリーゼ。」
皆んなより一足遅れてしまったけれど、やっと昇華を果たすことができた。
これで一級冒険者の仲間入りを果たした、それは…アルと並んだということも意味した。
「やっと」
「?」
「やっと、アルと並べた……」
今まで、目標にしていた自分の憧れと肩を並べることができて、今までの苦労が報われたような気がした。
「よく、頑張ったわ。」
そしてアストレア様が正面から抱きしめてくれた。今まで抱え込んでいた色んなことが漏れ出ていくかのように言葉が漏れた。その間、アストレア様は優しく私を抱きしめてくれていた。
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今のアストレア・ファミリアで一番低いレベルは3だ。
そして一番高いのがレベル5、私と輝夜、そしてリオンが到達している。
アルがいなくなってしまった日以降みんなは、いつも以上にダンジョンへ潜り込み、自分の実力を磨き上げていった。最初こそ、みんなで行動していたけれど…いつの日か、単独行動が多くなっていた。でも、合同遠征とかギルドとかのノルマをこなす時は当然みんなで行くが、それ以外は大抵1人。それ程までに、みんなが強くなっていてた。
「今日は、ダンジョンに行くか」
先日、レベルが上がったが、まだ体が慣れてなくズレが生じている、それを直すためにダンジョンに行く。
「あっ!誰か誘おう」
最近は誘っていなかったが、久しぶりに誰かとダンジョンに潜りたいと思ったので、みんなの集まるリビングへ行く
「誰かー?、今日ダンジョンに行こうと思うんだけど、誰か来ない?」
そうしてリビングに顔を出すと3人だけしかいなかった。
「ううーん、最近ダンジョンに篭りっぱなしだったしいいや」
1人はネーゼ。
「私も、今日はのんびりしたいし……」
2人目は、マリュー。
「今日も、ダンジョンですか……団長は、本当にダンジョンが好きですねぇ」
最後は、輝夜
「ああ、そう……なら1人で行ってくるわー」
予想はしていたものの、1人も来てくれない。とりあえずは当初の目的であるズレを修正しに行く。
「はぁ、なんでこうなったんだろ」
ため息をつくと自然と口から言葉が漏れていた。
今までは、みんなといる事が当たり前だった。だけど突然とパッタリみんなで行動しなくなってしまった。
「もう、ついた」
そうこうしているうちに、ダンジョンの塔に着いてしまっていた。
「あ、今日もいるぜ?」
「なぁ、最近ずっといるよな」
「もうダンジョン狂じゃねぇか」
周りから聞こえる冷やかし。最近はずっとこのような会話が聞こえる。全部聞こえてるのに、本人たちはヒソヒソと話しているが……上級冒険者の聴覚を舐めないでほしい。
「もぉ、まぁ…いいわ」
そんな事でウジウジしてても仕方がないので、気にせずダンジョンに潜る。
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「はぁ!」
とりあえず中層に行った。
「んんー、まだ慣れないわね」
自分の階層にいる、モンスターを粗方片付けたがまだ慣れる様子のないので、アリーゼはあまり時間をかけたくないなどの理由で下層の方へ行く事にした。
「にしても、変ね」
今自分がいるのは、26階層。モンスターが余りにも少ない。あと一階層降りれば下層の主が出現する。
「ちょっと、だけ」
ごくりと生唾を飲んだ。アンフィス・バエナ。推定レベルは4であるが、パーティを組んだらの話。レベル5でも地形的不利で命を落としかねない。
「なんも、いない?」
27階層に着くと、意外にも激流の音だけが響き渡っていただけ。
「?」
突然、足を止める。直感だろうか、心なしか地面が揺れている感じする。
恐る恐る後ろを振り返る、っと直後産声が上がった。それは想像と遥か遠い地面を揺るがすような声。
「!!」
そして、目の前の壁面から階層主が産み落とされる。
「どうしよう」
