転生魔族〜新大陸に新国家建国を〜 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
ヴァルシアの保護国化により巨大ピラミッド型の生活様式が確立された。
これはハリケーンが多い地域で生活を守るために重要であり、内部も思ったより狭くなく、ところどころに空気口が設けられ、中央の支柱から水を汲み上げて生活用水を外壁に沿わせる事で涼しく過ごせる工夫がされていた。
ただ上の階層に住む者はトイレの度に最下層に降りなければならなかったり空気口の調整をミスると中で火を焚いた時に酸欠になる可能性もあることがわかり、一瞬注目されて、直ぐに廃れてしまった。
ただこれをアルラウネ達はキノコを栽培するのにすごい適した環境であることを発見し、ヘビ人間達が食用にしていたジャンボキノコ(笠の部分が50センチもあり、肉厚でステーキやカットしてスープに入れる)の栽培場だったり、暗所で育つ野菜等を安定して育てられると活用されることになる。
最終的には外壁を透明化させて光を通すようにして多段式菜園として活用された。
新魔王軍誕生から50年頃になると、本当の意味で唯一の純血魔族であるメアリ姫を頂点とした立憲君主制の新魔王国が国民投票で建国された。
人口も保護国のヴァルシアを含めて15万人まで増えていた。
カリブ海沿岸部に次々に入植していき、ドラゴンによる輸送網だけでは足りないと造船を開始し、キャラック船が港町を行き来して交易を行い、港を整備できていない場所か空港の様なドラゴンの大きな巣がある場所はドラの子供達がドラゴンライダーと共に航空輸送を担う。
そして中部アメリカを探索しているとベジタブルアイランドと呼ばれる旧魔王軍や人間達では伝説とされていた巨大野菜が実る大地を発見し、大木の様に成長するトウモロコシ、体よりも大きなトマトがなる木等の大きくなおかつ既存種よりはるかに美味しい作物の数々···
ただ魔法と怪力がないと巨大作物の栽培と収穫は危険であり、農業が魔法に詳しくないとできない専門職になってしまった。
まぁメアリの血族である新魔族達(混血のアルラウネや黒天使、ヘビ魔族等)は怪力も魔法も使え、人口の8割を占めているので彼らが産業を支えた。
そうでない者は換金作物の栽培に従事したり、木材の加工や糸を紡いだりと他の事で産業を支えた。
巨大作物の栽培が軌道に乗ると、ドラゴン達も食事に困らないため、更に数を増やしていくし、魔族達も交わりまくって南米北部を含めたカリブ海完全制覇を達成する頃には肌の色が黒いダークエルフをも吸収し、建国50年、入植して100年で5民族(魔族、アルラウネ、堕天使、ヘビ人間、ダークエルフ)を主要民族と定義し、この5民族が新魔族の主力となった。
まさに中央アメリカの大国である。
なお識字率はこの時代だと驚異の95%であり、国民の殆どが知識階級である。
ただ転生魔族が社会を引っ張る構図は変わっておらず、どうしてもメアリの直子達は貴族の様な立場になってしまった。
まぁ特権に見合うだけの成果を出しているので誰も文句は言わないが···
あ、あと日本語は残念ながら主流言語から外れ、母国語はドラゴン語になりました。
どの民族でもある程度伝わる共通言語だったから仕方がないね。
日本人は分かりづらいかもしれないが、地元でしか使えない民俗語、町等で通じる標準語、国として主軸となる公用語が分かれている国が結構ある。
特にアフリカとかは前の世界でもそれが酷く、教育が行き届かない原因の1つに挙げられる。
多民族国家になった新魔王国もこの問題にぶち当たり、ドラゴン語を標準語、公用語に統一することで、言語の統一を進め、同じ国の国民である愛国精神を育む土壌を整えたりもした。
一方旧大陸では疫病のパンデミックにより地獄が発生していた。
100年で魔王軍を新たに名乗った残党達は旧大陸を追われ、アフリカ大陸に当たる南方大陸へと逃げた。
そしてエセナポレオンを名乗る勇者もこの世を去り、魔王軍と戦った勇者達も寿命によりこの世を次々に去っていった。
旧大陸は100年間、遂に統一されることなく、複数の国々が潰し合いをする戦乱の時代となり、新しい技術や魔法ができては戦争の混乱で失伝していき、トドメのパンデミックにより、技術の継承ができなくなり、勇者召喚の儀式を覚えている者が次々に亡くなったのでこの世から勇者は一旦姿を消すことになる。
100年間新魔族達がカリブ海でせっせと魔王軍の再建を行っていた間、人類は技術、文化、国力、人口の全てで後退を余儀なくされた。
流石にパンデミックが発生したことで国々も戦争をしている状態ではなくなり、各地で休戦協定が結ばれ戦争の100年は終結し、疫病の10年が始まる。
前にも言ったがこの疫病期間で旧大陸···特にヨーロッパ部分は人口が3分の2に減少する。
特に大きな影響を受けたのがエルフ族で、ただでさえ戦争で激減していたところをこの疫病でトドメを刺され、国家を維持することが不可能になり、各地に離散してしまった。
しかも離散した影響で疫病を持ち込んでくるとエルフの大規模な迫害が始まり、エルフの蓄積された魔術はエルフという種族と共に消えていくのであった。
新魔王国では南米にあったコーヒーの発見と大規模なサトウキビの栽培が始まった事でコーヒーハウスが各地に建てられていった。
イギリスみたいに男性しか入れない感じではなく、男女問わす軽食とコーヒーを楽しみ、店に置かれた新聞や雑誌を読んで意見を言い合う社交場として広まっていた。
コーヒーハウスは人々から小さな大学と呼ばれ、様々な事を学ぶ事が出来たし、魔法についても人々が教え合う場所になっていた。
学校や大学の他に知識を学び合う場所の誕生である。
この技術、知識、魔法の蓄積により産業革命を可能にするとある物質の錬金が可能になる。
魔結晶である。
他の種族との兼ね合いから化石燃料が使えなかったが、ゴーレムエンジンの性能を飛躍的に上げることができる魔結晶の製造方法の発見により魔法産業による産業革命が始まるのであった。