CTTの暗い地下施設。巨大なモニターに映し出されたデータが青白い光を放ち、重厚な機械音が響く中、CTTの幹部たちは緊張感に満ちた会議を進めていた。
「R.O.Z.E.計画は失敗に終わったが、我々には次の手がある。」CTTのボスが冷ややかな声で言った。「異能を暴発させるウィルス『APOS』の開発に力を入れている。このウィルスは異能者たちの力を制御不能にし、都市全体を混乱に陥れることができる。」
一人の科学者が前に進み出て、APOSの概要を説明し始めた。「APOSは異能者の脳内シナプスを刺激し、異常なエネルギーを引き起こします。その結果、彼らの異能が制御不能となり、暴走します。これを都市に散布することで、無数の異能者が暴発し、混乱を引き起こすのです。」
幹部たちはその説明を聞き、頷いた。計画は順調に進んでいるようだったが、CTTのボスはさらに大きな一手を用意していた。
「そして、唯一の成功作である終末兵器、ネオン――いや、N.E.Oを目覚めさせる時が来た。」
部屋の隅にある巨大なカプセルがゆっくりと開かれ、中から冷たい蒸気が立ち上った。中に眠っていたのは、白い肌と冷たい目を持つ少年だった。彼の名はネオン、そして彼こそがN.E.O――異能のウィルスで作り出された存在であり、世界を終わらせる力を秘めていた。
ルトはシリウス分校の病室で横になっていた。体調は一向に良くならず、熱が下がらず、体がだるくて辛い。見た目には風邪のように見えるが、その症状は徐々に悪化していった。体が震え、時折痛みが走る。医務室の医師や看護師は、風邪の合併症だと診断し、休息と薬を処方していたが、いっこうに改善の兆しは見られなかった。
ある夜、ルトは目を覚ますと、自分の手や足が奇妙な感覚に襲われるのを感じた。皮膚の下で何かがうごめくような感じがして、見てみると、部分的に異形の模様が浮かび上がっていた。彼はその変化に驚き、すぐに寝床を離れ、病室を出て校舎の廊下に向かう。
廊下を歩いていると、突然体が震え、異能の力が暴走し始めた。腕から赤黒いいエネルギーが溢れ出し、周囲の物を押しのけ、廊下の壁が崩れるほどの力が出た。彼の目は赤く光り、異形の模様が体全体に広がっていった。
その騒ぎを聞きつけたガイとカナタは、すぐに駆けつけた。状況が異常だと判断し、二人はルトに近づくも、その力に圧倒され、彼の異能の暴走を抑えるために戦う決意を固めた。
「ルト、落ち着け!」ガイが叫びながら、エネルギーの盾を展開し、ルトの放つエネルギーを防ごうとする。
「どうしてこんなことに…!?」カナタもスピードを駆使して、ルトの攻撃を回避しつつ、何とか制御しようと試みた。
ルトは意識が朦朧としながらも、暴走する異能に飲み込まれていく。彼の周りに巨大なエネルギーの球ができ、周囲の空間を歪ませていった。異形の模様がさらに広がり、体の一部が奇怪な形に変貌していく。
戦いは激化し、ガイとカナタは協力してルトの暴走を抑え込もうと必死に戦った。ガイのエネルギーの盾とカナタのスピード、二人の連携で少しずつルトの力を抑え込むことに成功する。しかし、戦いの最中、ルトの体はさらに異形へと変貌し、その力が制御不能な状態が続いた。
最終的に、ルトの暴走は少しずつ落ち着きを見せ、彼は倒れ込んだ。体から放たれていたエネルギーも収束し、周囲に破壊された物が散乱していた。ガイとカナタは疲れ果てた様子で、倒れているルトに駆け寄った。
「大丈夫か、ルト?」ガイが心配そうに問いかける。
「こんな…風邪のせいで…」カナタが呟いた。
ルトは息を切らしながらも、何とか答えようとした。「これは…ただの風邪じゃない…」
その言葉の後、ルトの体にまた異形の模様が浮かび上がり、彼の意識は朦朧としながらも、何かが彼の体を蝕んでいることを感じ取った。周囲にはまだAPOSの存在を知らないが、この異常な症状が単なる風邪ではないことは明らかだった。
「これが…本当に風邪なのか?」ガイが不安を抱えながらも、周囲に警戒の目を向けた。
カナタも同様に疑念を抱えつつ、倒れているルトを見守った。状況は予想以上に深刻で、原因が未だ不明のまま、彼らの前に立ち塞がっていた。
そして、何が起こっているのか、誰もまだ完全には理解していなかった。
「ネオンの源はウィルスで出来ていて、その存在そのものが厄災となりえる。」ボスが冷笑を浮かべながら言った。「彼を目覚めさせ、APOSを散布することで、我々は都市全体を混乱に陥れ、新たな秩序を築くことができる。」
ネオンは無感情な目で周囲を見渡し、ゆっくりと立ち上がった。その姿は冷酷であり、彼が持つ圧倒的な力が周囲に恐怖をもたらした。
「ネオン、これからお前が我々の計画を実行するのだ。世界を変えるために。」
ネオンは無言で頷き、その一歩一歩が地面を揺るがせるかのような力を感じさせた。彼の存在そのものが破壊と混乱をもたらす。CTTの幹部たちは、彼がもたらすであろう終末の光景に思いを馳せながら、その計画が成功することを確信していた。
こうして、CTTの新たな計画は静かに、しかし確実に進行していた。異能者たちの暴発を引き起こすAPOS、そして終末兵器N.E.Oの目覚め――その陰謀が再びアステュナの平和を脅かそうとしていた。