今のレベル5、でもまだズレが生じている、逆に考えるとそれを慣らすには絶好のチャンス。そしてその逆は死を意味する。
「よし!いけるわ!」きっと——アルなら…
その時、情景を想像した。この時自分の情景の人なら、何を選ぶだろうか……そう、答えは前者に決まっている。
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「はぁ、はぁ、」
覚束ない足取り、乱れ切った呼吸。極め付けには戦闘によって流れ過ぎた血。
アリーゼはアンフィス・バエナとの戦闘で隙を見て逃げ出した。戦闘は圧倒的な程にまで差をつけられた。
レベルのズレも治せる事もなく。ただ致命傷を負わされただけ。
すぐに治療をすれば問題はないが、ここはダンジョン。
気を失えば、モンスターに食されるか、出血死をするのが目に見えている。最悪にも安全階層までも程遠い。望みはここを通る同業者を見つける以外ない。
「もう、ダメかも」
背もたれを見つけたアリーゼはそこにしなだれかかる。
そして、今だに出続ける鮮血。時間が経つたびに体が冷め視界が暗くなる。あと持って30分ほどだろう。
走馬灯というやつだろうか、今までの記憶が頭の中で巡る。
アル…私は足元にも及ばなかった。他にも団員と過ごした日々が巡る。一番楽しかったのは2年前だろうか。
そう思いながらも自分に情けなさを覚えながら、想う。
もう一度だけ、アルに会いたいと。そしてみんなにも会いたいと、今まで以上に強く願った。ただ現実は非常である。どんなに願ったって叶うわけがない。
「…………」
もう目が開かない。流れゆくままに意識が落ちていく。
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アリーゼさん達と会えなくなって2年が経過した。
「今日もダメかー」
毎日アストレア様と会い、握手をする。最初こそは、小っ恥ずかしかったものの、今では慣れ作業化したものである。
「そうね、もうこれを初めて2年以上になるわね」
この話を信じてくれて、ずっと続けてくれているアストレア様にも感謝しなきゃいけない。てか優しすぎる。
「貴方って、幾つになるの?」
「16です」
「2年でこんなにも成長するものねぇ」
成長と言ってもレベルが1上がったくらいだ。それにもう直ぐレベルが上がりそうなことぐらい。
「前まで、私と同じか、少し大きいぐらいなのに……」
「そっちですか、あはは」
自分は勝手にレベルの話かと勘違いしていた。もう重症だなと思った。
てか、そういえばこの2年で身長がかなり伸びた。ヴェルフを越したのではないか?
周りのみんなからよく、可愛かったのに、もうこんなに男らしくなって、と言われることが増えた気がする。神様に至っては成長を嬉しそうにしながらも、悲しがっていた。可愛いではなくカッコ可愛いになってしまった僕のことを。
「私、自分の弟かのように見えてたけどもう立派な、大人ね」
「そうですか?あははぁ」
やはり嬉しさを隠しきれなくて、つい顔が綻んでしまった。
「ま、そういうところはまだまだ、子供ね」
「そうですか……」
あからさまに落ち込んだベルを見てついアストレアは笑う。
「やっぱり、面白いわね、見てて飽きないわ」
「それ、褒めてるんですか?」
「褒めてると思うわよ」
このような談笑を2年ほど続けた、ある日。
「いきますね」
「ええ」
お互いに手を握り合う。
「光ってる!」
「え、ええぇ」
突然今日、握手をしたら光出した。僕は興奮していたが、アストレア様は少し怖がっていた感じがした。
………繋ぐこと数分…
「えっ」
ベルが目の前から消えた。今さっきまで目の前にいて手を握っていたのに、本当に瞬きをした瞬間だった。
「どうしよっ」
突然の出来事に手を繋いでいる目的を忘れてしまい、酷く焦っていた。
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「あれ、ここどこだ?」
今さっきまでアストレア様の手を握っていたのに、変な場所に飛ばされた。だけどこの場所は懐かしい感じがしたと同時に、悪い記憶が蘇ったかのような感じがする。
「ダンジョン?」
植林地帯が広がる、仮にダンジョンならこの階層……おそらく30階層。
30階層。それは僕の物語の始まりである、最初に出会った場所。
「……………」
ぼくは、無言で走り出す。予想が正しければ、成功しているのであれば…もう一度だけ———「会える」
とりあえず地上に戻るために通路に向かう。
今の、ヘスティア・ファミリアの等級はS、30階層まで潜るなんてザラにあった。この二年間はそれほどまでに僕の環境を変えた。そして当然、あの人たちも同じはず
自分の俊敏をフル活用し上がっていく
27階層にアンフィス・バエナがいたがフル無視し通り過ぎた。
「えっ」
何階層上がったか数えなくなった頃だった。
ある連絡通路にて、紅色の髪をした女性がいた。酷いけがをしている様子。おそらくアンフィス・バエナと戦闘をしたのだろう。そして近づくにつれて、冷や汗が止まらない。「そんなはずないのだから」
「え…アリーゼさん?」
目の前に、この二年間思い続けてきた相手を見つけた。倒れ込んでいる状態で。
「みゃ、みゃくは」
目の前の光景に驚愕したが、一旦は落ち着き、冷静に安否を確認した。
「ま、まだある」
確認したところ、まだ動いているが不規則で弱々しかった。
「ポーションを」
とりあえず常に常備していた、ポーションをポーチから取り出す。
「こんな状態じゃあ、飲めないな」
自分の口にポーションを含む。そしてアリーゼに口で移す。
「よしっ」
体に取り込まれたのを確認できたので、ひとまず応急処置ができ命を繋いだ。
アリーゼをおぶり、とりあえずは18階層を目指す。
だんだんと背中の温もりが高くなっていき、アリーゼの体の活動が再び開始されたのがわかる。
「着いた」
リヴィラに着き、宿取る。そしてリヴィラのポーションを全て買った。
「よかった、」
アリーゼさんの状態を見るからに、傷こそあまり多くなく、出血多量によりあそこまでに至ったと推測した。運良くリヴィラに医療技術の持った人とその道具を持っている人がいた。そしてアリーゼさんと同じ血液型である僕が輸血をすることにした。自分の運にこれほど感謝に恐れた事は初めてだった。
「何も変わってないな」
2年ぶりの再会が、こんな形になるとは驚いたが、落ち着いた顔を見るからに何も変わってなく安心した。
まぁ、強いていうなら単独で階層主に挑むくらいの人になったくらい……
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「ってて、あれ」
私、死んじゃったんじゃなかったけ?
ってことなら、誰かが私を助けてくれたんだ!
自分は助かった事を理解したアリーゼ。
横になっていた体を起こす
そして、不意に視界に入った自分の腕につながっている管を見つけた。
無意識に管の先を追ってしまっていた。
中が透けていて、赤色の液体が流れているのがよくわかった。
「っえ、」
繋がった先には、男性が隣のベッドに横になっていた。
それも白髪の……
「さ、流石に違うよね…体格も違うし」
髪の色は同じでも、自分の知っている男の子とは似ても似つかない体型だった。
けれど、あの時のアルは14歳。育ち盛りである少年なら2年でここまで大きくなるのも何ら不思議ではない。
「すこーし、だけなら」
髪がかかってあまり顔が見えないので、髪を上げさせてもらった。
「っうそ、もしかして、本当にアル?」
髪をあげた中には、雰囲気こそ違うものの、あの頃の面影があるアルらしき顔があった。俄かにも信じられないアリーゼ。
「起こしてみようかな」
興味本位で、その人に触れる。
見た目から想像できるが、触れるとよりクッキリと感じる筋肉のライン…てか、これヤバ…別に筋肉フェチとかじゃないが、これはかなりヤバい。
「……………」
っえっと、何この状況?
「うわ、本当にヤバいわね」
擽ったくて起きたら、目の前に僕の胸や腕をツンツンと触っていたアリーゼさんの姿があった。1人でモゴモゴと何か言っているが、よく聞こえなかった。だけどヤバいと言っているのは聞こえた。
いつ目を覚ませばいいのかタイミング見計らう事、30分。
ツンツンツンツン。
一向に止むことない、アリーゼさんのツンツン攻撃。
こんなことを続けていたら、埒が開かないので僕は体を起こす。
「ひゃっ!」
急すぎたのか、アリーゼさんは高い声を上げた。
「え………どなた様ですか?」
一言目で発せられた言葉が意外すぎて僕は、笑ってしまう。
「あはははは!お、お腹痛い、」
あまりにも場違いな言葉が出てきて僕のツボを完全に捉えたのか笑いが止まらず、お腹が痛くなって来るほどだった。
「その声、あなた名前は?」
「ベル・クラネル……こっちでは、アル・クラネルかな?」
僕がそういうと、アリーゼさんはほっぺをつねった。
「痛い」
つねったほっぺは赤く跡が残っていた。
「夢じゃないですよ」
再びほっぺをつねろうとしたので、僕は夢じゃないと伝える。
「抱きしめても、いい?」
「えっ……あ、いい…です、よ」
いいと言ったものの恥ずかしくて、つい目を閉じてしまう。
「はぁ〜、こんなに大きくなって」
前は、アリーゼさんと変わらない背丈だったが、2年も経ったことで身長は僕の方が大きくて、体格も前の僕より一回り大きくなっていた。
「はい」
「あと、もう少しだけ」
「……………」
無言で頷く。
抱きつきがさっきよりも強くなるのを感じる。
「!」
僕もアリーゼさんに抱きつく。僕の体の中にスッポリとアリーゼさんはハマった、思ったより、体は小さく、二年越しに、彼女は女性なんだと意識づけられた。
「アリーゼさんって、こんなに小さかったんですね」
「どういういみ?」
「なんか、前はもっと大きいと思っていたんですけど、こうしてみると小さくて…女の子なんだなって」
「……………」
僕がそういうと、アリーゼさんは顔を俯かせて完全に僕の中に隠れてしまった。
「あなた、ここ2年で…色々と成長したわね」
皮肉っているのか、ほめているのか、どちらにも捉えられるこの言葉を、僕は善意と捉えた。
「はい、成長しました」
僕は痛くならないほどに、抱擁を強くしていく。それに気づいたのかアリーゼさんも同じく強くしていった。
結局僕たちは抱きついたまま寝てしまっていた。
経過観察をしにきたリヴィラの人にバレたけど、不幸中の幸い2人とも風邪を引かなかったことだ。
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アリーゼさんの容態も回復したので、そろそろ地上に戻ることにした。
「ねぇ、アル」
「はい、どうしましたか?」
「貴方って、レベル幾つ?」
「6です!」
やはりこの二年間、僕の成長が気になったのだろう。僕は満面の笑みで答えた。
「ええぇ」
「それにあとちょっとで、レベルアップできます!」
「ええぇぇぇ」
そういうと、アリーゼさんは何故か悔しそうにしながら引いていた。
「やっと追いつけたと思ったのに、」
「ってことは、レベル5ですか?」
「ええ、そうだけど…」
単独で階層主に挑むから、薄々気づいていたが……ここまでとは、まぁ階層主に挑むほどの自信なのだから頷ける
「昨日、ちょうどレベルアップしたわ」
「ええぇ!じゃあ今日お祝いしなきゃですね!」
僕がそういうと、アリーゼさんは顔をパァっと輝かせた。
「じゃ、じゃあ…私のお願い一つ聞いてくれる?」
「当たり前です」
「約束だからね!」
アリーゼさんは、何をお願いするのか…到底計り知れない。
そうすると紙を手渡された。
「ここのメモの場所に、今日の6時半!集合ね!」
「あっ!そういうことですか、わかりました」
紙を渡された謎が解けた。
ということなので、予定よりも早いペースで地上に戻ることにした。
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「ただいまー!」
支度をするためにベルとは後ほど合流することになった。
なんか会わないといけない人がいるとか、いないとか
「アリーゼ!もう、どこいってたのよ、心配したわよ」
一番最初に出てきたのは、アストレア様だった。
「おおー、やっと帰ってきたか」
ライラに続き
「アリーゼ!本当に心配しましたよ!」
リオン達が次々にお出迎えをしてくれた。単独での行動が多くなったと言ってもみんなとの仲は今まで通り、良い。
「ちょっと、ダンジョンに潜ってただけよ」
えぇぇ
うゎぁ
ダンジョンに潜ったというと、ダンジョン狂であるみんなに引かれた。
「私、どれくらいいなかったの?」
「2日もいなかったぞ、ずっとダンジョンとかホントにやべーぞ?」
「そ、そんなに経ってたんだ…」
言えるはずがない。何があったかなんて、言ってしまったらこの後の予定も全てめちゃくちゃになってしまう。
「あ、ああ」
結局みんな「なんなんだ?」とキリが悪く話は終わってしまった。
約束の時間まで1時間程になってしまったので、急いでお風呂に入る。
「よし、履いちゃうか」
万が一のために、随分前歓楽街を訪れた際に購入した下着を着用する。いわば勝負下着といつやつである。
「準備よし!」
いつも以上に身支度には時間かけた。全身鏡を見て、納得もできたのでホームを出る。
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「アリーゼさん、まだかなぁ。」
約束の場所に行ったものの、アリーゼの姿はなく、あたりに広がるのは手を繋いで歩いているカップルだらけ。
そんな光景を見たら、1人でいる僕が恥ずかしく思えるので早くきて欲しいものである。
「少し早すぎちゃったな」
ベルの計画ではちょうど待ち合わせ時間に到着する予定だったが用事が早く終わってしまい、待ち合わせ時間より30分程早く着いてしまったのである。
……
アリーゼさんと別れてから、僕は目的であるヘルメス様に会いに行く。
2年も経ち、ヘルメス様は忘れてしまっているかもしれないが当時約束していた場所に行ってみる。
「まぁ、流石にいないだろうと思うけど」
そう思い、約束していた豊穣の女主人に向かう。
「いらっしゃいませー!」
お店に入ると、店員が大急ぎに料理を運んでいた。
店内は賑わっていて、荒くれ冒険者が大半を占めている。
その中に1人ポツンと荒くれた雰囲気とは対極に静かなオーラを発する男の人がいた。
「す、すみません」
「はーい!」
返事をくれたのは、僕の方でお世話になっているクロエさんだった。
「あそこの席でもいいですか?」
僕はそういい、1人でいる男性の隣の席を指差す。
「いいですよ!」
クロエさんの了承を得たので席へ向かう。因みにこっちのクロエさんは語尾に「ニャ」をつけていなかった。
「おとなり、失礼します」
「あ、ああ……!」
隣に座ると、僕を凝視してきた。
それもそのはず、
「もしかして、ベルくんかい?」
「は、はい」
2年ぶりにヘルメス様と再開した。
「二年間も、通い続けた甲斐があったぜ」
「ずっと、通ってたんですか?」
「当たり前じゃないか」
なんか僕はとても申し訳なくなった。
「っで、こんなに男らしくなって……ガールフレンドの1人や2人はできたかい?」
「……………」
「やっぱり、見た目は大人びてても中身は子供だね」
そう笑いながら、僕を小馬鹿にしてきた。
そしてついムキになっていってしまった。
「ヘルメス様は、そういう経験あるんですか?」
「ああ、あるぜ?」
「…………」
わかっていたものの……なんか負けた気がした。
そんな談笑を続けていたらあっという間に時間が経ってしまっていた。
「すみません。ヘルメス様…用事がありまして」
「そうなのか……女の子と約束かい?」
「…!!!」
余裕で僕の用事がバレてしまった。
「よし!ベルくんにはこれを授けよう」
そういい手渡されたのは何かと文字が綴られた小瓶。
以前にも渡された記憶がある気もするしない気もする。
普通にパッケージを見たらバリバリ、精力剤だった。
「これを飲めば、イチコロだ!」
ヘルメス様曰く、これは業界の中でも指折りの職人が作った厳選された一品だとか。
「…………………」
意気揚々語っている、多分ヘルメス様は僕の何百倍も女性経験があるのだろうと思った。
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